獣医師が解説 犬の健康診断はする?しない?何歳からやるべき?

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
株式会社スケアクロウにて日々飼い主の皆さまサポートに奮闘中

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犬に健康診断は必要か?

人であれば、学校や会社で健康診断を行いますよね。
また、健康診断の内容も、若い時は項目が少なくても、年齢を重ねると行う項目も増えてきますよね。
そういった形で、人では定期的な健康診断の実施と、年齢により検査を行ことが推奨される項目の目安があると思います。

では、わんちゃんではどうでしょうか?

健康診断を行うべきかどうか、私自身もよく相談をお受けします。

わんちゃんは、1歳で人における約20歳を迎えます。
以降は、1年で人における約4歳分の年齢を重ねます。
ということを考えますと、わんちゃんで1歳を迎えたら、人では必ず1回は健康診断を受けているべき年齢になります。

実際に、0歳~3歳のわんちゃんに血液検査を行ったところ、4.9%のわんちゃんに異常値が見つかったとの報告がされています。(2017~2018年Team HOPE調べ)。

近年、病気に関しては早期発見・早期治療を行うことが推奨されていますので、まだわんちゃんが若くても健康診断は実施すべきだと思います。

また、もし異常が見つからなかった場合でも、健康であることの裏付けとして安心できますし、万が一病気になった時に、健康な時のデータと比較することで、早期の診断・治療へと繋げていくひとつのエビデンスとなるでしょう。

 

犬の健康診断はどこまでできる?

人であれば、健康診断ということを理解することができるので、採血などで多少痛みを感じても協力的に行うことができます。
しかし、わんちゃんは健康診断ということを理解できませんので、その子の性格によって実施できる検査とできない検査があるかと思います。

一般的には、聴診や触診などの身体検査、血液検査、ホルモン検査、血圧検査、糞便検査、尿検査、胸部・腹部レントゲン検査、胸部・腹部エコー検査などが一般的な項目と思われます。
また、動物病院の設備によっては、CTなどを健診として行う病院もあります。

その他、がんの早期発見として、N-NOSEあにまる(株式会社HIROTSUバイオサイエンス)やNu.Q® cancer Test (富士フイルムVETシステムズ(株))という、最先端の検査も出てきています。
アレルギー性皮膚炎など、アレルギー体質が疑われる子では、アレルギー検査を追加することも可能でしょう。

年齢やわんちゃんの体調に応じて、適切な検査項目・検査プランを選んでいきましょう。

また、あまりにも受診するのがストレスであったり、暴れてしまったりする場合は、事前に気持ちを落ち着かせるお薬を服用してから健康診断を実施する場合もあります。
健康診断を受ける前に、電話等で確認をしておきましょう。

 

健康診断で見つかる病気とは?

人であれば、自分で「痛い」「だるい」などの体調の変化に自分で気づき、それを他人に伝えることができます。
しかし、わんちゃんはそうはいきません。状態が進行するまで病気に気が付けないことは多々あります。
その他、「よく食べる」「よく水を飲む」などの症状が、病的な症状だと気づけずに見過ごしているパターンもあります。
定期的な健康診断を実施することで、症状が出る前や、出ていても気づけなかった病気を発見できる可能性があります。

例えばよくあるパターンとして、

    • ①血尿や膀胱炎にはなってないが、尿検査やレントゲン検査、エコー検査で腎臓や膀胱に結石が見つかった。
    • ②元気で食欲もあるが、エコー検査で内臓に小さなしこりが見つかった。
    • ③歯磨きができないから、歯磨きガムだけを与えていたが、歯石が多量にたまっていて、食欲は問題ないが歯肉炎になっていた。
    • ④よく水を飲むので健康的だと思っていたら、慢性腎臓病もしくはホルモンの病気だった。
    • ⑤以前から心臓に雑音があると言われ、最近疲れやすさを感じていたが、実際に胸部のエコー検査を行うと、お薬を飲むべきレベルの弁膜症が見つかった。
    • ⑥高齢になって歩き方がゆっくりになったと思っていたら、レントゲン検査で関節炎が見つかった。

などが挙げられます。

実際に治療が必要かどうかは、検査結果とわんちゃんの症状を鑑みて判断されることが多いです。
もし治療が必要のない範囲と判断された場合、サプリメントなどでフォローアップしていあげると、わんちゃんとしてはうれしいことだと思います。

腎臓や膀胱に結石がある場合は「ウラジロガラシエキス末」、弁膜症であれば「フランス海岸松樹皮抽出物(ピクノジェノール)」、関節炎であれば「グルコサミン」や「コンドロイチン」、「非変性Ⅱ型コラーゲン」、「プロテオグリカン」などがオススメです。

 

犬の健康診断の費用は?

