【2026年版】老犬の貧血とは?その原因や症状、治療を獣医師が解説

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
株式会社スケアクロウにて日々飼い主の皆さまサポートに奮闘中

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老犬の貧血とは?その原因や症状、治療を獣医師が解説

愛犬がシニア期に入り、歯茎や舌の色が白くなったように見えると、心配になりますよね。

そんなとき、
「貧血になっているのだろうか?」
「動物病院を受診すべきだろうか?」
「そもそも貧血の原因って?」

といった疑問をお持ちではありませんか?

老犬では、加齢に伴う臓器の機能低下や慢性的な疾患により、貧血が起こりやすくなる傾向があります。

また、貧血の原因の中には、愛犬の命に関わる病気が含まれていることをご存知でしょうか?

本記事では、老犬に貧血が起きる原因やその症状、検査、治療について、獣医師がわかりやすく解説します。

最後までお読みいただき、老犬の貧血について理解を深めましょう。

老犬の貧血とは?

貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが減少した状態を指します。

赤血球は、肺から取り入れられた酸素を全身に運ぶ役割を担っており、これが不足すると臓器に十分な酸素を供給することができず、さまざまな症状を引き起こします。

老犬では、さまざまな原因により貧血が起こりますが、なかには急に体調を崩す原因となりうる病気も含まれているので、注意が必要です。

老犬の貧血で見られる主な症状とは?

では、犬が貧血を起こした場合、どのような症状がみられるのでしょうか?

具体的には、

  • 元気がない
  • 寝ている時間が増える
  • 食欲が低下する
  • 歯肉や舌の粘膜が白っぽい
  • 呼吸が荒い
  • 少し動くだけで疲れる
  • 運動や散歩を嫌がる

といった症状が見られることがあります。

重度になると、ふらつく、立てなくなるなどの症状が現れることもあります。

特に、粘膜が明らかに白い場合や急激に元気がなくなった場合は、緊急の受診が必要になることも少なくありません。

老犬の貧血の原因とは?

老犬の貧血は、大きく分けて以下の3つの原因で起こります。

老犬では、これらが単独ではなく複数重なって貧血が起こることも少なくありません。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①出血

出血は、消化管や腫瘍からの出血、ノミや寄生虫による吸血などが原因で起こります。

具体的な病気は、以下のようなものが挙げられます。

  • 消化管の炎症
  • 腫瘍(血管肉腫など)
  • 外傷(交通事故など)
  • 血液凝固の異常

特に老犬では、腫瘍からの突然の出血で急に体調が悪化し、緊急の治療が必要になるケースも少なくありません。

②溶血

溶血は、免疫異常や感染症などにより、赤血球が破壊されることが原因で起こります。

具体的な病気は、以下のようなものが挙げられます。

  • 感染症(バベシア症など)
  • 免疫介在性溶血性貧血
  • タマネギ中毒
  • 低リン血症
  • 先天性の病気(ピルビン酸キナーゼ欠損症など)

特に小型犬では体が小さいため、少量のタマネギを食べただけで中毒が起こることも珍しくありません。

タマネギの誤食をしてしまった場合は、早急に動物病院に連絡しましょう。

③産生の低下

骨髄の異常やホルモン分泌の低下などが原因で、赤血球を産生する能力が低下することで貧血が起こります。

具体的な病気は、以下のようなものが挙げられます。

  • 慢性腎臓病
  • 甲状腺機能低下症
  • アジソン病
  • 鉄欠乏性貧血
  • 腫瘍(白血病、セルトリ細胞腫など)
  • 骨髄異形成症候群

これらの病気は、老犬になると発生することが多いです。

そのため、体調に問題がなくても健康診断を欠かさず受け、早期発見・早期治療につなげましょう。

老犬の貧血の原因となる病気とは?

ここまでは、老犬の貧血の症状と原因について解説しました。

では、これらの病気はどのようなものなのでしょうか?

