家庭猫であれば避妊手術を実施している雌猫が多いかと思います。
そのため、猫の生理について実は知識がない飼い主さんも多いのではないでしょうか。
また、飼い主さんの生理中に猫がよく寄ってくるなんてことはありませんか?
今回の記事では、生理にまつわる猫の問題を解説していきたいと思います。
猫に生理がない理由
犬や人間では当たり前の生理ですが、なぜ猫にはないのでしょうか。
理由としては、猫は「交尾排卵動物」だからです。
そもそも生理とは、排卵された卵子が子宮内に着床しなかった場合に、不要になった子宮内膜と共に体外に排出されることを指します。
猫は交尾を行った刺激でのみ排卵するため、生理が起こらないメカニズムなのです。
ちなみに、生理がある動物のほうが非常に珍しく、猫は多数派の動物だといえます。
猫の発情期
生理がない猫ですが、メス猫には発情期という時期が存在します。
独特な行動などが見られるため、未避妊のメス猫を飼っている飼い主さんはきちんと知っておきましょう。
いつから?
メス猫の発情は生後6カ月~9カ月程度で始まります。
個体差があるため、早いければ4ヶ月でも起こる猫もいます。
未避妊のメス猫とオス猫を飼っている場合は、生後4ヶ月あたりからあまり合わせないようにし、望まない妊娠を避けるように配慮しましょう。
発情期の行動
発情期があるのは実はメス猫だけで、オス猫はメス猫の発情期のニオイやフェロモンに感化されて発情します。
メス猫に見られる発情期の行動として代表的なものは
- うるさく大きな声で鳴く
- トイレでないところで排尿するようになる
- 尿の回数が増える
- いつもより甘えてくるようになる
- 腰を持ち上げて足踏みをする
- 床を転げまわる
などが挙げられます。
陰部から出血している際に考えられる病気
猫に生理はないため、陰部から出血している時には病気を疑わなくてはなりません。
避妊をしていない雌猫の発情期中でも、陰部からの出血は異常ですので覚えておきましょう。
子宮蓄膿症
未避妊のメス猫の陰部出血は、まず子宮蓄膿症を疑います。
子宮蓄膿症はその名の通り子宮に膿が溜まってしまう病気で、破裂してしまうと腹膜炎が起き死亡してしまう怖い病気です。
症状
- 多飲多尿
- 陰部から膿が排出される(陰部を良く舐める)
- 発熱
- 嘔吐
- 食欲不振
- 元気喪失
- 腹囲膨満(お腹がふくれてくる)
治療
子宮蓄膿症の治療の第一選択は外科手術です。
膿が溜まった子宮を取り除き、根本から解決することがメインです。
しかし、健康な時期の避妊手術に比べると手術の難易度はかなり高くなるため、成功率も下がると考えられます。
また、術後の合併症や術後管理にも気を配らないといけないため、若齢での避妊手術をおすすめします。
膀胱炎
人間も良くなる人が多い膀胱炎ですが、猫もかかる率が高い膀胱炎です。
血尿が出ることで陰部から出血として確認されることが多い病気です。
膀胱に炎症が起きることで排尿に異常をきたします。
症状
- 排尿痛
- 血尿
- 頻尿
- 尿量の低下
- 陰部を舐める
などの下部尿路疾患に特化した症状が現れます。
膀胱炎の原因は結晶・細菌・ストレスなどさまざまなので、症状が現れた時は尿検査をしてもらうように尿を採尿して獣医師に診てもらうようにしましょう。
治療
膀胱炎の治療は抗菌薬や消炎剤の投与・輸液療法などが行われます。
尿検査にて細菌が確認されれば抗菌薬の投与、エコーなどで膀胱壁の肥厚が見られた場合は消炎剤の投与など、原因がわかればそれに対応した薬を投与します。
輸液療法で悪い尿を早く体外から出すように尿量を増やす目的で実施されます。
いずれも尿検査を行うことで的確な治療ができるため、採尿はなるべくしていけるとよいですね。
関連記事:猫の特発性膀胱炎とは?よくある症状と治療法・予防法について解説
流産
流産してしまった場合も陰部からの出血が確認されることがあります。
猫が妊娠していることがわかっている際は、陰部出血は要注意です。
症状
流産の症状は、陰部からの出血以外に陰部からなにかが出てくることもあります。
猫の流産は妊娠30日以降に起こることが多く、身体が形成され始める時期になります。
そのため、流産によってその子供がでてくる可能性があります。
治療
流産の治療はありません。
流産の原因が感染症であれば感染症の治療をしたり、外傷が原因であればケガの治療をしたりは処置が必要ですが、流産してしまったことには治療法がありません。
流産しないよう、母猫の健康維持や予防などを徹底して過ごしましょう。
肛門嚢炎
肛門嚢炎は犬に多く、猫では実は知らない飼い主さんも多い病気ではないでしょうか。
犬を飼っていると、毎月肛門嚢といういわゆるニオイ袋の中の液体を出してあげるお手入れを定期的に行いますが、猫でもそのお手入れは必要です。
肛門嚢に溜まっている液体を排出しないとパンパンになり、最終的に破裂してしまい膿が溜まってしまう病気です。
通常排便と共に少量の肛門嚢からの液体が排出されますが、個体によって形状がさまざまなので粘土気質の猫は自身で排出しづらく、肛門嚢炎へ繋がってしまうのです。
症状
- お尻をしきりに舐める
- お尻から出血がある
- 座ろうとしない
- 食欲低下
- 元気喪失
- 排便時痛
など、実際は陰部とは無関係ですが、陰部と肛門が近く、陰部からの出血と間違える飼い主さんも多いです。
