獣医師が解説 犬が自分の足を噛むのはなぜ?ストレス?病気?その対策は?

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
株式会社スケアクロウにて日々飼い主の皆さまサポートに奮闘中

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犬が自分の足を噛むのはなぜ?

犬が自分の足を噛む様子は、日常でよく目にしますよね。
なぜ、犬は自分の足を噛むのでしょうか?
それは、クセやストレスなどの病気ではないケースと、アレルギー性皮膚炎や関節の疾患などの病気であるケースがあります。
今回は、犬が自分の足を噛む理由とその対策を深堀りしていきます。

ご自身のわんちゃんが、よく自分の足を噛むなと思われたら方は、最後まで必見です。

 

犬が足を噛むときに考えられる原因とは?

まず、病気ではないケースですと、犬のクセであったり、ストレスを感じて精神的な不安感から噛んでいたりすることが考えられます。
それらの場合は、どこか特定の足を噛むことが多いとされており、前足に多いと言われています。
また、睡眠時や散歩時など、何かをしている最中には、足を噛まないことが多いとされています。

対して、病的に「痛み」や「痒み」があると、寝られないほど足を噛んでいたり、お散歩に行っても立ち止まって足を噛んだりする行動が認められます。
また、足の毛が抜けて脱毛していたり、足の皮膚や指の間の皮膚が赤くなっていたり、皮膚の異常を伴うことがあります。
その他に、春先から夏にかけて噛む頻度が増えた、足にできものがある、足を挙げてケンケンしている、などのサインも病気の可能性があります。

そういった点が区別する点になりますので、一度ご自身の愛犬がどちらに当てはまるか、観察してみましょう。

病的な「痛み」や「痒み」の場合に考えられる病気としては、

    • 足のケガ(外傷)
    • 足の異物(小石、ガラスなど)
    • 足の腫瘍(皮膚の腫瘍、骨の腫瘍など)
    • 肺の病気(肺性肥大骨症)
    • 骨・関節の病気(骨折、関節炎など)
    • 爪の異常(爪が折れる、伸びすぎて刺さる)
    • 皮膚の感染症(膿皮症、ニキビダニ症、皮膚糸状菌症、マラセチア皮膚炎など)
    • アレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど)
    • 舐め壊し(ストレスなど)

などが挙げられます。

今回は、よく遭遇する「皮膚の感染症」と「アレルギー性皮膚炎」、「舐め壊し」について解説します。

 

犬の皮膚の感染症とは?

皮膚というものは、外界からの細菌やウイルスなどの病原体の侵入をバリアする役割を担っています。
それが、何かしらの原因で病原体の侵入を許してしまい、感染が成立すると「皮膚炎」を起こし、痒みや赤みを起こします。
代表的な病気は以下の4つです。

膿皮症

膿皮症は、S.pseudintermediusが皮膚に感染することで、皮膚に炎症を起こします。
なりやすい犬種は、フレンチブルドッグやゴールデンレトリバーなどの毛が短い犬種であると言われています。
その背景に、ホルモンの病気やアレルギーが隠れていることもあり、特に高齢の場合、治療はもちろん、治療前の検査もしっかり行った方が良いでしょう。
治療は主に、抗生剤による治療が行われます。

ニキビダニ症

ニキビダニ症は、毛包虫(アカラス)と呼ばれるダニが増殖することにより炎症が生じます。
ニキビダニ症は本来、正常な犬の皮膚に少数存在していて、犬の免疫力が低下すると過剰に増殖します。ですので、免疫力が低い若齢の犬や、持病がある高齢の犬での発生が多いとされています。
近年、フィラリア・ノミ・マダニ予防のお薬が改良され、この病気の発生が大きく低下した印象があります。
また、治療もそれらのお薬を使って行われるようになってきました。

皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症は、Microsporum canisをはじめとする真菌の感染により生じます。
こちらも、免疫力が低い若齢の犬での発生が多いとされています。
治療は、抗真菌薬と、必要に応じミコナゾール含有のシャンプーでの治療を行います。

マラセチア皮膚炎

マラセチア皮膚炎は、皮膚に常在している真菌であるマラセチアが関与することで起こる皮膚炎です。
皮膚が脂っこくなりがちなシーズーなどの犬種でよく発生します。
治療は、抗真菌薬と、必要に応じミコナゾール含有のシャンプーでの治療を行います。

 

犬のアレルギー性皮膚炎とは?

犬のアレルギーに関しては、大きく「環境中の物質によるアレルギー(アトピー性皮膚炎)」と「食事中成分によるアレルギー(食物アレルギー)」の大きく二つに分けられます。
アレルギー性皮膚炎とは、そのどちらか、または両方が原因で、皮膚に痒み、赤みを起こす病気です。

