循環器系の病気

■ 僧帽弁狭窄症(そうぼうべんきょうさくしょう)

【原因】

僧房弁が十分に開口できないことより引き起こされます。僧房弁は左心室と左心房を区切る2枚の薄い弁です。心臓が拡張する時心房を通って心室に血液をためるため僧房弁は開いており、収縮する時心室の血液を全身へ送るため僧房弁は閉じています。僧房弁が狭窄すると、拡張時に僧房弁が十分に開いていない状態で、弁と弁の周囲組織の癒着や肥厚の異常により起こると考えられています。

【症状】

心臓の左心室入り口に位置し、血液の流れを調整する僧房弁の開口部が狭くなることで、左心房から左心室へ十分な血液が送れなくなります。症状は僧房弁閉鎖不全症と類似しており、呼吸困難や咳の症状が表れます。呼吸困難になると、常に口を開けて呼吸をしたり胸を広げるように息を吸い込んだりするようになります。また運動をするとすぐに疲れたり座り込んだりと運動不耐性を示します。また運動したり興奮状態になったりすると血圧が低下して失神する場合もあります。また左心房圧と肺毛細血管圧の上昇によって、肺水腫や肺高血圧症を引き起こします。

【治療・対策】

X線検査や心臓超音波検査、心雑音や血圧測定などで診断されます。心臓に血液がたまるのを防ぐために、排尿で水分を減らす利尿剤や血管拡張剤を投与します。不整脈がある場合には、抗不整脈薬を投与します。また状況に応じて僧房弁が十分に開口して左心室への血液の流れを確保できるように、外科手術を行う場合もあります。しかしながら、人口心肺装置を用いて心臓を止めての手術でリスクを伴うため、十分な検討が必要です。完治が難しい疾患のため、症状の緩和とQOL(生活の質)の改善のための治療が行われます。


■ 白血病(はっけつびょう)

【原因】

原因は白血病のタイプによって異なります。急性骨髄性白血病の場合、骨髄中にある赤芽球、骨髄球、単球、巨核球の4つの造血細胞のうちの1つ以上が分化せず腫瘍化することで発症します。慢性骨髄性白血病は、好中球や単球などの分化した細胞が増加することで発症します。急性リンパ性白血球は、未分化のリンパ球やリンパ芽球が増加することで発症します。慢性リンパ性白血球は、分化したリンパ球やリンパ芽球が増殖することで発症します。急性の場合、猫白血病ウイルス感染症との関連が推察されています。

【症状】

血液を構成する赤血球と白血球、血小板の細胞成分を作る造血幹細胞が骨髄で腫瘍化している状態です。白血病は骨髄性白血病とリンパ性白血病に分かれ、さらに急性と慢性に分かれます。急性と慢性の違いは、増殖する細胞が未分化なものが急性、分化しているものが慢性になります。貧血や食欲不振、元気消失や発熱、紫斑や歯茎からの出血、粘膜の蒼白、リンパ節の腫大化、疲れやすいなどの症状が表れます。急性の白血病の場合、きわめて短期間で死に至る危険性があるため、早期の発見と治療が必要です。

【治療・対策】

急性骨髄性白血病の場合、数種類の抗がん剤を組み合わせて投与され、必要に合わせて輸血を行います。しかし3ヶ月程度の延命に止まっているのが現状です。慢性骨髄性白血病の場合、数種類の抗がん剤を組み合わせて投与しますがあまり反応はなく徐々に進行していきます。急性に転化する場合もあるので注意が必要です。急性リンパ性白血球の場合、多種類の抗がん剤の投与と、状況に応じて輸血や抗生物質の投与を行います。白血病の中で最も発症率が高く、急性骨髄性白血病よりも抗がん剤の効果が見られています。慢性リンパ性白血球では、特定の抗がん剤が投与されます。あまり発症は見られません。原因の一つと推察される、猫白血病ウイルスへの感染を防ぐためのワクチンの接種が予防策です。


■ 肺高血圧症(はいこうけつあつしょう)

