愛犬が急に食事を嫌がったり、口を気にするような仕草を見せていませんか?
その仕草は「口内炎」が原因かもしれません。
犬の口内炎は、見逃されがちなトラブルですが、進行すると強い痛みや食欲不振を引き起こし、生活の質を大きく損ねてしまうこともあります。
今回は、犬の口内炎の原因や症状、治療法に加えて、日常生活でできる予防法についても詳しく解説します。
愛犬の健康を守るために、ぜひ知っておきましょう。
犬の口内炎とは?
犬の口内炎とは、口の中の粘膜におこる炎症のことです。
歯茎や舌、頬の内側など口の中の粘膜が赤く腫れて、潰瘍ができ、強い痛みを伴います。
軽度であれば、口の中が赤くなる程度ですが、重度になると潰瘍ができたり、肉芽のようになり、腐ったりします。
症状が進行すると痛みが強くなり、食事が摂れなくなることも。
また、犬の口内炎は人間と異なり、自然治癒はほぼ望めません。
口の中に異変を感じたら早めに動物病院で相談し治療を開始する必要があるでしょう。
犬の口内炎の原因とは?
犬が口内炎を起こす原因にはさまざまなものがあります。
単なるケガだけでなく、慢性的な病気や口の中の衛生状態など、複合的な要因が関係していることも少なくありません。
ここでは、おもな原因を3つのカテゴリに分けて説明します。

外傷・刺激物の接種
犬の口内炎は口の中のケガや刺激物を接種したことが原因で起こる場合があります。
たとえば、犬が遊びで固いおもちゃや木の枝、プラスチックなどを噛んで口の中をケガしたことがきっかけで口内炎ができます。
また、電源コードを噛んで火傷をしたり、漂白剤や石油など舐めて粘膜が炎症を起こしたりすることが原因になることも。
好奇心旺盛な若い犬や、いたずら好きの犬は注意が必要です。
病気
口内炎は、内臓や免疫系の疾患が背景にあるケースも多く見られます。
腎不全や糖尿病などの慢性疾患、ウイルス感染症(犬ジステンパーウイルス、犬パルボウイルスなど)や自己免疫疾患があると、口腔内の粘膜が炎症を起こしやすくなります。
これらの病気は口内の問題にとどまらず、全身の健康に影響を及ぼすため、早期の診断と治療が重要です。
歯垢・歯石
歯磨きなどの口腔ケアを怠ると、歯に歯垢や歯石が蓄積し、やがて歯周病を引き起こします。
歯周病が進行すると、歯周病菌が口腔内で繁殖し、歯茎や頬の内側といった粘膜に炎症を生じさせ、口内炎を引き起こすことがあります。
とくに高齢の犬は歯周病のリスクが高まるため、注意が必要です。
口内炎を予防するためにも、日常的な口腔ケアを習慣づけるようにしましょう。
犬の口内炎の症状
犬の口内炎は、初期段階ではわかりにくいことが多いものの、いくつかのサインを見逃さなければ早期発見が可能です。
症状は徐々に進行し、口の中に痛みや不快感をもたらし、食事や行動に明らかな変化が見られるようになります。
ここでは、初期症状と進行時の症状と注意点を紹介します。