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①血管肉腫

血管肉腫とは、血液を運ぶ「血管」を内張りする「血管内皮細胞」が腫瘍化した悪性の腫瘍です。

犬では人と比べて発生が多く、私自身も日頃の診察でよく遭遇する病気です。

血管肉腫は「脾臓」という臓器でよく起こり、その次は心臓の右心房や右心室に発生することが多いといわれています。

主に中高齢で発生し、

  • ジャーマンシェパード
  • ゴールデンレトリバー
  • ラブラドールレトリバー

が好発犬種として知られています。

脾臓の血管肉腫では、手術と抗がん剤による治療での平均的な生存期間は5~7か月と報告されており、あまり長い余命は望めない病気です。

②免疫介在性溶血性貧血

赤血球が犬自身の免疫によって破壊されてしまい、貧血が生じることを「免疫介在性溶血性貧血」と呼びます。

この病気は、何かのきっかけで赤血球に対する「自己抗体」が産生され、抗体と結合した赤血球が破壊され溶血することで発症します。

致死率が高い病気でありながら、再発もよく認められ、完治するのが難しい病気です。

犬の免疫介在性溶血性貧血の根本的な原因は、

  • ワクチン
  • 炎症性疾患(膵炎など)
  • 腫瘍(リンパ腫など)
  • 感染症(バベシア症など)
  • 薬剤(抗生物質など)

といったものが疑われていますが、確実に特定されているものはありません。

③タマネギ中毒

タマネギや長ネギ、ニンニク、ニラなどの野菜には、「有機チオ硫酸化合物」が含まれています。

タマネギ中毒では、この有機チオ硫酸化合物により赤血球が破壊されることで、貧血が引き起こされます。

この成分は、加熱しても毒性が失われません。

そのため、ネギを直接食べなくても、スープなどに溶け込んだエキスでも中毒になる可能性があります。

「一口しか食べていないから大丈夫」と思ってしまいがちですが、少量でも中毒を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

④慢性腎臓病

腎臓は、血液をろ過して尿を作るとともに、血液中の老廃物を体外へ排出する臓器です。

その腎臓に長期にわたるダメージが生じ、腎機能が低下した状態を「慢性腎臓病」と呼びます。

慢性腎臓病が進行すると、腎臓から産生され、赤血球を作る働きを持つ「エリスロポエチン」というホルモンの分泌が低下し、貧血が見られるようになります。

⑤甲状腺機能低下症

甲状腺は頚部に左右一対で存在し、「甲状腺ホルモン」という代謝を促進するホルモンを分泌する臓器です。

老犬においては、甲状腺からホルモンを分泌する機能が低下する「甲状腺機能低下症」という病気がよく見られます。

好発犬種として、

  • シェルティ
  • アメリカンコッカー
  • ビーグル
  • 秋田犬
  • ゴールデンレトリバー

などが挙げられます。

老犬の貧血で行われる検査とは?

ここまでは、老犬の貧血の原因となる病気を解説しました。

これらの病気を診断するためには、多くの検査が必要となることが一般的です。

では、実際にどのような流れで検査が行われるのでしょうか?

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①問診・身体検査

まずは獣医師から、

  • どのような症状が出ているのか
  • 食欲や排泄、元気に問題がないか
  • ワクチンの接種はいつか
  • 外傷や寄生虫の心当たりはあるか

といったことを確認されることが一般的です。

事前に上記の内容をメモしておくと良いでしょう。

その後、実際に身体チェックが行われ、粘膜の色などが確認されます。

②血液検査

次に、貧血の程度や内臓の状態を確認するために、血液検査が行われることが多いです。

この検査では、実際の貧血の程度や赤血球の状態などの確認が行われ、獣医師は貧血の原因がどこにあるかを推測していきます。

もし原因として免疫やホルモンの異常が疑われる場合には、それらに対する追加の検査が行われる場合があります。

③画像検査

貧血の原因として内臓の病気が疑われたり、出血を起こしていたりする場合は、同時にレントゲン検査や超音波検査が行われることがあります。

これらの検査から貧血の原因を特定し、それに基づいて治療が行われます。

老犬の貧血の治療法とは?

では、実際に貧血が起きている場合は、どのような治療を行うのでしょうか?

貧血においては、原因となっている病気を治療することが最優先となります。

例えば、出血が原因であれば、手術や薬での止血を行います。

また、感染症であれば抗菌薬や駆虫薬による治療が一般的です。

さらに、免疫の異常であればステロイドや免疫抑制剤が使用され、重度の貧血では輸血を検討せざるを得ないケースもあります。

まとめ

老犬の貧血は、加齢そのものではなく、何らかの原因が存在することが多いです。

「年だから仕方ない」と見過ごさず、早めに動物病院を受診することで、病気の早期発見・早期治療につながります。

そうすることで、治療が手遅れにならず、愛犬の負担も最小限に抑えることができるかもしれません。

愛犬と長く健やかに暮らすためにも、日々の小さな変化を見逃さないことが何よりも大切です。

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この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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