2025年版 動物看護師解説 猫は点滴だけで生きられる?点滴後に死亡するリスクは?自宅で行う際の注意点など

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
株式会社スケアクロウにて日々飼い主の皆さまサポートに奮闘中

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あなたの愛猫は点滴を受けたことがありますか?

動物病院ではかなりメジャーな処置なので、治療として施してもらったことのある飼い主さんは比較的多いと思います。

しかし、点滴後に死亡した例があるって本当?自宅で行うことができるの?点滴だけしていれば生き延びられるの?など、疑問を持ったこともあるかと思います。

そこで今回は、猫の点滴に焦点を当て、詳しく解説していきたいと思います。

 

点滴とは?

脱水症状の緩和や栄養補給のため体内に水分や薬剤を取り入れる治療が点滴です。

私たち人の医療界でも栄養補給のため良く行われる点滴ですが、実は獣医療の世界でもメジャーな処置となっています。

ただ、1点異なるのは人間の点滴は静脈点滴のみに対して、動物は皮下点滴という方法がメジャーです。
以下で詳しくお話しします。

静脈点滴

動物界でも静脈点滴を実施することがあります。

入院中や手術中によく選択される方法ですが、動物の場合は留置針という静脈に固定する筒を挿入し、その筒を通して点滴をすることが多いです。

動物はどうしてもじっとしておくことが難しく、静脈点滴中に動いてしまうと点滴が外れたり血管がズレて腫れたり痛みが出るため、入院や手術以外ではあまり選択されることが少ないです。

皮下点滴

動物は皮膚がかなり伸びるため、皮下点滴を行うことがメジャーです。

筋肉と皮膚の間に点滴の液を入れて1日かけてゆっくりと吸収されていくメカニズムです。

皮下点滴は10~15分程度で終わるので、処置が終われば帰宅することができ、その間の痛みはないので動物への負担が少なく、よく選ばれている方法です。

 

点滴のメリット

脱水症状の緩和

点滴の最大のメリットとしては、脱水を緩和することが挙げられます。

猫に多い腎臓病は、病気が進行すると体内に水分を保持することができなくなることで、飲水をたくさんしても常に脱水している状態になってしまいます。

そのため、腎臓病の猫が等間隔で点滴する目的のひとつとしても挙げられます。

薬剤を投与できる

点滴内に薬剤を投与することもメリットのひとつです。

猫は、内服薬を飲ませることが難しい子が多いですよね。

泡を吹いたり、混ぜ込んでもバレて食べてくれなかったり引きこもったりと、猫では定期的にお薬を飲ませることができないパターンが多いです。

しかし、点滴内に薬剤を入れることで薬を飲んだことと同じ効果を得られ、猫のストレスも軽減できます。

点滴内に薬剤を入れられない種類もありますが、基本的には点滴と同時に投与することで痛みもなくお薬を吸収することができるのです。

 

点滴のデメリット

貧血が進む危険性がある

腎臓病の猫に多いのが腎性貧血です。

腎臓病の猫は点滴が治療のメインになりますが、その傍ら点滴をすることで血が薄まり貧血が進んでしまうリスクもあります。

そのため、腎臓病を発症している猫は、一度にたくさんの輸液を入れることが逆効果に働いてしまうこともあるため、少量を頻回に分けて輸液を実施することが求められます。

1週間のうちに間隔をあけて2~3回定期的に皮下輸液をする治療がメインとなります。

 

猫は点滴だけでも生きられる?

