最近「寝ている時間が増えた」「高い場所に登らなくなった」「食べる量が減った」
これらは、病気でも見られますが、もし愛猫が高齢なら老化のサインかもしれません。
猫は私たち人間の4倍ほど早く歳をとると言われています。そのため、シニア期を迎えるのも早く、一生の半分以上をシニア期が占めているのです。愛猫がシニア期を少しでも快適に、健康で過ごすためには、老化のサインに気づき、環境を整えることが求められます。
今回は、猫の老化で見られる7つのサインと、快適で健康に過ごすためのお世話・環境づくりについてお話していきます。
猫の老化とは?何歳からシニア?

老化とは、歳とともに体の機能が少しずつ低下していく現象です。猫の場合は、7歳になると「シニア」と呼ばれるようになります。
さらに、7歳以上の猫は、年齢によって以下のように分類されています。
- 7〜10歳:中年期
- 11〜14歳:高齢期
- 15歳以上:老年期
諸説ありますが、猫の7歳は人間に換算すると44歳くらいです。まだまだ元気な猫も多いので、シニアと呼ぶことに違和感を覚える飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんね。しかし、はっきりとしたサインがあらわれていないだけで、見えないところでは少しずつ老化がはじまっています。
老化のスピードには個体差がありますが、7歳を過ぎると代謝、循環器、免疫などの機能が衰えはじめます。そして11歳以上の高齢期になると、外見的にもはっきりと老化のサインが見られるようになるでしょう。
猫の老化で見られる7つのサイン
老化によって体の機能が衰えると、猫の行動や外見にもさまざまな変化が見られるようになります。これらの変化を総称して「老化のサイン」と言います。
ここでは代表的な老化のサインとその理由について紹介します。
1.寝ている時間が増える
もともと猫はよく寝る動物ですが、老猫になるとさらに眠っている時間が長くなります。個体差はありますが、よく眠る猫の場合1日のうち20時間も寝ているのだとか。活動量を減らして体力を温存するためだと言われています。
また、聴力が衰えて、まわりの音が気にならなくなるため、長時間眠りつづけられるのだという意見もあるようです。
猫によっては、老化で睡眠のサイクルが変化し、日中寝て夜にあまり寝なくなる猫もいます。その結果、飼い主さんから見ると「寝ている時間が増えたな」となるわけです。
2.活動量が減る・おもちゃで遊ばなくなる
歳をとると活動量が減り、まわりのできごとに対する好奇心や興味が薄くなっていきます。そのため、次第におもちゃにも興味を示さなくなり遊びに誘っても反応がうすくなっていくでしょう。それまで毎日のように眺めていた窓の外に興味を示さなくなる猫もいます。
また、寝ている時間が増えることで活動している時間が減ったり、若い頃と比べると動きがゆっくりになったりしていきます。加齢と共に、静かに過ごすことを好むようになる猫も多いです。
とはいえ、まったく刺激がない、運動をしないという状態は好ましくありません。愛猫の様子を見ながら、無理のない範囲で遊びに誘ってみる、話しかけてみるなどのコミュニケーションを取るようにしましょう。
3.高い場所に登らなくなる
「最近、あまりキャットタワーに登らなくなったな」と感じたら、それは老化のサインかもしれません。
シニア期の猫の60%以上、12歳以上では90%以上が変形性関節症を患っていると言われています。つまり、身体のどこかに痛みを感じて登れなくなっている可能性が考えられるのです。
もし、登りたくても登れないという状況だとしたら、猫にとっては大きなストレスになり得ます。関節に負担をかけずに登り降りできるよう対策をする必要があるでしょう。
具体的な対策については後述しますので、そちらを参考にしていただければと思います。
4.トイレを失敗するようになる
高齢猫のトイレの失敗も老化のサインだと言われています。よくあるのが以下のような失敗です。
- トイレのふちをまたげない
- トイレの中で踏ん張ることができない
- トイレに行くのが億劫になる
