混合ワクチンという言葉は、犬を飼っていると一度は聞いたことがあると思います。
実際、打たないといけないの?打たないとどうなるの?種類は何がいい?値段は?など考える飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は犬の混合ワクチンの必要性やメリットデメリットなどについて詳しくご紹介していきます。
混合ワクチンとは?

混合ワクチンとは、ウイルスなどの感染症に抗うための抗体をつくるために打つワクチンのことです。
コアワクチンと呼ばれる全頭が接種を推奨されるものとノンコアワクチンとよばれる感染のリスクが高い犬には接種が好ましいものとがあり、接種する種類の数により2種~10種などが決まります。
愛犬の活動範囲やお住いの場所などによって推奨の種類が異なるため、獣医師と相談の上、打つ種類を決めましょう。
狂犬病ワクチンと違い、法律で義務付けられているわけではありません。
任意の接種ですが、賃貸のマンションやアパート・トリミングサロンやペットホテルなどでワクチン接種証明の提出を求められることがあり、接種することになるのが一般的です。
関連記事:犬の狂犬病ワクチンはいつからいつまで打つべき?副作用など解説
混合ワクチンを打つメリット
混合ワクチンの接種には大きなメリットがあります。
大きくは下記の2つです。メリットが多くあるため、今は接種率も上がってきている傾向にあります。
病気の予防になる
なんといっても最大のメリットは病気の予防です。
私たち人も、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスのワクチンが身近でしょう。
ワクチンを打ったからといって絶対病気にかからないというわけではありませんが、かかりにくくなることに加えて、かかった際に軽症で済むよう抗体を作り免疫をあげる目的です。
もちろん犬も同じく、病気にかかりにくくすることと、万が一かかった際に軽症で済むようにワクチンの接種を推奨しています。
混合ワクチンの中にはかかってしまうとかなり重症化する病気もあり、命の危険が出てくる病気もありますので、予防できることに越したことはありません。
トリミングや賃貸などに必要な証明書がもらえる
トリミングサロンやペットと泊まる旅館・ペットホテルなどでは1年以内の狂犬病・混合ワクチンの接種証明書の提出を求められることがあります。
きちんとワクチン接種をしていれば証明書を発行してもらえます。
賃貸などお住いのマンションでも提出が必要なこともありますので、打つほうが良いという考え方が広がっているといえますね。
混合ワクチンを打つデメリット
混合ワクチンを打つことはメリットだけではありません。
デメリットを気にして愛犬のことを考え接種を控えている飼い主さんもいるのではないでしょうか。
では以下よりデメリットを2点紹介します。
アレルギー反応が起きる可能性がある
ワクチンによるアレルギー反応を起こす可能性はゼロではありません。
犬の混合ワクチンに対するアレルギーを持っている犬はごくまれではありますが、年間数頭は発現しているため、気にしておきたい事項です。
重症だとアナフィラキシーショックが起き呼吸困難になり亡くなってしまうケースもあります。
アナフィラキシーショックは接種後30分以内に発現することが多いので、接種してからすぐに帰宅するのではなくゆっくりと院内で過ごし、無事を確認してから帰宅するようにするといいですね。
また、接種後24時間以内に出るアレルギー反応で「ムーンフェイス」とよばれる顔がパンパンになる状態やじんましんが出たりすることがあります。
その際はステロイド剤などの抗アレルギー薬を投与する必要がありますので、必ず接種した動物病院に連絡しましょう。
接種したいけどアレルギーが気になるという飼い主さんは、接種前に抗アレルギー薬を前投与して打つという方法もあるので、獣医師に相談しましょう。
副反応で体調が悪くなる可能性がある
私たち人も、新型コロナウイルスワクチンやインフルエンザウイルスワクチンを打った後は、だるさを感じたり打った場所が痛かったり発熱したりすることがあります。
犬も同じく副反応で体調不良を起こす可能性もあります。食欲が落ちたり元気がなくてずっと寝ていたり、発熱や打った場所を触られるのを嫌がったりすることがあります。
それはワクチン接種後の副反応であることが大いに考えられますが、接種後1週間続く・あまりに痛がるなどの症状がある場合は獣医師に相談しましょう。
混合ワクチンの種類
混合ワクチンには最大10種類あります。
どの種類を打つかは活動範囲やお住いの地域などによって推奨が異なるため、獣医師と相談の上決めましょう。
犬ジステンバーウイルス感染症(コアワクチン)
口や鼻からウイルスを吸い込むことで感染が成立し、高熱・鼻水・目やにや元気喪失・食欲不振から始まり、呼吸器疾患や消化器疾患・神経疾患などさまざまな症状を呈する感染症です。
死亡率が50%以上とかなり高く、混合ワクチンに含まれている病気の中でも特に気を付けたい恐ろしい病気です。
犬伝染性肝炎(コアワクチン)
