愛猫の口臭が気になる、よだれが多いと感じていませんか?それは歯周病の症状かもしれません。
歯周病は、ほとんどの猫がかかる一般的な病気であり、重度になると健康にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
愛猫の健康を守るためには、歯周病がどのような病気なのか、またどのような症状が見られるのかを理解しておくことが大切です。さらに、治療や予防についても知っておく必要があるでしょう。
猫の歯周病とは?
歯周病とは、歯に付着した歯垢に含まれる細菌が原因で炎症が生じる病気で、歯肉炎と歯周炎の総称です。
歯周病は、歯茎に炎症が起こる歯肉炎からはじまります。進行すると炎症が歯周ポケットの奥まで広がり、歯周炎に発展します。歯周炎になると、歯がグラグラしたり痛みが生じたりするなど、さまざまな症状が見られるようになり、生活の質が大きく低下する可能性もあります。
また、歯周病が重症化すると、歯を失うだけではすみません。心臓や肝臓、腎臓などの内臓疾患のリスクが高まることも知られています。そのため、歯周病は全身性の疾患とも言えるでしょう。
なお、猫は、口腔内の仕組みや歯の形状から虫歯にはなりにくいと言われていますが、歯周病にはかかりやすい動物です。2歳以上の猫では約70%、3歳以上の猫では約80%が歯周病にかかっているとされています。
猫の歯周病の原因
猫の歯周病の原因の多くは、歯に付着した「歯垢(プラーク)」です。歯垢には歯周病の原因となる細菌が含まれており、歯磨きをせずに放置すると、これらの細菌が繁殖し、歯茎に炎症を引き起こします。
また、感染症での免疫力低下が原因で歯周病を発症する場合もあります。たとえば、以下の病気が原因となります。
- 白血病ウイルス感染症
- 猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)
- ヘルペスウイルス
- カリシウイルス
猫が見せる歯周病のサインとは
猫の歯周病のおもなサインには以下があげられます。
- 食べこぼしをする
- 顔を傾けて食べる
- 食欲不振
- ドライフードを嫌がる
- よだれで口の周りが汚れる
- 口を手で掻くようなしぐさをする
歯周病になると痛みを感じるため、食べ方にも変化が見られるようになります。たとえば、食事の際に「食べこぼす」「顔を傾ける」「ドライフードを嫌がる」のもそのせいです。さらに、痛みからご飯を食べなくなる場合もあります。
また、歯周病になるとよだれが増えるため、口のまわりが汚れやすくなります。
猫によっては、違和感で口を手で掻くようなしぐさを見せる場合もあるでしょう。
いずれにしても、これらは口の中になんらかの異常が疑われるサインです。動物病院を受診する目安になります。
猫の歯周病の症状
猫の歯周病は痛みを伴い、生活の質に大きな影響を与えることがあります。しかし、できるだけ早く発見し治療を行うことで、猫の苦痛を軽減することが可能です。そのためには、前述のサインに加え、歯周病の症状を把握しておくことが重要です。
今回は初期から中期、そして重度の歯周病で見られるおもな症状をそれぞれ詳しく紹介します。
初期の歯周病で見られる症状
初期の歯周病のおもな症状には以下があります。
- 歯茎の炎症
- 口臭がきつくなる
正常な猫の歯茎はきれいなピンク色をしていますが、歯周病になると、歯茎や歯の根元が赤く腫れた状態になります。触ると痛みを感じたり、出血したりする場合もあります。
また、歯垢が溜まり細菌が繁殖することで、口臭がきついと感じられるようになります。
この段階で治療をするのが理想ですが、日頃から口の中をチェックしていないと、気づかない場合も多いかもしれません。もし、愛猫の歯茎が赤いな、口臭がきつくなったなと感じたら、歯周病の初期段階を疑い早めに動物病院を受診しましょう。
中期の歯周病で見られる症状
歯周病の症状が進行して中度になると、さらにはっきりした症状が見られるようになります。
- よだれが増える
- 口臭がアンモニア臭になる
- 食欲が低下する
- 歯がぐらつく・抜ける
- 膿が出る・出血する
- 口の周りに触れられるのを嫌がる
