猫の便秘が続くと危険?その原因や対処法、受診の目安を獣医師が解説
愛猫が排泄時に便を出しにくそうにしていると、心配になりますよね。
そんなとき、
「便秘になっているのだろうか?」
「猫の便秘はなぜ起きるのだろう?」
「動物病院を受診すべき?」
といった疑問をお持ちではありませんか?
便秘は一時的なものであれば、食事や生活習慣の見直しで改善することもあります。
一方で、放置すると重症化し、長期的な治療が必要になるケースもあることをご存知でしょうか?
この記事では、猫の便秘の基準や原因、症状、動物病院を受診する目安、サプリメントについて獣医師が分かりやすく解説します。
最後までお読みいただき、猫の便秘について理解を深めましょう。
猫の便秘とは?
健康な猫の排便回数は、一般的に1日1回程度が目安とされています。
ただし、食事内容や年齢、運動量などによって個体差があり、1~2日に1回の排便であることも珍しくありません。
しかし、排便が3日以上見られない場合、便秘である可能性が高まると言われています。
また、重要なのは排便回数だけではなく、
- トイレで何度もいきむ
- 少量の硬い便しか出ない
- 排便時に鳴く
といった症状が見られるかどうかも重要です。
これらの症状が見られる場合は、便秘が進行している可能性があります。
猫の便秘が続くと危険な理由とは?
便が長期間腸内にとどまると、水分がさらに吸収されて硬くなり、ますます排便しにくくなります。
その結果、猫は強くいきむようになり、痛みやストレスを感じるようになります。
さらに、その痛みから排便をしなくなるという悪循環が生じます。
便秘を繰り返すと、大腸が大きく広がったまま元に戻らなくなる「巨大結腸症」を発症することがあります。
巨大結腸症になると、自力で便を排出することが難しくなり、浣腸や摘便、場合によっては外科手術が必要になるケースも少なくありません。
また進行すると、腸閉塞のように嘔吐や食欲不振の症状が現れ、全身の状態が悪化することがあります。
猫が便秘になる主な原因とは?
では、なぜ猫は便秘になるのでしょうか?
具体的には、
- 水分不足
- 食物繊維の不足や過剰
- 運動不足
- 毛玉
- 環境変化などのストレス
- 病気
といったものが挙げられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①水分不足
水分不足になると便の水分も減り、硬い便になりやすくなります。
その結果、便秘につながることが少なくありません。
特にドライフード中心の食事では、水分摂取量が不足しやすいため注意が必要です。
②食物繊維の不足・過剰
一般的に、食物繊維は排便をサポートするため、不足すると便秘になりやすいと言われています。しかし、過剰に摂取した場合でも、便秘の原因になることがあるため、注意が必要です。
③運動不足
運動は、消化管の蠕動運動を促進すると言われています。
そのため、運動量が少ないと腸の動きが低下し、便が腸内に長くとどまりやすくなります。
室内飼育の猫では運動不足になりやすいため、おもちゃなどを活用して体を動かす時間を作ることが大切です。
④毛玉
グルーミングで飲み込んだ毛が、消化管の動きを妨げたり、便と混ざって便が硬くなったりすることで、排便しにくくなることがあります。
特に長毛種や換毛期は、毛玉による便秘が起こりやすくなります。
⑤環境変化などのストレス
引っ越しや新しい家族や動物が増えること、トイレ環境の変化などがストレスとなり、排便を我慢してしまう猫も少なくありません。
特にペットホテルに預けた際などには、数日便が出ないこともあります。
⑥病気
最後に、便秘の背景にはさまざまな病気が隠れていることがあります。
具体的には、
- 慢性腎臓病
- 馬尾症候群
- 変形性関節症
- 骨盤骨折
- 消化管腫瘍
- 甲状腺機能亢進症
などが挙げられます。
「単なる便秘だから」と安易に考えず、病気が隠れていないか適切な検査を行うことが大切です。
猫の便秘で受診すべき目安とは?
では、愛猫に便秘が疑われたときは、どのようなタイミングで受診すべきなのでしょうか?