これらの失敗は、筋力の低下により足腰が弱ったり、関節に痛みがあったりすることが原因です。
また、老猫に多い尿路結石症、慢性腎臓病などの泌尿器系の病気でもトイレを失敗するようになります。失敗のほかにも、トイレの回数やおしっこの量が増えたり、減ったりなどいつもと違う様子が見られたら早急に動物病院を受診しましょう。
5.ご飯の量が減る
猫も人間と同じように、歳とともに食べる量が減っていきます。運動量や基礎代謝が低下し、1日に必要なエネルギー量が減るためです。
さらに、歯周病などの口の中のトラブル、固くて食べづらいフードなども原因となります。また、猫に多い慢性腎臓病などの病気でもご飯を食べなくなります。
若い猫なら2日ほどは食べなくても問題ないと言われていますが、体力の落ちた高齢の猫の場合は、1日ご飯を食べないだけでも危険です。早急に動物病院を受診してください。
6.毛づくろいの頻度が減る
猫は、起きている時間のうち30%を毛づくろいに費やすほどのきれい好きです。しかし、高齢になると、体力が低下したり、関節が硬くなったりするため、それまで熱心におこなっていた毛づくろいの頻度が減っていきます。
毛づくろいをしなくなると、見た目にもはっきりとした変化が見られるようになります。
- 毛づやが悪くなる
- ボサボサになる
- フケが目立つようになる
- 毛玉ができやすくなる
定期的にブラッシングをし、被毛と皮膚の健康維持に努めましょう。
7.爪とぎの頻度が減る
高齢になると関節の痛みや、動くのが億劫になるなどの理由で、爪とぎの頻度が減ります。
猫が爪とぎをしなくなると、爪が伸びて太くなります。その状態で切らずに放置していると、巻き爪になり、肉球に刺さってしまうことも。爪が刺さると、痛いのはもちろん、歩行に影響が出る場合もあるため注意が必要です。
また、シニア期になると代謝が落ちることで、爪がはがれ落ちにくくなります。誤ってタオルなどに引っかると、思わぬケガにつながる可能性があります。
老猫の爪は、半月に1回ほどのペースで確認し、切るようにしましょう。
シニア期の猫のお世話と快適な環境づくり
老化が進むと、これまで普通にできていたことができなくなったり、やらなくなったりします。そんなときは、快適に過ごせるようにお手伝いをしたり、環境を整えたりしてあげる必要があります。
ご飯を食べたくなる工夫をする
老化で食欲が低下した猫には、原因に合わせた対策をおこなうと案外あっさりと食べてくれる場合もあります。
困ったときには、以下の方法を試してみましょう。
- ドライフードをふやかす
- フードを温める
- ドライフードにトッピングをする
- ドライフードを細かく砕いて食べやすくする
- ウェットフードに切り替える
- かつお節の香りをつける
かつお節の香りをドライフードにつけるには、お茶のパックや出汁パックを使います。かつお節を入れたパックをフードの袋またはフードストッカーに入れておくだけなので簡単です。
また、老猫は足腰が弱り、頭を下げた体勢を維持するのが大変になってきます。高さのある食器を使用する、食器を台に乗せるなどしてあげると食べやすくなるでしょう。
困った行動をしても叱らない
高齢の猫がトイレを失敗するなど、あなたにとって困った行動をしても叱ってはいけません。とくに、大声で叱る、体罰をあたえるのは絶対に避けましょう。
高齢の猫は、視力や聴力の低下、脳内の神経伝達物質の分泌の低下などで些細なできごとでも不安を感じやすくなっています。そのため、飼い主さんに叱られることで気持ちが不安定になり、問題行動を助長してしまう可能性があるのです。
してほしくない行動をしたときは、叱るのではなく、同じことをくり返さないように対策をしましょう。
老猫が使いやすいトイレにする
高齢の猫は、痛みや筋力の低下などからトイレを失敗する場合があります。愛猫がトイレを失敗する原因を探り、適切に対処する必要があるでしょう。
たとえば、高齢猫のトイレには、以下のような対策が推奨されます。
- 入り口が低いトイレを用意する
- 入り口にスロープを設置する
- 細かい猫砂を少なめに入れる
- トイレまでの道のりを平坦にする