アデノウイルスⅠ型による感染症で、主に発熱・嘔吐・下痢などの消化器症状を呈する感染症です。元気喪失や腹部に痛みが出たりすることから始まり、名前の通り肝臓障害を引き起こし、突然死することもある恐ろしい病気です。とくに子犬では要注意です。ワクチン未接種の子犬がかかってしまうと12~24時間で突然死してしまうことが起こり得ます。
犬アデノウイルスⅡ型感染(コアワクチン)
発熱や食欲不振・元気喪失・鼻水・くしゃみ・咳など主に呼吸器症状を呈します。
ケンネルコフという風邪症状が特徴的で、肺炎を起こすこともあります。
他の病気を併発すると重症化することがあり、症状が悪化する恐れがあります。
犬パルボウイルス感染症(コアワクチン)
メインは下痢・嘔吐などの消化器症状で強い激しい症状を呈します。
ウイルスを経口摂取することで感染が成立してしまうため、お散歩での拾い食いや地面を舐めるなどの行為は危険です。消化器症状ののち、食欲がなくなり急激に衰弱してしまうのが特徴です。感染力が強く、治療が遅れた場合は死亡率が90%以上と極めて危険ですが、早期に治療できると生存率が上がります。
愛犬の様子が少しでもおかしいと思ったら動物病院を受診しましょう。
犬パラインフルエンザウイルス感染症
アデノウイルスⅡ型感染症と似たような呼吸器症状を引き起こします。
あまり重症化することはないですが、ほかの感染症との併発で重症化してしまうケースもあります。また、非常に感染力が強いため犬の集まるところやペットホテルなどに未接種で行くには注意が必要です。
犬コロナウイルス感染症
人の新型コロナとは異なり、犬の感染症のひとつであるコロナウイルス感染症です。
主に消化器症状を呈します。
成犬では、このコロナウイルス単体ではあまり重症化することはありませんが、ほかの感染症と併発していると重症化することもあります。
しかし、子犬では注意が必要で、重度な水溶性下痢を引き起こす原因となってしまうので気にしておきましょう。
犬のレプトスピラ症
届け出感染症のひとつで、人にもうつる人獣共通感染症となっている危険な感染症です。
初期症状としては嘔吐・発熱・黄疸・出血などが現れ、重症化すると腎臓や肝臓に障害が出ることがあります。
犬は50%の死亡率といわれている恐ろしい感染症です。
人でも無治療だと命の危険があるため、受診を心がけましょう。
感染経路は経口感染(口から入る)以外に経皮感染(皮膚から侵入する)が特徴で、舐めたりせずともレプトスピラ細菌に汚染された水や土を踏むことで感染が成立してしまう怖さがあります。
レプトスピラには4型存在し、その4型すべてが入っているワクチンが10種混合ワクチンとなっており、活動範囲が広い犬に推奨されるワクチンです。
混合ワクチンの接種は1年に1回?
我が国日本では、基本的には1年ごとの接種を推奨しています。
ワクチンによっては1年以上抗体をキープできるものもありますが、レプトスピラ症の抗体は1年間ほどしか抗体が持たないともいわれています。
コアワクチンと呼ばれる4種の病原体に関しては、抗体価の持続が長いといわれているため、血液検査によって体内の抗体をチェックすれば、接種が必要かどうかもわかります。
抗体検査は、検査結果を証明書として発行してもらえるので、
抗体検査とワクチン接種を必要に応じて使い分ける方法も推奨されます。
子犬のワクチン接種は何回打つのが良い?
子犬の間のワクチンは重要な意味があるため、きちんと獣医師の指示に従って接種したいところです。
子犬のワクチン接種は2回または3回が基本です。
生後90日~120日までにほとんどのわんちゃんで、母親からもらう移行抗体が消失しますので、2回~3回打ちを勧めます。初年度のワクチン接種は今後の免疫機能に大きく関わる大事な期間ですので、きちんとしておきたいですね。
混合ワクチンの値段
混合ワクチン接種の値段は、動物病院によって異なります。
相場としては1種類1000~1500円程度となっています。
平均的な値段は、代表的な7種混合ワクチンでは7000~9000円、10種混合ワクチンでは11000~16500円程度となっています。
まとめ
混合ワクチン接種は狂犬病ワクチン接種と違い義務ではありませんが、病気の予防として重要な方法です。接種する種類は、愛犬の活動範囲やお住まいの地域などによって推奨が異なるので、獣医師と相談の上決めましょう。
また、混合ワクチンに含まれる感染症の種類の中には、死亡率が極めて高いものや感染力が高いものなどさまざまです。気になる症状や不安なことがあれば、早めに動物病院を受診しましょう。
さらに、接種はしたいけど副作用が心配、アレルギー反応が心配などの不安がある飼い主さんは、抗アレルギー薬を前投与するなどの配慮ができるので相談しましょう。
最近では、抗体検査による証明書発行が有効になることもあるので、臨機応変に活用してみても良いのではないでしょうか。
関連記事:猫の予防接種とは?種類・頻度・副反応・予防できる6つの感染症について
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この記事を書いたのは
中村千尋
愛玩動物看護師
大阪ペピイ動物看護専門学校卒業
認定動物看護師資格取得・ペット栄養管理士資格取得
兵庫県内の動物病院で勤務(現在も勤続中)
愛玩動物看護師国家資格取得
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