2025年版 専門家が解説 犬の避妊手術の適切な時期は?知っておきたいメリットとデメリット

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
株式会社スケアクロウにて日々飼い主の皆さまサポートに奮闘中

ご相談窓口

犬の避妊手術には、望まない妊娠や病気を予防するなどのメリットがありますが、麻酔のリスクなどもあります。
そのため、愛犬に避妊手術をさせるかどうか悩んでいる飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、犬の避妊手術のメリットとデメリットから、手術に適した時期、術後の注意点などを詳しく解説します。

愛犬の避妊手術を悩まれている飼い主さんはもちろん、これから避妊手術を受けさせる予定のある飼い主さんにも必見の内容です!

 

犬の避妊手術とは?

犬の避妊手術は、卵巣と子宮を摘出する卵巣子宮摘出術と卵巣のみを摘出する卵巣摘出手術があります。
いずれも、望まない妊娠を避けることをおもな目的としておこなわれます。

そのほか、病気の予防や発情期のストレスを減らすなどのさまざまなメリットがあります。

このようなことから、繁殖を望まない場合は避妊手術をおこなうのが一般的になっています。

 

犬の避妊手術にはどのようなメリットがある?

犬の避妊手術をおこなうことで、たくさんのメリットがあると言われていますが、実際にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
具体的に見ていきましょう。

生理の煩わしさがなくなる

犬も人間と同じく生理(発情出血)があります。
犬の生理は、生後6~10ヶ月ごろにはじまり、以降は6〜10ヶ月の周期で発情期がおとずれます。
発情期になると、1〜2週間ほど出血がつづきます。

生理中は室内が汚れるため、マナーパンツを着用させるなどの手間やコストがかかります。
犬にも、飼い主さんにも負担になってしまうことも。

また、発情期にはホルモンバランスの影響で精神的に不安定になりがちで、吠える、噛むなどの問題行動の原因になり得ます。

関連記事:犬のヒートはいつまで続く?陰部の腫れや前兆はある?

発情期のストレスがなくなる

上述のように、発情期には精神的に不安定になりやすく、問題行動のほかにも食欲や元気がなくなったり、落ち着かなくなったりします。
犬にとっては大きなストレスにもなりえます。

また、ホルモンの影響で、実際には妊娠していないのに体が妊娠したような状態になることがあります。
このような状態を「生理的偽妊娠」といいます。

生理的偽妊娠になると、乳汁の分泌、ぬいぐるみを子犬に見立てて子育てをしているような行動をするなどの行動の変化が見られるようになるでしょう。
子育て中の犬と同様に、神経質になりストレスを感じやすくなります。

このような発情期の精神的ストレス、生理的偽妊娠のストレスも避妊手術で防ぐことが可能です。

卵巣や子宮の病気予防になる

犬の避妊手術では、卵巣や子宮を摘出するため、これらに起因する病気を予防することができます。
また、乳腺の病気の予防効果も認められています。
避妊手術の最大のメリットと言っても過言ではないでしょう。

たとえば、以下のような病気に効果があります。

  • 子宮蓄膿症
  • 子宮粘液症(子宮水腫)
  • 乳腺炎
  • 乳腺腫瘍
  • 卵巣嚢腫
  • 顆粒膜細胞腫瘍

なお、乳腺腫瘍は手術のタイミングによって予防効果が異なります。
詳しくは後述しますが、初回発情前であれば99.5%で、初回発情後では92%と言われており、発情の回数が増えるに従って、予防効果は下がっていきます。

関連記事:命にかかわる犬の子宮蓄膿症とは?症状や手術、予防法について

望まない妊娠を防げる

避妊手術をおこなうことで、望まない妊娠を防ぐことができます。

愛犬が妊娠してしまうと、犬はもちろんですが飼い主さんにも大きな責任と負担がかかることになります。
妊娠中の母犬のケアから、産まれた子犬のお世話、里親探しをしなければいけません。
里親が見つからない場合は、子犬を自分で育てる覚悟も必要になります。

このような状況を望む飼い主さんはまずいないでしょう。
愛犬の妊娠を望まないのであれば早めの避妊手術がおすすめです。

 

犬の避妊手術にはどのようなデメリットがある?