結論からいうと点滴だけで生き続けることは難しいです。

猫は絶食状態が続くと「肝リピドーシス」という違う病気になって死亡リスクが高まります。

そのため、口から栄養を摂る必要があり、点滴の栄養だけでは延命は難しいといえます。

猫は3~6日間の絶食で命の危険が高まってしまうため、点滴の処置を受けていても、強制給餌など無理やりでもご飯を食べさせることが求められます。

特にステージ4まで進行している腎不全では食欲不振も顕著に出るため食べさせることに苦労する飼い主さんも多いと思いますが、実際は食べさせるほかないのが現実です。

 

点滴が必要な病気・症状

腎臓病

先ほどから例に挙げている通り、点滴治療が必要な病気の代表として腎臓病があります。

猫は腎臓病を発症する率が非常に高く、罹患率は過半数を超えます。

そのため、皮下点滴をする機会がある飼い主さんも多くいるのではないでしょうか。

腎臓病は点滴がメインですが、内服薬の投与や食事療法、血圧の維持など多方面でケアが必要です。
しかし、犬と異なり猫はうまくコントロールできれば数年闘病できる可能性があるため、腎臓病を初期に見つけて猫にストレスの少ない治療から始めて寿命を全うできるように付き合っていけるといいですね。

関連記事:高齢の猫は腎不全(腎臓病)に注意!ステージごとの症状・治療法・食事について

膀胱炎

膀胱炎でも輸液治療が行われるパターンがあります。

目的としては、膀胱内に溜まっている悪いおしっこを、輸液することで水分を加え、尿量を増やすことで、早めに排出させる目的です。

ただ、注意しないといけないのは尿路閉塞を疑っている場合は、皮下輸液が逆効果になってしまうことです。

おしっこが詰まっていて出ない状態で尿量を増やしてしまうとさらに膀胱内に蓄尿され、膀胱破裂に繋がってしまう恐れがあります。

ですので、膀胱炎が主訴で皮下輸液を実施する際は、獣医師と相談の上行うことが必要です。

関連記事:猫の特発性膀胱炎とは?よくある症状と治療法・予防法について解説

熱中症

実はかかる率の高い病気のひとつに熱中症が挙げられます。

猫は外に出ることが少ないため、熱中症のリスクが少ないと思っている飼い主さんも多いかと思いますが、実際には室内で熱中症になってしまう猫が圧倒的に多いです。

猫を飼っている家庭で、推奨されている室温湿度は「通年20~23℃、湿度50%前後」と定められています。
夏の始まりや梅雨時などの湿度の高い時期は特に要注意です。

熱中症は食欲不振や元気喪失・嘔吐や下痢など、どの病気でも起こり得るような症状で、目立った特徴のある症状を呈さないため気づくのが遅れてしまうこともあります。
さらに、猫は病院ストレスも考えてしまい、様子見をしてしまうこともありますよね。

しかし、実は熱中症は命の危険もある恐ろしい病気です。
あまり様子を見すぎずに早めに受診することを心がけましょう。

熱中症でも脱水症状が進むこともあり、皮下点滴は欠かせない治療のひとつとなります。

膵炎

膵炎という病気を聞いたことがありますか?

その名の通り、膵臓に炎症を起こしている状態です。

膵炎は比較的早期発見が難しく、顕著な異常を表さないのも特徴のひとつです。

膵炎は主に消化器症状を呈するため、水分の調節や電解質という体液のミネラルバランスを補正する目的で点滴を行います。

通常、静脈点滴が有効ですが、入院しない通院での処置を希望される飼い主さんには皮下点滴でお返しする方法もあります。

膵炎は嘔吐が見られることが多く、制吐剤を投与するケースが多いです。

制吐剤を口から飲ませても吐き気がある内は、薬が体内に吸収されないこともあるため、基本的には輸液内に薬剤を投与するか、注射で入れるかになります。

嘔吐や下痢

嘔吐や下痢などの消化器症状がある際にも、点滴は有効な処置です。

嘔吐や下痢は多くの病気の症状として考えられますが、基本的に電解質の補正や水分の補給を目的として点滴を行います。

猫は比較的嘔吐が多い動物ですよね。
毛玉を吐いたり吐き戻しをしたり、愛猫が吐いているのを見る機会がある飼い主さんも多いのではないでしょうか。

しかし、一日に数回吐く、食欲もない元気もないという場合は、獣医師に一度相談してみましょう。
大きな病気が隠れているケースもあります。
嘔吐がひどい場合は内服薬での治療ではなく、薬剤を点滴に入れて施すことが有効です。

