犬の皮膚サプリに副作用はある?安全性を獣医師が解説
愛犬の皮膚トラブルが続くと、サプリメントを試してみようかと迷う飼い主様も多いのではないでしょうか。
その一方で、
「皮膚のサプリメントって本当に安全なの?」
「長く続けて副作用はないの?」
「そもそもどんなサプリメントがあるの?」
と、不安や疑問を感じることはありませんか?
実は、皮膚のサプリメントは目的や使い方を間違えると、愛犬の体調に悪影響を及ぼすことがあります。
本記事では、犬の皮膚のサプリメントの種類や副作用、正しい選び方について、獣医師がわかりやすく解説します。
まず、結論からお伝えすると、皮膚のサプリメントとして用いられる主な成分はどれも安全性が高いとされています。
しかし、上述の通り、与え方を間違えると思わぬ副作用が起こる可能性があるため注意が必要です。
犬の皮膚サプリはどんな犬におすすめ?
ここからは、皮膚のサプリメントに関してよくある質問とともに、サプリメントの副作用や成分、正しい選び方について解説します。
犬の皮膚のサプリメントはすべての犬に必須というわけではありません。
具体的には、
- 皮膚病を繰り返している
- かゆみやフケが出やすい
- 被毛のツヤがなくなってきた
- アレルギーによる皮膚炎が起きる
といった様子が見られる犬には、サプリメントを使うことをおすすめします。
皮膚の健康維持を目的としてサプリメントを取り入れることで、皮膚症状の改善の一助になる可能性があります。
犬の皮膚サプリの種類とは?
では実際に、犬の皮膚のサプリメントにはどのような成分が使用されているのでしょうか?
ここからは、よく用いられる成分についてそれぞれを解説します。
LPS(リポポリサッカライド)
LPSはもともと細菌に含まれる成分で、穀物や野菜、発酵食品などにも含まれています。
「細菌由来」と聞くと不安になるかもしれませんが、犬のサプリメントに使われるLPSは、「パントエア菌由来のLPS」が一般的です。
パントエア菌とは、普段食材として使用される植物と共生する安全性の高い細菌です。
そのため、パントエア菌由来のLPSをサプリメントとして摂取すること自体には強い副作用や毒性はないといわれています。
犬におけるLPSの主な役割は、「免疫機能のバランスを整えること」です。
すなわち、免疫の働きが弱すぎれば感染症にかかりやすくなり、逆に過剰になるとアレルギーや炎症を起こしますが、LPSはこの免疫の働きを調整する効果が期待されています。
一部の報告では、アレルギーによる皮膚炎の犬にLPSを与えると、症状の改善が見られたとされています。
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
青魚やアマニ油などに含まれるオメガ3脂肪酸には、抗炎症作用があるといわれています。
かゆみや皮膚炎の軽減、皮膚のバリア機能をサポートする効果などが期待されています。
また、関節の痛みや炎症の緩和、脳や心臓、腎臓の健康維持への効果もあることが特徴です。
プレバイオティクス・プロバイオティクス
最近では、腸内環境は免疫のバランスに関連していて、腸内の善玉菌を増やし腸の健康を保つことが、皮膚の健康に繋がっているといわれています。
プレバイオティクス、プロバイオティクスは腸内環境を整えることで、皮膚の健康をサポートすることが期待されます。
また、下痢を伴う食物アレルギーに関しては、その症状の改善にもつながることが期待できるでしょう。
ビタミンE
ビタミンEには抗酸化作用があり、酸化による細胞へのダメージを軽減し、皮膚の健康をサポートするといわれています。
プロテオグリカン
プロテオグリカンは皮膚の構成成分で、皮膚バリアが弱くなっている犬の皮膚の健康のサポートを目的として使用されています。
また、プロテオグリカンは関節軟骨を構成する成分のひとつです。
皮膚の健康をサポートするほかに、関節の健康もサポートする効果が知られています。
亜鉛
亜鉛は、犬の体の中で多くの酵素の補助因子として働きます。
基本的にはフードから吸収されますが、フード中に含まれる亜鉛の量が少ないと、亜鉛反応性皮膚炎と呼ばれる皮膚疾患が起こることがあります。
亜鉛を補給することにより多くの場合は症状が解消されることから、現在もサプリメントをとして使用されています。
犬の皮膚サプリに副作用はある?
