ぽっちゃり猫はかわいらしいですよね。
しかし、その一方で健康を脅かしている可能性があるのはご存知でしょうか?
猫の肥満は、さまざまな病気の原因になるとされています。
また、肥満になると動くのが億劫になる、関節が痛いといったことがストレスの原因になるなど、生活の質をも大きく低下させる可能性もあるのです。
そこで今回は、愛猫の健康を守るためのダイエット法を紹介します。
フードや運動などできることから取り組んでいきましょう。
猫の肥満は意外に多い

世界各国の調査データによると、家庭で飼育されている猫の20〜40%が肥満気味で、そのうち10%近くの猫が肥満だと言われています。
日本においては40〜45%程度の猫が肥満という報告もあります。
猫にとっての理想体重は成長が落ち着く1歳ごろの体重とされており、理想体重を20〜30%上回ると肥満となります。
また理想体重の107%を超えるとダイエットが必要な状態です。
猫の肥満度を確認する方法は?
猫の肥満度を評価する基準として、ボディコンディションスコア(以下BCSとします)があります。BCSは、猫の見た目と触れたときの感覚から肥満度を5段階にわけて評価します。
| BCS1 | BCS2 | BCS3 | BCS4 | BCS5 |
| 痩せ | やや痩せ | 理想体重 | やや肥満 | 肥満 |
| 肋骨・腰椎・骨盤が見た目でわかる状態。腰が上から見て大きくくびれている。横から見て腹部の吊り上がりが大きい。 | 背骨と肋骨に簡単に触れる。上から見て腰のくびれがわかる。横から見て腹部の吊り上がりはわずか。 | 触れたときに肋骨は感じられるが、見た目にはわからない。上から見てわずかに腰がくびれている。横から見て腹部の吊り上がりがあり、脇腹にひだが見られる。 | 肋骨の上にうっすらと脂肪が確認できるが、肋骨には容易に触れることができる。横から見ると吊り上がりが丸く、横のひだが若干垂れ下がり、歩くときに揺れる。 | 厚い脂肪に覆われ、肋骨や背骨に触れることができない。上から見たときにくびれはない。横から見て吊り上がりは丸く、脇腹のひだは垂れ下がり大きく揺れる。 |
理想はBCS3で、触ったときに肋骨を感じられ、上から見たときに腰のくびれが確認できる状態とされています。
また、BCS4は肥満傾向で、ダイエット用フードにする、適切な運動を心がけるなどの体重管理が必要な状態です。
BCS5は本格的なダイエットが必要な肥満となります。
猫が肥満になる原因
猫が肥満になるいちばんの原因は、なんといっても「食べ過ぎ」。
室内飼いの猫は、どうしても運動不足になりがちです。
食べ過ぎが続けば、カロリー消費が追いつかずにあっという間に太ってしまうでしょう。
とくに置き餌にして自由に食べることができる猫、多頭飼いで競って食べる猫は食べ過ぎになりやすいため注意が必要です。
また、避妊・去勢手術をおこなった猫も太りやすい傾向にあります。
ホルモンバランスが変化することで、食欲が増す、太りやすい体質になるなどが原因です。
そのほかには、甲状腺機能低下症や高脂血症、クッシング症候群などの病気も肥満の原因になり得ます。
猫のダイエット方法
猫のダイエットでは、摂取カロリーを減らすこと、消費カロリーを増やすことが基本となります。
つまり食事管理と適切な運動が重要なのです。
ダイエットの前に猫の現状を把握する
適切なダイエットをおこなうためにも、愛猫の現状を正確に把握することが重要です。
以下について確認しておきましょう。
- BCSで肥満度を確認
- 1日の食事とおやつの量・回数
- 多頭飼いかどうか
- 健康状態
これらの情報は、肥満の原因を知り、適切なフードの選択や生活環境の改善点を探る際に役立ちます。
フードによる猫のダイエット
猫は、運動をさせようとしても思い通りには動いてくれません。
そのため猫のダイエットにおいては、食事管理が大変重要になります。
ダイエット用の療法食に切り替える
猫が本格的なダイエットをおこなう際は、ダイエット用の療法食がおすすめです。
ダイエット用の療法食には、以下のメリットがあります。
