2025年版 専門家が解説 猫の口呼吸の原因はストレス?それとも病気?対処法や危険な呼吸も紹介

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
株式会社スケアクロウにて日々飼い主の皆さまサポートに奮闘中

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猫は犬のように口を開けて呼吸をすることはありません。
猫が口呼吸をするのは珍しく、なんらかの病気のサインの可能性が高いです。
しかも、命にかかわる重篤な病気が隠れている場合も多く、一刻を争うケースも。

今回は、猫の口呼吸の原因や考えられる病気、対処法、危険な呼吸などについて詳しく解説します。

関連記事:猫の呼吸が速い原因は?ストレス?元気でも動物病院に行くべき?

 

猫の口呼吸は要注意サイン

猫は鼻呼吸が基本です。
そのため、通常は犬のように口を開けて「ハァハァ」と呼吸をすることはありません。
猫が口呼吸をしているときは、呼吸困難を起こす前兆や重大な病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。

たとえば、一刻を争う熱中症、慢性的な呼吸器疾患や心疾患などが原因としてあげられます。

猫の口呼吸は命にかかわることもあるため、安易に考えるのは危険です。
口呼吸が継続する場合は、夜間や休日であっても早急に動物病院を受診し対処する必要があります。

 

猫が口呼吸をする4つの原因と症状

猫の口呼吸の原因はさまざまで、危険性の低いものから、早急に対処しなければ命を落とす重篤な病気が隠れている場合まであります。

ここでは、猫が口呼吸をしている際に考えられるおもな原因と症状を4つ紹介します。
あわせて、起こり得るリスクについても見ていきましょう。

1.激しい運動をした

猫が口呼吸をする原因のひとつに、激しい運動があげられます。
とくに子猫に多く見られる原因です。

子猫は自分の限界がわからないため、遊びで興奮して激しく動きすぎてしまうことがあります。
呼吸器や心臓が未熟なため息切れを起こしやすく、口呼吸になると言われています。
また体内に溜まった熱を放出するために口呼吸になる場合もあります。

通常、運動が原因で起きる口呼吸は一時的なもので、継続することはありません。
多くの場合は心配は不要です。
ただし、口呼吸が長時間継続する、激しく息切れをしているときは、他の病気が隠れている可能性があるため注意が必要です。

2.極度のストレス・恐怖

猫にとって、極度のストレスや恐怖も口呼吸の原因になり得ます。
たとえば以下のような状況で起きがちです。

  • 苦手な場所に連れてこられた(動物病院など)
  • 初対面の猫や人と会った
  • 車・電車・バスなどでの移動
  • 引越しなどで環境が変わった

猫はストレスや恐怖を感じると心拍数が上昇して呼吸が速くなります。
その結果、酸素を取り入れようとして口呼吸になるのです。

ストレスや恐怖が原因の口呼吸は一時的な反応ですから、落ち着けば大きな問題になることはありません。
ただし、動物病院への受診など特定の状況でくり返し口呼吸になってしまう場合はなんらかの対策を講じる必要があるでしょう。

3.鼻づまり

猫も鼻づまりが酷くなると、息苦しくなるため口呼吸をおこないます。
猫の鼻づまりの原因には以下が考えられるでしょう。

  • 猫かぜなどの感染症
  • 鼻腔内の腫瘍
  • アレルギー
  • 異物混入

猫の嗅覚は非常にすぐれており、食べ物やまわりの状況を把握する役割もあります。
そのため、猫が鼻づまりになると食欲不振の原因になってしまう場合も。

たかが鼻づまりと思うかもしれませんが、口呼吸になってしまうほどの鼻づまりでは健康や命にもかかわります。
早急な対処が求められます。

4.病気の症状

猫の口呼吸の原因でもっとも注意が必要なのが病気によるものです。
猫が口呼吸になる病気には、肺や気管支などに障害が生じる呼吸器疾患と心臓から血液を効率的に送り出せなくなる心疾患があげられます。

そのほかには、熱中症や横隔膜ヘルニア、貧血なども口呼吸の原因になり得ます。

詳しくは後述しますが、口呼吸の原因となる病気には重篤なものも多く、放置は厳禁です。

 

