2025年版 獣医師監修 猫のパルボウイルスとは?感染経路や症状・治療法・予防法を解説

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
株式会社スケアクロウにて日々飼い主の皆さまサポートに奮闘中

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猫の「パルボウイルス」を知っていますか?猫の感染症のなかでも非常に感染力が強く、致死率が高いことから恐れられている感染症のひとつです。

激しい嘔吐・下痢がおもな症状で、子猫や免疫のない猫が感染すると短期間で命を落としてしまうことがあります。

ただし、ワクチンを接種するなどで予防が可能です。

今回は、猫のパルボウイルスの感染経路や症状、治療法、予防法について詳しく解説します。

 

猫のパルボウイルスとは?

猫のパルボウイルスとは、猫パルボウイルス感染症を引き起こすウイルスです。
猫パルボウイルス感染症は「猫伝染性腸炎」や「猫汎白血球減少症」とも呼ばれています。

パルボウイルスに感染すると急性腸炎や白血球が減少し、重症化して死に至るケースも少なくありません。
とくに子猫の死亡率が高い傾向です。

パルボウイルスは非常に感染力が強く、少量のウイルスでも感染が成立します。
ワクチン未接種または免疫を持っていない猫は、感染した猫と接することでほぼ100%感染するといわれています。

またパルボウイルスは、宿主がいなくても環境中で数ヶ月間も感染力を持った状態で生存することができるとされています。
さらに条件が整えば1年以上の生存も可能です。

 

猫のパルボウイルスの感染経路

猫のパルボウイルスのおもな感染経路は、感染した猫の体液やうんちから排出されたウイルスに触れることです。
具体的には、以下の状況が考えられます。

  • トイレを共有する
  • 食器やおもちゃを共有する
  • アログルーミング
  • ノミが媒介
  • 人間が媒介

パルボウイルスは非常に感染力が強く、多頭飼いで発生するとトイレや食器、おもちゃなどを共有している場合は、一気に感染が広がります。
発症する数日前からウイルスを排出しますので、気づかないうちに感染していることが多いでしょう。

またノミや人間を介しての感染にも注意が必要です。

パルボウイルスに感染した猫の血液を吸ったノミがほかの猫に寄生し、それを猫がグルーミングの際に食べてしまうことで感染が成立すると考えられています。

人間が媒介するケースでは、外出先で感染した猫と接触して手や衣服、かばんなどの持ち物にウイルスが付着して運び屋になってしまうことが考えられます。

 

猫がパルボウイルスに感染した際の症状

猫がパルボウイルスに感染した場合のおもな症状としては、嘔吐・下痢が知られていますが、そのほかにも高熱や元気喪失などさまざまな症状があらわれます。
ここでは、初期に見られる症状と、進行して重症化した場合に見られる症状について説明します。

パルボウイルスの初期症状

猫がパルボウイルスに感染すると数日〜2週間ほどの潜伏期間を経て発症します。
パルボウイルスの初期症状として見られるのは以下の症状です。

  • 高熱
  • 元気喪失
  • 食欲不振
  • 腹痛
  • 嘔吐・下痢
  • 脱水

パルボウイルスに感染すると、最初に高熱や元気喪失、食欲不振が見られます。
つづいて発熱から1〜2日後に腹痛や激しい嘔吐、下痢が見られ、脱水を引き起こします。

これらの症状の進行は急速で、あっという間に悪化します。
とくに免疫力の弱い低月齢の子猫は、発症後12時間以内に亡くなってしまうことも少なくありません。
その一方で、1歳以上の猫は無症状や軽微な症状のみの場合もあります。

妊娠中の猫が感染すると、初期では流産の、後期では死産の原因になります。
死産を免れたとしても小脳に障害が残り、うまく歩けないなどの神経症状が見られるようになるでしょう。

