人間にも聞きなじみのある病気「肺炎」ですが、実は猫もかかるのが珍しくない病気のひとつです。
肺炎は、風邪のような症状をはじめとしているので、様子を見る飼い主さんが多く、重症化して肺炎に気づくことも多いです。
そのため、死亡率も高くあまり甘く見てはいけない病気です。
今回はそんな肺炎について薬で治るのか、どんな症状がでるのか、原因や予防法について詳しく解説していこうと思います。
肺炎とは?

肺炎とは、肺に何らかの炎症が起きることで呼吸器症状を呈する病気です。
重症化するケースが多く、死亡率が高いのが特徴です。
猫の肺炎は、原因が複数存在し、予防法も多岐にわたります。
そのため、リスクの高い猫を飼っている家庭では特に注意して、はやめに動物病院の受診を検討するなどして行動しましょう。
肺炎にかかりやすい猫種・特徴
肺炎はどの猫にもかかるイメージがありますが、特にかかりやすいといわれる猫種はあるのでしょうか。
また、かかりやすい猫の特徴はあるのでしょうか。
猫種
基本的にどの猫種の猫にもかかりますが、特に感染性肺炎にかかりやすいのは「アビシニアン」「シャム」だといわれています。
ワクチン未接種の子猫
ワクチン接種が未熟な子猫は感染リスクが高く、肺炎のリスク向上にも繋がります。
子猫のうちは2回接種が好ましく、きちんとした免疫を付けておくことが予防策としても重要です。
ワクチンが未完了の子猫を飼っているご家庭では、人一倍感染について気にかけておきましょう。
関連記事:猫の予防接種とは?種類・頻度・副反応・予防できる6つの感染症について
肺炎の原因
では、肺炎になってしまう原因はいったい何が考えられるのでしょうか。
原因を知り、予防に徹しましょう。
ウイルス・細菌・真菌
肺炎はウイルスや細菌・真菌などによる感染が原因となります。
感染した病原体の中には、他の臓器に広がってしまうものもあり、重症化するケースが多いです。
感染性の肺炎では、抗生物質が治療として選ばれますが、病原体によって効果があるないが変わるため、治療期間としては少しかかると思っておきましょう。
誤嚥
実は、猫が肺炎になる原因として一番多いのが誤嚥だといわれています。
誤嚥によって起こる肺炎を誤嚥性肺炎を呼びます。
誤嚥性肺炎とは、食べ物や水などが本来通るはずだった食道ではなく、気管に入ってしまう状態です。
猫は毛玉や吐き戻しなどの嘔吐が多い動物ですよね。
嘔吐物が気管に入ってしまうことが多いため、嘔吐後に咳をしていないかなどのチェックはしておくと良いでしょう。
また、高齢になるにつれて誤嚥性肺炎になるリスクは高くなるため、シニア猫は特に気にしておきたいですね。
寄生虫
肺に寄生する寄生虫のせいで肺炎になってしまうことも考えられます。
フィラリアや肺吸虫などが代表的ですね。
フィラリアは犬の飼い主さんでは知らない人はいないほど常識的な寄生虫の名前ですが、実は猫にも感染する寄生虫なのです。
1匹でも寄生すると突然死してしまう可能性もある恐ろしい病気です。
最近では、猫でもフィラリア予防をするご家庭が増えてきており、メジャーになりつつありますので、猫を飼っているご家庭はフィラリア予防にも目を向けて検討してくださいね。
アレルギー
アレルギーでも肺炎に繋がることがあります。
ハウスダストや花粉などのアレルギーは人間だけに限らず猫でも多く見られます。
人のように症状が目に出る猫もいれば、鼻水・くしゃみなどの症状を呈する猫もいるので個体差があります。
放っておくと肺炎になってしまうリスクがあるため、長期で様子を見る前に獣医師に相談してみることをおすすめします。
肺炎の症状
肺炎になった際、愛猫にはどんな症状が現れるのでしょうか。
軽度な症状から重度な症状まであるため、気にしておきましょう。
呼吸の異常
肺は呼吸に携わる大切な臓器です。
そのため、肺に炎症や異常があると呼吸音がおかしくなることがあります。
よく聞くとヒューヒュー変な音が聞こえたり、ゼェゼェしている音がしたりと、さまざまですが、普段聞こえない呼吸音が聞こえてくる時は要注意です。
その際は、早めに獣医師に相談してくださいね。
咳・鼻水
肺炎にかかった際は、風邪のような症状が出ることがあります。
そのため、あまり重大な自体になっていることに気づけず治療が遅れ、手遅れになってしまうケースも少なくありません。
咳や鼻水は肺炎だけでなく他の病気の症状としても現れることがありますので、肺炎でなかったとしても早めに獣医師に相談することをおすすめします。
発熱
咳や鼻水などの風邪症状以外にも発熱が出ることがあります。
猫の体温は人よりも高く平均38.0~38.5℃が平熱とされています。
猫を抱っこすると暖かいですよね。
そのため、発熱に気付ける飼い主さんもこれまた少なく、よっぽどの高熱時にしか触って判断することが難しいです。
わかりやすいのは耳の温度を確かめることです。
耳は毛がなく、体温のみを感じ取れる部分ですので、発熱が心配な飼い主さんは愛猫の耳を触って確かめてみましょう。
食欲不振
肺炎は進行すると食欲減退も起き始めます。
猫の食欲低下は判断が難しい場合もありますよね。
特に他に症状がない場合は、すぐに動物病院受診を考える飼い主さんも少ないと思います。
ですが、肺炎時の食欲不振は進行していることが多いので、あまり様子見しすぎずに相談することが求められます。
関連記事:猫が食欲不振で寝てばかりだけど大丈夫?原因と対処法などを紹介