猫の歯周病の特徴的な症状のひとつに、よだれの増加があります。猫は通常、だらだらとよだれを垂らすことはありません。よだれが増えたら口の中になんらかの問題が生じている可能性が高いです。
さらに、歯茎からの出血や膿が見られたり、歯がぐらつき抜けてしまったりすることもあります。
この段階になると、口臭もかなりきつくなって、アンモニアのようなニオイが感じられるようになっているでしょう。また、食欲が低下して体重の減少が見られる場合もあります。
重度の歯周病で見られる症状
重度の歯周病になると、症状が口の中だけにとどまらず、頬や鼻にも影響を及ぼします。具体的には、以下のような症状があらわれます。
- 頬からの出血や膿の排出
- 鼻水やくしゃみ
これらの症状は、歯の深部に膿がたまったり、歯の根元の骨が溶けたりすることで発生します。その結果、歯茎や頬の皮膚に穴が開き、血や膿が漏れ出すことがあります。
さらに、炎症が鼻にまで広がると、くしゃみや鼻水の原因となり、膿や血が混じった鼻水が見られるようになるでしょう。
また、重度の歯周病は内臓疾患や食欲不振など、さまざまな健康問題を引き起こします。
猫の歯周病を放置するとどうなる?
重度の歯周病を放置すると、細菌が血流に乗って全身に広がり、心臓や肝臓、腎臓などの内臓疾患を引き起こす原因となります。
さらに、歯周病のある猫では、糖尿病の血糖コントロールが難しくなることがあります。
歯周病は口の中の病気だと思われがちですが、実際には、口から離れた内臓の病気を引き起こしたり、治療の妨げになったりする可能性のある感染症なのです。
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猫の歯周病の治療法
猫の歯周病の一般的な治療法は歯石除去となります。そのほか、症状や重症度に応じて、抜歯をしたり、投薬治療をおこなったりします。それぞれの治療法について紹介します。
歯石除去
歯周病の治療の基本は歯石除去です。歯石を取る専用の機械を用いて、歯周ポケットや歯の表面に付着した歯石を除去します。
歯石を除去したあとは、歯石がつきにくくなるように、歯の表面をきれいに磨いて仕上げます。
最近は、無麻酔での歯石の除去が話題になることがありますが、猫の場合は全身麻酔でおこなわれるのが基本です。無麻酔では完全に歯石を取り除くことができませんし、猫が抵抗して暴れると、事故の原因にもなり得ます。
猫の苦痛を取り除き、安全かつ安心して処置をするためにも麻酔は必要です。
抜歯
歯がぐらついている、根元が露出している、痛みがあって食事ができないといった場合は抜歯が必要です。
抜歯をすることで、違和感や痛みがなくなり、普通に食事ができるようになるため、生活の質の向上が期待できます。
抜歯後の食事を心配する飼い主さんもいらっしゃいますが、猫は基本的に丸呑みをします。そのため歯がなくなっても、通常は普通に食べることが可能です。心配な場合は粒の小さいキャットフードを選ぶと良いでしょう。
投薬
歯石が重度の場合は、歯石除去のほかに抗生剤や消炎鎮痛剤などを使用して、炎症や感染、痛みのコントロールをおこないます。
さらに、病気による免疫力の低下が歯周病の原因になっている場合や、免疫異常による口内炎を併発している場合には、サプリメントや免疫調整剤が処方されることもあります。
猫の歯周病予防には毎日の歯磨きが重要
猫の歯周病予防では、日常的なケアとして歯磨きが重要になります。猫の歯磨きの開始時期に決まりはありませんが、一般的には永久歯に生え変わる生後3〜6ヶ月ごろからはじめます。
歯磨きの重要性と上手な慣らし方、歯磨きが苦手な猫のケアについて紹介します。
歯磨きを習慣にして歯石を予防
猫の歯周病予防でもっとも効果的なのは、毎日の歯磨きで歯垢を取り除くことです。
人間の歯垢が歯石になるまでには、1ヶ月ほどかかりますが、猫の場合はそれよりもずっと早く、4〜7日程度で歯石になります。
歯石になると、さらに歯垢がつきやすくなり、悪循環に陥ってしまいます。しかも、歯石は、歯磨きでは落とすことができません。
そのため、猫の歯石予防には日常的な歯磨きが重要だと言われているのです。できれば、毎日おこなうのが望ましいですが、最低でも2〜3日に1回はおこなうようにし歯石予防に努めましょう。
上手な歯磨きの慣らし方は?
