専門家が解説 猫の尿路結石を知ろう!フードと与え方・治療・予防法などを徹底解説

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
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猫の尿路結石は珍しい病気ではありません。むしろ、よく見られる病気のひとつです。

しかし、尿路結石がどのような病気なのか、重症化すると命にかかわることもある怖い病気だということを知っている人は、少ないように感じています。

そこで、今回は猫の尿路結石の基本から、原因、治療、フード、予防法までをどこよりも分かりやすく解説していきます。

 

猫の尿路結石とは?

尿路結石とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道にできる結石のことです。結石のサイズは、砂粒くらいの小さなものから、数センチほどの大きなものまで、大小さまざまなものがあります。

また、結石は成分によっていくつかの種類が存在しています。猫に多いのは「ストルバイト結石(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)」と「シュウ酸カルシウム結石」の2つです。

ストルバイト結石は、おしっこがアルカリ性に傾き、リン、マグネシウム、アンモニアが結合することでできます。一方、シュウ酸カルシウム結石は、おしっこが酸性に傾き、シュウ酸やカルシウムなどのミネラルが結合することでできます。

結石ができると、尿管や膀胱などを傷つけたり、尿道に結石が詰まったりする(尿道閉塞)原因になります。尿道閉塞はオス猫に多く、急性腎不全や尿毒症といった命にかかわる病気を引き起こすため注意が必要です。

また、尿路結石は血尿や頻尿、排尿痛などさまざまなおしっこトラブルの原因にもなります。

 

猫の尿路結石の原因

猫の尿路結石のおもな原因は以下です。

  • 食事の内容
  • 水分摂取量が不足
  • 体質

猫の正常なおしっこのpHは6.4〜pH6.5で弱酸性となっています。しかし、食事の内容などが原因でpHのバランスが崩れ、アルカリ性に傾くとストルバイト結石、酸性に傾くとシュウ酸カルシウム結石ができやすくなるのです

また、水をあまり飲まないことも、結石の原因だと言われています。

猫はもともと砂漠で暮らしていたこともあって、あまり水を飲まなくても生きていけるように進化しました。しかし、水分の摂取量が少ないとおしっこが濃くなりがちで、同時におしっこに含まれている結石の成分も濃くなります。そのため、結石ができやすい状態になるのだと考えられています。

また、ウェットフードを食べずに、ドライフードだけを食べている猫は結石になりやすいとも言われています。

 

猫の尿路結石の症状

猫の尿路結石では、血尿や頻尿、粗相をはじめとするさまざまなおしっこトラブルが見られるようになります。尿路結石の症状を知ることで、早めに気づき対処ができるようになりましょう。

尿路結石のおもな症状

猫の尿路結石では以下のような症状が見られます。尿路結石のチェックポイントにもなりますので、いつもと違うと感じたら、おしっこの回数やタイミング、排泄中の様子をよく観察しましょう。

  • 何度もトイレに行く(頻尿)
  • 頻繁にトイレに行くがおしっこが少ししか出ない
  • おしっこがポタポタと垂れる
  • おしっこがまったく出ない(尿道閉塞)
  • おしっこのときに痛みで声を上げる(排尿痛)
  • トイレでうずくまっている
  • 排尿姿勢をとってから出るまでに時間がかかる
  • 血尿が出ている
  • おしっこがキラキラしている
  • トイレ以外でおしっこをする
  • 落ち着きがなくなる

これらの尿路結石の一般的な症状ですが、膀胱炎などの下部尿路疾患(FLUTD)にも当てはまる症状です。気になる症状がひとつでも見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

関連記事:猫の血尿の原因は?ストレスは関係ある?

おしっこが出ないときは要注意

トイレで排尿姿勢をとっているのに「おしっこが出ていない」というときは要注意です。結石が、尿道に詰まっておしっこが出せない(尿道閉塞)危険な状態になっている可能性があります。

尿道閉塞は、尿道が細長いオス猫のほうがリスクが高いと言われています。

尿道閉塞では以下のような症状が見られます。

  • 頻繁にトイレに行くがおしっこが少ししか出ない
  • 排尿姿勢をとっているがおしっこが出ない
  • トイレに出たり入ったりをくり返す
  • ぐったりしている
  • 嘔吐がみられる
  • 食欲がない

このような症状を放置して、まったくおしっこが出なくなると、急性腎不全や尿毒症をおこし、2〜3日で死に至ります。また、膀胱破裂の原因にもなり得ます。

尿道閉塞が疑われる場合は、早急に動物病院を受診しましょう。

 