 

自宅点滴の注意点

慢性の腎臓病を患った猫は、点滴の頻度が高いため自宅での点滴を指導されることもあります。
自宅点滴は必ず守ってほしい注意点が存在します。

皮下に入っているか確認する

自宅で行うのは皮下点滴がほとんどです。

皮下点滴では、しっかりと皮下に針を刺入して行うことが重要です。

愛猫が痛がる様子があれば筋肉に刺さっていることもありますし、点滴の落ち具合が遅ければ皮内に入っていてのちに皮膚にコブができてしまうこともあります。

また、点滴は背中に打ちますが、時間が経つと重力でお腹の方に回ります。

打つ場所がズレてしまうと脚に輸液が溜まったり、腕に溜まってしまい、痛みの原因となってしまうため、位置にも注意して行う必要があります。

頻度・用量を守る

自宅での点滴指導も、愛猫の様態や病気の進行グレードによって決められています。

勝手に頻度を減らしたり増やしたり、用量を変えてしまっては意味がありません。

貧血を助長させたり毒素の軽減が思うようにできなかったりと、きちんとした治療ができないことに等しくなります。

そのため、獣医師の指示は必ず守って行うようにしましょう。

廃棄物を自分で処理しない

点滴を自宅で行う際に出る廃棄物は医療廃棄物に該当します。

針の部分や血の付いたものなどは、基本的に自身で廃棄せず動物病院へ持参するか医療廃棄物として回収してもらうようにしましょう。

 

点滴の通院(自宅点滴)にかかる費用の目安

点滴のみでの通院の相場は1週間で10,000~30,000円程度となっています。

1回の通院での点滴処置は、診察代や薬剤も含めて4,000円~5,000円程度が相場です。

腎臓病だと週2~4回の点滴がメインとなり、その回数分費用が掛かります。

また、自宅点滴は通院に比べると安価に設定されている病院が多いため、1週間で10,000円前後と予想されます。

さらに腎臓病は内服薬や食事療法なども取り入れるケースが多いため、実質は30,000~50,000円/月かかることもあります。

 

点滴後に死亡する理由は?

実は、かなり稀ではありますが、点滴が原因で命を落とす猫も数頭報告されています。

報告例のあるケースとして皮下点滴後、体内の補液が異常な場所で溜まってしまい、吸収しきれず皮膚が壊死してしまうことで命を落とすケースです。

また、死亡例とまではいきませんが、膀胱炎で結石の有無を検査をせず皮下輸液を実施後、尿路閉塞で重篤になるケースや貧血がすすみふらつきが出る・皮下輸液後の体のバランスが傾くことでキャットタワーから転落して怪我したりという事例も存在します。

皮下輸液はメジャーな処置で、多くの猫が経験済かと思いますが、獣医師の指示の元、特に自宅で行う際には十分注意して行う必要があります。

 

まとめ

猫の点滴について理解を深めましょう🐱
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動物病院での点滴処置はメジャーな処置であることがわかりましたね。

中でも腎臓病にかかりやすい猫は、点滴を受ける機会も多いかと思います。

他にも膀胱炎・膵炎や消化器症状・熱中症などの際には、水分の補給・脱水症状の緩和・電解質の補正などを目的に行われることがあります。

また、自宅点滴を指導された場合は、用量と頻度を必ず守り、皮下にきちんと入っているか確認して慎重に行うようにしましょう。

猫は点滴だけで生き延びるのは残念ながら難しく、食べさせることも重要です。

点滴さえすれば良いとは認識せず、しっかりと看護するようにしましょう。

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この記事を書いたのは
中村千尋
愛玩動物看護師
大阪ペピイ動物看護専門学校卒業
認定動物看護師資格取得・ペット栄養管理士資格取得
兵庫県内の動物病院で勤務(現在も勤続中)
愛玩動物看護師国家資格取得
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