老犬にオムツはいつから必要?選び方やトラブル対策を獣医師が解説
近年は飼育環境の改善や獣医療の発達で、愛犬の寿命も長くなっており、愛犬の排泄の介助が必要となることも少なくありません。
「そろそろオムツをしたほうがいいのかな?」
「どうしたらオムツが脱げないのだろう?」
「オムツかぶれはどう対処したらいいのだろう?」
といった疑問をお持ちではありませんか?
実は、老犬との暮らしの中で、オムツについて悩む飼い主様はとても多いです。
また現在は、オムツを適切に使うためのさまざまなアイデアがあることをご存知でしょうか?
この記事では、老犬にオムツを使い始めるタイミング、オムツの選び方、漏れる・脱げる・かぶれるといったお悩みへの対処法まで、獣医師が分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、オムツの上手な使い方について理解を深めましょう。
老犬にオムツを使い始めるタイミングとは?
まず、実際にオムツを使い始めるタイミングはいつからなのでしょうか?
私自身も、「オムツは何歳から必要ですか?」というご質問をよく受けますが、オムツを使い始めるタイミングは年齢で決めるものではありません。むしろ、「オムツが必要な理由」があるときが、オムツを使い始めるべきタイミングです。
具体的な理由としては、
- 尿漏れがあるため
- 寝たきりでトイレに行けないため
- トイレの失敗が多いため
- マーキングを防止するため
といったものが挙げられます。
オムツというと老犬をイメージしますが、マーキング防止が目的であれば、成犬でもオムツを使用することは珍しくありません。
また、老犬では加齢に伴って、腎機能の低下やホルモンバランスの変化、認知機能の低下などにより、尿漏れやトイレの失敗が起こりやすくなります。
そのような様子が見られたときから、オムツを使い始めることが多いです。
老犬にオムツを使用するメリット・デメリットとは?
老犬にオムツを使用することには、多くのメリットがあります。
その反面、デメリットもありますので、正しく理解した上で適切にオムツを使用することが大切です。
オムツを使用するメリットとデメリットを、以下の表にまとめました。
| メリット | デメリット |
| ● 室内を衛生的に保てる
● 飼い主様の介護の負担を軽減できる ● 寝たきりの犬の皮膚の汚れを防ぐ |
● 皮膚が蒸れてかぶれる
● オムツが擦れて皮膚炎を起こす ● 陰部から感染し膀胱炎が起こりやすくなる |
デメリットに関しては、陰部を清潔に保ちオムツを適切に交換することが、トラブル防止につながります。
そのため、オムツを使うときは、適切な使用方法を守ることが大切です。
老犬のオムツの選び方とは?
では、実際にオムツはどのように選べば良いのでしょうか?
愛犬に合ったサイズを選べていない場合は、後述するトラブルにつながりかねません。
オムツを選ぶにあたって、重要なポイントがいくつかあります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①サイズ選び
まず、愛犬の体を正確に測定しましょう。
多くの商品において、体重や胴回りを基準としてオムツのサイズが決められています。
オムツを使用する前にそれらを正確に測定し、適切なサイズを選びましょう。
②オス・メスの違い
犬においては、オスとメスでオムツの形状が異なります。
オスではペニスがお腹の方向にあるため「ベルトタイプ」が、メスでは陰部が尾の方向にあるため「パンツタイプ」が主に使用されます。
オムツを購入する前に、性別に合った商品であるか確認するようにしましょう。
③犬種や体型
犬においては、犬種によって体型が大きく異なります。
また、痩せていたり太っていたりすることで、同じ犬種でも体型が大きく異なる場合もあります。
そのため、愛犬の犬種や体型に合ったオムツを選ぶことが大切です。
さらに、年齢を重ねるにつれて筋肉量が低下し、いままでフィットしていたオムツでもサイズが合わなくなることがありますので、注意しましょう。
④使用用途
オムツの製品によって、吸収できる尿の量が異なります。
オムツの使用用途をあらかじめ明確にしておくことで、最適なオムツを選ぶことができます。
例えば、長時間のお留守番をさせる際にオムツを使用するのであれば、尿をしっかり吸収する、長時間使用可能なオムツを選ぶとよいでしょう。
老犬のオムツでよくあるトラブルの対処法とは?
ここまではオムツの使い方や注意点について解説しました。
次に、オムツを使用するうえでよくあるトラブルの対処法を、それぞれ詳しく見ていきましょう。
①尿が漏れる
オムツの隙間から尿が漏れてしまう場合、その多くはサイズが合っていないことが原因です。
サイズが小さく、陰部がはみ出てしまう場合は、ひとつ上のサイズのオムツを試してみましょう。
逆に、足回りやしっぽの辺りに隙間が多い場合は、ひとつ下のサイズのオムツを試して、愛犬にフィットするものを見つけてあげましょう。
また、犬種や体型によりどのオムツも合わない場合は、オムツカバーやオムツパッドなどを併用し、隙間対策をすることも有効です。
もし、尿量が多くて漏れてしまう場合は、長時間使用できるタイプのオムツを使用するとよいでしょう。
②オムツがずれる・脱げる
オムツが脱げるトラブルは、活発な犬や細身の犬で起こりやすいです。
適切なサイズのオムツでも脱げてしまう場合は、オムツを固定するグッズの併用がおすすめです。
具体的には、
- サロペットタイプ
- サスペンダータイプ
- 術後服
といったものを使用するとよいでしょう。

③オムツでかぶれる
オムツが原因で皮膚がかぶれたり炎症を起こしたりしてしまうことは少なくありません。
そのような場合は、可能な限りオムツを着ける時間を短くし、皮膚を清潔に保つ必要があります。
具体的には、
- オムツをこまめに交換する
- 陰部やペニス周辺の毛を刈る
- オムツを着けっぱなしにしない
といった工夫を行うとよいでしょう。
また、老犬では皮膚の感染が広がりやすいので、赤みや湿疹が出たらいったんオムツを外し、動物病院を受診するよう心がけましょう。
④オムツを嫌がる
特にオムツを使い始めたばかりのときは、
着用の違和感から犬がオムツを嫌がることも少なくありません。
その場合は、
- 短時間から慣らす
- オムツ着用後にご褒美で褒める
- オムツを遊びや散歩と結びつける
といった方法で、「オムツ=いいこと」とポジティブな経験にしながら、ゆっくり慣らせていくことがポイントです。
老犬にオムツを使うときの注意点とは?
ここまでは、老犬にオムツを使用するメリットやデメリット、よくあるトラブルとその対処法について解説しました。
では、実際にオムツを使用するうえで、どのような点に注意すればよいのでしょうか?
具体的には、
- 1日1回は皮膚のチェックを行う
- オムツを着用しない時間を作る
- 排泄物で汚れた場合はこまめに交換する
- 陰部や肛門周りをきれいに清拭する
といった方法で衛生管理を行うことが大切です。
まとめ
今回は、老犬にオムツを使用するタイミングや選び方、メリットやデメリット、よくあるトラブルや対処法について解説しました。
老犬にオムツを使い始める時期は、年齢ではなく「必要性」で判断します。
適切に使用すればとても便利なアイテムですので、ぜひ取り入れてみましょう。
オムツによくあるトラブルは、小さな工夫で改善することができます。
しかし、皮膚炎や膀胱炎が疑われる場合は受診が必要ですので、それらの兆候を見落とさないことが大切です。
オムツを上手に使用して、愛犬が快適に過ごせる環境を整えてあげましょう。
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この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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