猫の歯磨きのコツは無理強いをしないことです。いきなり、歯ブラシで磨こうとしても警戒して嫌がられてしまうでしょう。
嫌がられないようにするためには、以下のように段階を踏んで歯磨きに慣らす必要があります。
- 口の周りに触れることに慣らす
- 指で歯や歯茎を触る
- ガーゼや歯磨きシートなどで歯をこする
- 歯ブラシでこする
まずは、手で口の周りに触れることからはじめ、慣れたら指で歯や歯茎にも触れてみましょう。指に猫用の歯磨きペーストをつけて触ると抵抗が少なくなります。
次に、ガーゼや歯磨きシートを使って歯を軽くこすります。抵抗がないようなら歯ブラシをつかってブラッシングをしてみましょう。歯ブラシを嫌がる場合は、歯磨きペーストをつけてなめさせることからはじめるとよいでしょう。
上手にできたらご褒美をあげるなどして「歯磨き=よいことがある」と学習させるのもおすすめです。
また、使用する歯磨きペーストは、必ず猫用のものを選んでください。人間用の歯磨きペーストには、キシリトールなど猫にとって有害な成分が含まれている場合がありますので、注意が必要です。
歯磨きをさせてくれない猫はどうする?
猫は歯磨きが難しいと言われています。どうしても歯磨きをさせてくれない猫には、無理に歯磨きをするよりも、ストレスのないほかの方法を考えるのがよいでしょう。
たとえば、以下のような歯磨きグッズの利用を検討してみてはいかがでしょうか?
- 歯磨きケア用のキャットフードを与える
- 歯磨きおやつを与える
- 歯磨き効果が期待できるおもちゃで遊ばせる
- なめるだけの歯磨きジェルを使う
- 歯磨きスプレーを使う
- 水に入れるだけの液体歯磨きを使う
猫の歯周病の治療費
猫の歯周病では、治療法によって費用が大きく異なります。治療法ごとの目安は以下です。
| 歯石除去 | 2万〜4万円(術前検査含む) |
| 抜歯 | 1本3,000〜1万3,000円 |
| 投薬治療 | 1万〜2万円 |
歯石除去の費用は、抜歯がない場合の金額です。また、抜歯の場合は、本数によって異なります。合計で10万円以上と高額になる場合もあります。
まとめ
猫は虫歯にはなりにくいとされていますが、一方で歯周病にはかかりやすい傾向があります。実際、3歳以上の猫の約80%が歯周病を患っているとの報告があります。
しかも、歯周病が重度になると、さまざまな内臓疾患を引き起こす可能性があり、口の中の問題だからといって油断すると後悔することにもなりかねません。
歯周病は、日常的なケアによって予防できる病気です。子猫のうちから歯磨きの習慣を身につけ、予防に努めましょう。
また、気になる症状が見られた場合は、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
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この記事を書いたのは
ネコヤ カエ
愛玩動物救命士|猫疾病予防管理士|猫健康管理士|犬猫行動アナリスト|
ペット災害危機管理士3級|猫のシニア生活健康アドバイザー|ペットフード/ペットマナー検定
2019年よりフリーライターとしての活動を開始。
ペット専門のライターとしてWebメディアや動物病院HPなどでコラムを多数執筆。
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