老犬が寝てばかりいるのは病気?考えられる病気や受診の目安を獣医師が解説
愛犬が年齢を重ねて、日中も寝てばかりいると「体調が悪いのでは?」と不安になりますよね。
「何か対策をしたほうがいいのかな?」
「体調が悪いのかな?」
「動物病院を受診した方がいいのかな?」
老犬になると活動量が減り、睡眠時間が増えるのは自然な変化です。しかし、寝てばかりいる背景に病気が隠れている場合もあります。
この記事では、老犬が寝てばかりいる理由や考えられる病気、受診の目安、自宅でできる対策について獣医師の視点から解説します。
老犬が寝てばかりいる理由とは?
犬はシニア期に入ると、体力や活動量の低下により睡眠時間が長くなる傾向があります。
成犬では1日12〜14時間程度の睡眠ですが、老犬では16〜20時間ほど眠ることも珍しくありません。
犬の睡眠は浅い眠り(レム睡眠)が多いのが特徴で、外敵の気配にすぐ反応できるようになっています。しかし老犬になると反応が鈍くなり、睡眠時間が増えると考えられています。
ただし注意すべきなのは、「寝ているだけ」なのか「ぐったりして動けない」のかという違いです。
以下のような症状がある場合は病気の可能性があります。
- 元気がない
- 食欲がない
- 嘔吐や下痢をしている
- 起き上がるのを嫌がる
- 動くと痛そうにする
- 呼吸が荒い
このような様子が見られる場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
老犬が寝てばかりいるときに考えられる病気
認知機能不全症(犬の認知症)
認知機能不全症は、犬の認知症と呼ばれる病気で、脳の機能低下によって次のような症状が見られます。
- 昼夜逆転
- 反応が鈍くなる
- 徘徊する
- 隙間から出られなくなる
夜に起きて日中は寝てばかりいるという行動パターンが見られることもあります。
心臓病
心臓病により血液循環が低下すると、疲れやすくなり活動量が減ります。その結果、寝ている時間が増えることがあります。
特に小型犬の老犬では「僧帽弁閉鎖不全症」がよく見られます。
以下の症状が見られる場合は注意が必要です。
- 呼吸が荒い
- 咳が出る
- 散歩を嫌がる
- 疲れやすい
関節疾患
老犬では関節軟骨の減少や靭帯の弱化により、関節のトラブルが増えます。
特に多いのが「変形性関節症」で、痛みにより動くのを避け、寝てばかりいることがあります。
- 起き上がるのに時間がかかる
- 歩き方がぎこちない
このような様子が見られる場合は注意しましょう。
慢性腎臓病
慢性腎臓病は老犬に多い病気の一つで、腎機能の低下により活動性が落ちることがあります。
代表的な症状には以下があります。
- 水をよく飲む
- 尿量が増える
- 食欲が低下する
- 体重が減る
- 嘔吐や下痢
- けいれん
脳疾患
脳腫瘍や脳炎などの脳の病気によって意識レベルが低下し、寝てばかりいるように見えることがあります。
- ふらつく
- 視力低下
- 震え
- けいれん
これらの症状がある場合は早めの受診が必要です。
甲状腺機能低下症
甲状腺ホルモンの分泌が低下すると代謝が落ち、活動量が低下します。
体重増加や皮膚トラブルなどが見られることもあります。
老犬が寝てばかりいるときの受診の目安
以下の症状がある場合は早めに動物病院を受診しましょう。
- 食欲がない
- 体重が減っている
- 呼吸が苦しそう
- 立てない・歩けない
- 嘔吐や下痢
- けいれん
- 粘膜が白い
これらは緊急性の高い症状の可能性があります。
老犬が寝てばかりいるときに自宅でできる対策
①睡眠環境の改善
- 体圧分散マットを使用する
- 定期的に体勢を変える
- 室温と湿度を適切に保つ
②無理のない運動
寝てばかりいると筋力低下が進むため、無理のない範囲で体を動かすことが大切です。
- 短時間の散歩
- 無理のない歩行
- 滑りにくい床環境
③適度な刺激を与える
単調な生活は認知機能低下のリスクを高めるため、適度な刺激を与えることが重要です。
- 日中に起こす
- 知育トイで遊ぶ
- 散歩コースを変える
④サプリメントの活用
老犬の体調サポートとして、次の成分が使用されることがあります。
- フランス海岸松樹皮抽出物
- コエンザイムQ10
- グルコサミン
- コンドロイチン
- プロテオグリカン
- 非変性Ⅱ型コラーゲン
- オメガ3脂肪酸
まとめ
老犬が寝てばかりいるのは加齢による自然な変化である場合も多いですが、病気が原因の可能性もあります。
日頃から食欲や排泄、元気の様子をチェックし、異変があれば早めに動物病院へ相談しましょう。
また、適度な運動や脳への刺激を取り入れることで、認知機能の低下を防ぎ、老犬が快適に過ごせる環境を整えることが大切です。
愛犬の状態をよく観察しながら、無理のない範囲でシニア期をサポートしてあげましょう。
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この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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