犬の避妊手術にはメリットもありますが、その一方でデメリットもあることを忘れてはいけません。
どのようなデメリットがあるのかを知り、対策に役立てましょう。

太りやすい体質になる

犬は避妊手術をおこなうと太りやすくなると言われています。
ホルモンバランスが変わり、基礎代謝が低下するためです。

また、避妊手術後に食欲が旺盛になる犬も多く、「もっと食べたいよ」とせがまれるままにフードの量を増やしてしまうと、間違いなく肥満の原因になってしまいます。

避妊手術後は、これまで以上にしっかりとした食事管理が必要になります。
愛犬の健康のためにも、しっかりと勉強して適切に管理できるようになりましょう。

手術にはリスクがつきもの

犬の避妊手術はよくある手術とはいえ、リスクがないわけではありません。

避妊手術は全身麻酔でおこなわれます。
麻酔中に血圧や呼吸が低下したり、麻酔に対してアレルギー反応を起こしたりする犬もいます。
一般的に、手術前には麻酔に耐えられるかなどの検査をおこない、手術中もモニタリングして安全を確保しますが、絶対に大丈夫とは言い切れないのです。

また、パグなどの短頭種は、術後気道閉塞を起こす場合があるため、注意深く経過を見守る必要があるでしょう。

関連記事:犬の全身麻酔のリスクはどれくらい?高齢の場合は危ないの?

まれに尿失禁をおこすことがある

避妊手術後にホルモンバランスが変化することで「ホルモン反応性尿失禁」を起こす場合があります。
とくに、大型犬は発症率が高いといわれているため注意が必要です。

ホルモン反応性尿失禁のやっかいなところは、手術の数年後に発症するという点です。
術後に少しずつホルモンが減少し、膀胱括約筋の収縮力が弱まることが原因だと考えられています。

ホルモン反応性尿失禁は命にかかわるわけではありませんが、放置すると皮膚トラブルの原因になる場合があります。
尿失禁に気づいたら早めに動物病院を受診して対処しましょう。

妊娠ができなくなる

犬の避妊手術は妊娠をしないように卵巣や子宮を摘出するため、手術後は当然妊娠できなくなります。
そのため、術後に「やっぱり、子犬がほしい」と思っても出産させることはできません。

いまは、避妊手術をするのが一般的になっているため、動物病院でも「時期がきたら避妊手術を」とすすめられることがあります。
後悔しないためにも、よく検討してから決断しましょう。

 

犬の避妊手術に適した時期はいつ?

犬の避妊手術は、最初の発情がはじまる前の生後6ヶ月ごろにおこなうのがよいでしょう。
とくに、病気の予防を目的とする場合は、避妊手術の時期が重要になります。

たとえば、乳腺腫瘍の予防効果は、初回発情前で99.5%、初回発情後で92%、2回発情後で74%となっています。

また、良性腫瘍の場合は年齢にかかわらず効果があるとされていますが、悪性腫瘍においては2歳半以降では効果がないとされています。

ただし、時期が早すぎると手術に耐えるだけの体力がなかったり、臓器が小さすぎて手術の難易度が上がったりするといわれています。
また、遅くなると病気の予防効果が低くなります。

これらのことを総合すると、犬の避妊手術に適した時期は「生後6ヶ月以降でなるべく早く」ということになるでしょう。(※諸説あります)

関連記事:犬の乳腺腫瘍とは?悪性が多いの?症状や治療、余命は?

 

犬の避妊手術の流れ

生後6か月ごろになったら獣医師と相談し、予定を決めることになると思います。
犬の避妊手術の流れを確認し、無理のない予定を組むようにしましょう。

ここでは、手術前検査から抜糸までの基本的な流れを紹介します。

1.手術前検査

避妊手術は全身麻酔での手術になります。
そのため、手術の1週間ほど前に、麻酔を使用しても大丈夫か、手術に耐えられるかを確認する検査をおこないます。
病院によっては当日におこなう場合もあります。

犬の避妊手術では「血液検査」や「レントゲン検査」などを年齢や健康状態などの状況に応じておこないます。
検査項目は病院によって異なる場合がありますので確認しておくと安心でしょう。