- 猫がいつもいる場所の近くに置く
入り口の低いトイレやスロープは、入り口をまたげない猫には、大変効果的な対策です。
また、細かい猫砂に変更し、量を調節するだけでふらつきにくくなり、しっかりと踏ん張れるようになります。猫砂の量は、愛猫の様子をみながら調整してください。
足腰が弱っても自分でトイレをしたいという気持ちがあるうちは、できるだけ自力で排泄ができるようにサポートをしてあげましょう。
高い場所に登れるようにする
猫は、基本的に周囲を見渡せる高い場所が大好きです。しかし、高齢の猫は上述のように関節の痛みなどが原因で高い場所に登るのが難しくなる場合が多いのです。そんなときは、高い場所に登れるようにスロープを設置するとよいでしょう。
小さい段差なら登れるという猫には、シニア向けの段差が小さいキャットタワーがおすすめです。
高い場所に登れる環境は、ストレスの軽減や運動にもなります。また、外が見える場所ならば、脳へのよい刺激にもなるでしょう。ぜひ高い場所に登れるようにしてあげてください。
暖かい場所を用意する
シニア期の猫は寒さに弱くなるため、暖かく過ごせる場所を用意してあげましょう。
寒い季節には、普段よく寝ている場所や、お気に入りのベッドに毛布やフリースなどを敷いて暖かく過ごせるようにしてあげてください。また、ペット用のヒーターを使用するのもおすすめです。
冷房を使用する季節には、冷房の風が直接当たらない場所にベッドを置きます。さらに、寒くなったときに移動できるよう部屋の扉を少しだけ開けておきましょう。
老化で注意したい病気と早期発見のために
猫も歳をとると、さまざまな病気のリスクが高まります。高齢の猫がとくに注意したい病気には、次のものがあります。
- 痴呆症
- 甲状腺機能亢進症
- 肥大型心筋症
- 乳腺腫瘍
- 下部尿路系疾患(FLUTD)
- 糖尿病
- 慢性腎不全(慢性腎臓病)
これらの病気の中には、早期発見・早期治療が重要なものも多いです。7歳を超えたら最低でも年に1回、10歳を超えたら半年に1回のペースで健康診断を受け、早期発見に努めましょう。
また、歯みがきなど口腔ケアもしっかりとおこなっていきましょう。歯周病は口の中だけに留まらず、腎臓病や肝臓病などの内臓疾患のリスクを高めることがわかっています。
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猫の老化の予防法
猫の体は食べたもので作られます。シニア期に突入したら、それまで以上に食事に注意しなければいけません。
ご飯を食べないからといって、おやつや好物ばかりあたえていては健康を害するおそれがあります。主食には、栄養バランスが優れたシニア向けの総合栄養食を与えるようにしましょう。
日常生活では、十分な睡眠、ストレスのない生活環境、適度な運動を心がけてください。適度な運動は、ストレス解消、関節・筋肉の維持、質の良い睡眠にもつながります。
また、猫の老化が気になり出したら、抗不安作用、抗酸化作用、抗炎症作用が期待されているサプリメントもおすすめです。
まとめ
猫と暮らしていればいつか必ず訪れるのが老化です。愛猫が元気なうちは実感が湧きづらいかもしれませんが、いざというときに慌てないためにも、老化のサインとお世話の方法を知っておきましょう。
また、愛猫が7歳ぐらいになったら、高齢期に向けて少しずつ環境を整えていくのがおすすめです。
なお、愛猫の健康を守るためには、定期的に健康診断を受けて、病気の早期発見に努めることも大切です。
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この記事を書いたのは
ネコヤ カエ
愛玩動物救命士|猫疾病予防管理士|猫健康管理士|犬猫行動アナリスト|
ペット災害危機管理士3級|猫のシニア生活健康アドバイザー|ペットフード/ペットマナー検定
2019年よりフリーライターとしての活動を開始。
ペット専門のライターとしてWebメディアや動物病院HPなどでコラムを多数執筆。
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