尿路結石になりやすい猫

猫は、あまり水を飲まないため尿路結石になりやすいと言われています。そのなかでも、ヒマラヤン、アメリカンショートヘアー、スコティッシュフォールドは尿管結石を発症しやすいとの報告があります。とくに、アメリカンショートヘアーはリスクが高い傾向です。

また、ストルバイト結石は1歳〜6歳、シュウ酸カルシウム結石は7歳〜11歳の猫で発症しやすいと言われています

 

猫の尿路結石の治療法

猫の尿路結石の治療は、結石を溶かす内科療法と、手術で結石を取り除く外科療法の2つがあります。それぞれの治療法についてもう少し詳しく見ていきましょう。

内科療法

猫の尿路結石では、療法食を用いて結石を溶かすのがおもな治療となります。ただし、小さなストルバイト結石であることが条件となります。シュウ酸カルシウム結石は食事療法では溶かすことができないため、残念ながら対象外です

食事で結石が溶けるまでは時間がかかるため、その間に尿道閉塞をおこしたり、血尿などの症状がつづくといったリスクもあります。排泄の様子を確認し、異常があれば、獣医師に相談しましょう。

また、細菌感染が認められる場合は、抗生物質が処方されます。

外科療法

手術で結石を取り除くのが外科療法です。食事療法では溶かすことのできないシュウ酸カルシウム結石の場合、またはストルバイト結石でもサイズが大きい、症状が重度である、尿道閉塞のリスクがあると思われる場合におこなわれます。

そのほか、尿道閉塞でも状況に応じて外科療法が選択されます。

尿道閉塞では、尿道にカテーテルを挿入して結石を膀胱に押し戻してつまりを解消するのが一般的です。手術で結石を取り除くのは、カテーテルでは詰まりを解消できなかった場合です。

 

猫の尿路結石の療法食と食事療法

ストルバイト結石では、内科療法として食事療法が治療の第一選択となることも多いでしょう。その場合、治療中は「療法食」を与えるのが基本となります。

では、尿路結石で与えるのはどのようなフードなのでしょうか?ここでは、ストルバイト結石の猫の食事や与え方の注意点について詳しく紹介していきます。

尿路結石の療法食とは?

猫のストルバイト結石向けの療法食は、結石を溶かすことを目的とした食事です。

ストルバイト結石は、おしっこがアルカリ性に傾くことでできやすくなるため、尿のpH値を酸性に傾けて結石が作られにくい状態にする必要があります。そのため、ストルバイト結石の療法食では、おしっこのpH値が酸性に傾くように調整されているのです。

また、結石の形成には、マグネシウムやカルシウム、リンなどのミネラルバランスも大きく関わっています。そのため、猫の尿路結石の療法食は適切なミネラルバランスを保てるように調整されているのも特徴です。

なお、尿路結石の予防食は、おしっこのpH値を適切に保ち、ストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石の両方を予防できるように調整しています。

関連記事:猫の療法食って?与え方は?いつまであげる? 療法食の基礎知識を徹底解説

尿路結石の療法食はいつまで与える?

ストルバイト結石は適切な食事管理ができれば、2〜4週間ほどで結石を溶かすことができると言われています。しかし、猫の尿路結石の食事療法では、いつまで療法食を与えるといった決まりはありません。

一般的には、おしっこのpH値が正常になり、結石や結晶が見られなくなれば、通常の食事に戻すことが可能です。食事を戻すタイミングは獣医師の指示に従いましょう。

飼い主さんのなかには、尿路結石が心配だからと、そのまま療法食を与え続ける人もいらっしゃるようですが、おすすめしません。

ストルバイト結石の療法食は、アルカリ性に傾いたおしっこのpH値を酸性に傾ける作用があります。そのため、健康な猫に与えつづけるとおしっこが酸性に傾いてしまい、シュウ酸カルシウム結石の原因になってしまうことがあるのです。

尿路結石が心配な場合は、ケア用のフードへの切り替えを検討しましょう。また、泌尿器の健康をサポートするサプリメントを使用するのもおすすめです。いづれにしても獣医師と相談のうえで与えてください。

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尿路結石の猫に与えてはいけないもの

尿路結石の猫には、マグネシウムやカルシウム、リンなどのミネラルが多く含まれている食べ物は避けたほうが良いでしょう。

たとえば、以下のようなものがあげられます。

  • のり
  • わかめ
  • 煮干し
  • かつお節
  • ほうれん草

これらの食べ物は特定のミネラルが多く含まれているものです。

また、療法食を与えている間は、トッピングやおやつは控えるようにしましょう。

尿路結石に限らず、人間の食べ物は、猫にとって危険なものも少なくありません。誤って与えることのないよう、また猫に興味を持たせないよう、基本的には人間の食べ物を与えるのは避けたほうが賢明です。

