血尿とは?
血尿とは、尿の中に血液が混じることを指します。
ヒトにおいて血尿の原因は、感染症、膀胱炎、腎盂腎炎、腎結石や尿管結石、横紋筋融解症、腫瘍などが原因となるようです。
犬や猫においても似たような原因で血尿を起こすのですが、うさぎの場合は意外な病気で血尿を起こすことがあります。
また、犬のように生理時の「発情出血」が無い為、陰部からの出血は概ね血尿であることが多いです。
うさぎの正常な尿とは?
うさぎの尿の性状は、犬や猫と大きく異なります。
通常であれば、尿の色は「黄」を思い浮かべると思いますが、うさぎの場合は正常でもポルフィリン尿のような「色素尿(赤色尿)」を排出すると言われています。
そのため、外見での判断が難しく、尿検査で正常かどうか確認する必要があります。
ただし、うさぎの採尿は容易ではないことも多いです。
トイレトレーを洗浄し衛生的にした上で、すのこの下に何も敷かず、たまった尿をスポイトなどで回収する方法が簡易的ですが、便や食渣が混ざることも多々あります。
ペットシーツを用いた採尿方法もありますので、検査の前には事前に動物病院に問い合わせておくと良いでしょう。
また、新鮮な尿でないと検査に影響が出てしまうため、採尿して2時間以内の検査が推奨されています。
うさぎの一日の飲水量は、概ね一日120mL/kg程度と言われています。
尿量は一日20~130mL/kgと言われていますが、ともに個体差が大きいとされています。
日頃からどれくらいの飲水量、尿量なのかを把握しておくと、もし血尿が起きた際にそれらの変化も重要な病気の手掛かりとなります。
通常、うさぎの尿はアルカリ性(pH8.0前後)で、酸性に傾く場合は体調不良の可能性があるとされています。
比重は幅がありますが1.003~1.036と言われています。
顕微鏡で炭酸カルシウムやシュウ酸カルシウム、リン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)といった結晶が認められることがありますが、正常でも認められる場合があるので判断に注意が必要です。

(写真:尿中に認められたシュウ酸カルシウム結晶)
うさぎの血尿の原因とは?
うさぎにおいて、血尿の原因でよく認められる病気は以下のようなものが挙げられます。
- 子宮疾患(子宮内膜過形成、子宮蓄膿症、子宮腺癌、子宮水腫など)
- 膀胱炎(主に細菌性)
- 尿石症(膀胱結石、尿道結石など)
- 膀胱腫瘍(主に癌)
犬や猫では、フィラリア症、中毒、免疫介在性溶血性貧血なども原因として知られていますが、うさぎではあまり一般的ではないようです。
子宮疾患から血尿が認められるのは、うさぎに特徴的な症状と思われます。
特に高齢であればあるほど、上記のような原因で血尿が起きている可能性が高くなりますので、早めの受診が重要です。
また、不衛生な環境やストレスにより、膀胱に細菌感染が起こり、血尿が起こることがあります。
以下のようなストレス要因がないか確認してみましょう。
- 温度、湿度は適切か?
- 大きな音や突然の振動などはないか?
- トイレや床は衛生的か?
- ケージやトイレの位置などに変化はないか?
- 運動不足ではないか?
うさぎの理想的な飼育環境としては、温度は18.3~23.9℃、湿度は30~50%と言われています。
特に暑さ・湿度に弱く、25℃を超えると食欲不振などの症状が出る、湿度が60%近くになると熱中症になると言われています。
トイレは、水やペレットから遠い部分に設置し、一日2回の清掃が推奨されています。
運動に関しても、30分~2時間程度が目安と言われています。
他、体に便や尿が付着し不衛生になっていないか、床が汚れていないかなど、まずはそのような生活環境を今一度見直してみましょう。
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うさぎの血尿以外の症状は?
血尿という症状は、全体的に赤い尿であったり、黄色い尿に鮮血の塊が混じる尿であったり、外見は様々です。
また、一時的に血尿が出る場合もあれば、数日血尿が続く場合もあり、症状の出方も様々です。
その他、付随して以下のような症状が認められる場合は注意が必要です。
- 頻尿/トイレに何度も行く
- 排尿時間が長い/尿が出にくそう
- 尿の臭いが異常
- 尿の量が異常に多い/少ない
- 歯ぎしりをしている
- 元気が無い
- 食欲がない
- 便の量が少ない/大小不同である
特に膀胱炎の違和感からうっ滞を併発することもあり、より症状が重篤化するケースもあります。
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うさぎの血尿の検査や治療とは?
うさぎの血尿の診断に必要な検査は、上述の通りまずは尿検査です。
肉眼では判断がつきにくい血尿を、化学的に正確に判断することができます。
また、細菌がいないか、尿糖やタンパクが出現していないかなども同時に判断します。
次に、血尿が出ている原因を特定するために、腹部のレントゲン検査や超音波検査を行います。
腹部のレントゲン検査では、膀胱内の結石や、子宮の腫大や石灰化がないかを確認します。
同時に、胃が拡張していないか、盲腸内のガスが過剰でないかなど、お腹の調子も確認します。
超音波検査でも同様に、膀胱内の結石の有無や、子宮の腫大やしこりの有無などを確認します。