【原因】

原発性と二次性の場合があります。原発性の発生メカニズムについては解明されていません。二次性の場合、心疾患に続発するケースが多く、動脈管開存症やファロー四徴症、心室中隔欠損症や心房中隔欠損症などがあります。また犬糸状虫症などの進行性の血管疾患や、老齢や肥満も原因と考えられます。

【症状】

肺の血管内径が狭くなることによって肺動脈圧が高くなって右心房への負担が増えて機能が低下したり、また肺を通過する血液循環が不十分になることで全身への血液循環が低下したりして、結果全身に血液が停滞するようになります。血流が悪くなることで様々な症状が表れます。運動するとすぐに疲れたり息が上がったりする運動不耐性や、常に口を開けて呼吸したり胸を広げるように息を吸い込んだりするようになります。咳や発育不全などの症状も表れます。原因となる基礎疾患によってはチアノーゼが見られる場合もあります。死に至る危険性危険性が高い疾患です。動脈硬化症や脳出血、心臓の肥大などを続発する場合もあります。

【治療・対策】

心雑音とX線検査、超音波検査などで診断されます。内科治療が一般的です。降圧薬や利尿薬、血管拡張剤や気管支拡張剤、強心薬などが投与されます。状況に応じて酸素の吸入をしたり、多血症の場合は造血抑制剤を投与したりします。心疾患などの影響がある場合には、その治療を行います。肥満や高ナトリウム食と高血圧との関連が推察されています。日頃から栄養バランスのとれた食餌を与え、運動管理と合わせて体重をコントロールすることが、予防策になると考えられます。



■ 動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)

【原因】

大動脈と肺動脈を繋ぐ動脈管という、胎生期の血管が閉鎖せずに出生後も残っていることが原因で、先天性の心臓病です。

【症状】

大動脈と肺動脈を繋ぐ動脈管という、胎生期の血管が閉鎖せずに出生後も残っている状態です。動脈管が開存していると、大動脈から肺動脈へ血液が流入して全身に異常をきたします。喉にものを詰まらせたような咳をしたり、運動をするとすぐに疲れたり座り込んだりと運動不耐性を示します。元気消失や食欲不振、体重減少などの症状が表れ、呼吸困難や失神する場合もあります。進行すると皮膚や粘膜にチアノーゼを起こし、肺高血圧症や僧房弁閉鎖不全症、僧房弁狭窄症を合併する可能性もあり、それによって肺水腫や吐血症状を表す場合もあります。

【治療・対策】

心雑音とエコー検査で診断されます。降圧薬と利尿薬を投与してうっ血性心不全の治療を行います。状態が安定している場合は、動脈管を閉鎖する外科手術を行いします。手術は主に2つの方法があり、1つは開胸して直接閉鎖する方法、もう1つはカテーテルを挿入して特殊なコイルを詰める方法です。また他に肺高血圧症や僧房弁閉鎖不全症などを併発している場合は、それに応じて治療を行います。進行すると手術を行えず予後は不良のため、早期の発見と治療が必要です。


■ 僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)

【原因】

僧房弁の閉鎖不全により引き起こされます。僧房弁は左心室と左心房を区切る2枚の薄い弁です。心臓が拡張する時心房を通って心室に血液をためるため僧房弁は開いており、収縮する時心室の血液を全身へ送るため僧房弁は閉じています。閉鎖不全は収縮の時に僧房弁が完全に閉じれていない状態で、弁自体、弁を固定する腱、腱を調整する乳頭筋のどれかの異常により起こると考えられています。また比較的症例の多い犬においては特定の犬種に発症が見られることから、遺伝子との関連が推察されています。

【症状】

心臓の左心室入り口に位置し、血液の流れを調整する僧房弁に閉鎖不全が起こることで血液の逆流が起こります。逆流量が増えてくると心臓が肥大して心不全を起こし、左心不全による肺水腫を原因とする呼吸困難や咳の症状が表れます。呼吸困難になると、常に口を開けていたり胸を広げるように息を吸い込んだりするようになります。また運動をするとすぐに疲れたり座り込んだり、悪化すると失神したりと運動不耐性を示します。その症状は僧房弁狭窄症と類似しています。猫では肥大型心筋症に続発して発症するケースが多く見られます。