尿路結石の療法食を食べないときの対処法

困ったことに、療法食を食べてくれないという猫は意外と多いようです。そのような場合は、以下の方法を試してみましょう。

  • ほかのメーカーの療法食を与える
  • いつもの食事を混ぜる
  • ウェットフードを利用する
  • 尿路結石をサポートするサプリメントを使う
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療法食はさまざまなメーカーが作っています。ひとつのメーカーにこだわらず、いろんなメーカーの療法食や、形状の違うフード(ウェットフード、ドライフードなど)を試すことをおすすめします。

また、これまで与えていて食べ慣れたキャットフードを尿路結石用の療法食に混ぜるだけで食べてくれる猫もいます。いつものフードを少しだけ混ぜて食べるか様子を見ましょう。慣れてきたら少しずついつものフードを減らしていき、最終的には療法食だけにします。

どうしても食べてくれない場合は、ウェットフードで水分摂取量を増やす、ウラジロガシエキス末の含まれているサプリメントを試すのもおすすめです。

なお、治療中の療法食の変更、サプリメントの使用は、必ず獣医師に相談のうえでおこなってください。

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猫の尿路結石の予防法

猫の尿路結石は、一度できると再発する可能性の高い病気ですが、ある程度は予防ができる病気でもあります。

とくに、以下の点に注意すると良いでしょう。

  • 食事のミネラル分に配慮する
  • ウェットフードを与える
  • おしっこを我慢させない

食事のミネラルバランスに注意

猫の尿路結石は、食事に影響されると言われています。とくに、結石の形成にもかかわるミネラルは注意が必要です。

ミネラルの含有量が極端に多いもの、少ないものを避けて、バランスの良いキャットフードを選ぶようにします。猫にとって理想的なミネラルバランスは「カルシウム:リン:マグネシウム=1.2:1:0.08」とされています。なるべく近いバランスのキャットフードを選ぶようにしましょう。

ウェットフードで水分摂取量を増やす

また、ドライフードだけの猫よりも、ウェットフードを与えている猫のほうが尿路結石ができにくいとする報告もあります。ウェットフードを取り入れることで、水分摂取量が増えるためです。

もちろん、ウェットフードでなくても水分摂取量を増やすことができれば問題ありません。猫が嫌がらなければ、ドライフードをふやかして与えるのもおすすめです。

適切なトイレ環境でおしっこを我慢させない

おしっこを長時間ためておくことも原因になり得ると言われています。トイレ環境をきちんと整えておしっこを我慢させないようにしましょう。

猫はきれい好きで汚れているトイレを使いたがりませんので、できればトイレの度に排泄物を片づけるのが望ましいです。また、トイレのサイズは体長の1.5倍以上のもので、頭数+1の数を設置することが推奨されています。

さらに、落ち着いてトイレができるように置き場所にも注意しましょう。洗濯機やテレビなどの大きな音が出るもののそば、人通りが多い場所、寒暖の差が激しい場所は避けるようにしましょう。

 

猫の尿路結石の治療費

猫の尿路結石の治療費は、症状、重症度によって大きく異なります。

たとえば、手術が必要な場合は、結石のある場所にもよりますが、手術前の検査、入院も含めて、12万〜20万円ほどとなります。

尿道閉塞をおこすと、30万円ほどかかる場合もあるようです。

手術をせずに食事療法をおこなう場合は、月の食事代だけで6,000〜8,000円ほどかかります。そのほかに、検査などもおこなうとさらに治療費がかかることになります。ざっくりですが、月2〜3万円ほどは見ておいたほうがよいでしょう。

 

まとめ

猫にとって尿路結石自体はよくある病気ですし、一見するとたいした病気には思えないかもしれません。しかし、尿道閉塞をおこすと急性腎不全や尿毒症を引き起こし、命を落とす可能性もある病気です。

また、再発も多いため治っても油断ができません。

尿路結石は、食事や水分摂取量に注意するなどである程度は予防のできる病気です。ひとりでは難しく思える場合は獣医師とも相談しながらしっかりと予防していきましょう。

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この記事を書いたのは
ネコヤ カエ
愛玩動物救命士|猫疾病予防管理士|猫健康管理士|犬猫行動アナリスト|
ペット災害危機管理士3級|猫のシニア生活健康アドバイザー|ペットフード/ペットマナー検定
2019年よりフリーライターとしての活動を開始。
ペット専門のライターとしてWebメディアや動物病院HPなどでコラムを多数執筆。
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