肛門嚢炎はかなり痛みがあり、食欲低下にも繋がります。
早く治療してあげることをおすすめします。
治療
肛門嚢炎は破裂していると中の肉芽が見えている状態なので、空気に触れるだけでも痛みを感じます。
傷口の洗浄・創傷治癒の処置・消炎鎮痛剤の処方・抗生物質外用薬の処方などが一般的です。
また、一度直っても定期的にしぼる処置をしないと繰り返しなる可能性があるため、自宅で出来るようにやり方をマスターするか、月に1度通院して肛門嚢処置をしてもらうと良いでしょう。
陰部出血の予防法
猫に生理はないため、陰部から出血を確認した際は、病気を疑わなくてはなりません。
そんな陰部出血ですが、予防法がいくつかあります。
愛猫が病気にかからないためにもできることから始めていきましょう。
定期的な尿検査を実施する
陰部出血の原因の一つに、膀胱炎があるとお伝えしました。
膀胱炎や尿路結石を予防するためには、定期的に尿検査を実施して尿に異常がないかどうかはチェックしておくことが必要です。
尿路結石は、尿検査やエコー検査で結晶持ちか細菌がいないかなど、怪しいかどうか把握することが可能です。
健康診断の延長で時々採尿して持っていくと良いでしょう。
関連記事:猫の尿路結石を知ろう!フードと与え方・治療・予防法などを徹底解説
避妊手術をする
陰部からの出血で一番疑わしくなる病気は「子宮蓄膿症」だと説明しました。
また、流産時にも陰部から出血が確認されることがあり、これらの一番の予防法は、避妊手術を実施することです。
子宮を取り除けば、子宮に膿がたまる病気である子宮蓄膿症にもかからないですし、子供もできないため流産もなくなります。
避妊手術は子宮蓄膿症・流産を予防するだけではなく、乳腺腫瘍の発生率を低下させたり発情期のストレスを軽減させたりとメリットだらけです。
猫の乳腺腫瘍は悪性率が非常に高く、避妊去勢手術はほとんどの動物病院で勧められることでしょう。
関連記事:猫の乳腺腫瘍とは?余命・予防法・自壊した腫瘍の応急処置について
猫のトイレを毎日チェックする
血尿や頻尿がないかどうかは、猫のトイレを毎日チェックすることが求められます。
猫を飼っている家庭で多いのが、システムトイレを使用して1週間交換不要なペットシーツを使っていることです。
1週間吸収が持続するペットシーツはコストパフォーマンスも良く、掃除の手間も省けるので人気なのですが、尿の異常に気づくにはあまり向いていないのです。
システムトイレでも毎日トイレの掃除をし、尿の正常や量・色などを毎日確認しておくことが必要です。
特におしっこが出ていないケースは緊急疾患であることが多いため、異常に気付いたらすぐに動物病院を受診しましょう。
お手入れを怠らない
肛門嚢炎を予防するためには、お手入れを欠かさないことが重要です。
犬の飼い主さんではご存知の方がほとんどですが、猫の飼い主さんでは肛門嚢のお手入れを知らない方も多いと思います。
通常排便時に少量排出されるものですが、形状により出にくい子もいるため、定期的に絞って排出させてあげる必要があります。
やり方としては、肛門の斜め下(時計でいうと4時と8時あたり)にぷくっとした袋を感じたら、それを肛門の脇にある小さな穴にめがけて力を込めて排出します。
といっても、実はかなり技術が必要なので説明しただけでできる飼い主さんは少ないので、獣医師に直接指導してもらうか、毎月動物病院を受診してお手入れしてもらうことをおすすめします。
猫が生理中寄ってくるのはなぜ?
飼い主さんの生理中に猫が寄ってくるなんてことはありませんか?
実は、猫が生理中に寄ってくるにはさまざまな憶測がいわれています。
まず一番に考えられるのが、猫が血の匂いに反応してケガをしているのかと心配してくれているという仮説です。
手を舐めてくれたり、スリスリと体を擦り付けてきたりと思いやりの行動が出ているのであれば愛情ゆえの行動だと思っても良いのではないのでしょうか。
また、血の匂いを感じて避けてくる猫もいるため、一概に猫の気持ちがでているわけではないので、愛猫の気持ちを確かめることができると嬉しいですね。
まとめ
猫は交尾排卵動物であることから、生理がありません。
陰部からの出血が疑われる時は病気である可能性が高く、子宮蓄膿症や膀胱炎・肛門嚢炎など厄介な病気がチラつきます。
予防法としては、避妊手術をすることが最大の効果があり、陰部出血だけでなく乳腺腫瘍の発生率も軽減できるためおすすめです。
また、尿の状態を日々チェックすることやお手入れを怠らないことも大切です。
できる予防法はぜひトライして愛猫の健康を守りましょう。
さらに、猫が飼い主さんの生理中によって来るのは、心配している様子であるといわれていてとても可愛い行動であることがわかりましたね。
所説はありますが、寄ってきてくれた愛猫には感謝の気持ちを伝えるといいですね。
関連記事:犬のヒートはいつまで続く?陰部の腫れや前兆はある?
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この記事を書いたのは
中村千尋
愛玩動物看護師
大阪ペピイ動物看護専門学校卒業
認定動物看護師資格取得・ペット栄養管理士資格取得
兵庫県内の動物病院で勤務(現在も勤続中)
愛玩動物看護師国家資格取得
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