「最近、うちの猫が寝てばかりでご飯をあまり食べなくて心配…」と感じている飼い主さんは、実は意外に多いのではないでしょうか?
猫の食欲不振には、単なる食べムラもありますが、ストレスや老化、病気などさまざまな原因が考えられます。そのため、まずは食欲不振の原因を見つけて、適切な対処法を知ることが大切です。
今回は、猫が食欲不振になる原因、受診の目安、そして具体的な対処法について詳しく解説します。
猫の食欲不振の原因
食べムラは猫にはよくあることですが、場合によっては病気や体調不良のサインかもしれません。ここでは、猫の食欲不振のおもな原因をいくつか紹介します。

環境の変化などによるストレス
猫は非常に敏感な動物で、環境の変化などに対してストレスを感じやすいといわれています。たとえば、以下のようなことがストレスの原因となり得ます。
- 新しいペットを迎えた
- 引っ越した
- 部屋の模様替えをした
- 食器が変わった
また、多頭飼いをしている場合は、強い猫にご飯を奪われる、見張られるなど落ち着いて食事ができずにストレスになることも。
そのほかにも、家の中の騒音や、家族の生活リズムの変化も影響を与える場合があります。
このように、人間にとっては些細に思えることが猫にとっては大きなストレスとなり、食欲不振の原因となり得るのです。ストレスの原因を減らし、猫が安心できる環境を整えるようにしましょう。
偏食・食事に飽きた
猫はもともと偏食しがちな動物です。
フードの好みはまちまちで、味はもちろんですが、触感やフードの形、硬さなどにもこだわりを持つ猫がいます。
しかも、少しでも気に入らないと食べないことさえあります。
ひどい偏食になると、特定の食材にしか興味を示さなくなって飼い主さんを困らせることもあるようです。
また、それまで普通に食べていたフードに飽きて、ある日、急に食べなくなることもあります。
猫は新しいものに興味を示す習性があるためだと考えられています。
偏食やフードに飽きやすい猫は、飽きさせないようにフードローテーションをすることで食欲不振を回避できる可能性があるでしょう。
老化による食欲低下
老化も猫の食欲不振の原因のひとつです。
猫は7歳を過ぎると「シニア期」に入り、老化が はじまります。
シニア期になると、加齢とともに代謝が低下し、活動量も減少します。
若い頃と比べて必要なエネルギーが少なくなるため、自然に食欲が低下していくのです。
また、身体機能の衰えも食欲不振につながります。
たとえば、老化によって嗅覚が衰え、食べ物の匂いを感じ取りにくくなることや、足腰が弱ることから頭を下げて食べるのが困難になる場合もあります。
さらに、高齢猫特有の健康問題も原因となり得ます。
認知症や歯周病といった病気にかかる猫が増え、口内の痛みや噛みにくさが食欲に影響することも少なくありません。
老猫の食欲不振に対処するには、消化しやすく栄養価の高い食事を与え、猫が食べやすい食事環境を整えることが大切です。
関連記事:猫の老化とは?見逃せない7つのサインと老猫のお世話について
発情期がはじまった
避妊・虚勢手術をおこなっていない猫は、発情期が食欲不振の原因となることがあります。
発情期には、急激に食欲が落ちることがあるため、飼い主さんを驚かせてしまうこともあるかもしれません。
発情期を迎えたメス猫は、大きな甘えた声で鳴く、床をクネクネと転げ回る、お尻を上げたポーズを取るなどの行動が見られるようになります。
このような行動とともに食欲不振が見られる場合は、発情期と思ってよいでしょう。
また、オス猫もメス猫に刺激されて、食欲が落ちることがあります。
発情期が原因の食欲不振ならば、発情期が終わるとまた食べはじめるようになるので心配は不要です。
寝てばかりいるときは病気の可能性も
猫の食欲不振の原因でとくに注意が必要なのが病気です。