重症化した場合の症状

パルボウイルスに感染して重症化すると次のような症状が見られます。

  • 白血球の減少
  • 免疫力の低下
  • 貧血
  • 下痢
  • 血便
  • 脱水

パルボウイルスが骨髄に入り込んで増殖すると、血液を作るもとになる細胞(造血幹細胞)の働きを阻害します。
その結果、白血球が減少し免疫力の低下を引き起こし、あらゆる感染症に対して弱くなります。
さらに赤血球が作られなくなり、貧血の原因になります。

ウイルスが腸内にある細胞に感染すると腸の再生を妨げ、下痢や血便、脱水を引き起こします。

 

猫のパルボウイルスになりやすい猫種

とくに感染しやすい猫種はありませんが、子猫やワクチン未接種の猫は注意が必要です。

上述のように、パルボウイルスは感染力が強いため、免疫力の弱い子猫やワクチン未接種の猫はほぼ100%感染し、重症化リスクも高いといえます。

とくに生後5ヶ月未満の子猫は、急激に症状が進行し、発症後12時間以内に死亡することも少なくありません。

また免疫力の弱い子猫の死亡率は75〜90%とも言われています。

 

猫のパルボウイルスの診断法

猫のパルボウイルスの診断では、問診、検便、血液検査がおこなわれます。

パルボウイルスが疑われる場合の問診では、ワクチン接種歴が重要です。
最終接種日や接種回数を確認されるでしょう。
また、多頭飼いをしているか、外に出ることはあるかも重要な確認事項です。

検便では、寄生虫や細菌への感染など、パルボウイルス以外の病気の可能性がないかを調べます。
そのうえで、必要に応じてパルボウイルスの検査キットで検査をおこない診断をする場合もあります。

さらに、血液検査で白血球の減少や、嘔吐・下痢による脱水の有無を確認し治療がおこなわれます。

 

猫のパルボウイルスの治療法

猫のパルボウイルスに対する治療薬はありません。
そのため、おもな治療は、嘔吐・下痢や脱水などの症状に対する対症療法となります。

  • 点滴
  • 抗生剤
  • インターフェロン

猫のパルポウイルスでは、容態が急変したり、重症化したりする場合や、診断されたときにはすでに脱水が起きている場合も多いため、入院治療となるケースも多いでしょう。

パルボウイルスに感染すると、激しい嘔吐・下痢のため脱水や栄養失調を起こすことも多く、点滴で水分や栄養の補給がおこなわれます。

さらに、二次感染予防のための抗生剤、ウイルスの増殖を抑えて免疫を高める作用のあるインターフェロンが投与されます。

 

猫のパルボウイルスの予防法

猫のパルボウイルスは感染力、致死率ともに高く非常に危険なウイルスですが、対策をおこなうことで予防が可能です。その方法について詳しく紹介します。

定期的なワクチン接種

パルボウイルスのいちばんの予防法はなんといってもワクチン接種です。

パルボウイルスのワクチンはコアワクチンのひとつで、飼育環境に関わらずすべての猫に推奨されています。
そのため、3種混合ワクチンをはじめとするすべての混合ワクチンに含まれています。

ワクチン証明書では「猫汎白血球減少症ウイルス」と表記されています。

子猫を迎えた際は、ワクチンが接種できる月齢になったら早めに接種し、その後も定期的に追加接種をおこないましょう。

関連記事:猫の予防接種とは?種類・頻度・副反応・予防できる6つの感染症について

また、感染症の予防では日頃から免疫力を低下させないようにすることも大切です。
免疫力をサポートする効果が期待されるサプリメントの利用もおすすめです。

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新しく猫を迎える際はすぐにいっしょにしない

新しく猫をお迎えしてすぐにいっしょにするのはおすすめしません。
パルボウイルスの感染予防対策としては最初の2週間程度は別々の部屋で過ごすことが推奨されます。

パルボウイルスは、保護団体、ペットショップ、ブリーダーのいずれからお迎えしても感染している可能性が否定できません。
いずれのパターンでも、お迎えしたあとにパルボウイルスへの感染が発覚したという事例は少なからずあります。

