猫の便は健康のバロメーターとも言われています。
そんな便に血がついていた、ゼリー状の便が出たとなったら「なにかの病気では?」と心配になりますよね。
猫の血便の原因としては、消化器官の病気やストレス、食物アレルギーなどさまざまなものが考えられます。
今回は、猫が血便をしたときに疑われる原因や病気、対処法までを詳しく解説します。
猫の血便とは?
血便とは、便に血が付着していたり、混じっていたりする状態です。
胃や腸などの消化管や肛門などからの出血が原因となります。
猫の血便には、病気のほかにもさまざまな理由が考えられます。
血の色は、真っ赤なものから黒っぽいものまであり、色によって出血した臓器の見当をつけることができます。
一般的に、黒っぽいほど時間が経っていると言われており、肛門から離れた胃などでの出血が考えられます。
一方で、真っ赤な血が出ている場合は、肛門付近からの出血が考えられるでしょう。
そのほか、粘液が混じる、下痢や軟便などの症状が見られる場合もあります。
猫の血便の原因
猫の血便の原因としては、病気はもちろんですが、誤飲・誤食、ストレス、アレルギーなどさまざまなことが考えられます。
ここでは、猫の血便でよくある原因を紹介します。
誤飲・誤食
意外に思われるかもしれませんが、誤飲・誤食も猫の血便の原因です。
つまようじやプラスチック片などの尖ったものを誤って飲み込み、胃や腸などを傷つけてしまうことがあるのです。
とくに、以下のようなものには注意しましょう。
- つまようじや竹串など先端が尖ったもの
- おもちゃなどの破片
- 薬、植物、除草剤などの薬品
- 玉ねぎなど猫にとって危険な食べ物
薬、植物、除草剤などの薬品は、血便のほかにも重篤な中毒症状を引き起こすこともあります。
また、薬品によって症状が急激にあらわれ命にかかわる場合もあり大変危険です。
玉ねぎなど、人間にとっては美味しい食べ物で、猫には命にかかわるものもあります。
これらの中毒症状の多くは、血便以外にも嘔吐・下痢、食欲不振、痙攣などの症状が見られるのが一般的です。
ストレス
猫はストレスを感じやすい動物です。
強いストレスを感じることで胃腸の調子を崩し、血便を引き起こすことがあります。
たとえば、以下のようなことがストレスになり得るでしょう。
- 引越しや大幅な模様替えなどの環境の変化
- トイレ環境が気に入らない
- 家族が増えた
- 新たに動物を迎えた
- 近所で工事がはじまった
もし、思い当たることがあれば原因を排除する、改善に努めるなどの対策を講じる必要があります。
また、同時に動物病院を受診して体のケアもおこないましょう。
食物アレルギー
猫の食物アレルギーも血便の原因になります。
アレルギーの原因(アレルゲン)となる食物の摂取によって消化管に炎症を引き起こし、腸壁を傷つけることで血便を引き起こします。
食物アレルギーの原因となる食材としては牛肉と魚が圧倒的に多く、ほかに鶏肉や乳製品、小麦などがあげられます。
猫の食物アレルギーでは、血便のほかに下痢、皮膚のかゆみ、脱毛などが見られるのが一般的です。
そのほか、食べられない物を与えた際にも胃腸の調子を崩して血便になる場合があります。
関連記事:猫の食物アレルギーとは?症状・検査法・アレルギー用フードの基礎知識
寄生虫感染
寄生虫に感染することが血便の原因になる場合もあります。
とくに、保護したばかりの猫は、寄生虫に感染していることが多いため注意が必要でしょう。
たとえば、以下の寄生虫が血便の原因となり得えます。
- 猫鉤虫(ねここうちゅう)
- 瓜実条虫(うりざねじょうちゅう)
- コクシジウム
- トキソプラズマ
これらの寄生虫は、血便のほか下痢を起こすことが多く、寄生虫によっては嘔吐、食欲低下、貧血、体重減少などを引き起こします。
気になる症状が見られたら早めに対処するのが大切です。
病気
猫の血便のなかでも油断ができないのが病気によるものです。
血便の原因としては以下の病気が考えられます。
- 胃腸炎
- 炎症性腸疾患
- パルボウイルス感染症
- 腫瘍・ポリープ
このように、猫の血便を引き起こす病気としては、口、食道、胃腸などの消化管の病気が考えられるでしょう。
命にかかわる病気もあるため、注意が必要な症状と言えます。
血便が見られたら、そのときは元気であっても、早めに動物病院を受診し相談しましょう。
猫が血便になる病気