猫はよく寝る動物ですが、寝てばかりいる、いつもと違う場所で寝ている、背中を丸めておなかを守るような体勢で寝ているときは、体調不良が疑われます。
そのほかに、元気がない、吐いている、などの症状が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
猫の食欲不振の原因になるおもな病気
猫の食欲不振は、さまざまな病気が原因でおこることがあります。以下は代表的な病気です。
消化器疾患
胃腸炎、食道炎、膵炎などの消化器疾患は、猫の食欲不振を引き起こす原因になり得ます。
食欲不振のほかにも、腹痛や吐き気が伴うことがあります。
食事を摂らないだけでなく、頻繁に吐いている場合は、胃腸炎や食道炎、下痢も見られる場合は、膵炎や腫瘍の可能性が考えられます。
慢性腎臓病
慢性腎臓病は、高齢猫に多く見られる病気です。
腎臓が正常に機能しなくなると、体内の老廃物が十分に排出されず、食欲不振の原因になります。
また、慢性腎臓病の特徴的な症状としては、多飲多尿があります。
多飲で慢性腎臓病に気づく飼い主さんも多いようです。
関連記事:高齢の猫は腎不全(腎臓病)に注意!ステージごとの症状・治療法・食事について
下部尿路疾患(FLUTD)
下部尿路疾患は猫に多い病気のひとつで、膀胱や尿道におこる病気の総称です。
膀胱炎や尿路結石症などがあげられます。
痛みや不快感を感じることで、食欲に影響を及ぼします。
下部尿路疾患では、食欲不振のほかに以下のような症状に注意が必要です。
- 血尿
- トイレの回数が増える
- おしっこの量が減る
- 排尿時に鳴き声をあげる
なお、泌尿器トラブルには、ウラジロガシエキス末のような成分を含んだサプリメントなどの摂取がおすすめです。
関連記事:猫の尿路結石を知ろう!フードと与え方・治療・予防法などを徹底解説
口腔疾患
歯肉炎、歯周病、口内炎などの口腔疾患も猫の食欲不振の原因です。
口の中に痛みが生じるため、食べることを避けるようになります。
これらの病気では、食欲不振のほかに、口臭やよだれが増える、歯茎が赤いといった症状が見られます。
口腔疾患は見えにくいため、気づいたときには、症状が進行している場合も少なくありません。
気になる症状が見られたら早めに動物病院を受診しましょう。
関連記事:3歳以上の猫の80%が歯周病ってホント?症状・治療・予防について
猫の食欲不振がつづくとどうなる?
食欲不振が長くつづくと、猫の健康に深刻な影響を与えるおそれがあります。
おもなリスクとしては、肝リピドーシス(脂肪肝)と脱水があげられています。
詳しく見ていきましょう。
肝リピドーシス(脂肪肝)
猫が長期間、食べ物を摂取しないと「肝リピドーシス」を引き起こします。
肝リピドーシスとは、絶食がつづいたことにより、肝臓に脂肪が過剰に蓄積され正常に機能しなくなる病気です。
未治療の場合や、症状が進行した状態では命にかかわります。
とくに、肥満の猫は肝リピドーシスのリスクが高いと言われており、2日ほど絶食がつづくと発症するおそれがあります。
どんな猫であっても、24時間以上まったく食べないという場合は、なんらかの病気の可能性が疑われる状態です。
食欲不振が続くときは、肝リピドーシス予防のためにも早めに動物病院を受診しましょう。
脱水
食欲不振の場合、食事を摂らないだけでなく、水分摂取量も減少していることが多く、脱水症状を引き起こす可能性が高いです。
とくに、嘔吐や下痢の症状がある場合は、さらに脱水が進行しやすくなります。
また、ご飯を食べないのに水だけは飲んでいる場合は、すでに脱水を起こしており、のどの渇きから水を飲んでいる可能性があります。
腎臓病や糖尿病がある場合は、水分摂取が追いつかず、脱水が進行する危険性があるため注意が必要です。
猫の食欲不振で受診する目安
猫が食欲不振だからといって、必ずしも病気とは限りません。
では、どのようなときに受診をしたら良いのでしょうか?
