【2026年版】老犬の目が見えないときに考えられる病気とは?生活の工夫を獣医師が解説

この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
株式会社スケアクロウにて日々飼い主の皆さまサポートに奮闘中

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老犬の目が見えないときに考えられる病気とは?生活の工夫を獣医師が解説

老犬になるとさまざまな目のトラブルが起こり、愛犬の目が見えなくなっていないか心配になりますよね。

そんなとき、
「最近よく物にぶつかる」
「おもちゃやフードの位置が分かりにくそう」
「小さな段差にもよくつまずく」

といった愛犬の様子に気づいてはいませんか?

もしかするとそれは、目が見えないサインかもしれません。

実は、老犬の目が見えなくなる背景には、さまざまな目の病気が隠れていることをご存じでしょうか?

今回は、老犬の目が見えなくなる主な原因と考えられる病気、目が見えないときのサイン、日常生活でできる工夫を獣医師が紹介します。

最後までお読みいただき、愛犬の目が見えなくなったときの正しい理解を深めましょう。

老犬の目が見えない主な原因とは?

まず、老犬の目が見えなくなる原因には、どのようなものがあるのでしょうか?

原因は主に、「加齢による変化」と「病気による障害」の2つが挙げられます。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①加齢による視覚機能の低下

人間と同じように、犬も年齢とともに目の働きが衰えます。

光の感じ方が鈍くなったり、近くが見えづらくなったりするため、暗い場所では目が見えづらい、小さな段差でもつまずくといった様子が見られるようになります。

このように、老犬の目が見えなくなることは必ずしも病気とは限りません。

②病気による失明

老犬ではさまざまな目の病気により、視覚そのものが障害されることで目が見えなくなることもあります。

これらは進行すると完全に視覚を失うおそれがあるため、早期発見と早期治療が大切です。

老犬の目が見えないときに考えられる病気とは?

では、具体的にどのような病気が原因で、老犬の目が見えなくなるのでしょうか?

代表的な病気をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

①白内障

白内障は、高齢の犬においてよく見られる目の病気で、目の「水晶体」という部分が、病的に白く濁る病気です。

多くは遺伝的な要因や加齢に伴う変化によるものですが、

  • 糖尿病
  • 緑内障
  • ぶどう膜炎
  • 腫瘍
  • 進行性網膜萎縮

などの病気に伴って発症することも少なくありません。

白内障の症状としては、目が白く見えるほか、炎症による目やにや痛みが出ることがあります。

白内障がさらに進行してしまうと、両目とも白濁し目が見えなくなることが多いです。

白内障の治療には、初期には目薬で進行を抑える治療があり、進行した場合には手術で水晶体を取り除く治療があります。

ただし、手術による治療には全身麻酔が必要なため、シニア犬では慎重な判断が必要です。

②進行性網膜萎縮(PRA)

