犬用サプリメントの役割と選び方の基本
まず初めに、サプリメントの役割と、サプリメント成分を選ぶ際に重要な点をおさらいします。
人においてサプリメントとは、食事で補いきれない栄養素や機能性成分を補助するために作られた、いわゆる「健康食品」に近いものと言われています。
犬においても同様で、健康維持や体調管理などを目的に与えるケースがほとんどで、「医薬品」とは異なり犬の病気を治す効力を保証するものではありません。
次に、サプリメント成分を選ぶにあたって重要なのは、「目的に合った成分が含まれているかどうか」です。いくら安全性が高く信頼できるサプリメントであっても、ケアしたい目的とは異なるサプリメントを使用しても、健康のサポートにはつながりません。
また、「国産」というと「安全である」という先入観があると思います。確かにその通りではあるのですが、注意すべき点もあります。
•表示規制と品質管理
犬用のサプリメントの多くは「医薬品」や「食品」ではなく「ペット用品(雑貨)」としての扱いになります。
ペットフード安全法や景品表示法にて成分表示や品質の管理が行われていますが、人のように「特定保健用食品(トクホ)」、「栄養機能食品」、「機能性表示食品」といった公的な定義や分類はありません。
•誇張された安全性や効果
近年では、一部のサプリメントやケア用品で、獣医師目線からすると誇張された安全性や効果をうたった商品も多く見かけます。
私自身も、飼い主様にサプリメントをご提案する場合は、メーカーから提供されたエビデンス(科学的根拠)や自身の使用経験に基づき、信頼できる製品をおすすめするようにしています。 実際にエビデンスが十分でない商品も多く、その効果や安全性をうのみにするのは危険です。
•エビデンスの欠如
一部のサプリメントにはエビデンスがなく、動物における安全性や効果が確認されていない場合があります。 人においては、例えば2024年には人用の紅麹を含む健康食品で健康被害が報告されました。
これらの内容を踏まえた上で、国産・海外製の特徴を比較していきましょう。
国産のサプリメントのメリット・デメリット
まずは国産のサプリメントでよく知られているメリット・デメリットについて解説します。
•安心感と情報のわかりやすさ
国産サプリの最大のメリットは、日本の飼い主にとって「安心感が大きいこと」です。原材料の表示が日本語で明確に記載され、メーカーに問い合わせもしやすいため、製品の情報を得やすい傾向があります。
•日本の犬に合わせた配合・使用実績
日本国内で開発されるサプリメントは、日本の飼育環境や犬種を意識して製品開発が行われています。日本では体格の小さい小型犬がメインで飼育されており、与えやすい小粒タイプやパウダータイプ、味の好みを考慮したフレーバーなど、日常的に使いやすい工夫がされています。また、海外では大型犬の飼育が多く、小型犬との使用感とズレが生じることがあります。
その点国産では、サプリメントを使用して効果があったか、副作用があったかなどを、実際に日本で飼育されている犬をベースにした情報収集がなされていることが多いです。
•品質管理と安全性
日本国内の工場で製造されている製品は、法律に準拠して製造、販売されていることが多く、残留農薬や重金属の検査も比較的安心できます。ただし、現時点ではペット用サプリメントを規制する基準はなく、国産だからといってすべての製品が同等の品質というわけではありません。
GMP認証(Good Manufacturing Practice:適正製造規範)を取得しているかなど、個々の製品の確認は重要です。
※GMP基準:医薬品や健康食品、化粧品、医療機器などの製造管理および品質管理規制の基準
•科学的根拠や成分量がやや不明確な場合も
上述の通り、国産のサプリメントは日本の小型犬に適するように配慮されています。
しかし、中には、「国産原料使用」や「天然素材」などを前面に打ち出している一方で、成分量や科学的根拠が十分に示されていない、または海外のデータをそのまま流用しているような製品もあります。
使用する際には、成分の含有量や臨床データを確認することも重要です。
海外製のサプリメントのメリット・デメリット
次は、海外製のサプリメントでよく知られているメリット・デメリットを解説します。
・成分に関する研究と実績が豊富
一部の犬用サプリメントは、長年の研究データや臨床試験に基づくき商品化された製品があります。たとえば関節ケア用サプリメントのグルコサミンや緑イ貝、皮膚ケア用サプリメントのオメガ3脂肪酸などは、海外の臨床研究が製品開発を支えています。
また、一部の海外製サプリメントは、動物病院向けブランドとして流通しており、獣医師が長年にわたり治療の補助として使用しているものもあります。こうした製品は、実際の効果や副作用の傾向が、実績として示されていることがあります。
また、日本国内ではあまり使用されていないが、海外ではよく使用されるようなサプリメント成分を取り入れられるというメリットもあります。
・表示や輸入品の品質管理に注意
海外製品はラベルが外国語のままのことがあり、成分表示がわかりにくい場合があります。また、輸入品では輸送・保管の管理が適切でないこともあり、品質に差が出るリスクがあります。
人においても個人輸入のサプリメントは、目的とする成分が含まれていなかったり、過剰に含まれていたり、表示されていない成分が含まれていたりするそうです。
国産と海外製、どちらを選ぶ?3つのポイント
ここまではサプリメントの役割と、国産、海外製の特徴を解説しました。
それを踏まえて、国産と海外製のどちらを選ぶべきか、比較・解説をしていきます。
・安全性と効果のエビデンス
国産のサプリメントでは、法律に準拠して製造、販売されていることが多いので、その成分の品質に関しては担保されている可能性が高いです。しかし、一部の商品はエビデンスが弱い製品もあります。
対して、海外製のサプリメントは、品質に関しては国産の製品のほうが優れている可能性はありますが、成分の論文や試験データが豊富にある商品もあります。使用するにあたっては、信頼できる販売ルートを選ぶことが重要です。
・価格と続けやすさ
国産のサプリメントは小型犬に向けた開発がされていることが多く、パッケージもやや小さめの傾向があるようです。気軽に試しやすいですが、長期的には割高になる可能性があります。
対して海外製のサプリメントは大型犬に向けた開発がされている傾向があり、大容量で1日あたりのコストも抑えられる製品もあると思われます。
しかし、輸入品は為替や輸送費に影響されるので、トータル的に計算をする必要があります。
獣医師の視点からの選び方
ここまでは国産・海外製のサプリメントのメリット・デメリットを比較しました。結論から申し上げますと、「どちらが絶対に優れている」というわけではなく、「どの商品が適しているか」という観点でサプリメントを選ぶのが良いと思われます。
以上をまとめますと、以下のようなポイントに注意してサプリメントを選ぶと良いでしょう。
・目的を明確にする
愛犬のどのような健康をサポートしてあげたいかを明確にし、サプリメントのエビデンスを確認して、目的に沿った商品を選びましょう。
・成分量と品質を確認する
エビデンスがしっかりとしていて、適切な製造工程で製造されており、必要なサプリメント成分の量がきちんと含まれているかを確認します。
・続けられるかを考える
愛犬が嫌がらずに与えられる形状で、飼い主様の負担にならない価格帯であるかが重要です。
・獣医師に相談する
治療中の病気や併用する薬・サプリメントがある場合は、相互作用に注意が必要ですので、使用前はかかりつけの獣医師に確認しましょう。
まとめ
ここでは、国産のサプリメントと海外製のサプリメントのメリット・デメリットを比較し、どのように選べばいいかまとめました。繰り返しになりますが、最も重要なのは、「国産か海外製か」よりも、「愛犬に合ったサプリメントかどうか」ということです。
迷ったときは、かかりつけの獣医師に相談しながら、安全で続けやすい製品を選びましょう。
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この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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