では、これらのサプリメント成分には副作用があるのでしょうか?
多くのサプリメントは安全性を考慮して作られていますが、デメリットとしてまれに副作用が出ることがあります。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
LPS(リポポリサッカライド)
LPSは免疫力のサポートとして用いられることが多いサプリメント成分です。
その反面、自己免疫疾患を代表とした免疫に関する病気がある犬にとっては、予期せぬ副作用が現れる可能性があるといわれています。
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)
オメガ3脂肪酸は元々、油由来の成分であることからお腹の調子が悪くなり嘔吐や下痢が起こることがあります。
また、血小板の働きを抑え、出血傾向を高める副作用があるといわれています。
その他に、オメガ3脂肪酸の原材料として魚が用いられることが多く、魚にアレルギーがある場合は注意が必要です。
ビタミンE
ビタミンEは「脂溶性ビタミン」の1種で、水溶性ビタミンと異なり体内に蓄積されやすく、摂りすぎると中毒を起こすリスクがあります。
ある報告では、ビタミンEを過剰摂取した猫において、出血傾向を起こすリスクがあるといわれています。
プロテオグリカン
プロテオグリカンの原材料にも魚が使用されることが一般的です。
魚にアレルギーがある犬への使用は注意が必要です。
また、他のサプリメントと同様に、大量摂取により消化器官に負担がかかり、嘔吐や下痢を引き起こす可能性があるといわれています。
亜鉛
亜鉛を過剰に摂取すると、嘔吐や下痢、さらに重度では中毒症状(貧血、肝障害など)が起こる可能性があるといわれています。
犬の皮膚サプリの選び方とは?
ここまでは、犬の皮膚のサプリメントの成分や副作用について解説しました。
では、どのように犬のサプリメントを選べば、副作用などのデメリットを回避することができるのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。
1. 与える目的を明確にする
どのサプリメントにおいても、漠然と「健康に良さそう」で与えるのではなく、どのような目的をもってどのような成分を与えるのかを明確にすることが非常に重要です。
目的とは異なる成分が含まれるサプリメントを使用しても、効果を実感することはできません。
2. 獣医師に相談する
愛犬がどのようなケアを必要としているのかを判断するのには、まずは獣医師に相談するのが最適です。
特に薬を服用している犬は必ず獣医師に確認をしたうえで使用することが、副作用や飲み合わせのリスクを避ける一番の方法です。
3. 信頼できるメーカーを選ぶ
成分表示が明確で、獣医師などの専門家の監修がされている製品を選ぶとより安心です。
近年では、一部のサプリメントやケア用品で、獣医師からすると誇張された安全性や効果をうたった商品を多く見かけます。
私自身も、飼い主様にサプリメントをご提案する場合は、メーカーから提供されたエビデンス(科学的根拠)や自身の使用経験に基づき、信頼できる製品をおすすめするようにしています。
実際にエビデンスが十分でない商品も多く、その効果や安全性をうのみにするのは危険です。
4. 愛犬のアレルギーを確認する
上述の通り、愛犬にアレルギーがある場合、サプリメントの原材料にアレルギー反応を起こす可能性があります。
与える前は原材料をよく確認し、与えた後も体調に変化がないか確認するようにしましょう。
まとめ
犬の皮膚のサプリメントは、安全性が高い成分が使用されることが多い一方で、まれに副作用が起こる可能性があります。
また、必要以上の量を摂取したり、目的とは異なる成分を選んでしまったりすると、サプリメントの効果を実感できないうえに、体調を崩す原因になりかねません。
今回の記事を参考に、愛犬にサプリメントを与える前に、必要な成分や適切な選び方についてしっかり情報を集めましょう。
もしサプリメント選びが不安な場合は、獣医師に相談しながら進めていくことをおすすめします。
愛犬に最適なサプリメントを選び、皮膚の健康をしっかりサポートしてあげましょう。
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この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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