目の病気

■ ぶどう膜炎(ぶどうまくえん)

【原因】

ぶどう膜炎は外傷や免疫の異常によるもの、目の中の腫瘍、感染症(猫白血病ウイルス感染症や猫伝染性腹膜炎、トキソプラズマ症や猫免疫不全ウイルス感染症や真菌など)、全身の病気である高血圧やリンパ腫、角膜炎や結膜炎、歯周病などなど様々なことが病因として考えられます。ぶどう膜は眼の他の部分と比較すると血管が多いので、ぶどう膜自体が炎症を起こしている場合だけでなく、全身のほかの臓器に起こった炎症に影響され発症している可能性も考えられます。

【症状】

ぶどう膜は、虹彩と毛様体、脈絡膜から構成されています。ぶどう膜炎はこれらの目の内部の器官が炎症を起こすことを言います。ぶどう膜炎にかかると、瞳孔の縮小や結膜(白目)の充血、目やにや涙がみられる、虹彩の変形や角膜に炎症細胞の沈着、房水が作られないことで眼圧が低下するなどの症状が表れます。重度の場合は緑内障や白内障、網膜に炎症が進むことによる網膜剥離などを引き起こし、最悪の場合失明してしまうこともあります。

【治療・対策】

基本的には点眼による投薬治療ですが、感染症や結膜炎や角膜炎など、他の疾患が原因によりぶどう膜炎を発症している場合は、その疾患に対する治療を行います。原因不明の場合には、点眼薬を投与するなど対処療法を行います。また、炎症を抑制するためにステロイド剤を投与し、水晶体と虹彩が癒着してしまわないように散瞳薬を投与することもあります。ぶどう膜炎は感染症が原因となる場合も多い質病ですので、ワクチンの接種が予防措置になります。


■ 眼球癒着(がんきゅうゆちゃく)

【原因】

猫同士のケンカや何かのタイミングで異物が入り込み、眼球に傷がついて炎症を起こす場合や、ホコリやゴミなどによるアレルギー症状として表れる場合もあります。最も多いのは感染症によるものです。代表的なものとして、ネコヘルペスウイルスやクラミジア細菌などの感染症があげられます。特に子猫が感染すると重症化し、癒着を引き起こす場合があります。その場合は、眼の症状以外に鼻水やくしゃみといった呼吸器症状が一緒に表れるかどうかで判断できます。

【症状】

結膜の炎症が悪化することによって、眼球や眼瞼の結膜が増殖をして、角膜や瞬膜と癒着をした状態になります。眼球や眼瞼に結膜に増殖が表れることから、結膜増殖症とも言われます。癒着により眼瞼の開閉範囲が制限されることで、視力が低下したり眼球の可動性が低下したりします。合わせて流涙や腫れ、目やにや充血などの症状が表れ、慢性化する場合もあります。猫が痒みや痛みによって掻いたりこすりつけたりといった動作を表す場合もあり、また原因によってはくしゃみや鼻水といった症状があらわれる場合もあります。

【治療・対策】

癒着している場合、外科手術による癒着部分の結膜の剥離と切除を行うことが一般的です。また手術後の再発を防ぐために、合わせて薬物療法を行います。薬物療法は、細胞増殖抑制効果のある薬剤を湿布し、抗生物質の点眼を行います。予防策としては、外傷や感染を防ぐために他の猫との接触を避け、事前にワクチン接種をしておくこと、アレルギーなどを防ぐために飼育環境を日頃から清潔に保つことなどがあげられます。


■ 水晶体脱臼(すいしょうたいだっきゅう)

【原因】

水晶体脱臼の原因は物理的な衝撃によるものと、ぶどう膜炎や、緑内障により眼圧が上がること、白内障による水晶体の膨張など内的な要因によるもの、先天的にチン氏帯が弱くて成長するに従ってさらに弱って切れてしまうもの、の3つの要因が考えられます。

【症状】

常、水晶体(瞳の中で凸レンズの役割を果たす部分)は虹彩の後ろに位置し、毛様体とチン氏帯という細い糸の束でつながっていますが、このチン氏帯が切れてしまった状態や、水晶体が外れてしまい、水晶体が本来あるべき位置からずれてしまったことを水晶体脱臼と言います。水晶体脱臼を起こすとぶどう膜炎や緑内障などを起こしやすく、目の痛みも生じます。基本的には痛みの度合いは大きいことが多く、早急に手術で対処すべき疾病です。

