動物看護師解説 犬の狼爪(ろうそう)は切除するべき?切り方や折れた時の対処法・対策など

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
株式会社スケアクロウにて日々飼い主の皆さまサポートに奮闘中

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犬の狼爪という言葉を聞いたことがありますか?

気にしたことがある飼い主さんも気にしたことがない飼い主さんもいるかと思います。

今回はそんな犬の「狼爪」について、切除すべきなのか?折れた時の対処法・狼爪の切り方やケアなどを詳しく解説していきます。

 

狼爪とは?

狼爪とは、犬の足についている「親指」に当たる場所の爪のことです。

実は、狼爪はついている犬とついていない犬がいます。
ついていない場合は、生まれつきついていないか新生児のうちに切除されているかの2択になります。

狼爪は本来、使役されていた時代に、足でものを持ったりするための支えとして機能していました。
現代の家庭犬として愛されている犬には不必要になり、退化して生まれつき狼爪のない犬が多くなってきたと言われています。

しかし、狼爪を持って生まれる犬も多いため、ブリード後まだ爪が柔らかく切除しやすい時期である新生児の間に切除される犬も少なくありません。断尾などと同じく議論が絶えない子犬の切除問題ですが、今でも狼爪切除は行われていると言えますね。

 

犬の狼爪は切除するべき?

結論からいうと狼爪に害を及ぼす問題がない限り、切除はしなくて良いと考えます。

まず狼爪があるからといって、寿命が短くなるということは断じてありません。狼爪がある犬でも、狼爪が原因で長生きできないなんてことはありませんのでご安心くださいね。

しかし、狼爪が健康に害を及ぼしているとなると話は別です。

例えば、巻き爪で皮膚に狼爪が突き刺さってしまった・根元が折れて腐ってしまっている・狼爪がプラプラしているなどの異常を呈した際は、動物病院で獣医師との相談の上、切除を考えることもあるかと思います。
しかし、美容的な観点や、普通の犬と同じようにといった思考で狼爪の切除を考えているのであれば、個人的な意見としてはあまりおすすめしません。

以下で狼爪切除のメリット・デメリットを紹介します。

 

狼爪切除のメリット

狼爪を切除することのメリットは何があるでしょうか。
メリットとデメリットを良く理解して切除を考えましょう。

狼爪による事故は起きなくなる

まず、根本的に狼爪を切除すると狼爪がなくなるため、狼爪が折れたりひっかかってケガをしたり、巻き爪になって皮膚に突き刺さるという事故はなくなります。

狼爪は、適切にお手入れしていれば、あまり大きな事故には繋がらないのですが、数件は狼爪による健康被害が報告されているため、気にしておきたいですね。

お手入れが少し楽になる

お手入れが少し楽になることもメリットのひとつです。

単純に切る爪が減るだけではありますが、爪切りが苦手な犬は多く、自宅でなかなか切らせてくれない犬も多いのではないでしょうか。

また、狼爪は他の爪よりも少し切りにくいため苦戦することもあると思います。
愛犬のストレスを少しでも短縮するという意味では、切除はメリットといえるでしょう。

自宅では切れずにトリミングに出したり動物病院で爪切りをお願いしたりしている飼い主さんは少なくありませんが、基本狼爪がある犬の方が少ないのは事実なため、狼爪もあるので切ってくださいと一言添えておくと切り忘れを防げることでしょう。

 

狼爪切除のデメリット

狼爪事故が無くなる反面、切除にはデメリットも存在します。

個人的にはデメリットの方が大きいと感じるため、切除は慎重に考えて決断したいですね。

全身麻酔をしなくてはならない

新生子期に切除しない限りは、狼爪の切除は全身麻酔下での手術が必須です。

全身麻酔にはそれなりのリスクが生じます。

術前検査は実施されるものの、100%必ず無事成功するとは言えないのが医療の世界です。
狼爪手術のためだけに全身麻酔するのはリスクが高いといえます。

若年齢では基本的に麻酔の覚めは良く、術後経過も良好であることが多いですが、高齢や持病がある・短頭種(鼻が短い犬種)などでは全身麻酔のリスクが上がるので慎重に相談したいですね。

例えば、ほかの病気で手術が必要になった・スケーリング手術を受ける予定があるなど、全身麻酔の機会が控えているのであれば、同時に狼爪切除を行うものひとつの手だといえます。

痛みを伴う

狼爪切除には痛みが伴います。

手術中は麻酔が効いているため痛みはありませんが、術後はやはり痛みがあるのが普通です。術後に痛み止めを処方する動物病院は多いかと思いますが、それでも爪の根元から切っているため痛みが出てきてしまいます。

