老犬の尿漏れは病気?原因と受診の目安を獣医師が解説いたします。
愛犬が年齢を重ね、若い頃には見られなかった「尿がポタポタ漏れる」といった様子が見られると心配になりますよね。
「何かの病気のサインなのだろうか?」
「年齢のせいで仕方ないのだろうか?」
「動物病院を受診したほうがいいのかな?」
実は、老犬の尿漏れにはさまざまな原因があり、病気が隠れていることも少なくありません。
この記事では、老犬の尿漏れが起きる原因や考えられる病気、受診の目安、日常生活でできる対策について獣医師の視点から分かりやすく解説します。
老犬の尿漏れとは?
老犬の尿漏れとは、犬の意思とは関係なく尿が漏れてしまう状態を指します。
以下のようなタイミングで起こることが多いのが特徴です。
- 寝ている間
- 立ち上がったとき
- 歩いている最中
- 排尿した直後
- 吠えたとき
- 興奮したとき
一方、トイレに間に合わず排尿してしまう場合は、尿漏れではなく「トイレの失敗」である可能性もあります。
老犬では比較的よく見られるトラブルですが、病気が原因で起こるケースもあるため注意が必要です。
老犬の尿漏れが起こる主な原因
①膀胱炎
膀胱炎は膀胱に炎症が起きる病気で、残尿感により少量の尿を何度も排出したり、我慢できずに漏れてしまうことがあります。
老犬では次のような原因が多く見られます。
- 免疫力低下による細菌感染
- 膀胱結石
- 膀胱腫瘍
- 薬の副作用
特にメス犬は尿道が短いため、細菌性膀胱炎を起こしやすいと言われています。
また、おむつの長時間使用による衛生環境の悪化も膀胱炎の原因になることがあります。
②尿道括約筋機能不全
加齢により尿道の筋肉が弱くなることで、尿を十分に溜めることができなくなる状態です。
その結果、特に睡眠中や寝起きに尿漏れが起こることがあります。
③慢性腎臓病
慢性腎臓病は老犬に多く見られる病気の一つで、犬の三大死因のひとつともいわれています。
次のような症状が見られることがあります。
- 水をよく飲む
- 尿量が増える
- 食欲が低下する
- 体重が減る
- 嘔吐や下痢
- けいれん
尿量の増加によってトイレが間に合わず、尿漏れにつながることがあります。
④前立腺疾患
前立腺はオス犬にのみ存在する臓器で、膀胱の出口付近にあります。
老犬では次の病気が多く見られます。
- 前立腺肥大
- 前立腺炎
- 前立腺癌
これらの病気によって排尿がスムーズにできなくなり、尿漏れが起こることがあります。
特に前立腺肥大は、6歳以上の未去勢の犬では約80%の発生率といわれています。
⑤ホルモンの異常
メス犬では、避妊手術後のホルモンバランスの変化によって「ホルモン反応性尿失禁」が起こることがあります。
また、以下のようなホルモン疾患によって尿量が増え、尿漏れにつながることもあります。
- 糖尿病
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
老犬の尿漏れで受診すべきタイミング
尿漏れを繰り返す場合は、一度動物病院を受診することをおすすめします。
特に次の症状がある場合は早めに受診しましょう。
- 血尿が出ている
- 元気がなくぐったりしている
- 水を異常に多く飲む
- 排尿時に痛がる
- 尿が出にくそう
- 嘔吐や下痢がある
- 食欲がない
これらの症状が見られる場合、病気が原因の可能性があります。
動物病院で行われる主な検査
①問診
診察ではまず、次のような内容を詳しく確認します。
- 排尿回数
- 尿の量
- 尿の色や臭い
- 尿漏れの頻度
- 水を飲む量
- 食欲や元気の状態
日頃の様子をメモしておくと診察がスムーズです。
②尿検査
尿検査では次の項目を確認します。
- 細菌感染
- 結晶
- 炎症
- 尿糖
- 潜血
この検査から膀胱炎や糖尿病が見つかることもあります。
③画像検査
レントゲン検査や超音波検査により、結石の有無や腎臓・膀胱の状態を確認します。
慢性腎臓病や膀胱結石などが発見されることもあります。
老犬の尿漏れへの対策
①おむつの使用
おむつは尿漏れ対策として手軽で効果的な方法です。
- 適切なサイズを使用する
- 長時間つけっぱなしにしない
- 排泄後はすぐ交換する
- 陰部を清潔に保つ
②トイレのタイミング管理
老犬は排尿間隔が短くなるため、食後や起床後、寝る前などのタイミングでトイレへ誘導してあげましょう。
③生活環境の見直し
- トイレまでの距離を短くする
- 段差を減らす
- 滑りにくい床材にする
- トイレを複数設置する
④サプリメントの活用
尿トラブルのケアとしてサプリメントを補助的に使用する方法もあります。
- N-アセチルグルコサミン
- クランベリー
- ウラジロガシエキス末
ただし、サプリメントは補助的なものなので、使用前には獣医師へ相談することが大切です。
まとめ
老犬の尿漏れは加齢によって起こることもありますが、膀胱炎や腎臓病、ホルモン異常などの病気が原因である場合もあります。
- 膀胱の病気
- 腎臓の病気
- ホルモン異常
- ストレス
これらが関係していることもあるため、「年齢のせい」と自己判断せず動物病院で相談することが大切です。
また、生活環境の見直しや適切なケアによって、老犬の生活の質を改善することも可能です。
愛犬が快適に過ごせるよう、正しい知識をもってサポートしてあげましょう。
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この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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