呼吸困難
肺は呼吸をつかさどる器官です。
肺炎で肺の炎症が続いていると、呼吸困難に陥ることがあります。
呼吸困難は生死の境をさまよう非常に危険な状態です。
よく犬で見る開口呼吸は、猫がしていると相当危険な状態といえます。
呼吸音がおかしい、呼吸速度が速い、呼吸が大きいなど呼吸の異常はすぐに診てもらうことが大切です。
関連記事:猫の口呼吸の原因はストレス?それとも病気?対処法や危険な呼吸も紹介
肺炎の治療
肺炎になってしまったら治療としてはどのようなことが行われるのでしょうか。
肺炎は自然治癒が難しく治療が必要な病気ですので、治療法は知っておくといいですね。
内服薬の投与
一般的に感染性肺炎の診断が下れば、抗生物質の内服薬を投与する治療が第一選択となるでしょう。
抗生物質を服用し、肺の炎症がおさまっているかどうかを検査し、おさまっていなかったら異なる抗生物質を投与するなど、治療期間は長くなるケースがあります。
また、抗炎症剤などの投与が必要なこともあり、薬が苦手な猫にとっては頑張らなくてはならない期間でもありますね。
ネブライザー
ネブライザーという吸入治療が選択されることもあります。
小さな箱の中に愛猫に入ってもらい、その中に霧状にした薬剤を投入し吸入してもらう処置です。
短時間で終わり侵襲性がないため良く選ばれるメジャーな治療でもあります。
輸液
全身状態が悪化している時は、輸液を行います。
肺炎時は食欲不振や発熱などの症状が出るケースが多く、輸液での補液や栄養補給が大切です。
輸液も短時間で終わる処置ですので獣医療界ではかなりメジャーな処置のうちのひとつです。
肺炎の予防法
肺炎は完全に予防できる方法は存在しませんが、かかりにくくする方法はいくつかあります。
愛猫のためにもできることから実施してみましょう。
ワクチン接種をする
猫に推奨されている混合ワクチンの中には、呼吸器疾患を引き起こすウイルスや免疫を下げてしまう感染症などがあります。
そのため、ワクチン接種を毎年行うことで感染症を予防することに繋がります。
特に子猫のうちは感染症にかかりやすく重症化することが多いためしっかりと2回接種を受けることが好ましいです。
ワクチン接種だけでなく、完全室内飼育にするのも感染症のリスクを下げることができるので徹底しましょう。
寄生虫の予防
肺炎を起こす原因のひとつに寄生虫感染があると説明しました。
肺に寄生する代表としてはフィラリアが考えられます。
フィラリア症は犬の飼い主さんでは知らない人はいないというほどメジャーな病気ですが、実は猫にもかかる病気です。
犬と同じく猫にもフィラリアを予防するお薬があります。
毎月1回、もしくは3ヶ月に1回の投与でフィラリア症予防を行うことができます。
また、ほかの寄生虫も予防できるためしっかりと怠らないようにしたいですね。
部屋の掃除をこまめにする
ハウスダストなどのアレルギー疾患で肺炎になるケースもあります。
そのため、お部屋の掃除はこまめに行い、なるべく反応しないように部屋の環境を整えてあげましょう。
また、ベッドやキャットタワーなども定期的に洗濯し、ダニなどの寄生虫がつかないように、清潔にキープしておくことが求められます。
空気乾燥機や布団乾燥機などを使用して、なるべく猫が使用するものすべてを綺麗な状態にしておくことで、肺炎の予防だけでなく、他の病気の予防にもなります。
ぜひ取り入れてみましょう。
肺炎の治療にかかる料金の目安
肺炎の治療は、基本的に内服薬の投与がメインとなります。
症状・状態によってはネブライザーや輸液を行うこともあります。
猫と共に来院し、輸液・ネブライザーを行った際の治療費の目安は一度の来院で7,000~10,000円程度、肺炎の診断に血液検査やレントゲン検査を行う際には、10,000円~25,000円程度の費用が掛かります。
また、内服薬での治療を継続した際でも、体重によりますが一般的な猫でひと月5,000~8,000円程度とみておきましょう。
まとめ
猫の肺炎は、死亡率も高く危険な病気です。
症状としては、猫風邪のような鼻水・咳・発熱などの全身症状から呼吸器症状が一般的です。
呼吸音がおかしい・呼吸が早い・努力呼吸をしているなどの異常がみられた際は、すぐに獣医師に相談しましょう。
また、呼吸困難に陥ることも多いため、開口呼吸をしている場合は即動物病院へ駆け込みましょう。
猫が開口呼吸をしている時は非常に危険な生死の境である可能性が高いということを念頭においておきましょう。
また、肺炎になる原因としては、ウイルスや真菌・細菌などの感染、誤嚥性肺炎、アレルギーや寄生虫感染が考えられます。
特に猫で多いのは誤嚥性肺炎だといわれているため、シニア猫になるにつれて食事などは気にしておくと良いですね。
予防法としては、ワクチン接種をする・寄生虫感染予防をする・部屋をこまめに掃除するなどがあります。
簡単なことばかりですので、ぜひ取り入れて愛猫を肺炎から守りましょう。
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この記事を書いたのは
中村千尋
愛玩動物看護師
大阪ペピイ動物看護専門学校卒業
認定動物看護師資格取得・ペット栄養管理士資格取得
兵庫県内の動物病院で勤務(現在も勤続中)
愛玩動物看護師国家資格取得
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