胃捻転症候群という言葉を聞いたことがありますか?
胃捻転はとても危険な状態で、それこそ急死してしまったりと命の危険が高い病気です。
なってしまった時の応急処置は何ができるのか、症状はどんなのが出るのか、予防策はあるのかなど、今回は胃捻転について詳しく解説していきます。
胃捻転とは?
胃捻転とは、胃が何らかの理由でねじれて(捻転して)しまい、急激に体調が悪くなってしまう病気です。
生活習慣や食事などが影響するため、大型犬に多い病気ですが小型犬でも発症します。
放っておくと消化器官が壊死してしまい、命を落としてしまう緊急疾患です。
胃捻転になりやすい犬種・特徴
なりやすい犬種
グレート・デーンやセント・バーナードは胃捻転のリスクが高い危険な犬種です。
およそ20%~25%が罹患しているデータがあり、かなり用心して置く必要がある犬種だといえます。
なりやすい犬の特徴
胃捻転は基本的に大型犬に多く、中型~大型犬を飼っている家庭では、常に注意が必要です。
また、加齢に伴い胃捻転になってしまうことが増える傾向になるので、若い時と同じ生活を続けていると、急に胃捻転を発症してしまうケースも珍しくありません。
高齢になるにつれて食事管理などをしっかりとしておくように心がけましょう。
胃捻転の原因
過食
胃捻転は、胃がねじれることで起こる病気です。
過食によって胃の中の内容物が多いと、それだけでねじれてしまう危険性は高まります。
私たち人も、お腹いっぱいに食べると胃が膨れてパンパンになりますよね。
パンパンな状態だと、胃が拡張している状態になり、普段よりもねじれてしまう可能性が高くなってしまいます。
普段の食事量もしっかりと管理し、盗み食いなどの癖がある犬には注意を払い、食べている量を把握して胃拡張の状態を作らないようにしてこくことが必要ですね。
ストレス
実は、ストレスも胃捻転を引き起こす原因になってしまうことがあります。
ペットホテルなどの大きなストレス後は、よりいっそう注意が必要です。
ストレスがかかることで消化器官の動きが悪くなってしまい、胃の中に食べ物が入った状態が長く続くことで、胃捻転のリスクが上がるといわれています。
短期間のストレスでも、なるべく早くストレスを除去して、原因をなくせるようにしましょう。
関連記事:犬のストレスとは?ストレスサインとその原因、解消法
胃捻転の症状
嘔吐・えずき
胃捻転の際は、高確率で嘔吐が起こります。
胃がねじれてしまっているため、消化管運動は一切働かなくなり、食べ物が入っただけでなくお水を飲んでも吐いてしまいます。
また、吐くことがなくても空嘔吐のようなえずきが確認され、とにかく苦しそうに見えることでしょう。
さらに、胃捻転時は嘔吐が何度も続くケースが多く、1回きりでその後食欲が戻り元気になっているということは少ないです。
ですので、少しでもおかしい嘔吐が見られたら即行動を心がけましょう。
パンティング
パンティングとは、犬によくみられる呼吸状態が早くなる現象です。
暑い時や運動後など、舌を出してハァハァしていることを見かけたことがあるのではないでしょうか。
その状態をパンティングと呼びます。
胃捻転時も、パンティングが見られることがあり、この場合のパンティングは体温調節ではなく呼吸状態が悪くなったり息が苦しい時のサインであることが多いので、見過ごさないように注意が必要です。
嘔吐、パンティングが見られたら緊急受診するべき状態であることも念頭に置いて行動するようにしましょう。
粘膜の色が青白くなる
パンティング時にでも、愛犬の舌の色を確認してみましょう。
いつものピンク色でなく、青白くなっていませんか?その際は、かなり要注意です。
可視粘膜が青白くなっている時は、酸素のめぐりが悪く、全身状態を急激に悪化する原因となってしまいます。
迷わず、急いで動物病院へ連れていきましょう。
胃捻転の治療法
手術
胃捻転の治療は、基本的に手術を行う場合が多いです。
開腹し、胃のねじれを元に戻します。
そして再発しないように、胃を体壁に固定する固定術が行われます。
また、その際に胃のガスを抜去したり胃の内容物を取り除くこともあります。
また、壊死している部分があれば、除去手術も行います。
整復術・固定術が終わり壊死部分も除去したら閉服し手術は終了です。
入院
手術がメインとなる治療ですので、必ず入院はつきものです。
動物病院ごとに治療方針は異なりますが、平均的には10日間以上の入院が多いです。
手術後の管理としては、胃を切ったりしているため食事や消化器官に問題がないか、少量の流動食などから、慣らしていく必要があります。
術後数日は静脈点滴などで体液を保持します。
飲水が問題ないかもチェックし、食欲や元気が出て食べ物を食べ消化吸収、排泄が問題なくでき、傷口も問題なければ無事退院となります。
退院後も通院は必須で、予後の観察をしていく必要があります。
また、その間の栄養指示や生活指導はしっかりと獣医師の指示に従い、愛犬の回復に努めましょう。
胃捻転の予防法
食事直後の運動を避ける
胃捻転の一番多いタイミングは、食後の運動です。
食事後すぐに運動すると、胃の中にパンパンに食べ物が入っている状態になり、走ったりジャンプしたり、段差の上り下りの衝撃などで、簡単に重みのある胃がねじれてしまう危険性があります。
大型犬は小型犬に比べて胸が深く、振り子の原理のようにねじれる危険性が高いです。