- 低カロリーで栄養素が濃い
- 食物繊維が豊富で空腹になりにくい
- 市販のフードよりもたくさん食べられる
一般的に低カロリーにすると、タンパク質やミネラルなどの必要な栄養素まで減ってしまいます。
その点、低カロリーで栄養素が濃い療法食なら栄養不足になる心配はありません。
また、療法食は繊維質を多めに配合するなどの工夫がされており、市販のフードと比べて腹持ちがよく、また同じ摂取カロリーでも量が多めになります。
つまり、ダイエット用の療法食は、たくさん食べられて、お腹が空きにくく、かつ栄養素がしっかりと摂取できるのです。
関連記事:猫の療法食って?与え方は?いつまであげる? 療法食の基礎知識を徹底解説
ただし、少し体重が気になるという程度なら、市販の体重管理用のフードでもよいでしょう。
1日の給与量を確認する
愛猫が1日に必要な給与量を確認し、家族全員で把握するようにしましょう。
決められた量よりも多く与えないよう、しっかりと管理してください。
1日分を密閉容器に取り分けておくと、与え過ぎを防止できます。
また、ダイエット中はおやつなど主食となるフード以外の食べものは基本的に与えないようにします。
とは言え、おやつが習慣になっていると、食べられないことがストレスになる場合もあるでしょう。そのようなときは1日の摂取カロリーの10%以内で与えるようにします。その分、フードを減らすのも忘れないようにしてくださいね。
フードの量をきっちりと量る
フードの量はキッチンスケールを使用してきっちりと量るようにしましょう。計量カップなどを使用すると、誤差が生じる可能性があります。
フードはほんの数粒でも1〜2gの差が生じます。人間にとってはほんの少しでも、体重が10分の1程度の猫にとっては、かなりの誤差になるでしょう。
1日くらいなら多くあげても体重への影響は考えにくいかもしれません。しかし、毎日多く与えていたらたったらどうでしょうか。1〜2gでも十分に肥満の原因になり得えることが考えられます。
1日の食事の回数を増やす
普段の食事回数が1日2回なら、回数を3〜4回に増やすのがおすすめです。食事の回数を増やして、1回の食事の量を制限することで、カロリーの消費が大きくなり、痩せやすくなると言われています。
また、食事の回数を増やすことで空腹の時間を減らせるのもメリットです。
置き餌は肥満の原因になるので、やめるようにします。だらだらと食べる癖のある猫の場合は、残っていても30分くらい経ったらお皿を下げるようにしましょう。
運動による猫のダイエット
ダイエットだからといって猫に運動をさせるのは至難の業。
しかし、運動をすると代謝が上がるため、ダイエットの助けとなるのも事実です。
猫に楽しく運動をしてもらうための方法を紹介します。
短時間の遊びを複数回おこなう
猫のダイエットでは、1日30〜60分ほどの運動が望ましいとされています。
しかし、猫は飽きっぽい性格で長時間の運動には向きません。
たとえば、15分の遊びを2回だと途中で飽きてしまう可能性があります。
一方、5分の遊びが6回なら最後まで飽きずに遊んでくれる猫が多いようです。
つまり、同じ30分の運動でも1日の運動量に差が生じることになるのです。
愛猫の様子を見ながら時間や回数を調整してあげてください。
おもちゃに飽きさせない工夫
猫は飽きっぽい動物ですから、おもちゃの種類もひとつだけでは簡単に飽きてしまいます。
おもちゃは複数用意して、ローテーションで遊ぶようにしましょう。
1日のうちでも3種類ほどのおもちゃを使い分けて、3日目には違うおもちゃを使うようにするのが理想です。
おもちゃは既製品である必要はありません。
ドライフードをあちこちに隠してお宝探し、ペットボトルを転がすなど、工夫次第でいろんなものがおもちゃになります。
キャットタワーを設置する
キャットタワーもおすすめのアイテムです。
キャットタワーを設置すれば、上り下りをするようになりますし、ひとりでも遊べて自然と運動量が増えます。
キャットタワーは、猫の興味を惹く窓際に設置するのがおすすめです。
窓の外を眺めてストレス発散や暇つぶしにもなります。