【治療・対策】

X線検査やエコー検査、心雑音や肺雑音の有無によって診断されます。進行すると心不全を引き起こすため、予防して心臓の負担を軽減するための内科的治療を行います。血管拡張剤や、強心薬などの心臓の収縮力を高める薬の投与、肺水腫に対して利尿剤の投与、咳に対して気管支拡張剤の投与を行います。また状況に応じて、逆流量を減らすための外科手術を行う場合もあります。完治が難しい疾患のため、症状の緩和とQOL(生活の質)の改善のための治療が行われます。

■ 高血圧症(こうけつあつしょう)

【原因】

猫では二次性高血圧症の発症が最も多く、その原因は基礎疾患の影響です。具体的には、腎疾患や糖尿病、甲状腺機能亢進症や副腎皮質機能亢進症などがあります。その疾患によって発症原因は様々です。例えば、腎疾患であれば下部尿路症候群や事故などによる泌尿器損傷、食餌の栄養バランスなどが原因と考えられます。糖尿病であれば腫瘍や基礎疾患、肥満やストレスなどが原因と考えられます。また老齢の猫で発症が多い傾向があります。

【症状】

血圧が上昇して最高血圧160mmHg以上になった状態が高血圧症です。生理的高血圧と病理的高血圧に分けられ、生理的は老齢や発情などに伴い、病理的は腎炎や動脈硬化、肺炎や心不全など様々な疾患に伴います。病理的高血圧はされに本能性高血圧と二次性高血圧に分けられます。本能性は遺伝的・環境的要因が推察されており、二次性は甲状腺機能亢進症や腎疾患を伴います。症状は網膜剥離や眼内出血を起こし失明する場合も多くあります。また原因疾患によって、食欲不振や元気の消失、運動失調や痙攣、嘔吐や便秘、呼吸困難や貧血など様々な症状が表れます。症状が表れにくい場合もあります。

【治療・対策】

血圧測定や血液検査、眼底検査などによって診断されます。発症の多い二次性高血圧の場合は、基礎疾患に合わせて様々な治療を行います。原因の特定できない本能性高血圧の場合などは、降圧薬を投与します。また状況に応じて、排尿で体内の水分量を減らす利尿剤やカルシウム拮抗薬なども投与されます。肥満や高ナトリウム食と高血圧との関連が推察されています。日頃から栄養バランスのとれた食餌を与え、運動管理と合わせて体重をコントロールすることが、予防策になると考えられます。


■ ファロー四徴症(ふぁろーしびしょう)

【原因】

先天性の心臓病で、心臓の分化異常や発達不全が原因です。そのメカニズムについては解明されていません。

【症状】

心臓から肺へ流れる肺動脈の狭窄、左右の心室の間に穴が開く心室中隔の欠損、大動脈の騎乗、右心室の筋肉が厚くなる右心室肥大の4つの症状を持っています。先天性の疾患のため、生まれてすぐに症状が表れるようになります。右心室から大動脈へ静脈血が流れこむことで低酸素血症になり、皮膚や粘膜が紫色になるチアノーゼが表れます。また疲れやすくすぐ息が上がる運動不耐性、常に口を開けて呼吸したり、胸を広げるように吸い込むようにしたり、呼吸困難、血液に含まれる赤血球が増加する多血症、発育不全、咳などの症状が表れます。低酸素発作を引き起こし、倒れる場合もあります。死に至る危険性が高い心疾患です。

【治療・対策】

心雑音の有無とX線検査での心臓や肺の状態、血液検査や心電図での不整脈の有無の確認などで診断されます。降圧薬や利尿薬を投与して、多血症や不整脈を抑制します。またチアノーゼが重度の場合には、運動制限を行います。重度の場合は、心室中隔の欠損を塞ぎ、肺動脈を拡張する手術を行います。人口心肺装置を用いた開心術でリスクを伴うため、猫の状態を踏まえてよく検討する必要があります。ファロー四徴症は死に至る危険性が高いため、早期の発見と治療が必要です。



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