また、大型犬は散歩や運動が欠かせないですよね。
そのため、胃捻転を気にして、食事後は2時間程度安静にしておき、運動する時間を考えるようにしましょう。
食事管理をする
胃捻転は、過食でもリスクが高まってしまうと説明しました。
過食を抑えるためには、食事管理を徹底する必要があります。
食事の量や時間はもちろん、おやつなどの間食にも気を配りましょう。
また、盗み食いの癖がある犬は特に要注意です。
知らない間に胃に食べ物が入っていることになり、普段のおやつやご飯を食べることでいつもよりも胃に食べ物が入ることにで胃拡張に繋がり、胃捻転のリスクを高めてしまうのです。
食事の時間も、間隔をなるべく均等にし、胃にも負担をかけないように管理したいですね。
早食いをやめさせる
犬の胃捻転は、早食いが原因で胃拡張を起こすこともあります。
そのため、早食い癖のある犬はなるべくやめさせることをおすすめします。
早食い防止対策には、早食い防止のフードボウルを使用したり、少ない量を5分間隔で出して細かく時間をかけるなどの策があります。
早食いは子犬の時に多く、習慣化してしまうことが多いので、なるべく序盤のうちに早食い対策をしておくことをおすすめします。
ストレスを最小限にする
ストレスも胃捻転のリスクを高めてしまう原因となります。
ですので、ストレスを掛けないこともとても大切です。
しかし、どうしても来客や動物病院への受診、引っ越しなどのやむを得ないことも生活している上ではありますよね。
その際は、なるべく早めにストレスを無くしたり最小限に抑えることに徹しましょう。
ペットホテルや周囲の騒音などの大きなストレス・長期間のストレスが予想される時は、内服薬の投与なども検討し、獣医師に相談してみましょう。
胃捻転で急死することはある?
結論から言うと、胃捻転で急死する可能性はあります。
さらに、胃捻転は死亡率が高い病気でもあります。
胃捻転は急激に全身状態を悪くしてしまう病気です。
胃がねじれてしまうことで消化管が停滞し、血流が止まり壊死してしまいます。
その状態で数時間経ってしまうと、回復する見込みがなく死に至ってしまうケースが多いです。
胃捻転は緊急疾患です。
迷わずに動物病院へ駆け込みましょう。
初動の速さで救える命もあるので、様子見することなく診てもらえる動物病院を受診することをおすすめします。
応急処置は?
残念ながら、胃捻転時に家でできる応急処置はありません。
即動物病院への受診が求められます。
ただし、受診までの間、ショックを防ぐために身体を毛布などでくるんで急激な体温低下を防ぎましょう。
また、急激に症状が悪化する病気ですので、緊急受診する時には、あまり身体を動かさずに車や抱っこで連れていくことが好ましいですね。
また、獣医師が行う応急処置として、胃のガスを抜いたりすることがあります。
基本的に手術が必要になる病気ですので、手術までの応急処置として行うケースがあります。
胃捻転の治療にかかる料金の目安
胃捻転時の治療は主に手術と入院が必要とお話ししました。
動物病院ごとに設定は異なりますが、胃捻転整復術・固定術合わせて20万円前後が相場となっています。
また、壊死部分の除去と胃ガスの抜去なども加わると30万円近くなるケースもザラにあります。
さらに、入院は入院管理・点滴管理や検査・食事指導など、かなり手暑く管理されているため、大体1日につき20,000円前後かかる見込みです。
日数や治療内容によって大幅に変わりますが、全体的に50万円程度と認識しておくと良いでしょう。
また、胃捻転は免責事項をのぞきペット保険が適応されますので、ペット保険に加入している飼い主さんは、請求を怠らないようにしておきましょう。
まとめ
胃捻転は、死亡率の高い緊急疾患です。
胃捻転で急死してしまうことは大いにあり得ます。
胃捻転は急激に全身状態を悪化させ数時間で死亡してしまうリスクがある、恐ろしい病気です。
症状としては、パンティング(呼吸回数の増加)や嘔吐・えずき・食欲廃絶や元気喪失、可視粘膜の色の変化などが挙げられますが、一目で見て飼い主さんが愛犬の様子がおかしいと気付けるはずですので、急激に症状が出始めた際は、即動物病院へ駆け込みましょう。
また、原因としては過食や食事管理、食事直後の運動、ストレスなどが挙げられるため、予防策としては食事管理を徹底すること・食後2時間程度は安静にし運動する時間を考慮する・ストレスを最小限にする・早食いをやめさせるなどが効果的です。
さらに、胃捻転の治療は手術と入院がメインとなります。
その際は、25万円~50万円程度の治療費がかかることを念頭に置いておきましょう。
大型犬がなりやすい胃捻転ですが、小型犬でもなる危険性はあります。
そのため、大型犬はもちろん、小型犬でも気にして知識として持っておくと良いでしょう。
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この記事を書いたのは
中村千尋
愛玩動物看護師
大阪ペピイ動物看護専門学校卒業
認定動物看護師資格取得・ペット栄養管理士資格取得
兵庫県内の動物病院で勤務(現在も勤続中)
愛玩動物看護師国家資格取得
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