まずは前述の通り、3日以上排便がない場合は受診を検討しましょう。
また、次のような症状がある場合は、早急に受診する必要があります。
- 激しくいきんでも便が出ない
- 嘔吐を繰り返している
- 食欲がない
- 元気がなく、ぐったりしている
- お腹が大きく張っている
- 血便が出ている
これらは重度の便秘だけでなく、腸閉塞など緊急性の高い病気へと進行している可能性もあります。愛猫に便秘が疑われる場合は、自宅で様子を見るのではなく動物病院へ相談しましょう。
猫が便秘になったときの対処法とは?
もし愛猫が便秘になってしまった場合は、自宅ではどのようなケアをすればよいのでしょうか?
具体的には、
- 水分摂取を増やす工夫をする
- 食事内容を見直す
- 適度な運動を取り入れる
- トイレ環境を整える
- サプリメントを取り入れる
といった工夫が挙げられます。
それぞれを詳しく見ていきましょう。
①水分摂取を増やす工夫をする
まず、便秘対策では十分な水分補給が重要です。
しかし、猫はあまり水を積極的に飲まない子が多いのも事実です。
その場合は、
- ウェットフードを取り入れる
- 複数の場所に新鮮な水を置く
- ウォーターファウンテンを使用する
といった方法で、飲水量を増やす工夫を行いましょう。
②食事内容を見直す
便秘の際の食事では、食物繊維を意識することが大切です。
特に、可溶性食物繊維が適度に添加された療法食を使用することがおすすめです。
ただし、自己判断でサプリメントや食物繊維を追加すると悪化するケースもあるため、まずは一度獣医師へ相談しましょう。
③適度な運動を取り入れる
遊びを通じて体を動かすことで、腸の蠕動運動を刺激することにつながります。
1日10~15分程度でもよいので、猫じゃらしやボールなどを使って遊ぶ時間を確保しましょう。
毎日の遊びは腸の働きを促すだけでなく、肥満予防にもつながります。
④トイレ環境を整える
猫はトイレの環境に敏感な子が多いです。
汚れたトイレでは排便を我慢してしまうことがあるため、こまめに掃除を行い、静かで落ち着ける場所に設置するようにしましょう。
現在は、「猫の頭数+1個」のトイレを設置することが推奨されています。
⑤サプリメントを取り入れる
便秘の猫では、腸内環境が乱れていることも珍しくありません。
そのため、サプリメントで腸内環境をサポートすることも選択肢の一つです。
具体的には、
- ビフィズス菌
- フラクトオリゴ糖
- ガラクトオリゴ糖
- 酪酸菌
- サイリウム
- ラクリス菌
といったものがよく用いられます。
ただし、サプリメントは薬ではなく、病気を治すものではありません。
自己判断せず、使用する前には必ず獣医師に相談しましょう。
まとめ
猫の便秘は決して珍しい症状ではありませんが、長期間放置すると重症化することがあります。
特に何日も便が出ない場合や、食欲低下、嘔吐、元気消失などを伴う場合は、早めに動物病院を受診することが大切です。
日頃から十分な水分補給や適度な運動、清潔なトイレ環境を心がけることで、便秘の予防につながります。
一方で、便秘を繰り返す場合は病気が隠れている可能性もあるため、自己判断で様子を見続けるのではなく、獣医師に相談して原因を確認しましょう。
毎日の排便は、猫の健康状態を知る大切なサインです。愛猫の排便習慣を日頃から観察し、小さな変化にも気づけるよう心がけましょう。
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この記事を書いたのは

浅川雅清
獣医師
2016年、日本大学生物資源科学部獣医学科卒
同年4月から、東京都内のペットショップ併設の動物病院に勤務
犬・猫・ウサギ・ハムスターの診療業務を行う傍ら、
ペットショップの生体管理や、動物病院の求人管理や、自社製の犬猫用おやつやフードの開発に携わる。
2023年から1年間、分院長を経験し、2024年にフリーランス獣医師として独立。
現在は診療業務の他、電話での獣医療相談や、ペット用品の商品監修など幅広い業務を行っている
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