わんちゃんの健康診断の費用は、実施する動物病院や検査する内容によって大きく異なります。

血液検査のみであれば5,000円から10,000円程度、そこに便検査や尿検査、レントゲン検査、エコー検査を加えると2~3万円程度、さらにホルモンやアレルギー検査を加えると、4~6万程度になると思われます。
だいたいが、個別に検査を行うよりまとめて検査を行うと安くなるように、健康診断パックのようなものを実施している病院が多いでしょう。

わんちゃんの年齢や状態に応じ、適切な検査を選びましょう。

 

犬の健康診断はどこまでやるべき?

健康診断を開始する年齢は、前述の通り1歳からでも行う価値はあるでしょう。
それ以降の健診の頻度に関しては、若くて持病がない場合は1年に1回のペースで良いでしょう。

しかし、わんちゃんは人の4倍のスピードで年齢を重ねるため、1年間健診をしないと、人でいうと4年間健診をしていないことになります。
ですので、持病がある場合や、高齢になってきている場合は、半年に1回のペースで健康診断を行うとより安心できるでしょう

費用面が気になる場合は、包括的な健診は1年に1回にし、血液検査だけ、尿検査だけ、エコー検査だけ、などの部分的な健診をこまめに行うのも一つの方法です。

 

犬の健康診断を受ける際に注意点は?

人の健康診断でも、朝ごはんを抜いてくるように、わんちゃんの健康診断を受ける前にもいくつか注意点があります。

健康診断は予約制になることが多いので、予約の際に以下の項目は事前に問い合わせて確認しておきましょう。

①絶食

血液検査やエコー検査などでは、食事をしてしまうと一部結果に影響が出て、正確な結果が得られない場合があります。

通常、検査から8~12時間の絶食をすることが多く、水に関しては当日の朝から来院前までの飲水に留めることが多いと思われます。

実施する検査や動物病院により指示が異なりますので、確認をしましょう。

②採尿・採便

尿検査や便検査を行う場合、事前に尿や便を回収・持参するように指示があると思います。
どちらも可能な限り新鮮な方がよいと思われます。
便であれば、だいたい小指の第一関節より先の大きさがあれば行えると思われます。
尿に関しては、可能な限り多めに採取するとよいでしょう。

採尿は慣れないとなかなか難しいテクニックですので、採尿前に何回か練習してみることを推奨します。
一番簡単なのは、トイレトレーを一度きれいに清掃し、ペットシーツを裏側に(給水しない面で)セットし、そこに排尿した尿をスポイトや注射器で回収する方法です。
回収した後は、雑菌が繁殖しないよう、涼しいところで保存しましょう。
自宅での回収が難しい場合、病院内でカテーテルや注射針を用いた採尿が行われることもある為、事前に動物病院の方に確認しましょう。

③お預かりについて

健康診断は概ねお預かりして行うことが多く、お昼の休診時間に実施することが多いと思われます。
午前中に絶食でお預かりし、午後の診察時間で結果の説明とお返しになることが多いでしょう。

そのため、絶食時間が長くなってしまうので、必要に応じて検査後に食べられる食事やおやつを持っていくとよいでしょう。

また、動物病院に行くと恐怖で暴れてしまったり、噛みついてしまったりする子もいます。
その際は、予め動物病院に相談しておくとよいでしょう。

暴れてしまう子は、来院前に気持ちが落ち着くお薬を飲ませてから来院するよう指示が出ることがあります。
噛みついてしまう子は、自宅で事前にエリザベスカラーや口輪をつけた上で受診するとスムーズに健診が行えるでしょう。

④気になる症状を記録

例えば嘔吐などであれば、どのタイミングで吐くことが多いのか?一週間にどれくらい吐くのか?など、様子を詳細に書き留めておくことでより正確にわんちゃんの状態を獣医師に伝えることができます。

例えば歩き方が気になる場合は、その歩き方を動画で撮影すると、より正確にわんちゃんの状態を獣医師に伝えることができます。

そういった事前の情報があると、獣医師側も必要な検査を的確に提案することができ、病気の見逃しも少なくなり、円滑なコミュニケーションをとることができます。

 

以上の点に注意しながら、事前に動物病院に問い合わせをしてみましょう。

 

まとめ

現在、わんちゃんにおいても高齢化が進んでいます。
高齢化が続くとともに、慢性的な病気も増加しています。

そういった病気こそ、早期発見・早期治療を行うことで、わんちゃんの生涯をより良く過ごすことができ、飼い主様もわんちゃんとの幸せな時間が長く続くことでしょう。

医療機器も発達し、病気の治療も進化していく現代において、健康診断の実施はとても大事なことだと思います。

「あの時、早く病院に行っていれば…」と後悔しない為にも、定期的な健康診断の実施をおすすめします。

参考資料
・Team HOPE公式サイト

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この記事を書いたのは


浅川雅清
獣医師
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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