そのため、パルボウイルスの潜伏期間である2週間程度は、猫用品の共有を避けて、別々の部屋で飼育することをおすすめします。

 

猫のパルボウイルスの家庭内感染を防ぐために

多頭飼いでパルボウイルスに感染した猫がいる場合は、感染猫の隔離を徹底します。
注意点としては以下の3つです。

  • 感染した猫と飼育空間を完全にわける
  • 感染した猫と猫用品を共有しない
  • 人間を介した感染に注意する

感染した猫と飼育空間をわけて、接触させないようにするのはもちろんですが、感染した猫が使用した猫用品の共有を避け、使用したら都度消毒をする必要があります。
可能であれば、感染した猫が使用していた猫用品は処分しましょう。

また、看病をしている人間がパルボウイルスを媒介してしまう可能性があります。
家族の中で感染猫の看病をする人を決めて基本的にはその人だけが感染している猫のお世話をするのがおすすめです。

症状が治まっても最大で6週間ほどはウイルスを排出している場合があります。
治ったと思ってもしばらくは、隔離をつづけるようにしましょう。

 

猫のパルボウイルスの消毒について

猫のパルボウイルスにおいては、感染が発覚した際は、さらなる感染を防ぐためにも徹底した消毒をおこなわなければいけません。
具体的な消毒方法とその注意点について紹介します。

パルボウイルスに効果的な消毒薬

猫のパルボウイルスは、アルコールや熱湯では消毒できません。
パルボウイルスの消毒には「次亜塩素酸ナトリウム」を使うのが一般的です。
塩素系漂白剤のハイターやブリーチなどを使うと簡単に消毒薬を作れます。

作り方は、水1Lに対して塩素濃度5%の塩素系漂白剤の原液20mlを投入します。
消毒の際は、霧吹きを使用するのがおすすめです。
広い範囲を消毒する場合は、バケツなどに消毒液を作り雑巾で拭くようにします。

消毒の方法と注意点

ケージ、食器、壁、床、家具など感染している猫が触れたものはすべて消毒します。

スプレーで消毒をする場合は、噴射後30分ほど置いてから拭き取ります。
雑巾で拭く場合は、ゆるめに絞った雑巾で拭いて乾くまで放置してください。
食器などは1時間ほど消毒液に浸けてから、洗剤で洗います。

使用した雑巾などは使い回さずに毎回袋に入れて破棄してください。

また、消毒後はシャワーを浴び、消毒時に着ていた服は消毒液につけてから洗います。

 

猫のパルボウイルスの治療費は?

猫のパルボウイルスでは、検査、点滴、投薬、入院などを含めて1日あたり1万円程度となります。
合計の金額は入院日数によって大きく異なる場合もあるでしょう。
場合によっては、治療費が高額になってしまう可能性もあります。

 

まとめ

猫パルボウイルスは感染すると致死率が高く、子猫やワクチン未接種の猫はとくに危険だとされています。

少量でも感染が成立する感染力の高さ、環境中でも長期間感染力を保っていること、人間がウイルスを媒介する可能性があるなど、大変厄介なウイルスでもあります。

ただし、パルボウイルスはワクチン接種で予防が可能な病気です。
愛猫の命を守るのはもちろん、感染源にならないためにも、定期的に接種し予防に努めることが大切です。

また、多頭飼いで感染が発覚した際は、徹底した隔離と消毒が重要となります。
対策については獣医師に相談し、適切におこなうようにしましょう。

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この記事を書いたのは
ネコヤ カエ
愛玩動物救命士|猫疾病予防管理士|猫健康管理士|犬猫行動アナリスト|
ペット災害危機管理士3級|猫のシニア生活健康アドバイザー|ペットフード/ペットマナー検定
2019年よりフリーライターとしての活動を開始。
ペット専門のライターとしてWebメディアや動物病院HPなどでコラムを多数執筆。
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