猫の食欲不振が続く場合に動物病院を受診すべき目安を紹介します。
長時間ご飯を食べない
猫は気まぐれですから、食事を出しても食べないこともあります。
しかし、まったく食べない時間が長くなる場合は病気などを疑い受診をする必要があります。
以下の表を参考に、必要に応じて受診を検討しましょう。
| 年齢 | 食べていない時間 |
| 1~2ヵ月 | 8時間以上 |
| 2~3ヵ月 | 12時間以上 |
| 3~4ヵ月 | 16時間以上 |
| 1歳以上 | 24時間以上 |
これらは、あくまでも目安です。
状況に応じて早めに受診するようにしましょう。
とくに、子猫や老猫、持病のある猫は注意が必要です。
また、肥満の猫も肝リピドーシスのリスクが高くなりますので、早めの受診をおすすめします。
食欲不振以外の症状がある
食欲不振に加えて、以下の症状が見られる場合は、病気が疑われます。動物病院を受診しましょう。
- 嘔吐
- 下痢
- 元気がない
- トイレの回数が減る
- 頻尿
- 多飲多尿
さらに以下の症状が見られる場合は、緊急性があります。
様子を見ずに、早急に動物病院を受診してください。
- おしっこが出ていない
- 呼吸が苦しそう
- ぐったりしている
猫の食欲不振の対処法
猫が病気以外の理由で食欲不振になっている場合は、食事の工夫のほか、原因によっては環境を整えるといった対処が必要になります。
フードを温める
ウェットフードを与えている場合は、少し温めてあげるとよいでしょう。
香りが立ち、猫の食欲を引き出すことができます。
温めすぎると壊れてしまう栄養素がありますので注意してください。
猫が快適に食べられる温度に調整しましょう。目安は人肌くらいです。
トッピングを使う
普段のフードに違う食材やトッピングを加えることで、猫の興味を引くことができます。
たとえば、かつお節やササミ、猫用のふりかけなどを少量トッピングするのが効果的です。
肉をゆでたスープでもよいでしょう。
違うフードに変える
猫が同じフードに飽きてしまった場合は、ほかのフードを試してみるのもひとつの方法です。
新しいフードを少し混ぜて与えるだけで食欲が戻ることがあります。
フードを変えるときは、急に変えると胃腸に負担がかかるため、7〜10日ほどかけて少しずつ切り替えるようにしましょう。
猫が安心できる環境を整える
環境の変化によるストレスが原因で食欲不振になっている場合は、できるだけ猫がリラックスできる空間を提供することが重要です。
食事はできるだけ静かな場所で与え、多頭飼いで仲の悪い猫がいる場合は別々の部屋で食べさせるなど、安心して食べられるようにしてあげてください。
また、食器の形状や高さが合っていない場合は、変更することも検討しましょう。
いっしょに遊ぶ
食欲不振の原因がストレスなら、いっしょに猫と遊ぶ時間をつくるようにしましょう。
猫にとって遊びは、ストレスを軽減し、食欲を促すことも期待できます。
また、運動が不足していると、猫の食欲も低下しがちなので、適度な運動を取り入れるのもおすすめです。
キャットタワーを設置するなどして、高い場所に登れるようにしてあげましょう。
キャットタワーの設置が難しい場合は、家具の配置を工夫するなどして登れる場所をつくってあげてください。
まとめ
猫の食欲不振は、環境の変化や偏食、病気などさまざまな要因が考えられます。
食欲不振がつづくときや、ほかにも症状が見られるときは、早めに動物病院を受診してください。
また、病気以外が原因と思われる食欲不振には、フードの温めやトッピング、安心できる環境づくりなど、日常的にできる対処法を試してみましょう。
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この記事を書いたのは
ネコヤ カエ
愛玩動物救命士|猫疾病予防管理士|猫健康管理士|犬猫行動アナリスト|
ペット災害危機管理士3級|猫のシニア生活健康アドバイザー|ペットフード/ペットマナー検定
2019年よりフリーライターとしての活動を開始。
ペット専門のライターとしてWebメディアや動物病院HPなどでコラムを多数執筆。
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