【2026年版 獣医師執筆】老犬が水を飲まないのは大丈夫?原因や脱水サインと対処法

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
株式会社スケアクロウにて日々飼い主の皆さまサポートに奮闘中

ご相談窓口

【獣医師執筆】老犬が水を飲まないのは大丈夫?原因や脱水サインと対処法

愛犬が年齢を重ね、最近あまり水を飲まなくなったと感じると、心配になりますよね。
そんなとき、

「なぜ水を飲まないのだろう?」
「このまま脱水にならないのだろうか?」
「何かの病気のサインなのでは?」

といった疑問を感じてはいませんか?

老犬が水をよく飲む場合、病気のサインであることが珍しくありません。しかし、老犬が水を飲まない場合も、病気が隠れている可能性があることをご存じでしょうか?

本記事では、老犬が水を飲まない原因や疑われる病気、脱水の見分け方、正しい対処法について、獣医師がわかりやすく解説します。

最後までお読みいただき、老犬が水を飲まないときについて理解を深めましょう。

老犬が水を飲まなくなる原因とは?

まず、老犬が水を飲まなくなる原因には、どのようなものがあるのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。

①季節

夏は気温が高く、体が必要とする水分量も増えるため、老犬は水をよく飲みます。
しかし、冬になると気温が低下し、必要な水分量も減少するため、自然と水を飲まなくなります。
また、寒さにより水が冷たいと感じることで、水を飲まなくなることも少なくありません。

②ストレス

老犬は環境の変化にとても敏感です。
具体的には、

  • 引っ越しをした
  • 家族構成が変化した
  • 新しいペットを迎えた
  • ペットホテルに預けられた

といった原因がストレスとなり、水を飲みたい気持ちが薄れ、水を飲まなくなることがあります。

③飲み水の環境変化

老犬は、日常の些細な変化にも敏感で、飲み水の質や水温、お皿の位置や素材などに変化があると、すぐに違和感を覚えることがあります。
また、年齢とともに足腰が弱くなり、水を飲むことが大変になることで、結果的に水を飲まなくなるケースも少なくありません。

④食事内容の変化

老犬が水を飲まないときは、食事内容を変更していないか確認しましょう。
今までドライフードがメインだった食事から、ウエットフードなどの水分量の多い食事に変えると、食事から水分を十分に摂取できるため、水を飲まなくなることがあります。

⑤加齢

老犬になると、喉の渇きを感じにくくなるほか、筋力の低下や関節の衰えにより移動自体が負担となり、水を飲む回数や量が自然と減ってしまうことがあります。

⑥病気

老犬が水を飲まない背景に、さまざまな病気が隠れていることも少なくありません。
特に、口の痛みや吐き気を引き起こす病気が原因で、水を飲まなくなることがあります。
また、水を飲まない以外にも体調の変化がある場合は、特に注意が必要です。

老犬が水を飲まないときに考えられる病気とは?

では、老犬が水を飲まないときには、どのような病気が考えられるのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。

①慢性腎臓病

慢性腎臓病は、加齢とともに腎臓の機能が低下する病気です。
初期では水をよく飲みますが、進行することで吐き気を感じやすくなり、水を飲まなくなることがあります。

②消化器疾患

炎症や腫瘍などのさまざまな消化器のトラブルで吐き気があるときも、水を飲まなくなることがあります。

③口腔内疾患

歯周病や口腔内腫瘍などで口の中に痛みがあると、水を飲むことが刺激となるため、水を飲まなくなることがあります。

④神経疾患

犬が水を飲む際に、舌や喉を動かすためには「神経」の働きが必要です。
脳や神経の異常により、水を飲むという行動自体が難しくなり、水を飲まなくなることがあります。

⑤整形疾患

老犬では、椎間板ヘルニアや膝蓋骨脱臼などから起こる関節炎がよく見られます。
そのような関節の痛みにより、移動することや自力で水を飲むことが難しくなり、結果的に水を飲まなくなることがあります。

老犬に必要な1日の水分量とは?

一般的に、犬の1日の水分摂取量は体重1kgあたり約50mLが目安とされています。
例えば体重5kgの老犬であれば、約250mLが適正な飲水量ということです。
ただし、飲水量は食事内容によって大きく変動します。
そのため、飲水量のみではなく、ウエットフードなどの水分量を含めた1日のトータルの水分摂取量で判断することが大切です。

老犬の脱水症状をチェックする方法とは?