猫の口呼吸で疑われる4つの病気

上述のとおり、猫は鼻呼吸が基本の動物です。
そんな猫が口呼吸をするのは、なんらかの病気が隠れている可能性があります。

猫の口呼吸で疑われる病気を5つ紹介します。

1.呼吸器疾患

猫の口呼吸を引き起こす病気の代表とも言えるのが呼吸器疾患です。
口呼吸の原因になる呼吸器疾患には以下があげられます。

  • 猫かぜ
  • 肺炎
  • 肺水腫
  • 肺がん
  • 猫喘息
  • 気管支炎

これらの病気が原因となり、気管支や肺に炎症がおきたり、塞いだりすると、十分に酸素が取りこめなくなり、呼吸が苦しくなります。
すると、酸素をたくさん取り込もうとして口呼吸をするようになるのです。

猫の呼吸器疾患では咳を伴うことが多く、頻繁な咳や継続的な咳は呼吸器に異常が生じているサインです。

呼吸器疾患のなかでも、とくに注意したいのが猫かぜです。
猫かぜは非常によく見られる病気で、ヘルペスウイルスやカリシウイルスなどの感染が原因となります。
人間のかぜに似ていることから通称「猫かぜ」と呼ばれています。

猫かぜをこじらせると、鼻づまりや肺炎を引き起こして口呼吸の原因になりますので、要注意です。

2.心疾患

猫の口呼吸では、呼吸器疾患と並んで注意が必要なのが心疾患です。
原因となる心臓病には、心臓弁膜症や肥大型心筋症などがあげられます。
猫では肥大型心筋症が多く、メインクーンやラグドールなどの大型の猫は遺伝的に肥大型心筋症になりやすいと言われています。

肥大型心筋症とは、心臓の筋肉が肥大(厚くなる)して、血液をうまく送り出せなくなる病気です。
その結果、体内の酸素が不足するため、酸素を取り入れようとして口呼吸をするようになります。
初期症状はほとんどなく、症状がかなり進行するまで気づかないことも多いです。

また、健康で心雑音などが見られない猫の15%が肥大型心筋症だとも言われています。
子猫での発症例のあるため、年齢問わずに注意が必要な病気と言えるでしょう。

心疾患の口呼吸は、安静時にも見られるのが特徴です。
猫の心臓病は突然死の原因にもなり得る病気です。
早急に動物病院を受診しましょう。

関連記事:猫の肥大型心筋症とは?ACVIMのガイドラインを中心に解説

なお、猫の心疾患では血流改善作用や心筋保護が期待されるサプリメントの使用もおすすめです。

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3.熱中症

熱中症で体温が上昇すると口呼吸が見られるようになります。
猫は汗をかけないため、上がりすぎた体温を下げようとして口呼吸をするのです。

猫の熱中症では、口呼吸のほかに以下の症状が見られます。

  • 体温の上昇
  • よだれ
  • 呼吸が速い
  • 嘔吐・下痢
  • ぐったりしている
  • 足元がふらつく

猫の熱中症は進行が速く、急激に悪化して、最悪は命を落とします。
合併症を起こした場合、死亡率は36%~50%と言われています。
これらの症状が見られたら、応急処置をおこない早急に動物病院を受診しましょう。

熱中症というと夏のイメージがありますが、暖房器具を使用する冬にも注意が必要です。
こたつの中で長時間過ごす猫はとくに気をつけましょう。

4.横隔膜ヘルニア

横隔膜ヘルニアが重症化すると呼吸が苦しくなり、口呼吸をする場合があります。

横隔膜ヘルニアとは、心臓や肺がある胸腔と胃などがある腹腔をわけている横隔膜に先天的または外傷などにより穴が開いて、腹腔の内蔵が胸腔に飛び出している状態です。

腹腔に内蔵が飛び出すと、肺が膨らむスペースがなくなるため、呼吸が妨げられるようになります。
その結果、酸素を取り込もうとして口呼吸になるのです。

横隔膜ヘルニアの口呼吸は、安静時にも見られることがあります。
安静時の口呼吸は心臓病の可能性もありますので、気づいたらすぐに動物病院を受診しましょう。

 

猫の正常な呼吸と危険な呼吸

正常な呼吸とは?

