犬の関節のトラブルは、高齢犬だけでなく若い犬でもよく見られる身近な症状です。
そこで、関節の健康維持や改善を目的にサプリメントを取り入れることも多いと思いますが、
「サプリメントに副作用はないの?」
「どんな成分を与えればいいの?」
「使っているサプリメントは愛犬に合っているの?」
と疑問に思ってはいませんか?
この記事では、犬の関節サプリメントの種類や副作用、与え方の注意点、選び方について獣医師が解説します。
犬の関節のサプリメントとは?
犬の関節サプリメントとは、関節軟骨や関節の炎症をサポートし、関節の健康を保つことを目的としたものです。
関節サプリメントは、関節の病気を抱えている犬や運動が多い犬、高齢になって歩行に不安がある犬などに使われます。
そのような犬では、次のようなサインが見られることがあります。
- 散歩に行きたがらなくなった
- ゆっくり歩くようになった
- 階段などの段差の上り下りを嫌がる
- 立ち上がるのが辛そう
- 尾を下げていることが多い
- 跛行(びっこ、ケンケン)するようになった
- 震えている
多くの場合は、「老犬だから仕方ない」と見過ごされているのが実情です。
このような症状が見られた場合は、動物病院を受診するとともに関節のケアを始めてあげた方がよいでしょう。
犬の関節サプリに使われる主な成分とは?
犬の関節サプリメントにはさまざまな成分が使われています。
そのため、どのサプリメントを使うべきか悩んでしまうことも多いです。
代表的な成分とその働きについて、それぞれを詳しく見ていきましょう。
1. グルコサミン
グルコサミンは、関節軟骨の基礎的な成分であるグリコサミノグリカン(GAG)を構成する成分の1つです。
軟骨の摩耗を防いだり、摩耗した軟骨を修復したりといった作用が期待されています。
2. コンドロイチン
コンドロイチンは、軟骨組織の中で水分を引き寄せるように働き、関節軟骨の保水性を保つことで関節の動きを滑らかにする効果が期待されています。
また、軟骨の破壊を抑制する効果も期待されていて、グルコサミン同様、軟骨がすり減るような病気に使用できると考えられます。
グルコサミンと併用されるケースが多く、相乗的な軟骨保護が期待されます。
3. 非変性Ⅱ型コラーゲン
関節軟骨は、水を除く成分の約75%がⅡ型コラーゲン、15%がプロテオグリカンであるといわれています。
Ⅱ型コラーゲンは熱に弱く、抽出過程で「非変性」である方がよいと考えられています。
そんなコラーゲンは、軟骨の「土台」としての役割のほか、関節内の過剰な炎症反応を抑える作用も期待されます。
軟骨がすり減る病気のほか、炎症が起こる病気などにも使用されています。
4. プロテオグリカン
プロテオグリカンは関節軟骨を構成する成分の1つです。
高い保水力で、関節軟骨の減少を抑える働きをサポートする効果が期待されています。
最近では、痛みを緩和する効果があるという報告もあります。
5. MSM(メチルスルフォニルメタン)
MSMは、関節の炎症の緩和やコラーゲン生成のサポートが期待されています。
関節の炎症から痛みが起こるような病気に使用されています。
6. ASU(アボカド大豆不鹸化物)
ASUは、関節の炎症を軽減する、軟骨を保護するといった効果が知られています。
こちらも、関節の炎症から痛みが起こるような病気によく使用されています。
7. オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は抗炎症作用があるとされ、関節の痛みや炎症の緩和のほか、皮膚や被毛、脳、心臓、腎臓などの健康維持への効果が知られています。
関節のトラブル以外にも病気を抱えている犬には、こちらの方が幅広く健康をサポートしてくれるでしょう。
犬の関節サプリで起こる副作用とは?
一般的に、犬用の関節サプリは安全性の高い原材料で作られており、副作用は少ないと言われています。
ただし、体質や与え方によっては以下のような不調がみられることがあります。
消化器症状
グルコサミンやコンドロイチンを含むサプリは、下痢や軟便、嘔吐などの消化器症状を引き起こすことがあります。
もし副作用が見られた場合は一度中止し、再開するときは少量から与えると良いでしょう。
アレルギー反応
グルコサミンやコンドロイチンの原材料としては甲殻類、プロテオグリカンの原材料としてはサメが使用されています。
また、製品としてのカプセルは豚由来のコラーゲンなどが使われているので、それらにアレルギー反応を起こす可能性があります。
皮膚や耳のかゆみ、赤みなどが見られた場合は、すぐに投与を中止し、動物病院に相談しましょう。
犬の関節サプリが使われる病気とは?
犬においてよく見られる、関節サプリメントを使用する病気は以下のようなものが挙げられます。
- 膝蓋骨脱臼
- 前十字靭帯断裂
- 股関節形成不全
- 変形性関節症
- 免疫介在性多発性関節炎
- リウマチ様関節炎
中でも、膝蓋骨脱臼や変形性関節症は小型犬でも多くみられます。
特に変形性関節症は「軟骨の変性」が病気の中心であるので、完治が難しい病気です。
関節のトラブルは犬の生活の質を大きく低下させる要因になります。小さなサインを見過ごさず、治療やサプリメントによるケアを早めに行ってあげましょう。
犬の関節サプリを与えるときの注意点
- 与える目的を明確にする
- 与えるタイミングを確認する
- 併用するサプリメントや薬との相互作用
- 原材料や製造元を確認する
犬の関節サプリ以外の関節ケア
- 体重管理
- 床環境の工夫
- 適度な運動
まとめ
犬の関節サプリメントは、安全性が比較的高く、関節の健康を維持するうえでとても有効な成分です。
しかし、まれに消化器症状やアレルギーなどの副作用が出ることもあるため、注意が必要です。
また、飲み薬や他のサプリメントとの飲み合わせにも注意が必要なので、獣医師と相談したうえで使うことを推奨します。
愛犬の年齢や体調に合わせて、無理のない範囲で取り入れていきましょう。
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この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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