【治療・対策】

水晶体脱臼は虹彩より前に脱臼する場合と、虹彩よりも後方で脱臼する場合とで対処が大きく異なってきます。虹彩よりも前に脱臼をした場合は炎症を起こしやすいため対処(水晶体の摘出)が必要ですが、虹彩よりも後方に脱臼をしてしまった場合は、あまり影響はなく、手術でも水晶体をてきしゅつすることができないので経過観察となります。しかし、後方脱臼の場合でも自然と位置がずれて前方へ脱臼してしまうことがあるので、その場合は水晶体の摘出が必要となってきます。


■ 白内障(はくないしょう)

【原因】

猫では、犬に比べ、白内障の発症頻度は少ない。原因としては、先天性、後天性にわかれるが、後天性の白内障は、老年性、糖尿病性、外傷性、内分泌性、毒性などがある。遺伝による先天的な疾患の場合もありますが、多くは異物が目にはいったり物理的な衝撃を受けたりして水晶体に外傷がついてしまうことや、水晶体が元の位置からずれてしまう水晶体脱臼、日光の影響や加齢によるもの、糖尿病や、代用乳を用いたことによる栄養不良等が原因であるようです。ナフタリンやジニトロフェノールといった有害な物質も原因となりうると言われています。白内障が重症化するとぶどう膜炎を引き起こし、失明してしまうことも考えられます。

【症状】

白内障はレンズの役割をしている水晶体が白く濁ってしまう病気です。これにより、視力の低下、充血する、発熱する、涙や目やにが多くなる、目の奥をのぞくともやがかかって見える、嘔吐や食欲不振などの症状が表れます。ぶどう膜炎や網膜剥離を引き起こすこともあります。両目とも白内障になった場合は目がみえにくくなるため、猫の行動範囲は狭くなり、壁や障害物によく衝突するなどの動きがみられることがあります。また、光を眩しく感じたりすることがあります。

【治療・対策】

治療・対策 白内障の正確な診断にはスリットランプと呼ばれる特殊な機械で検眼を行います。白内障を投薬治療で完治させることはできないので、初期の白内障治療においては進行を遅らせるための点眼治療が一般的で、白内障の原因となった症病がある場合は、そちらも合わせて治療します。既に進行していて視力を回復させたい場合や、ブドウ膜炎や網膜剥離の危険がある場合には、外科手術によって白内障となった水晶体を取り出し、人工眼内レンズを装着する必要があります。


■ 緑内障(りょくないしょう)

【原因】

毛様体で生産された房水が隅角へと流れる過程で異常を示し、眼球の内部に溜まることで眼球の内圧が高まり、視神経が圧迫されることが原因です。房水が眼球の内部にたまってしまう要因の一つとしては、ブドウ膜炎や眼球内腫瘍、猫伝染性腹膜炎や猫白血病ウイルス感染症、腎不全などの疾患が影響していたり、隅角が狭まったり詰まったりして異常を起こしていることが考えられます。特に猫の場合は隅角のつまりよりも前者のような他の疾患の影響による場合が多く見られます。

【症状】

緑内障は、先天性緑内障、原因不明の突発性緑内障、他の疾患によりおこる続発性緑内障に別れるが、猫では、原発性緑内障はまれで、多くは、続発性緑内障である。また、緑内障は、眼房を満たす房水の流れが阻害されることにより、目の眼圧が異常に高くなってしまい、網膜や視神経が害されることで視覚障害を起こすことを言います。視力の低下、眼球が突出する、瞳孔が開いた状態になる、結膜炎や角膜炎を引き起こすなどの症状が見られ、重症化した場合は「牛眼」と呼ばれる、眼球が肥大した状態となります。緑内障は進行すれば失明に至る場合もあります。慢性と急性に分類され、急性では痛みを伴い、急激な視力の低下や食欲不振になる可能性もあります。正常眼圧が15~18mmHg(なかには、30mmHgの品種もある)であるのに比べ、急性例では、45~75mmHgにもなります。

【治療・対策】

他の疾患が原因となって緑内障が引き起こされている場合、まずその疾患を取り除くことが必要となってきます。点眼や投薬などの薬物を用いた治療か、もしくはレーザーを用いた外科的手術を行います。外科的手術には房水の流出を促進させる手術や、症状が深刻化してしまい、視力を失っている場合に行う眼球摘出や眼球内インプラント挿入を行う手術があります。また緑内障は急性と慢性に分類され、急性の場合は急激な視力の低下が見られるので、日頃からよく観察して症状の早期発見をすることが大切です。


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