キャットタワーの設置が難しい場合は家具をでこぼこになるように配置するなどして工夫しましょう。
猫のダイエットを成功させるコツ
猫のダイエットは長期戦です。
家族全員が「愛猫のダイエットを成功させるぞ」という気持ちを持ち、しっかりと食事管理をおこなうのが成功のカギとなるでしょう。
小さな目標を確実にクリアしていく
猫のダイエットは、小さな目標をひとつずつ確実にクリアしていくのが成功の秘訣です。
最初から大きな目標を立ててしまうと猫も飼い主さんも辛くなってしまいます。
最初は体重を0.2kg減らす、おやつを半分にする、フード(摂取カロリー)を5%減らすなど、小さな目標を立てるようにしましょう。
猫にとってストレスが少なく、飼い主さんも小さな目標を達成することで自信になります。
小さな目標もクリアすることで、気がつけば0.5kg減っていた、おやつなしで大丈夫になっていたなど、確実に成果が出ます。
減量のペースは1週間に2%まで
猫の健康のためには、急激に体重を減らすのはNGです。
焦らずに少しずつ、時間をかけて減らしていきましょう。
減量のペースは、ダイエットスタート時の体重を基準にして、1週間で0.5〜2%までとします。
猫のダイエットは、健康な身体を手に入れて、猫らしい行動ができるようになることが目的です。
スタート時の体重と目標体重にもよりますが、半年ほどかけてゆっくりと減量するつもりで取り組みましょう。
フードの量を減らしすぎない
ダイエットだからといって、フードを極端に減らすのは、絶対にNGです。
肝リピドーシスを引き起こし愛猫の命を脅かす事態にもなりかねません。
肝リピドーシスとは、絶食などで食事がとれない期間がつづくことで、肝臓に過剰な脂肪が蓄積され肝機能が低下する病気です。
とくに、肥満気味または肥満の猫はリスクが高くなります。
週2%を上回るペースでの減量や絶食は、肝リピドーシス発症の原因となり得ます。
また、肥満の猫が療法食に変えたら食べなくなったというときにも注意が必要です。
状況に応じて対策をおこないましょう。
肥満の猫には病気のリスクも
猫にとって肥満は病気の原因にもなります。
健康な生涯を送ってもらうためにも、太り過ぎには注意しなければいけません。
以下は、肥満が原因となり得る病気の一例です。
- 糖尿病
- 心臓病
- 呼吸器疾患
- 尿路疾患
- 関節疾患
このほかにも、さまざまな病気のリスクが増えますし、間違ったダイエット法で肝リピドーシス(脂肪肝)を発症するリスクもあります。
さらに、肥満の猫は手術時のリスクも高くなります。
脂肪が多いと麻酔がかかりにくく、覚めにくくなるのです。
また、脂肪が邪魔をして臓器が見つけづらい、通常よりも大きく切らなければいけないといった問題もあります。
すでに病気を抱えている猫には、状態に合わせたサプリメントの利用も検討する価値があるでしょう。
まとめ
肥満の猫を「かわいい」と持ち上げているのを見かけますが、ぽっちゃりの裏には健康を脅かし、生活の質を低下させている可能性があることを忘れてはいけません。
猫の肥満は糖尿病や泌尿器疾患をはじめとする多くの病気の原因になります。
「もしかして、うちの子って太ってる?」と感じたらダイエットを検討しましょう。
なお、間違ったダイエットは健康を害する恐れがあります。
とくに、太っている猫ほどリスクが高くなりますので、ダイエットの際には、獣医師と相談しながら取り組むことをおすすめします。
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この記事を書いたのは
ネコヤ カエ
愛玩動物救命士|猫疾病予防管理士|猫健康管理士|犬猫行動アナリスト|
ペット災害危機管理士3級|猫のシニア生活健康アドバイザー|ペットフード/ペットマナー検定
2019年よりフリーライターとしての活動を開始。
ペット専門のライターとしてWebメディアや動物病院HPなどでコラムを多数執筆。
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