猫の呼吸が正常なのか危険なのかを判断するためには、それぞれの状況を知っておく必要があります。

健康な猫の呼吸は口を閉じた状態での鼻呼吸です。
呼吸数は、安静時で1分間に「20〜40回程度」、睡眠時は「15〜20回程度」とされています。
この回数よりも多いのも少ないのも要注意です。

もし、安静時の1分間の呼吸数が60回を超えている場合は、明らかな異常です。
健康上なんらかの問題があると考えられます。

危険な呼吸とは?

猫の口呼吸が危険なことをお話してきましたが、ほかにも以下のような呼吸には注意が必要です。

  • 肩で息をしている
  • 鼻の脇を大きく膨らませる鼻翼呼吸をしている
  • 胸を大きく膨らませて呼吸をしている
  • ゼーゼーという異音がしている
  • 呼吸が速い(1分間に60回以上はあきらかに異常)
  • 呼吸が浅い

これらの呼吸はすべて異常な呼吸です。なんらかの病気の可能性があります。

猫の呼吸数の計測方法

猫の呼吸数の計測方法は以下となります。

  1. 安静にしている状態で計測をする
  2. 胸が上下するのを1回としてカウントする
  3. 10秒間の呼吸数を数える
  4. 呼吸数を6倍にする

呼吸の異常に気づくためにも、正常な呼吸の状態を把握しておくことが大切です。
定期的に呼吸数を確認するようにしましょう。

 

猫が口呼吸をしているときの対処法

猫が口呼吸をしている場合は、重篤な病気が隠れていたり、命にかかわる状態になっていたりする場合が多いです。

以下のような症状が見られる場合は、休日や夜間でも診てもらえる動物病院を探し、早急に受診しましょう。

  • 長時間つづけて口呼吸をしている
  • 頻繁に口呼吸をしている
  • 鼻翼呼吸をしている
  • 肩で息をしている
  • 呼吸数が多い
  • 舌が青紫色になっている

ただし、激しい運動をしたあとや、極度のストレス・恐怖を感じたときにも口呼吸になります。
ほとんどは一時的で数分ほどで通常の呼吸に戻ります。
このような場合は、様子を見ても大丈夫な場合が多いでしょう。

 

猫の口呼吸と間違われやすいフレーメン反応

猫は犬のように口を開けることは、基本的にありません。
そのため、口を開けているときは口呼吸をしていると考えても良いでしょう。

ただし、ひとつだけ注意しなければいけないことがあります。
健康な猫でも口を半開きにしてポカーンとした表情で一点を見つめることがあるのです。
このような行動を「フレーメン反応」といいます。
フレーメン反応とは、ニオイに反応しておこる生理現象です。

以前SNSで、愛猫のフレーメン反応を見て、一瞬だけ口呼吸をしていたと心配されている飼い主さんがおられましたが、フレーメン反応の場合は、反応がおさまればすぐにいつも通りの状態に戻ります。

 

まとめ

猫の場合「口呼吸をしていたら一大事」と思っても大げさではありません。

健康な猫の呼吸は鼻呼吸です。
もし、安静時に口呼吸をしていたら、呼吸器疾患や心疾患などの病気の可能性が高いでしょう。
これらの病気は、命にかかわる病気も多く、突然死の原因になるものもあります。
また、熱中症など一刻を争う状態の可能性もないとは言えません。

激しい運動をしたなど病気以外の原因がなければ、休日や深夜でも迷わずに動物病院を受診しましょう。

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この記事を書いたのは
ネコヤ カエ
愛玩動物救命士|猫疾病予防管理士|猫健康管理士|犬猫行動アナリスト|
ペット災害危機管理士3級|猫のシニア生活健康アドバイザー|ペットフード/ペットマナー検定
2019年よりフリーライターとしての活動を開始。
ペット専門のライターとしてWebメディアや動物病院HPなどでコラムを多数執筆。
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