犬の心臓病はなぜ起こる?
犬の心臓病は年齢を問わず発生しますが、特に高齢犬での発症率が高い病気です。
一方で、若齢犬では先天的な心臓の奇形も見られます。
犬で見られる代表的な心臓病として、以下のようなものが挙げられます。
- 僧帽弁閉鎖不全症
- 拡張型心筋症
- 肺高血圧症
- 動脈管開存症
- 心房中隔欠損症
- 心室中隔欠損症
- ファロー四徴症
- 心臓腫瘍
高齢の犬でよく見られる病気として代表的なものに「僧帽弁閉鎖不全症」があります。これは、僧帽弁と呼ばれる心臓の弁がうまく閉じなくなることで血液が逆流し、心臓から全身に血液を送り出す機能が低下する疾患です。
僧帽弁閉鎖不全症の発症には、次のような要因が関係します。
- 加齢による弁の変性
- 遺伝的な要因
- 高血圧や肥満による心臓への負荷
- 慢性の炎症や酸化ストレス
- 他の心臓病による二次的な発生
犬の心臓病の治療とは?
犬の心臓病の治療は、その疾患の種類や進行度によって異なります。
動脈管開存症や心房中隔欠損症などの先天的な奇形は、主に外科手術により治療を行います。
一方、拡張型心筋症や肺高血圧症に関しては、主にお薬による内科治療が中心となります。
僧帽弁閉鎖不全症の治療は、アメリカ獣医内科学会(ACVIM)から治療のガイドラインが提唱されています。多くは内科治療が中心となりますが、近年は外科手術による治療も行われるようになりました。
各ステージにより推奨される治療
| ステージ | 治療方針 |
|---|---|
| A | 薬物療法、食事療法ともに推奨されない。 |
| B1 | 薬物療法、食事療法ともに推奨されない(エビデンスが無い)。 |
| B2 | 薬物療法、食事療法ともに推奨される(ピモベンダン、咳止めなど)。 |
| C | 薬物療法、食事療法ともに推奨される(利尿剤、ACEI、ピモベンダンなど)。 |
| D | ステージCまでの治療を強化。 |
このガイドラインでは、ステージB2以降で投薬や食事療法を行うことが推奨されています。しかし、サプリメントに関しては、どのステージから取り入れるべきか明確な表記はされていません。サプリメントは治療の補助的な役割として、どのステージおいても使用することが可能とも言えます。
犬の心臓病に使うサプリメントとは?
犬の僧帽弁閉鎖不全症では、加齢や炎症、酸化ストレスなどが弁の変性のきっかけになるといわれています。サプリメントはこれらの要因に対して、抗酸化、抗炎症作用という形で心臓の健康をサポートします。また、一部は心臓の負荷を和らげる効果が期待されているサプリメントもあります。
1. 抗酸化成分(ビタミンE・ピクノジェノールなど)
慢性的な酸化ストレスが心臓や血管のダメージを進めるとされ、抗酸化成分がこれを軽減する効果が期待されています。特に、フランス海岸松樹皮抽出(ピクノジェノール)を配合したサプリメント「パンフェノン」においては、心臓への負担の変化が確認され、特許を取得しています。変化と与えやすさの両方においておすすめできるサプリメントです。
2. オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
魚油などに含まれるEPAやDHAは、抗炎症作用を持つと言われ、その他に抗凝血作用や血管拡張による降圧作用などが期待されています。心臓病の犬は血中のEPAやDHAの濃度が低いことが報告されており、魚油の補給により、食欲不振や悪液質の一部が改善したという報告もあるようです。
3. CoQ10(コエンザイムQ10)
CoQ10は、心筋のエネルギー産生に関与すると言われる補酵素で、人では心不全の補助療法として研究されています。また、抗酸化作用を持ち、加齢や炎症による酸化ストレスから心臓を守る働きが期待されています。犬における効果は明確ではありませんが、同様の作用を期待して使われることがあります。
4. L-カルニチン・タウリン
タウリンには抗酸化作用が知られており、また心筋の収縮性の維持に必要なアミノ酸です。不整脈や心筋症などの心臓病の犬での使用報告がされています。L-カルニチンは、その欠乏と心臓病との関連性が報告されているため、サプリメントとして補助的に使用されています。
5. ミミズ乾燥粉末(ルンブロキナーゼ)
ルンブロキーゼは血液をサラサラに保つ酵素で、血栓予防や血流改善を目的にサプリメントに配合されることがあります。特に、国産ミミズ乾燥粉末「HLP末」原料を使用しているサプリメント「ミミトール」は、そのエビデンスと与えやすさの両方においておすすめできるサプリメントです。血栓ができやすいような心臓病の犬への変化が期待されます。
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犬の心臓病でのサプリメントの使い方とは?
ここまでは、犬の心臓病と使用されるサプリメントについて解説しました。サプリメントは手軽に始められることがメリットですが、心臓病の種類や状態、治療内容により選ぶべきサプリメントも異なります。サプリメントを使用する前には以下のようなことに注意が必要です。
1. 主治医に必ず相談してから使用する
上述の通り、心臓病の種類や状態により、使用するサプリメントが異なります。また、サプリメントは薬ではありませんが、薬と似た作用を持つ成分もあります。薬との相互作用を避けるためにも、主治医と相談のうえで使用することが大切です。
2. 薬との飲み合わせに注意する
既に治療としてお薬を飲んでいる場合は、そのお薬との飲み合わせにも注意が必要です。場合によっては、併用に注意すべきサプリメントもあります。
- タウリン: 利尿薬や抗アルドステロン薬との併用で血圧に変化が見られる可能性。
- オメガ3脂肪酸: 抗凝固薬作用を強める可能性。
- ビタミンE: 高用量で抗凝固作用を強める可能性。
- ルンブロキナーゼ: 抗凝固薬との併用には注意が必要。
3. フードとの組み合わせにも注意する
心臓病用の療法食には、すでに上記のサプリメント成分が添加されている商品があります。重複してサプリメントで与えてしまうと、過剰に摂取してしまう可能性があり、注意が必要です。
まとめ
犬の心臓病は早期発見と適切な治療が重要です。サプリメントは、あくまでそれを支える「プラスαのケア」として使うとよいでしょう。愛犬の病期や投薬内容に合わせて、無理のない範囲で取り入れることが理想です。サプリメントを正しく活用し、少しでも長く、健やかに過ごせる毎日をサポートしてあげましょう。
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この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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