緑イ貝とは?
緑イ貝(グリーンマッスル、Perna canaliculus)は主にニュージーランド沿岸に生息する貝です。
ニュージーランドでは古くから食生活に取り入れられているそうで、栄養価が高いことから「海のスーパーフード」と呼ばれ注目を浴びています。品質からしても、多くのサプリメントがニュージーランド産の緑イ貝を使用しています。また、動物のみならず人においてもサプリメントとして多くの製品が発売されています。
緑イ貝には、オメガ3脂肪酸やグリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、グルコサミン、コンドロイチンといった成分が豊富に含まれていると言われています。
そのほか、ビタミンやミネラルなどの体に良い成分も含まれていることが知られています。
それぞれにどのような効果が期待されているかは、以下の通りです。
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
抗炎症作用があるとされ、関節の痛みや炎症の緩和、皮膚や被毛の健康維持、脳や心臓、腎臓の健康維持への効果が期待されています。
グリコサミノグリカン(GAG)
ヒアルロン酸やコンドロイチンが含まれ、関節の健康維持への効果が期待されています。
緑イ貝は天然素材であり、抽出方法によって粉末タイプやオイルタイプ、タブレットタイプなどに加工され、サプリメントとして販売されています。
緑イ貝含有サプリが推奨される犬とは?
緑イ貝サプリは、次のような犬に特に推奨されます。
シニア犬
小型犬の高齢犬がよく遭遇する疾患として、変形性関節症や変形性脊椎症、僧帽弁閉鎖不全症、慢性腎臓病などが挙げられます。
どの病気も、発症の初期には症状がなかったり、治療の必要がなかったりします。そのような時に、まずはサプリメントから使用してみるのも選択肢のひとつかと思われます。
関節のトラブルがある犬
小型犬においては、膝蓋骨内方脱臼が非常に多く認められます。
現在症状はなくても、今後関節のトラブルへと発展することも多いため、症状のないうちからサプリメントを使用するのも選択肢でしょう。また、前十字靭帯断裂や股関節形成不全といった病気にも使用できると思われます。
皮膚トラブルのある犬
犬においては、アレルギー性の皮膚炎が多く発生しています。体質はもちろん、皮膚バリアが健康でないことから発症すると言われています。
症状としては、乾燥によるフケ、被毛のパサつき、かゆみ、皮膚炎、脱毛などが挙げられます。そのような症状が目立つ場合や、治療の補助として使用することも可能です。
緑イ貝と他のサプリメント成分の違いは?
ここまでは緑イ貝に含まれる成分とその効果について解説しました。しかし、現在は多くのサプリメント成分が使用されているので、どれを選ぶか迷ってしまいますよね。
ここでは、関節、腎臓、皮膚のサプリメント成分として用いられている他の成分の違いを比較します。
【関節のサプリ成分との違い】
●MSM(メチルスルフォニルメタン)
関節の炎症の緩和やコラーゲン生成のサポートが期待され、関節や軟骨の健康維持を目的として用いられます。
●ASU(アボカド大豆不鹸化物)
関節の炎症を軽減する、軟骨を保護するといった効果が期待されています。
●N-アセチルグルコサミン
ヒアルロン酸やコンドロイチンの構成成分であり、軟骨の健康維持や関節の動きのサポートが期待されています。
全体的には、緑イ貝含有サプリメントと大きく変わらない効果が期待されているようです。
【腎臓のサプリ成分との違い】
●活性炭
吸着材の1種で以前からよく使用されています。腸管内で毒素や老廃物を吸着すると言われています。
●キトサン
吸着材の1種で、腸管内で尿素、アンモニア、尿酸などの窒素性老廃物を選択的に吸着すると言われています。
●炭酸カルシウム
リン吸着剤の1種で、消化管内でリンと結合してリン酸カルシウムとなり、便と一緒に排泄すると言われています。
●クエン酸鉄
リン吸着剤の1種で、消化管内で鉄イオンとリン酸イオンが結合しリン酸鉄となり、糞便とともに排泄されると言われています。
腎臓のサプリメント成分は、緑イ貝含有サプリメントによる効果とは異なる効果が期待されているようです。
【皮膚のサプリ成分との違い】
●ビタミンE
抗酸化作用により活性酸素から皮膚の細胞を保護する効果が期待されています。そのほか、皮膚の水分保持能力を高める、皮膚の炎症を軽減すると言われています。
●亜鉛
亜鉛は、犬の体内でさまざまな酵素の働きをサポートするミネラル成分です。亜鉛の不足は皮膚の乾燥や脱毛などを引き起こすことから、特に皮膚の健康維持において重要な役割を果たすと言われています。
●ビオチン
ビオチンはビタミンB群の一種です。ビオチンが不足すると、皮膚の炎症や脱毛が起こりやすくなることから、こちらも皮膚の健康維持において重要な役割を果たすと言われています。
●コラーゲン
コラーゲンは皮膚を構成するタンパク成分です。補給することで、皮膚の健康をサポートしてくれると言われています。
皮膚のサプリメント成分は、緑イ貝含有サプリメントによる効果と重複する部分もありますが、別の効果も期待されているようです。
緑イ貝サプリはどの形状がよい?