さらに、違和感があり自分で噛んだり舐めたりして、感染症などの二次的な病変が起きてしまう可能性もあり、比較的簡単な手術ではありますが、術後経過はきちんと見ておく必要があります。

 

狼爪の切り方

狼爪の切り方は他の指の爪切りと変わらず、出血しないように血管の手前を切ります。

狼爪は地面に接しないため、お散歩で削れることがありません。
普段は爪切りが必要ないような犬でも、狼爪はしっかりと切ってあげないといけません。

また、ほかの指よりも狼爪は巻き爪になりやすいので、せめて1ヶ月に1回の爪切りは必要です。

白い爪は血管が見えているため切りやすいですが、黒い爪は血管が見えないため少しずつ切っていき断面から血管を判断しましょう。

爪切りで出血させてしまうとトラウマになり嫌がる犬になってしまうこともあります。
自宅では無理せずプロに任せることも選択肢のひとつです。

 

狼爪が折れた時の対処法

遊んでいる最中に引っかかってしまったり、なんらかの原因で狼爪が折れてしまうことも考えられますよね。

そんな時に飼い主さんがとれる行動にはどんなものがあるでしょうか。

止血処置をする

まず最初に折れてしまった狼爪に出血がないか確認し、出血がある場合は止血処置を施しましょう。
爪が途中で折れている場合は、折れている部分を圧迫して止血を試みましょう。
クイックストップなどの爪用止血剤を持っているのであれば、根元から折れていないケースであれば使用可能です。

狼爪が根元から折れてしまっている場合はまず圧迫止血を行います。
止血ができたとしても、放置していると細菌感染などが起きる可能性もあるため、動物病院に連れていきましょう。

動物病院を受診する

爪が折れてしまっていると、犬は痛みを感じている可能性が高いため、動物病院でしっかりと処置をしてもらいましょう。

止血ができていても爪の障害はQOLの低下をまねいたり、感染症などの可能性もあるため、あまり放置せずに獣医師に診てもらうことをおすすめします。

 

狼爪ケアの方法

狼爪はあること自体には何も問題はありませんが、ほかの爪と同様お手入れをしないといけません。狼爪の事故を無くすためには日ごろのケアが重要です。きちんとケアをしていれば問題なく生涯を過ごすことができますので、しっかりと怠らないようにしましょう。

こまめに爪切りをする

爪切りがケガや事故をなくすための一番のお手入れですね。

狼爪だけでなく日ごろから爪切りをしている事かと思いますが、狼爪も忘れずに切りましょう。お散歩に行って削れるから爪切りはしないというご家庭もあるかと思いますが、狼爪は地面に接しないため削れることがなく伸び続けてしまいます。
そのため、せめて月に1回程度は爪を切りましょう。
自宅では怖くてできないという飼い主さんも多いかと思いますので、そのような場合は、動物病院やトリミングサロンにこまめに連れて行くようにしましょう。

動物病院では、爪切りだけでの来院もお受けしていることがほとんどですので、遠慮せずに愛犬のため受診するといいですね。

ひっかかりにくいカーペットにする

狼爪や親指が引っかかって折れてしまったり、ケガをしてしまうことは稀に起きてしまいます。
そのような事故を防ぐためには、引っかからないような素材のカーペットを使用することが望ましいです。
また、爪に関してだけでなく、犬のケガで多いのが足を滑らせてケガをしてしまうことです。
そのためにも滑らないような素材のカーペットを敷くのが好ましいので、考え得る事故を防ぐため、気にしておきたいですね。

 

まとめ

犬の狼爪は、生まれつきない犬も持って生まれる犬もいます。

狼爪があるからといって余命などに関わることではなく、あってもなくても大きな問題はないといえるでしょう。

しかし、健康や生活の質レベルで問題が起きているなど、狼爪の切除を考えている場合は、
切除のメリットとデメリットをよく理解する必要があります。
獣医師と相談の上、決断するようにしましょう。

狼爪の切除は、全身麻酔下での処置になることや痛みが伴うことなどにより、個人的にはあまり推奨していませんが、折れてしまった・根元が腐ってしまった・巻き爪で皮膚に突き刺さってしまったなどの障害が出た際に、麻酔をかける機会があればついでに切除するといいかもしれませんね。

狼爪はしっかりとケアを実施していれば、問題なく生涯を過ごすことできることがほとんどです。
日々の爪切りなどは怠らないようにしましょう。

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この記事を書いたのは
中村千尋
愛玩動物看護師
大阪ペピイ動物看護専門学校卒業
認定動物看護師資格取得・ペット栄養管理士資格取得
兵庫県内の動物病院で勤務(現在も勤続中)
愛玩動物看護師国家資格取得
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