犬のサプリメントと食事療法の違いとは?
近年、愛犬の健康維持や病気の治療の選択肢として、「サプリメント」や「食事療法(処方食、療法食)」を使用することが一般的になっています。
動物病院を受診した際に療法食を勧められることもあれば、ネットやペットショップでサプリメントを見つけて「これも良さそう」と感じることもあると思います。
そうなると、「サプリメントと食事療法、どちらを優先すべき?」「両方同時に与えてもいいの?」と迷う飼い主も多いのではないでしょうか。
この記事では、獣医師の立場からサプリメントと食事療法の違いや使い分け方、併用時の注意点について詳しく解説します。
犬の食事療法とは?
人において食事療法とは、病気の治療や健康維持のために、食事の内容や量、栄養バランスなどを調整することを指します。
糖尿病や高血圧、腎臓病、高脂血症、高尿酸血症、肥満などが食事療法の対象となるそうです。
具体的には、適切なカロリーの摂取、栄養バランスの取れた食事、塩分や脂質の制限、食物繊維の摂取などが食事療法の基本となります。
犬の食事療法も人とほぼ同様で、犬の健康状態や疾患に応じて栄養バランスを最適化した特別なドッグフードを使用します。
特定の栄養素を制限する、または強化することで、体の負担を減らしたり、病気の進行を抑えたりすることを目的としています。
代表的な例は以下の通りです。
- 慢性腎臓病:リンやタンパク質を制限して腎臓の負担を軽減する
- 慢性心疾患:ナトリウムを制限し、心臓への負担を軽減する
- アレルギー性疾患:アレルゲンとなる特定の原材料を除き、症状を軽減する
- 体重管理:カロリーを制限し、体重管理をサポートする
- 糖尿病:炭水化物を制限し、食物繊維を豊富に加えることで、血糖値の上昇を抑制する
- 膵炎:脂肪を制限し、膵臓の負担を軽減する
これらの療法食は栄養学的な根拠に基づいて作られており、「治療の一環」として使われる点が、サプリメントとは異なる特徴です。
基本的には、獣医師の診断と指示のもとで使用します。
犬のサプリメントとは?
一方でサプリメントは、不足しがちな栄養素を補ったり、体の健康維持をサポートしたりするためのものです。
薬や療法食のように、治療として病気にアプローチすることが目的ではなく、あくまで「健康維持」が主な目的です。
犬用のサプリメントには以下のようなものが使用されています。
関節ケア
グルコサミン、コンドロイチン、モエギイガイ、ASU(アボカド大豆不鹸化物)、MSM(メチルスルホニルメタン)、コラーゲン、プロテオグリカン、オメガ3脂肪酸など
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皮膚・被毛ケア
オメガ3脂肪酸、亜鉛、ビタミンE、コラーゲン、LPS(リポポリサッカライド)、フランス海岸松樹皮抽出物など
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腸内環境ケア
乳酸菌、ビフィズス菌、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、酪酸菌、サイリウム、イヌリン、ラクリス菌、オリゴサッカライドなど
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肝臓ケア
SAMe、ニカショウハーブ、シリマリン、オルニチン、タウリン、プラセンタ、BCAA(分岐鎖アミノ酸)など
腎臓ケア
炭酸カルシウム、キトサン、オメガ3脂肪酸、活性炭、クエン酸鉄など
認知機能ケア
DHA、EPA、MCT(中鎖脂肪酸)、GABA、テアニン、ホスファチジルセリンなど
免疫ケア・抗酸化作用
フランス海岸松樹皮抽出物、アスタキサンチン、冬虫夏草、ラクトフェリン、プロポリス、アガリクス、タヒボエキス、アセチル化α-1,4グルカンなど
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尿ケア
N-アセチルグルコサミン、クランベリー、ウラジロガシエキス末など
目のケア
フランス海岸松樹皮抽出物、ルテイン、アントシアニン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、クルクミノイドなど
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心臓ケア
コエンザイムQ10、タウリン、フランス海岸松樹皮抽出物、オメガ3脂肪酸など
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口内環境ケア
アスコフィラムノドサム、グロピゲンPG、ラクトフェリン、リゾチーム、LPS(リポポリサッカライド)
おすすめサプリ:犬・猫の被毛・免疫・口臭ケアに|免疫バランスサポートサプリ「アレルナン」
サプリメントは、ドッグフードだけでは補いきれない栄養素をピンポイントで摂取できる点が特徴です。
療法食とは異なり、「成分を除く」というよりかは「成分を加える」というのが基本になります。
獣医師の指示なく購入できる分、成分の過剰摂取や重複には注意が必要です。
ここまでの違いを表にまとめました。
| 項目 | 食事療法(療法食) | サプリメント |
|---|---|---|
| 主な目的 | 病気の治療・進行抑制 | 栄養補助・健康維持 |
| 管理主体 | 獣医師の指導が必要 | 飼い主の判断でも使用可 |
| 科学的根拠 | あり | 製品によって差が大きい |
| 調節の範囲 | 栄養バランス全体 | 特定の成分のみ |
| 使用期間 | 基本的には長期継続 | 状況に応じて変更可 |
サプリメントと食事療法の使い分けとは?
