【2026年版】老犬の胃腸炎は放置NG!症状や間違えやすい病気、自宅での対処法を獣医師が解説

【2026年版】老犬の胃腸炎は放置NG!症状や間違えやすい病気、自宅での対処法を獣医師が解説 犬
この記事の監修者
みつはし

愛玩動物看護師
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老犬の胃腸炎は放置NG!症状や間違えやすい病気、自宅での対処法を獣医師が解説

愛犬がシニア期を迎え、以前より嘔吐や下痢をすることが増えると、心配になりますよね。

そんなとき、

「また胃腸炎になったのかな?」
「動物病院を受診するべき?」
「おなかに優しい食事にした方がいいの?」

といった疑問をお持ちではありませんか?

実は、老犬では加齢とともに食べ物の消化吸収能力が低下することで、成犬の頃よりも胃腸炎を発症しやすくなることが少なくありません。

また、胃腸炎と思っていた症状が、膵炎や腎臓病、腫瘍など、別の病気の可能性があることをご存知でしょうか?

この記事では、老犬の胃腸炎の症状や間違えやすい病気、受診の目安、自宅でできるケアを獣医師がわかりやすく解説します。

最後までお読みいただき、老犬の胃腸炎について正しい理解を深めましょう。

老犬の胃腸炎とは?

胃腸炎は、何かしらの原因で、胃や小腸、大腸などの消化管に炎症が起こる病気です。
炎症によって消化や吸収がうまく行えず、嘔吐や下痢、食欲不振などの症状が現れます。

老犬では、加齢に伴い消化機能が低下することが多いため、小さなきっかけで胃腸炎を発症しやすい傾向があります。

一般的に、胃腸炎は経過によって「急性」と「慢性」に分けられます。
急性の胃腸炎は、

  • 環境変化のストレス
  • 急な食事の変更
  • 細菌やウイルスの感染
  • 誤食

などが原因となることが多く、適切な治療で数日から1週間程度で改善するケースが多いです。一方、3週間以上症状が続く場合は慢性の胃腸炎と呼ばれ、その背景には内臓の病気や腫瘍などが隠れているケースが珍しくありません。

老犬の胃腸炎で見られる症状とは?

では、老犬で胃腸炎を疑う症状としては、どのようなものが挙げられるのでしょうか?
具体的には、

  • 嘔吐や下痢をしている
  • 食欲がない
  • 元気がない
  • 発熱している
  • お腹を痛がる

といった様子が挙げられます。
ただし、これらの症状は、胃腸炎以外のさまざまな病気でも見られる症状です。
特に老犬では、これらの症状の背景に重大な病気が隠れていることも珍しくありません。
そのため、「単なる胃腸炎かな」と自己判断せず、早めに動物病院を受診するよう心がけましょう。

老犬の胃腸炎と間違えやすい5つの病気とは?

嘔吐や下痢、食欲不振は胃腸炎の代表的な症状ですが、老犬では他の病気が原因となっているケースも少なくありません。
具体的な原因としては、

  • 慢性腎臓病
  • 急性膵炎
  • アジソン病
  • 消化管腫瘍
  • 胆嚢粘液嚢腫

といった病気が挙げられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。

①慢性腎臓病

腎臓とは、血液をろ過して、尿を作るとともに血液中の老廃物を体外へ排出する臓器です。
その腎臓の機能がさまざまな原因で低下することを「慢性腎臓病」と呼びます。

慢性腎臓病は老犬に多い病気の一つで、犬の三大死因の一つといわれています。
慢性腎臓病の初期は、目立った症状が出にくいのが特徴です。

しかし、腎臓の働きが低下するにつれて、老廃物をうまく排出できなくなり、胃腸炎に似た症状が現れます。さらに、「最近やたらと水を飲む」「トイレの回数が増えた」と感じたら、特に注意が必要です。