では、愛犬が水を飲まないときに、脱水が起きているかを確認するには、どうしたらよいのでしょうか?
犬が脱水している場合は、

  • 口の中や歯ぐきが乾いている
  • 皮膚をつまんでも戻りが遅い
  • 目がくぼんでいる

といった様子が見られることがあります。

ただし、体型によっては脱水していてもこれらの様子が見られないこともあるため、獣医師に確認してもらう方が安心です。

また、脱水が見られる場合は、点滴などの治療が必要になるケースがあるため、早めに動物病院を受診しましょう。

老犬が水を飲まないときの対処法とは?

では、老犬が水を飲まないときは、どのように対処すればよいのでしょうか?
それぞれを詳しく見ていきましょう。

①体調チェックをする

まず、愛犬がなぜ水を飲まないかを考えてみましょう。
第一に確認したいのが、体調の変化から水を飲まなくなっていないか、ということです。
特に、

  • ぐったりしていないか?
  • 食欲はあるか?
  • 嘔吐や下痢はしていないか?
  • おしっこの量や回数、色に異常はないか?
  • 口臭が強くなっていないか?
  • からだに痛みはないか?
  • 歩き方に変化はないか?

といった点を確認しましょう。

もし異常がある場合は、前述のような病気が原因で水を飲まない可能性があるため、早めに動物病院を受診しましょう。

②飲みやすい環境に整える

次に、愛犬にとって水が飲みにくい環境になっていないか確認しましょう。
もし飲みにくそうであれば、

  • お皿を複数箇所に置く
  • 寝床の近くに置く
  • 高さのある食器に変える
  • 滑らない場所に置く

といった工夫をすることで、水を飲むようになるかもしれません。

③水の状態を見直す

水が古くなっているようであれば、こまめに新鮮な水に交換し、いつでも飲めるように用意してあげましょう。
飲み水の交換は、最低限1日1回は行うことが一般的です。
また、冷たい水ではなく常温からぬるめの水にすると、飲む場合もあります。

④食事から水分を補う

水を飲まない場合は、食事から水分を補う方法もあります。
その方法としては、

  • ウエットフードを使う
  • ドライフードをふやかす
  • 水分補給のおやつを使う

といった方法があります。
愛犬の好みに応じた方法を選んであげましょう。

⑤嗜好性を上げる

単純な水道水では愛犬が水を飲んでくれない場合は、少し風味をつけて嗜好性を高めることで飲んでくれることがあります。
具体的には、犬用ミルクや茹で汁などを少量加える、といった方法があります。
ただし、ミルクを大量に加えたり、硬水のミネラルウォーターを使用したりすることは、尿石症のリスクにつながるため避けましょう。

⑥飲水をサポートする

体の痛みなどにより、自分で水を飲むことが難しい場合は、

  • スプーンで口元に持っていく
  • 手で体を優しく支える
  • 指につけて舐めさせる

といった方法で、飲水をサポートしてあげましょう。
ただし、無理やり飲ませることは誤嚥につながる可能性があるため、注意が必要です。

⑦サプリメントで体調をサポートする

もし老犬が、口腔内や関節のトラブルで水を飲まない場合は、サプリメントで体調をサポートしてあげることも選択肢の一つです。
それぞれによく用いられるサプリメントを以下表にまとめました。

口腔内のサポート 関節のサポート

●アスコフィラムノドサム

●グロピゲンPG

●ラクトフェリン

●リゾチーム

●LPS(リポポリサッカライド)

など

●グルコサミン

●コンドロイチン

● モエギイガイ

●ASU(アボカド大豆不鹸化物)

●MSM(メチルスルホニルメタン)

●コラーゲン

●プロテオグリカン

●オメガ3脂肪酸

など

ただし、サプリメントはあくまで補助的なものであり、治療の代わりになるものではありません。

また、すべての老犬に効果が見られるわけではないため、自己判断で使用するのではなく、事前に獣医師へ相談することが大切です。

まとめ

老犬が水を飲まない原因には、食事や環境の変化といった問題のないケースもあれば、病気が原因のケースもあります。
特に、水を飲まない以外の症状がある場合は、動物病院を受診するよう心がけましょう。
老犬が水を飲まないときは、その理由を見極めること、自然に水分を取れる工夫をすることが大切です。
日頃から飲水量や体調を観察し、小さな変化に気づくことが、愛犬の健康を守る第一歩になります。

======================
この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
======================

コメント

タイトルとURLをコピーしました