緑イ貝サプリは大きく以下の3つの形状があり、それぞれにメリット、デメリットがあります。形状によりその効果に差がある、という報告はあまりありませんが、与えやすさに違いが出てきます。
また、緑イ貝の成分は熱に弱いと言われており、その抽出・製造方法には注意が必要とされています。低温で抽出・加工された商品を選ぶとよいでしょう。
【カプセルタイプ】
ゼラチンでできたカプセルに、緑イ貝から抽出したオイル成分を閉じ込めた製品です。オメガ3脂肪酸は油ですので、オイルと一緒に摂取すると吸収効率が上がることが期待されます。
デメリットとしては、特有のニオイがするほか、与えるのに工夫が必要になる場合があります。ニオイに敏感でない犬や、与えやすさより成分重視の飼い主におすすめです。
【粉末タイプ】
緑イ貝を粉末成分に加工したものです。加工方法も多様で、カプセルに充填されているものもあれば、フリーズドライとして粉末のまま発売されているものもあります。
メリット :投与量の調節がしやすく、いつものフードやおやつに混ぜて手軽に投与できることが挙げられます。
デメリット:加工の際に栄養素が失われたり、添加物が入ったりする可能性があることが挙げられます。
【タブレットタイプ】
粉末タイプと似ており、緑イ貝を錠剤の形状に加工したものです。
メリット :投与量の調節がしやすく、大好きなおやつに混ぜて手軽に投与できることが挙げられます。また、手で直接与えることができるのも1つのメリットです。
デメリット:加工の際に栄養素が失われたり、添加物が入ったりする可能性があることが挙げられます。
緑イ貝含有サプリを使用するときに気をつけたいことは?
ここまでは緑イ貝の成分や効果、形状の違いについて解説しました。どのサプリメントを使用するかの判断の一助になれば幸いです。
しかし、緑イ貝は比較的安全性が高い天然素材ではあるものの、使用上の注意点もあります。
【アレルギーのある犬は注意】
貝に対するアレルギーがある犬には使用できない可能性があります。また、そのほかのサプリメントに添加されている成分にアレルギーを起こすケースもあるので、注意が必要です。
●与えるタイミングに注意
脂溶性ビタミンであるビタミンA・D・E・Kやオメガ3脂肪酸などは、理論上フードやおやつと一緒に摂取することで吸収率が高まります。
実際に、犬用のオメガ3脂肪酸のサプリメントで、食事と一緒に投与することを推奨している商品もあります。また、ビタミンEにおいては、抗血小板薬との併用で出血傾向を助長することがあると言われています。
薬との相互作用がないか、添加されているほかの成分も含めてチェックしたほうが安全です。
まとめ
緑イ貝は天然由来の成分で、関節や皮膚、腎臓、心臓と幅広く健康をサポートしてくれるサプリメント成分です。形状も様々で、粉末・オイル・カプセルなど、愛犬に合わせて選ぶことが可能です。
安全性は高いですが、アレルギーや薬や他のサプリとの併用に注意し、使用する前には一度獣医師に確認しましょう。
緑イ貝含有サプリは、愛犬の健康のサポートに取り入れやすいサプリメントです。目的や愛犬の体質に応じて適切に選び、生活に取り入れていきましょう。
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この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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