上述のように、猫の血便を引き起こす病気には、重篤なものも含まれています。
とくに、パルボウイルス感染症や腫瘍は命にかかわる病気です。
そのほかにも、身近な病気として胃腸炎が考えられます。
猫の血便の原因になる病気について詳しく解説します。
胃腸炎
猫の胃腸炎は、血便を引き起こす代表的な病気です。
胃腸炎の原因には、ウイルス感染や細菌感染、寄生虫感染のほか、薬物による中毒、誤飲・誤食、アレルギーなどさまざまなものが考えられます。
猫の胃腸炎では、血便以外に以下のような症状が見られるでしょう。
- 嘔吐
- 下痢
- 食欲不振
- 元気消失
- 腹痛
急性胃腸炎の場合は、治療をしなくても2日ほどで治ることもありますが、ウイルス感染が原因となっている場合は、命にかかわる場合もあるため注意が必要です。
とくに、体力や免疫力のない子猫、老猫、病気の猫などは油断できません。
猫パルボウイルス感染症(猫汎白血球減少症)
猫パルボウイルス感染症は、猫パルボウイルスに感染することで起きる病気です。
猫の感染症のなかでも感染力が非常に強く、環境中でも長期間感染力を持った状態で存在できることでも知られています。
おもな感染経路は感染した猫の便や体液で、トイレや食器、おもちゃの共有、アログルーミング、人間が媒介するなどして感染が広まります。
感染すると、数日の潜伏期間を経て、白血球が急激に減少し、以下の症状があらわれます。
- 血便・下痢
- 嘔吐
- 発熱
- 食欲不振
- 脱水
重症化すると死に至ることもあり、とくに子猫の致死率が高い傾向です。
ただし、猫パルボウイルス感染症は、混合ワクチンで予防が可能な病気です。
ぜひ接種を検討しましょう。
関連記事:猫の予防接種とは?種類・頻度・副反応・予防できる6つの感染症について
トキソプラズマ症
寄生虫のトキソプラズマに感染することで起きる病気です。
感染している猫の糞便や、豚の生肉、生焼けの肉などが感染源となります。
トキソプラズマ症のおもな症状は以下のとおりです。
- 発熱
- 呼吸が速くなる
- 食欲不振
- 下痢・血便
健康な成猫であれば、多くは症状があらわれない不顕性(ふけんせい)感染ですが、子猫や免疫力が低下している場合は、重症化するおそれがあります。
また、トキソプラズマは糞便をとおして人間にも感染します。
妊娠中にはじめて感染すると、胎児への悪影響が懸念されるためとくに注意が必要です。
腫瘍
腺癌やリンパ腫などの消化感内の腫瘍が原因で、血便がでることがあります。
腫瘍の種類やどこにできたかによって多少異なりますが、一般的には以下の症状が見られます。
- 下痢・血便
- 嘔吐
- 食欲不振
- 体重減少
高齢の猫が、嘔吐や下痢をくり返している、食事と関係なく吐いている、元気がないなどの症状が見られる場合は、消化管の腫瘍が疑われます。
早めに動物病院を受診し、検査を受けましょう。
また、消化管内にポリープができた場合も血便の原因になることがあります。
猫の血便の状態
ひとくちに血便と言っても、実は出血している場所や原因によって、色や状態はさまざまです。
それぞれの状態について紹介します。
赤い血(鮮血)が混じっている
赤い血(鮮血)の血便は、出血してからあまり時間が経っていないときに見られます。
そのため、大腸や肛門に近い場所での出血が考えられます。
考えられる原因としては、以下があります。
- 大腸炎
- 腫瘍・ポリープ
- 消化管内の寄生虫
- 肛門周囲の炎症
血便にゼリー状のものがついている
猫が血便をしたときに、ゼリー状の粘液がついていることがあります。
このような便を「粘血便」と言います。
ゼリー状のものは、炎症や異物などによって傷ついた粘膜が剥がれて便と一緒に出てきたものです。
原因には以下が考えられるでしょう。
- 感染症
- 寄生虫感染
- 炎症性腸疾患
- 食物アレルギー
- 腫瘍
赤褐色や黒っぽい色をしている
猫の便が赤褐色または黒っぽいときは、上部消化管(胃・十二指腸・小腸など)での出血が原因の血便です。
便が黒っぽく見えるのは、消化管を通る際に、血液が酸化して黒っぽく変色するためです。
おもな原因は以下となります。
- 胃潰瘍
- 胃腸炎
- 腫瘍
- 感染症
- 寄生虫感染
- 薬の影響
黒っぽい便のなかでも、真っ黒でどろっとしたタール状の便は緊急性が高いため速やかに動物病院を受診してください。
猫が血便をしたときの対処法と注意点
