動物看護師解説 犬が胆汁を吐くのは病気?ご飯食べないなど症状や対策解説

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
株式会社スケアクロウにて日々飼い主の皆さまサポートに奮闘中

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犬が胆汁を吐いていることを見たことがある飼い主さんはかなり多いのではないでしょうか。
吐くのに元気でご飯は食べるからといって様子見することも少なくないですよね。

しかし、胆汁を吐いたあともご飯を食べない・元気がないなど心配な時もあるかと思います。
そこで今回は、胆汁を吐く原因や動物病院を受診する目安・予防法などを解説します。

 

胆汁とは?

胆汁とは、肝臓で常に作られている液体で、脂肪の乳化やタンパク質の分解をする働きがあり、コレステロールを体外に排出する手助けをしています
胆汁は肝臓で作られて胆嚢という袋に一時的に貯留されその後排出されます。

胆泥症や胆石症では、この胆嚢の中に泥や石が形成されることを指します。

胆汁は大きく分けて胆汁酸・コレステロール・ビリルビンの3種類に分けられます

肝臓や胆嚢に異常がある際は、血液検査で異常値を示すため、定期的な健康診断を受けることをおすすめします。

 

胆汁を吐く原因

では、犬が胆汁を吐く原因としては何が考えられるでしょうか。

大きく分けて2種類の原因が考えられますので、みていきましょう。

空腹

まずは一番の原因はお腹が空いて吐いてしまうということです。

「犬は空腹で吐くことがある」と、犬を飼っているご家庭であれば誰もが聞いたことがある話だと思います。

早朝や食事前に空腹でお腹がすくと、胃酸・胆汁がたくさん分泌され逆流して吐いてしまうのです。

胆汁は黄色・胃酸は白色をしているので、胆汁が混じっていれば黄色掛かった色の嘔吐・胃酸のみであれば白っぽい泡のついた嘔吐がみられます。

この嘔吐は「胆汁嘔吐症候群」とよばれるもので、食欲も元気も落ちずに、いつも通りケロッとしていることが多く、心配いらない嘔吐であることがほとんどです。

病気

嘔吐はさまざまな病気の症状として考えられます。

お腹が空いて吐いているだけなら良いですが、病気の初期症状ということも考えられます。

消化器に異常があったりほかの臓器に問題があったり気分が悪かったりと、嘔吐だけでは確定診断が難しいため、受診を悩む場合は獣医師に相談してみましょう

また、嘔吐が症状として考えられる緊急疾患として

  • 胃捻転症候群
  • 腸閉塞
  • パルボウイルス感染症
  • 誤飲・誤食・中毒
  • 熱中症

などが挙げられますので、嘔吐だけでなく他にも症状があった際はすぐに動物病院の受診をおすすめします。

 

動物病院受診の目安

胆汁嘔吐症候群であれば心配はいらないと思うけど、嘔吐って大丈夫なのかな?

動物病院に行った方がいいのかなと悩むこともあるかと思います。

そこで、下記では動物病院を受診した方が良い目安を紹介していきます。

嘔吐の色がおかしい

嘔吐の色に注目してみましょう。

胆汁や胃液の黄色や白色でなく、血の混じったような赤色や消化されたご飯の茶色などであれば要注意です。

ご飯を食べてすぐに吐いてしまった時は消化しきれていない茶色の嘔吐が見られる場合がありますが、その後食欲も元気もあるのであれば問題ないことが多いです。
しかし、ご飯の時間から数時間たっているのに未消化のご飯を吐く・茶色の液体を吐くというケースは、消化器官になんらかの異常がある可能性もあるため、続くようであれば獣医師に相談してみてはいかがでしょうか。

嘔吐の内容物がおかしい

嘔吐の中に内容物があれば要注意です。

食べたご飯であれば、粒の形のまま排出されていることもありますが、石や金属片など嘔吐物の中に異物が入っていた場合は動物病院に連れていくことをおすすめします。

誤飲や誤食は、時に腸閉塞や中毒などを引き起こし、命の危険性があるため気が付いたらすぐに連れていきましょう。

ご飯を食べない

嘔吐の後に食欲があるのであれば問題ないことが多いですが、食欲がなくご飯を食べない時は気にしておきたいですね。

嘔吐だけでなく、食欲不振も様々な病気の症状として現れるため、確定診断は難しいです。

消化器疾患や内分泌疾患などいろいろな病気の可能性があるため、あまり長く様子を見ずに獣医師に相談することをおすすめします。

何度も吐く

嘔吐が一回にとどまらず、一日に何度も吐く場合も異常です。

異物を飲み込んでしまっている場合や腸閉塞・中毒・胃捻転などの際は、腸が正常に動いておらず何度も吐いてしまうことが考えられます。

この場合は緊急疾患なので、すぐに動物病院を受診しましょう。

ぐったりしている(元気がない)

食欲もですが、元気もない場合は気を付けておきたいですね。

吐いてぐったりしている時は、体がしんどくてだるさを感じています。

軽症であることも考えられますが、ぐったりしているのであれば様子見をせずに獣医師に相談して来院の判断をしてもらうことをおすすめします。

下痢も併発している

嘔吐だけでなく下痢もしている場合は、病院に連れていくことも視野に入れましょう。

嘔吐・下痢ともに発症している際は、消化器疾患や熱中症・ウイルス性疾患・膵炎などさまざまな病気の疑いがあるため確定診断をくだすには、検査が必要になります。

また、下痢はお腹の痛みを、嘔吐もしんどさを感じていることが多く、その不快感だけでも和らげてあげることをしてあげたいですよね。

踏み入った検査はすぐにしなくても、内服薬や注射などで痛みやしんどさを取ってあげる目的で、一度受診するという考え方もありではないでしょうか。

体重が減っている

みなさんは愛犬の体重を定期的に測っていますか?