ここまでは、サプリメントと食事療法の違いや特徴について解説しました。
では、両者はどのように使い分ければよいのでしょうか?
サプリメントと食事療法は、相互に代替するものではなく、目的によって両者を上手に使い分けることが大切です。
病気の治療中の場合
獣医師の指導の下、食事療法が基本となります。
治療経過や病気の状態に応じて栄養バランスを調整します。
治療が順調に進めば、サプリメントへ切り替えることもあります。
健康維持が目的の場合
現在は症状がなく、治療を行っていない場合は、サプリメントが使用可能です。
総合栄養食のドッグフードをベースに、サプリメントで気になる体調をサポートしてあげる方法が有効です。
健康維持のために食事療法を行うことも可能ですが、腎臓用や肝臓用の療法食のように、症状がなく健康な犬に与えると逆に悪影響を及ぼす療法食もあります。
療法食を使用する場合は、必ず獣医師の指示のもとで使用しましょう。
よくある病気での使い分け方の例
慢性腎臓病
食事療法:リン・タンパク質を制限した療法食を使用する。
サプリメント:リン吸着剤や活性炭、オメガ3脂肪酸のサプリメントで腎機能を補助する。
関節疾患(変形性関節症など)
食事療法:体重管理とオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)を含む療法食を使用する。
サプリメント:グルコサミンやコンドロイチン、ASU、MSMなどを使用する。
皮膚疾患(食物アレルギーなど)
食事療法:アレルゲンが除去された療法食を使用する。
サプリメント:オメガ3脂肪酸やプロテオグリカン、ビタミンEなどを使用する。
慢性心疾患(僧帽弁閉鎖不全症など)
食事療法:ナトリウムを抑えた療法食を使用する。
サプリメント:コエンザイムQ10やフランス海岸松樹皮抽出物(ピクノジェノール)などを使用する。
口腔内疾患(歯周病など)
食事療法:噛むことで歯垢を落とす設計の療法食を使用する。
サプリメント:グロピゲンPG、アスコフィラムノドサム、ラクトフェリンなどを使用する。
サプリメントと食事療法を併用する際の注意点とは
上述の通り、サプリメントと食事療法は併用することが可能です。
しかし、たまに療法食の中にすでにサプリメント成分が添加されているドッグフードがあります。
また、サプリメントにおいても、成分により薬との相互作用が知られているものもあります。
併用する場合は、以下のような点に注意しましょう。
1. 製品ラベルを確認する
成分や含有量、原材料などを確認し、使用する目的に合ったものを選びましょう。
また、原材料に対しアレルギーがないか、現在使用している別のサプリメントや薬、療法食との相互作用や過剰摂取の可能性がないか確認しましょう。
2. 使用する前に獣医師へ相談する
製品を確認した後、本当に使用して問題がないか、一度獣医師に相談しましょう。
もし適切に使用できていなかった場合は、愛犬の健康を損なう可能性があります。
3. 用量を守る
サプリメントは「多く与えたほうが効く」というものではありません。
過剰摂取は逆に体調に悪影響を与える場合があります。
4. 信頼できるメーカーを選ぶ
獣医師が推奨している製品や臨床データがある製品、安全基準を満たした製品を選ぶと安心です。
サプリメントは商品により製造過程や品質の違いが見られるので、注意が必要です。
特に海外製のものはより慎重に使用しましょう。
まとめ
犬のサプリメントと食事療法は、どちらも愛犬の健康を守るためにとても大切なものですが、目的と使い方が異なります。
両者を正しく組み合わせることで、病気の進行を抑えたり、健康を上手にサポートしてあげたりすることが可能です。
また、必ずしもどちらか一方に絞る必要はなく、併用することも可能です。
療法食を食べない、サプリメントを飲まないなど、どちらを優先するか判断に迷う場合は、一度獣医師に相談することを推奨します。
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この記事を書いたのは

獣医師:浅川雅清
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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