2.手術前日は絶食

犬の避妊手術は全身麻酔でおこなわれるため、手術前は12時間以上の絶食が必要になります。
前日の夕食はいつもどおり食べさせても大丈夫ですが、深夜からはなにも与えてはいけません。

また、当日の朝からは水も飲むことができません。

もし誤って飲食をさせてしまった場合は、安全のためにも必ず申告してください。

3.手術当日〜抜糸

避妊手術当日は指示された時間までに動物病院に連れて行きます。
病院では、問診、触診、聴診などで体調を確認して問題がなければお預かりとなります。

犬の避妊手術の所要時間は約1時間~1時間半ほどです。
全身麻酔のあとに被毛を刈り、消毒、卵巣と子宮の摘出がおこなわれます。

最近では開腹をせずに、お腹に小さな穴を開けておこなう腹腔鏡手術も増えています。
腹腔鏡での手術は開腹手術よりも小さな傷で済むので、術後の回復が早いと言うメリットがあります。

ただし、特殊な器具を使用するため、技術が必要になる、手術時間が長くなる、費用が高額になるといったデメリットがあるため注意が必要です。

犬の避妊手術では、1泊の入院が必要になる場合と、夕方に帰宅できる場合があります。

問題がなければ、術後7〜10日に抜糸します。

 

犬の避妊手術後の注意点

犬の避妊手術後には、愛犬の体調の変化に注意する必要があります。
また、ホルモンバランスが変化することで太りやすくなるため、食事にも注意が必要です。

避妊手術後に注意する症状

犬の避妊手術後は、傷口が開いてしまわないように、激しい運動は避けるようにし、以下の症状に注意しましょう。

  • 出血する
  • 嘔吐・便がゆるい
  • 発熱
  • 食欲や元気がない
  • 精神不安定
  • 傷口からの出血

このような症状が見られた場合は、様子を見ずに早急に動物病院に連絡してください。

食事管理を徹底して肥満を予防

避妊手術後の犬はホルモンバランスが変化することで活動量が減り、基礎代謝が低下します。
その一方で食欲が増すという犬が多いのです。
そのため、手術以前と同じ食事をつづけていると簡単に肥満になってしまうでしょう。

避妊手術は、避妊・去勢後用や体重管理用の低カロリーなドッグフードに変更し、徹底した食事管理をおこなう必要があります。
ドッグフードや与え方に悩んだときは、早めに動物病院で相談することをおすすめします。

また、肥満防止には適度な運動も重要です。
毎日の散歩はもちろん、定期的にドッグランに出かけるのもよいでしょう。

 

犬の避妊手術の費用は?

犬の避妊手術の費用は、動物病院や住んでいる地域、犬の大きさ、手術方法によって異なりますが、目安は「小型犬:3万〜6万円」「大型犬:6万〜8万円」となります。
これに、手術前検査として1万円ほどかかるのが一般的です。

そのほか、場合によって入院や内服薬、エリザベスカラーや術後服などの費用が必要になります。

 

まとめ

犬の避妊手術は、望まない妊娠を防ぐほかにも、病気の予防や発情期の煩わしさがなくなるなどのメリットがあります。
そのため、繁殖を望まない場合は避妊手術をすすめられることが多いでしょう。

一方で、デメリットもあります。
手術にはリスクがありますし、愛犬の一生にかかわることです。
不安やわからないことは獣医師に相談し、よく検討のうえで決断をすることが大切です。

また、避妊手術を決めた際には、手術前後の体調管理に効果が期待できるサプリメントもありますので、検討してみてはいかがでしょうか?

おすすめサプリメントはこちら

関連記事:犬の去勢手術はいつやる?メリットとデメリット・費用までを解説

======================
この記事を書いたのは
ネコヤ カエ
愛玩動物救命士|猫疾病予防管理士|猫健康管理士|犬猫行動アナリスト|
ペット災害危機管理士3級|猫のシニア生活健康アドバイザー|ペットフード/ペットマナー検定
2019年よりフリーライターとしての活動を開始。
ペット専門のライターとしてWebメディアや動物病院HPなどでコラムを多数執筆。
======================

コメント

タイトルとURLをコピーしました