口内炎の初期症状
犬の口内炎は、初期段階ではニオイや行動の変化などで異常を察知できる場合があります。
いつもと違う口のにおいやよだれの増加、食事への興味の薄れなどが見られたら、口内に異常が起きているサインかもしれません。
以下の症状が見られたら早めに動物病院を受診し、早期治療につなげましょう。
口臭がきつくなる
口内炎ができると、口臭が強く感じられるようになります。
これは、口腔内で炎症を引き起こす細菌が繁殖し、悪臭を放つためです。
普段のニオイとは異なる刺激臭や腐敗臭が感じられる場合は、口内炎が進行している可能性が高いです。
また、歯周病でも口臭がきつくなります。
口内炎を予防するきっかけにもなりますので、いつもと違うと感じたら早めの対処を心がけましょう。
関連記事:犬が口臭い原因は?病気の可能性はある?
よだれが増える
口内に違和感や痛みがあると、犬は自然によだれが多くなります。
よだれは悪臭がしたり、血が混じったりしていることもあります。
同時に、口をくちゃくちゃしたり、前足で口元をこすったりなど、口を気にするような仕草が見られることもあるでしょう。
ご飯の食べ方が変化する
痛みや不快感によって、ごはんの食べ方に変化が見られるようになります。
たとえば、ドライフードを嫌がる、柔らかいものを好む、食べ始めても途中でやめる、食べ物を口からこぼすなどの行動も見られます。
また、くちゃくちゃと音を立てて食べるようになったり、痛みから食欲が落ちたりする犬もいます。

口内炎が進行したときの症状
口内炎が進行すると、炎症が広がり、潰瘍や出血を伴う深刻な症状があらわれます。
この段階になると、強い痛みを感じて食事を拒否するようになります。
放置すると、全身の健康状態を悪化させる可能性もあります。
以下のような症状が見られたらすぐに動物病院で診断・治療を受けることが重要です。
潰瘍ができる
口内炎が重症化すると、歯茎や舌、頬の内側などに潰瘍ができることがあります。
潰瘍ができると、犬は強い痛みを感じるようになり、痛みから食事はもちろん、水分すらも摂れなくなる場合があります。
潰瘍がある場合は、自己判断せず速やかに獣医師の診察を受けましょう。
食欲不振と体重減少
口内炎が悪化すると、強い痛みで食べること自体が苦痛になるため、犬は食事を避けるようになります。
さらに、炎症や潰瘍が広がると、柔らかい食べ物でも痛みを感じて食べられなくなり、慢性的な食欲不振に陥る場合も。
その結果、体重が減少し、体力も低下してしまい、全身状態の悪化にもつながりかねません。
また、口内炎の原因に基礎疾患がある場合は、そちらの悪化も考慮する必要があるでしょう。
いずれにしても放置は厳禁です。
犬の口内炎の治療法と食事
犬の口内炎を治すためには、原因に応じた適切な治療が必要です。
口腔内の衛生環境を整えることはもちろん、症状の緩和や再発防止のために、投薬、外科処置、食事内容の見直しなど多角的なアプローチが求められます。
ここではおもな治療法と、犬の口内に優しい食事療法について詳しくご紹介します。

投薬治療
犬の口内炎の原因が細菌感染の場合は、抗生物質、
自己免疫疾患や慢性の炎症が原因の場合は、ステロイド剤や免疫抑制剤が処方されます。
また、免疫力が低下している状態で、真菌への感染が疑われる場合は、二次感染を防ぐために抗真菌薬を使うなど、犬の状態に合わせた薬が使われるでしょう。
なお、基礎疾患がある場合は、そちらの治療を優先した薬の投薬がおこなわれるのが一般的です。
歯石除去・抜歯
犬の口内炎の原因が歯周病の場合は、歯石除去や抜歯などの治療がおこなわれます。
軽度の歯周病の場合は、歯石を除去するだけでも症状が改善される場合があります。
一方、重度の歯周病の場合は、根本的な治療として抜歯がおこなわれることも多いです。
歯石除去や抜歯をおこなうことで、慢性化していた炎症が治まり、痛みがなくなるため、犬の生活の質が大きく改善することが期待されます。
術後は再発防止のため、歯みがきなどの口腔ケアが欠かせません。ケア方法についても相談すると良いでしょう。
口内炎の食事
口内炎の犬には、痛みを軽減しながら栄養をしっかり摂れるように、食事の内容や与え方に配慮することが大切です。
硬いドライフードは避け、ウェットフードやふやかしたフードなど、口当たりの柔らかいものを選ぶと良いでしょう。
食事が思うように摂れない場合は、少量でもしっかりとエネルギーを摂取できる高カロリーの食事を与えるのもおすすめです。
また、口内炎や口内炎の原因となる歯周病では、ビタミンAやB1、B2などをはじめとするビタミンや、β‐カロテン、亜鉛などが有効とされています。
これらのサプリメントを利用するのも良いでしょう。
犬の口内炎の予防法
犬の口内炎の自然治癒は期待できません。
また、口内炎を発症すると、犬は強い痛みを感じ、日常生活に支障をきたすおそれがあります。
愛犬のためにも、予防を徹底し、口内炎のリスクを減らしましょう。
今回はいますぐにはじめられる予防法を3つ紹介します。