定期的に測って、体重が連続して減っていたら気にしておきましょう。

体重減少は糖尿病などの病気の特徴的な初期症状です。
また、嘔吐が多くて体重が減ってしまうのもよくありません。
体重減少が認められた時は獣医師に相談することをおすすめします。

 

胆汁嘔吐症候群の治療法

空腹状態で吐いてしまう「胆汁嘔吐症候群」ですが、治療としては無治療であることがほとんどです。

しかし、何度も吐いたり食欲がなかったり下痢も併発している場合には、制吐剤や止瀉薬・食欲増進剤や輸液などの処置を行うことがあります。

空腹状態での嘔吐は基本的に無症状であることがほとんどなので、吐いたあともご飯を食べたり元気がある際には、一度の嘔吐であれば様子見ができます。

しかし、ほかの症状があったりするのであれば、一度受診を検討しましょう。

 

胆汁嘔吐症候群の予防法

空腹状態での嘔吐には対策がいくつか存在します。

簡単なことから実施できることも多くありますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

ご飯の回数を増やす

まずは、一番やりやすくて効果のある対策は「ご飯の回数を増やす」ことです。

みなさんの愛犬は一日何回ご飯をあげていますか?

基本的に多いのは1日2回食といわれていますが、子犬では一日3回~4回食、高齢犬では1日3回食が理想とされています。

成犬の場合は1日2回食が基本的に推奨されていますが、胆汁嘔吐症候群になりやすい犬や消化器疾患を患いやすい犬では、若齢であっても1日3回以上に分けて与えることが治療の一環として獣医師にアドバイスされることがよくあります。

しかし、ここで気を付けたいのは「量を増やすのではなく、回数を増やしてこまめに与える」ということです。

愛犬の一日の必要カロリーを計算し、その給餌量を超えないように一回分のご飯の量を決めましょう。
単純に同じグラムで回数を増やすだけでは食べ過ぎで体重過多になってしまう危険性があります。

ご飯とご飯の時間をあまり空けないように等間隔で少しずつあげるといいですね。

それだけで、空腹状態での嘔吐は十分に減る可能性があります。

夜食や軽食を挟む

食事回数を増やすことと根本的には同じ解決策にはなりますが、ご家庭の生活環境的にはご飯の時間をずらすのが難しいご家庭もあるかと思います。

その際には夜食として寝る前に数グラムのご飯を与える・お昼に軽食を挟むなどして回数を増やしてみましょう。

早朝に吐きやすい犬には夜食が効き、晩御飯前の夕方に吐きやすい犬にはお昼の軽食が効果を表すことが多いです。

しかし、寝る前のご飯など抵抗がある方も少なくないと思いますので、ほんの5gのおやつ程度からスタートして吐かないラインを見つけていくといいでしょう。

体重を計測する習慣をつける

先ほどご説明した通り、体重の減少は動物病院の受診目安にもなります。

空腹状態の嘔吐である胆汁嘔吐症候群であれば、数日続いても問題はないのですが、嘔吐によって体重が減少しているのが続いた場合は要注意です。

また、夜食や軽食を与えたり・ご飯の回数を増やす対策を講じたら、思いのほかカロリー摂取量が変わり、気が付いたら体重が増えてしまっているという事例も多いです。

ご飯の回数を増やす際は、総量を変化させないことやキチンとカロリー計算をして見合った量を与えることが重要です

それに気づくためにも、体重を測る習慣を身に着けることはとても有意義だと思います。

嘔吐だけでなく、体重変動はさまざまな病気の発見にも繋がるので、損はないかと思います。

せめて週に1回の計測をし、記録しておきましょう。

サプリメントを服用する

直接的に嘔吐を止めるのは内服薬が最適ですが、日々服用するのは心配ですよね。

そんな時に、継続して服用できるのがサプリメントです。

例えば、胃腸の調子を整えたり、腸内環境を整えるという目的で、オリゴサッカライドやラクリス菌などが配合されたサプリメントを使用して健康をサポートするなどがおすすめです。

胆汁嘔吐症候群が食事回数の増加などでも改善しない場合は、サプリメントの服用も検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

犬は胆汁を吐くのは、空腹状態での嘔吐「胆汁嘔吐症候群」であることが多いです。

犬が吐いたら色がおかしくないか・一度の嘔吐で収まっているか・食欲元気があるか・下痢の併発がないかなどを確認し、気になることがあれば獣医師に相談しましょう。

胃液や胆汁の白~黄色の一度きりの嘔吐で、食欲や元気があるのであれば、恐らく空腹の嘔吐であると思われますので、食事回数を増やしたり間食・夜食を挟んだりして改善するかみてみましょう。
それでも改善しない場合は病気の可能性も含めて、一度動物病院で診てもらうことも検討してはいかがでしょうか。

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この記事を書いたのは
中村千尋
愛玩動物看護師
大阪ペピイ動物看護専門学校卒業
認定動物看護師資格取得・ペット栄養管理士資格取得
兵庫県内の動物病院で勤務(現在も勤続中)
愛玩動物看護師国家資格取得
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