②急性膵炎

膵炎とは、脂肪を消化する臓器である「膵臓」に炎症が起き、嘔吐や下痢を引き起こす病気です。

膵臓は主に脂肪の消化を担う臓器であるため、脂肪分が高い食べ物を食べた際に起こりやすいと言われています。
具体的には、

  • 脂身の多い肉
  • バターやチーズなどの乳製品
  • 揚げ物などの誤食

といったものが原因であることが多いです。
好発犬種はミニチュアシュナウザー、ヨークシャーテリアなどが挙げられます。

③アジソン病

アジソン病(副腎皮質機能低下症)とは、副腎から分泌されるホルモンが不足することで起こる病気です。

嘔吐や下痢、食欲不振などの胃腸炎とよく似た症状が現れるため、初期には胃腸炎と間違われることがあります。

アジソン病では、強いストレスや体調不良をきっかけに急激に悪化し、「アジソンクリーゼ」と呼ばれるショック状態に陥ることがあります。

重症化すると命に関わるため、早期発見・早期治療が大切です。

④消化管腫瘍

老犬では、消化管や内臓の腫瘍から嘔吐が起こることも少なくありません。

腫瘍によって胃腸が刺激されたり、通過障害が起きたりすることで、胃腸炎のような症状が起きることがあります。
老犬でよく見られる消化管の腫瘍には、

  • 消化管型リンパ腫
  • 腺癌
  • 肥満細胞腫
  • GIST

などが挙げられます。
これらの病気は、末期になるまで症状を示さないこともあり、健康診断で偶然診断されることも少なくありません。

⑤胆嚢粘液嚢腫

胆嚢粘液嚢腫とは、本来はサラサラしている胆汁がゼリー状に固まり、胆嚢の中にたまってしまう、老犬に多く見られる病気です。

初期にはほとんど症状が現れないこともありますが、病気が進行すると嘔吐や食欲不振、元気消失など胃腸炎によく似た症状が現れます。

さらに悪化すると胆嚢が破裂し、胆汁がお腹の中に漏れ出す「胆汁性腹膜炎」を引き起こすことがあり、緊急手術が必要になるケースもあります。

老犬の胃腸炎ですぐに動物病院を受診すべき目安とは?

では、老犬で胃腸炎を疑う場合、どのような症状が見られたらすぐに動物病院を受診すべきなのでしょうか?
具体的には、

  • 繰り返し嘔吐や下痢をする
  • 血便や黒色便が出た
  • ぐったりして動かない
  • 半日以上食事を食べない
  • 呼吸が荒い
  • 強い腹痛がある
  • 震えている

といった症状が挙げられます。
成犬と比べて、老犬では短時間様子を見ている間にも、病状が急に進行することも珍しくありません。

愛犬にいつもと違う様子が見られた場合は、速やかに動物病院を受診するよう心がけましょう。

老犬の胃腸炎に対する自宅での対処法とは?

では、老犬の胃腸炎の際、食事を与えるときに自宅でできる対処法には、どのようなものがあるのでしょうか?
具体的には、

  • 食事回数を増やす
  • 消化しやすいフードに変更する
  • 水分補給を意識する

といった方法が挙げられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。

①食事回数を増やす

老犬の胃腸炎では、いきなり通常量の食事を与えると胃や腸に負担がかかり、再び嘔吐や下痢をする可能性が高まります。

そのため、1回の食事量を減らし、1日のトータル量を3〜4回に分けて与えましょう。

②消化しやすいフードに変更する

老犬になり消化吸収能力が低下している場合は、老犬用のフードや消化器ケア用の療法食に切り替えることで、繰り返す胃腸炎が改善するケースがあります。

しかし、急に新しいフードに変更するのではなく、1週間程度かけて、少量からゆっくり切り替えることが大切です。
その他にも、

  • ドライフードを細かく砕く
  • ドライフードをぬるま湯でふやかす
  • ウエットフード中心のご飯にする

といった方法があります。
愛犬の様子を見ながら、適切な方法を選んであげましょう。

③水分補給を意識する

老犬では嘔吐や下痢が続くと、体内の水分や電解質が失われ、脱水症状を起こしやすくなります。

そのため、こまめな水分補給を意識することが大切です。

一気に飲むと再び嘔吐してしまう可能性があるため、水は一度にたくさん飲ませるのではなく、少量ずつこまめに与えましょう。

また、水を飲まない場合は、ドライフードをふやかしたり、ウエットフードを使用したりすることも方法の一つです。

老犬の胃腸炎でおすすめのサプリメントとは?

老犬の胃腸炎では、腸内環境をサポートすることを目的に、サプリメントが使用されることがあります。
具体的な成分としては、

  • ビフィズス菌
  • フラクトオリゴ糖
  • ガラクトオリゴ糖
  • 酪酸菌
  • サイリウム
  • ラクリス菌

といったものが用いられます。
ただし、サプリメントは薬ではなく、病気を治すものではありません。
自己判断せず、サプリメントを使用する前には必ず獣医師に相談しましょう。

まとめ

老犬は加齢によって消化吸収能力が低下するため、若い頃よりも胃腸炎を発症しやすい傾向があります。

老犬で嘔吐や下痢、食欲不振がみられた場合は、胃腸炎だけでなく、慢性腎臓病や膵炎、消化管腫瘍などの病気が隠れている可能性もあるため、「様子を見よう」と自己判断するのは危険です。

特に、繰り返す嘔吐や下痢、ぐったりしている、水も飲めないといった症状がある場合は、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。

また、自宅では消化しやすい食事を少量ずつ与え、十分な水分補給を心がけることが大切です。
日頃から食事管理や定期健康診断を行い、小さな体調の変化にも早く気付けるようにしてあげることが、老犬の健康を守る大切なポイントです。

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この記事を書いたのは

記事の監修者の写真

浅川雅清
獣医師
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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