(写真:腹部のレントゲン検査で膀胱内に結石が認められたうさぎ)
その他、血尿以外の症状がある場合は、血液検査を行うケースもあります。
以上のような検査で原因を特定した後、治療を行います。
子宮疾患
メスにおいて、血尿の原因として非常に多く経験するのは子宮疾患です。
品種によっては、4歳以上のメスの50~80%が子宮腺癌を発症すると言われています。
この場合は、基本的に手術により子宮卵巣摘出術を行います。
子宮卵巣摘出術は、基本的に全身麻酔下でお腹を開いて、左右の子宮と卵巣を摘出する手術です。
うさぎは犬や猫より麻酔のリスクが高いので、術前検査として血液検査やレントゲン検査で全身の状態をしっかり把握します。
また、高齢であったり、病気で体調を崩していたりする方がより麻酔のリスクが高くなる為、子宮疾患の予防を目的として生後6~12か月で子宮卵巣摘出術を行う方法も存在します。
尿石症
うさぎの尿石症は、「スラッジ」と呼ばれる泥状の尿結晶であることもあれば、一つの石になっていることもあります。
石になっている場合は、基本的に子宮疾患同様、全身麻酔でお腹を開いて膀胱から石を除去します。
メスよりオスでの発症が多く、結石は炭酸カルシウム結石であることが多いと言われています。

(写真:筆者が手術で摘出したうさぎの膀胱結石)
術後は再発予防の為、低カルシウムの食事としてイネ科の牧草を中心とし、カルシウムに配慮したチモシーが原材料であるペレット主体の食生活を行う必要があります。
また、サプリメントを追加するとより効果が期待できます。
よく使用されるサプリメント成分としては、
- ウラジロガシエキス末
- クランベリーパウダー
などが用いられます。
スラッジの状態であれば、必ずしも手術は必要なく、利尿剤などで尿の排泄を促し、上記のような食生活の工夫やサプリメントで治療を始めることもあります。
細菌性膀胱炎
子宮疾患や尿石症が否定された、尿中に細菌が検出されたなどの場合は、細菌性膀胱炎の可能性が高まります。
多くは環境中から細菌が侵入することが多い為、生活環境を衛生的に整え、抗生物質を内服することが治療のベースとなります。
また、どの病気に関しても、食欲不振やうっ滞が併発する場合は、点滴や消化管運動改善薬、痛み止めの投与を行うこともあります。
うさぎの血尿の治療費の目安は?
うさぎの血尿の治療費は、その原因や治療法、動物病院により大きく異なります。
検査の費用として、血液検査やレントゲン検査、尿検査を行った場合は、約2~3万円程度かかると思われます。
子宮疾患が原因で子宮卵巣摘出術を行った場合、手術、入院、お薬の費用で約15~20万円程度かかると思われます。
尿石症であれば子宮疾患同様、全身麻酔で膀胱切開を行った場合は、手術、入院、お薬の費用で約15~20万円程度かかると思われます。
手術を行わず、サプリメントや食事内容の変更で治療を行う場合は、サプリメントで月5000円前後がかかると思われます。
細菌性膀胱炎であれば、点滴の費用が約3000円~4000円、消化管運動改善薬や痛み止めのお薬が約2000円~4000円程度かかると思われます。
まとめ
うさぎの体調不良は、あまり表情に出にくいと思います。
ですので、血尿を含めたわずかな体調の変化も見逃さず、放置せず早めに受診することが重要であると日々実感しています。
気づいた頃には子宮の癌が進行していた、なんていうことも経験しています。
予防医療として、健康な時に避妊手術を行うことも選択肢の一つです。
ご参考にしていただければ幸いです。
参考資料
・カラーアトラス エキゾチックアニマル 哺乳類編
・できる!!ウサギの診療
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この記事を書いたのは

浅川雅清
獣医師
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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