緑内障(りょくないしょう)は、眼圧(目の硬さ)の上昇によって視神経が損傷し、視力が低下する疾患です。
この疾患は人間だけでなく、犬にも発生することがあります。
犬の緑内障は、治療しないと失明に至る可能性があるため、救急疾患に認定されることもあります。早期の診断と適切な治療が非常に重要です。
犬の緑内障はどんな病気?人間の緑内障との違いは?
目には、「眼房水」と呼ばれる液体が循環しており、眼に栄養を供給したり、眼圧を調整したりしています。
この眼房水が「隅角」と呼ばれる眼房水の出口からうまく排泄することができなくなり、眼球に滞留すると眼圧が上昇し、「緑内障」が起こります。
人間では隅角が開いている状態で眼圧が上昇する「開放隅角緑内障」が多いですが、犬では隅角が狭くなったり閉じ切ってしまったりする「閉塞隅角緑内障」が多くみられます。
閉塞隅角緑内障は、開放隅角緑内障に比べて眼圧が急激に上昇します。
そのため、犬の緑内障は、数日で失明に至る可能性のある恐ろしい疾患ともいわれています。
犬の緑内障の種類・なりやすい犬種
犬の緑内障は、発症の原因から主に以下の3つのタイプに分類されます。
先天性緑内障
生まれつきの眼の奇形で、3~6ヶ月頃に発症します。犬での発生はごくまれです。
原発性緑内障
遺伝的な要因により引き起こされます。
原発性緑内障になりやすい犬種は、柴犬、秋田犬、シー・ズー、コッカー、ビーグル、ボストン・テリア、シベリアン・ハスキー、ゴールデン・レトリバー、プードルなどが挙げられます。
6~7歳くらいの年齢で発症することが多いですが、4歳くらいで発症することもあります。
続発性緑内障
これは、他の眼の病気や外傷が原因で発症します。例えば、眼内の炎症(ぶどう膜炎)、水晶体脱臼、眼内腫瘍などによるものです。
緑内障と診断された犬のうち原発性緑内障が約80%、続発性緑内障が約20%という報告があるほど、原発性緑内障の発症は多いとされています。
また、緑内障発生からの期間によって、急性緑内障と慢性緑内障に分類されることもあります。
急性緑内障は発症から日が浅く、視覚が残っていることも多いです。
慢性緑内障では、発症から時間が経過してしまい、視覚の回復が見込まれないために治療の選択肢が変わってきます。
緑内障の症状
- 眼の痛み:目をこすったり、頻回にまばたきをしたりします。
- 眼の赤み:眼の血管が拡張し、赤く見えることがあります。特に白目の部分で顕著です。
- 涙の増加:眼圧が上昇すると、涙の分泌が増えることがあります。
- 視力の低下:視力の低下により、ものにぶつかるなどの症状が出ることがあります。
- 眼の腫れ:眼圧の上昇により、眼が腫れ、硬くなることがあります。慢性的に高眼圧が続くことで、眼球が膨らんで大きくなってしまう「牛眼」と呼ばれる状態になってしまうことがあります。眼が明らかに左右非対称になることがあります。
- 散瞳:瞳孔が開きっぱなしの状態です。
これらの症状が見られた場合は、直ちに獣医師に相談することが重要です。
元気や食欲が低下することもあります。
診断方法
緑内障の診断には、以下のような検査が行われます
- 眼圧測定:トノメーターという器具を使用して眼圧を測定します。
- 眼底検査:眼の奥の視神経や網膜を調べることで、緑内障の進行度を確認します。
- 前眼部検査:スリットランプという顕微鏡を使って、角膜や前房の状態を詳しく調べます。
- 超音波検査:眼内の構造を確認するために、超音波プローブを眼球に当てて検査を行います。
治療方法
緑内障の治療には、内科的治療と外科的治療があります。
緑内障の治療は、眼科の経験が豊富な獣医師に相談するようにしましょう。
内科的治療
薬物療法:眼圧を下げるための点眼薬や内服薬が使用されます。急性期には、点滴で眼圧を下げることもあります。例えば、炭酸脱水酵素阻害薬やβ遮断薬、プロスタグランジン類似薬などが一般的です。これらの薬物は眼圧を下げる効果がありますが、完全に治すことは難しいため、定期的な投与が必要です。
外科的治療
視覚の残っている比較的初期の急性緑内障の場合:
・隅角インプラント/前房シャント術(バイパス手術):眼内の液体(房水)の排出を促進するための手術です。房水の排出経路を人工的に作り、眼圧を下げることを目指します。
・レーザー光凝固術:眼房水の産生や排出を医療用レーザーにより調整する方法です。
視覚の消失した慢性緑内障の場合:
・強膜内義眼挿入術:目の中の組織を取り、代わりに医療用シリコンボールを挿入します。
・眼球摘出術:眼球を摘出し、まぶたは閉じた状態になるよう縫合します。
ご紹介した治療法は一部です。
担当の獣医師から詳しく説明を受け、最適な治療法を選択するようにしましょう。
予防と管理
緑内障は一度発症すると完全に治すことが難しく、失明や慢性的な痛みに関わる重篤な疾患です。
予防と早期発見が非常に重要です。以下のような対策が有効です。
- 定期的な眼科検診:特に緑内障のリスクが高い犬種や、家族歴がある場合は、定期的に眼科検診を受けることが推奨されます。
- 早期発見:眼の痛みや赤み、涙の増加などの初期症状を見逃さないようにしましょう。異常を感じたらすぐに獣医師に相談することが重要です。
- 適切な管理:診断後は、獣医師の指示に従い、定期的に薬物療法を継続することが必要です。また、定期的な眼圧測定やフォローアップ検査も重要です。
まとめ
犬の緑内障は、早期発見と適切な治療が視力の維持に不可欠です。
日常的に愛犬の目の状態に注意を払い、異常を感じた場合はすぐに獣医師に相談することが求められます。
また、緑内障のリスクが高い犬種の場合は、予防的な対策として定期的な眼科検診を受けることが推奨されます。
緑内障と診断された場合も、早期に適切な治療と管理を行うことで、犬の生活の質を維持することが可能です。








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