猫が血便をしたときは、驚いてしまうかもしれませんが、落ち着いて状況を確認し、動物病院を受診しましょう。
その際の注意点を紹介します。ぜひ参考にしてください。
血便の受診の目安
血便が出た場合は、重篤な病気の可能性が否定できません。
かならず受診し、獣医師の診察を受けるようにしましょう。
とくに、以下の症状が見られる場合は、速やかに受診してください。
- 何回も便をする
- 血の量が多い
- 血便がつづいている
- 真っ黒なタール便が出ている
血便のほかにも嘔吐・下痢、食欲不振、発熱、元気消失などの症状が見られる場合は様子を見ずに受診してください。
とくに、子猫や老猫など免疫力や体力に不安のある猫の場合は命にかかわる可能性も高いため注意が必要です。
猫が血便をしたら確認しておくこと
猫が血便をしたときは、以下の事柄を記録しておきましょう。
- 血便の色と量
- 形状
- ニオイ
- 回数
- 血便以外の症状(発熱、嘔吐、下痢、食欲など)
そのほか、血便と食事が関連している場合もあります。
食事の切り替え中、はじめてのおやつをあげた、人間のものを食べてしまったなども診断の手助けになりますので、伝えられるように準備しておいてください。
血便を持参する
受診する際は、できるだけ血便を持参してください。
便を検査すれば、寄生虫感染の有無などを確認することができます。
なお、検査に必要な量は、ティースプーン1杯程度となります。
猫の血便の治療法
猫の血便では、便検査や血液検査、画像検査、内視鏡検査などを状況に応じておこない原因を特定します。
原因がわかったら、それぞれの病気に応じた治療がおこなわれます。
おもな治療としては、内服薬や点滴のほか、食事が影響していると思われる場合は、食事の変更が指示されるでしょう。
また、脱水が見られる場合は並行して脱水の治療をおこないます。
また、腸内環境が乱れているときは、乳酸菌のサプリメントを処方する場合もあるようです。
猫の血便の予防法
猫の血便のおもな予防法は以下の3つです。
- ワクチン接種
- 完全室内飼いにする
- 食事管理
猫パルボウイルス感染症は、猫の混合ワクチンには必ず含まれています。
ワクチン接種をおこなうことで予防できる病気です。
子猫にとって致死率の高い病気でもありますから、ワクチン接種ができるようになったら早めに接種してあげてくださいね。
また、寄生虫は猫を外に出さないようにすることで、高確率で予防ができます。
食物アレルギーの場合は、原因となる食材を含まない食事に変更することで予防が可能です。
獣医師の指導のもとで、食事管理をおこないましょう。
また、血便の原因によっては腸内環境を整えることも大切です。
腸内環境を整える効果が期待できるサプリメントの検討をおすすめします。
猫の血便の治療にかかる料金の目安
猫の血便の治療費は原因によって異なりますが、血液検査、便検査、ウイルス検査、点滴などで5,000〜10,000円ほどを見ておきましょう。
ちなみに、猫でよく見られる胃腸炎の場合は、1回の治療で5,000円ほどが目安となります。
また、腫瘍が原因で手術や入院が必要な場合は、10万円以上かかることが予想されます。
獣医師と相談のうえで治療を受けるようにしましょう。
まとめ
猫の血便の理由は多岐にわたり、素人では判断することが難しいと言わざるを得ません。
血便の原因によっては命にかかわったり、緊急性が高かったりする場合もあるため、かならず動物病院を受診し診断を受けるようにしましょう。
また、便は猫の健康状態を知る大きな手がかりとなります。
日頃から愛猫の排便の様子を観察し、回数や状態を把握しておくことをおすすめします。
関連記事:犬が血便した!原因はストレス?病気?便の状態や疑われる病気を紹介
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この記事を書いたのは
ネコヤ カエ
愛玩動物救命士|猫疾病予防管理士|猫健康管理士|犬猫行動アナリスト|
ペット災害危機管理士3級|猫のシニア生活健康アドバイザー|ペットフード/ペットマナー検定
2019年よりフリーライターとしての活動を開始。
ペット専門のライターとしてWebメディアや動物病院HPなどでコラムを多数執筆。
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