進行性網膜萎縮は、遺伝的な要因で網膜の細胞が徐々に機能を失う病気です。

初期症状は、暗いところで見えにくくなる「夜盲」から始まり、数か月〜数年かけて目が見えなくなります。

進行性網膜萎縮は、ミニチュアダックスフンドでの発症が多く、残念ながら有効な治療法は確立されていません。

進行を完全に止めることは難しいものの、サプリメントで網膜へのダメージをケアする方法が行われることもあります。

③緑内障

緑内障は、眼圧(眼球内の圧力)が上昇し、目に強い痛みや充血、視覚障害を起こす病気です。

眼球の内部は「眼房水」という水分で満たされており、眼房水の産生と排出のバランスが保たれることで眼圧が維持されています。

しかし、緑内障では何らかの原因で眼房水が排出されにくくなり、眼圧の上昇が起こります。

犬の緑内障は主に、原発性と二次性に分けられることが一般的です。

二次性の緑内障の原因としては、

  • 白内障
  • 水晶体脱臼
  • ぶどう膜炎
  • 腫瘍

などが挙げられます。

緑内障は一般的に進行が早く、放置すると短期間で失明する可能性がある病気です。

進行すると点眼薬では治療ができないこともあるので、早めの受診が大切です。

緑内障の症状としては、

  • 目が赤くなる
  • 目をしばしばさせる
  • 目を気にしてこする
  • 元気がなくなる
  • 目が飛び出る
  • 目やにが大量に出る

といったものがよく見られます。

上記のような症状が見られたときは、早めに動物病院を受診しましょう。

④ぶどう膜炎

ぶどう膜炎は、眼球の内側にある「ぶどう膜」に炎症が起こる病気です。

ぶどう膜炎の原因はさまざまなものが知られています。

具体的には、

  • 感染症
  • 外傷
  • 角膜潰瘍
  • 白内障
  • ドライアイ
  • 免疫の異常
  • 腫瘍

などが挙げられます。

ぶどう膜炎は激しい炎症から痛みを引き起こし、放置すると緑内障や失明につながることもあるため、非常に注意が必要です。

⑤網膜剥離

網膜剥離は、光の刺激を受け取る「網膜」が眼球の内壁から剥がれてしまうことで目が見えなくなる病気です。

網膜剥離の原因として、

  • 高血圧
  • 外傷
  • ぶどう膜炎
  • 白内障
  • 緑内障
  • 腫瘍

などが挙げられます。

網膜剥離は、早期に発見された場合は治療できる可能性があるものの、経過が長い場合は治療が難しくなることも少なくありません。

愛犬の体調の変化に気づいたときには、早めに動物病院を受診するよう心がけましょう。

⑥突発性後天性網膜変性症(SARDS)

突発性後天性網膜変性症は、突然目が見えなくなる原因不明の病気です。

好発犬種としてミニチュアシュナウザーやミニチュアダックスフントが知られていますが、どの犬種でも発生します。

私自身も、ミックス犬やそのほかの犬種での発症を経験しています。

一般的には、肥満傾向のある避妊済の雌で、かつ年齢は中高齢での発症が多いです。

突発性後天性網膜変性症では短期間で完全失明することが多く、治療法は確立されていません。

視力は戻らないものの、自宅での適切なサポートを行ってあげることで快適に暮らすことが可能です。

目が見えない老犬の行動サインとは?

ここまでは、老犬の目が見えなくなる原因について解説しました。

では、老犬の目が見えなくなったら、どのようなサインが見られるのでしょうか?

代表的な症状としては、

  • 家具や壁にぶつかるようになった
  • 散歩中に歩くスピードが遅くなった
  • トイレの位置を間違えることが増えた
  • 人や他の犬を怖がって吠えるようになった
  • 食事や水の場所を探すような仕草をするようになった

といった様子が挙げられます。

これらの行動は「わがまま」ではなく、見えづらさからくる不安のサインですので、見過ごさないようにすることが大切です。

目が見えない老犬と暮らす工夫とは?

もし、老犬の目が見えなくなってしまった場合は、日常生活においてどのような点に気を付ければよいのでしょうか?

犬は視覚を失っても、嗅覚や聴覚が優れているため、環境を工夫すれば安心して生活することができます。

それぞれを詳しく見ていきましょう。

①家具の配置を変えない

犬は目が見えなくなると記憶を頼りに動くようになるため、家具の位置を変えてしまうと混乱してしまいます。

模様替えや物の移動は最小限にしてあげましょう。

②段差をなくす・滑りにくい床にする

目が見えなくなると、小さな段差でもつまずき、転倒によるケガのリスクにつながります。

滑りにくいようマットを敷く、ベッドやトイレの周りに段差を作らないといった工夫をしてあげるとよいでしょう。

③水やトイレの場所を一定に保つ

家具と同様に、飲水やトイレの場所が変わると探せずに失敗してしまいます。

できる限り常に同じ位置に置いてあげましょう。

④不安を減らす接し方を心がける

老犬の目が見えなくなると、急に触れたり、大きな音を立てたりすることにとても驚いてしまいます。

声をかけながら、ゆっくりと近づき、犬が安心できるよう接してあげましょう。

⑤サプリメントで体調をサポートする

愛犬の目の健康が気になるときは、サプリメントで健康をサポートすることも選択肢の一つです。

よく使用されるサプリメントとしては、

  • フランス海岸松樹皮抽出物
  • プロアントシアニジン
  • クルクミノイド
  • アスタキサンチン
  • ビタミンE
  • アントシアニン
  • ルテイン

などが挙げられます。

ただし、サプリメントはあくまで補助的なものであり、治療の代替になるものではありません。

また、すべての老犬に効果が見られるわけではないため、自己判断で使用するのではなく、事前に獣医師へ相談することが大切です。

まとめ

年齢を重ねることで起こる「目が見えない」という変化は、愛犬にとっても飼い主様にとってもとても不安な状況です。

最初はその不安から、生活がうまくいかなくなることも多いと思います。

しかし、目が見えなくなっても愛犬の生活の質を保ってあげることは十分可能です。

そのためには、

  • 原因を早めに特定し、治療やケアを行う
  • 家の中を安全でわかりやすい環境に整える
  • 声かけや触れ合いで安心を伝える

といったことが大切です。

焦らず、少しずつ環境を整えながら、愛犬と寄り添う時間を大切にしてあげましょう。

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この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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