アトピー性皮膚炎

環境中のアレルゲン(植物やハウスダストマイトなど)に、IgEという抗体を介したアレルギー反応が起こることで発生します。
起こりやすい犬種としては、柴犬やフレンチブルドッグ、ゴールデンレトリバーやラブラドール・レトリバー、シーズーなどです。
特徴として、発症が3才以下である、ステロイド剤で痒みが治まるが中止すると痒みが再発する、左右対称の痒みや赤み、脱毛がある、症状に季節性がある(特に春から夏にかけて症状が出て、冬に収まる)などが挙げられます。
人でいう花粉症に近いもので、基本的にはアレルギー反応を抑えるお薬を内服します。
しかし、ずっと投薬を続けるのはあまり現実的ではなく、またお薬のみで痒みが完全に消えない症例もいます。
そういった背景から、昨今ではスキンケアが注目されています。
不適切な働きをしている免疫のバランスを整えるために、サプリメントやシャンプー療法での治療を積極的に使用します。
おすすめのサプリメント成分としては、「ピクノジェノール(フランス海岸松樹皮抽出物質)」、「小麦発酵抽出物」、「植物発酵糖脂質LPS」などが挙げられます。

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食物アレルギー

犬の食物アレルギーは、特定の食べ物(主にタンパク質や炭水化物源)に対する過剰な免疫反応により、皮膚の痒みなどの皮膚症状、嘔吐や下痢といった消化器症状を起こします。
アトピー性皮膚炎と異なる、食物アレルギーの特徴としては、発症年齢が比較的若く、1歳以下での発症が認められます。
また、症状に季節性はなく、一年を通して症状が出てしまう特徴があります。
皮膚の症状が出る部位は、アトピー性皮膚炎ととてもよく似ており、皮膚の症状からアトピー性皮膚炎と食物アレルギーの区別を行うことは難しいですが、背中に脱毛が出るのは食物アレルギーの特徴だと言われています。
また、それと同時に嘔吐を繰り返したり、軟便や下痢を繰り返したりといった消化器症状を伴うこともよくあります。
一度、そういった点を細かくチェックしてみて、ご自身のわんちゃんがどのタイプか見直してみるとよいでしょう。

関連記事:犬の食物アレルギーは治る?検査の費用やフード・症状など解説

 

犬の肢端舐性皮膚炎とは?

最後に、「舐め壊し」についてです。
こちらは、医学的には「肢端舐性皮膚炎」と呼び、わんちゃんが足先をしつこく舐めることで皮膚炎を起こしてしまう病気です。
一般に前足での発生が多いとされています。

アレルギーや膿皮症など、皮膚の病気があって舐めてしまうケースもあれば、四肢の関節の痛みや、メンタル的なストレスを感じて舐めることが原因と言われています。

 

犬が足を噛むときの病気の治療・対策は?

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膿皮症などの皮膚の感染症は、それぞれに適した抗生剤や抗真菌薬、外用療法を用いて治療を行います。

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーは、体質が原因であることが多く、根本的な治療を行うことが難しいことが多いです。
できる限り、アレルギーとなりうる物質を体に触れないようにし、アレルギー反応を止めるステロイド剤や免疫抑制剤、抗ヒスタミン薬などを用いて対症療法を行うことが一般的です。
昨今注目されているスキンケアや、乳酸菌やLPSなどを給与して免疫を整えることで改善する子もいます。

アトピー性皮膚炎に関しては、アレルゲンを完全に排除することは難しく、上記のお薬やシャンプー、外用薬、サプリメントなどで症状が悪化しないように管理をしていきます。

食物アレルギーに関しては、現在では数多くアレルギー用のフードが発売されていますので、それぞれのわんちゃんのアレルゲンを鑑みながら、フードの変更を行うことで、症状が改善することが期待できます。

現在は、血液検査にてわんちゃんのアレルゲンを特定する検査が行われています。
そちらもひとつ参考にしてみると、対策が立てやすいでしょう。

肢端舐性皮膚炎に関しては、まずはなぜ足を噛んだり舐めたりしてしまうか、その原因を考えてみましょう。
まずは、レントゲン検査などで関節の状態を確認したり、わんちゃんが精神的にストレスを感じるような、長時間の留守番や運動不足などの原因がないか確認したりしてあげましょう。
もし、病気ではなく精神的なストレスである場合、まずはわんちゃんが退屈しないような環境づくりをしてあげましょう。
例えば、室内での遊びの時間を増やしてあげたり、知育トイのような頭を使って遊べるおもちゃを用意してあげたりすることがよいとされています。
また、お散歩の時間を長めにとってあげたり、定期的にドッグランを利用したりすることで、運動でのストレス発散を行ってあげましょう。
そういった対策をしてもなかなかわんちゃんのストレスが解消されない場合、わんちゃん用の心を落ち着かせるサプリメントなどを使用することもおすすめです。

それでも足を噛んだり舐めたりする行動が収まらない場合は一度、ドッグトレーナーさんや行動診療科のような専門医を受診してみるのもひとつのアイデアだと思います。

受診するまでは、さらに噛んだり舐めたりして悪化しないように、エリザベスカラーの装着をおすすめします。

 

まとめ

犬が自分の足を噛んでいる場合、上記のような様々な病気が考えられます。
ご自身のわんちゃんが頻繁に足を噛んだり、長期に噛んでいたりする場合は、お早めに受診しましょう。
実際、皮膚の病気で動物病院を受診される方はとても多いと報告されています。

また、原因がアレルギーである場合、お薬での治療がベースになりますが、サプリメントも併用することをおすすめしますので、是非参考にしてみてください。

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参考資料
・「犬のフットケアガイド」セミナー 村山 信雄先生

関連記事:犬のアレルギー検査はやるべき?意味ない?何歳からできるの?

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この記事を書いたのは


浅川雅清
獣医師
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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