刺激物や口の中を傷つける可能性のあるものを避ける
犬の口内炎を予防するには、口の中を傷つける恐れのあるものや刺激物を避けることが大切です。
たとえば、固いおもちゃや木の枝、割れる可能性があるプラスチックなどは粘膜や歯茎を傷つけ、炎症の原因となることがあります。
口の中を傷つけるおそれのあるものでは遊ばせないようにしましょう。
また、電源コードは感電や火傷のリスクがあります。
気になってしまう犬には、噛んでも大丈夫なようにカバーをつけるなどの対策がおすすめです。
そのほか、漂白剤や石油などの清掃用品や化学製品などを誤って舐めてしまわないよう、犬の手の届かない場所に保管しましょう。
デンタルケアをおこなう
犬の口内炎の原因のひとつには、歯垢や歯石の付着があります。
そのため、日常的に歯みがきなどのデンタルケアをおこなうことで、口内炎の予防になると言われています。
歯垢は2〜3日で歯石化しますので、毎日の歯磨きが欠かせません。
最低でも週に2日は歯磨きをおこないましょう。
歯ブラシの使用が難しい場合は、デンタルガムや歯磨きシート、口腔用スプレーなどのアイテムの使用がおすすめです。
サプリメントの利用
最近では、口腔内の健康をサポートするための犬用サプリメントも数多く販売されています。
たとえば、口内炎の予防に効果があると言われている、ビタミンAやB1、B2などをはじめとするビタミンや、β‐カロテン、亜鉛などのサプリメントがおすすめです。
また、口の中の健康をサポートする効果が期待されている担子菌抽出エキス核酸、アミノ酸など成分が配合されたサプリメントも良いでしょう。
犬の口内炎の治療にかかる料金の目安
犬の口内炎の治療費は、症状の程度や治療方法によって大きく異なります。
歯石除去や抜歯を伴う処置の場合は、全身麻酔が必要となるため、歯石除去で「2万〜7万円程度」、抜歯で「5万円~10万円程度」が目安となります。
また、重度の症例では、通院や追加処置が必要になることもあるため、あらかじめ見積もりをもらっておくと安心でしょう。
まとめ
犬の口内炎は口の中の病気と言うイメージが強いかもしれませんが、実は食欲低下や体重減少など、犬の健康に大きな影響を与える可能性があります。
愛犬の口臭が気になる、よだれが増える、ご飯の食べ方が変わるなど口内炎が疑われる異変に気づいたら早めに動物病院を受診し、治療を受けるようにしましょう。
また、口内炎にならないよう、日頃から歯みがきをするなど予防に努めることも大切です。
ケアの方法がわからない、難しいという場合は、獣医師に相談することをおすすめします。
関連記事:猫の口内炎に自然治癒はありえない?原因・症状・予防法を徹底解説
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この記事を書いたのは
ネコヤ カエ
愛玩動物救命士|猫疾病予防管理士|猫健康管理士|犬猫行動アナリスト|
ペット災害危機管理士3級|猫のシニア生活健康アドバイザー|ペットフード/ペットマナー検定
2019年よりフリーライターとしての活動を開始。
ペット専門のライターとしてWebメディアや動物病院HPなどでコラムを多数執筆。
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