うさぎさんの病気<膿瘍>

病気(うさぎ)
どの年齢のうさぎさんでも発症する可能性のある「膿瘍」。
いわゆる「膿」が形成してしまう病気です。
わんちゃんや猫ちゃんと違い、完治することが難しいと言われています。

膿瘍とはどんな疾患か、原因、治療法はどんなものがあるかご紹介します。


 


1.膿瘍とは

「膿瘍」とは、いわゆる「膿」が形成されてしまう疾患です。
膿が袋状に形成され、身体の様々な場所に発症します。

うさぎさんの膿瘍では、歯が原因(不正咬合等)である皮下腫瘍が多く見られます。
発症する部位としては下あご・頬ですが、耳・眼・腹部・手足等、ほとんど全ての組織や器官に発症する可能性があります。

うさぎさんの免疫系は異物に対し化膿性反応を示します。
膿は膜性の厚い壁を持ち、別の器官と癒着しやすいという性質をもちます。

また人間やイヌ・ネコとは違い、チーズのような固まりを帯びた膿を形成します。

臭いは独特な、臭い香りがします。
色はクリームのような白、黄色のような白といった、見た目もチーズに似た色をしています。

■膿瘍の症状
一般的な症状としては、膿が溜まった部分が腫れあがります
顔周りに発症すると、涙腺から出てくる場合があります。


4歳・ドワーフホト、耳にできた膿瘍から涙腺へと膿が流れています。


耳に膿瘍が出来た為平衡感覚が取れず、斜めの状態になっています。

大きく腫れた膿瘍は破裂することもあります。

また、眼のくぼみに膿が溜まってしまうと眼球が圧迫され、眼球が飛び出ているような状態になります。
重い症状の場合だと、眼球摘出になることもあります。


年齢不明・ライオンロップ、眼の裏から膿で圧迫されています。
まばたきしたり必要分の涙を出すことができなくなる為、眼が乾燥してしまいます。


眼の周りも炎症が起きているのがわかります。


12歳・アメリカンファジーロップ、こちらも膿が貼り付いているのがわかります。
この状態で無理に剝がそうとすると、眼の表皮まで剝がれてしまいます
力ずくで剥がすことは絶対にやめましょう。
 

2.膿瘍ができる原因

膿瘍ができる原因は部位によって変わります。
・眼やあごの下→不正咬合等の歯の歪み
・足の裏→肥満、腎不全等の内臓疾患
・肛門周り→ケージの掃除不足、尿かぶれ
・その他→外傷による細菌感染

<多くの原因が不正咬合>
膿瘍の中でもほとんどの原因が不正咬合です。

うさぎさんは一生歯が伸び続ける「常生歯」を持っている動物。
その為「歯根」が厳密には存在しておらず、歯の組織もあまり強度がありません。

不正咬合になることで嚙み合わせが悪くなり、歯の根っこにある組織に細菌が侵入し、膿という形になって現れます。
これを「根尖膿瘍(こんせんのうよう)」といいます。

歯の根っこできた膿は、進行すると様々な場所で膿瘍を作り出します
これを「根尖周囲膿瘍(こんせんしゅういのうよう)」といいます。


年齢不明・ライオンロップ、膿を絞り出したところに穴が開いています。

■原因となる菌
パスツレラ・ムルトシダ、黄色ブドウ球菌等様々あります。

ほとんどのうさぎさんはもともとパスツレラ菌を保菌しています。
免疫力の低下やストレス等によりパスツレラ感染症を発症し、重い症状へとなる場合があります。

パスツレラ感染症を発症すると、スナッフル、斜頸、子宮蓄膿症、膿肺、精巣炎等、多くの疾患を引き起こしてしまいます。

 

3.膿瘍は治る?治療法とは?
うさぎさん以外の動物であれば、膿瘍を切開し膿を洗い出し、抗生物質の投与で完治することが可能です。

しかし、うさぎさんの膿瘍はこの方法では完治することができません。
一度膿瘍になると再発することが多く、洗浄→薬の投与を繰り返すことになります。

完治の為には膿瘍そのものを摘出する手術となります。
ですが、麻酔下での手術が必要となりそれでも完治せず再発する場合もあります
歯が原因の場合は、原因となっている歯を抜歯する必要があります。

高齢、症状の重さ、症状の部位によって手術ができないことも多々あります。
手術を考えている場合は病院とよく相談しましょう。

<何故治りにくいのか>
うさぎさんの膿は固いこと、膿瘍の膜が非常に厚いこと、細菌感染に弱いことが挙げられます。
またうさぎさんに使用できる薬・治療法が未だ確立していないことも完治しづらい原因の一つです。

■お家でのケア
病院へ通うことももちろん、お家でのケアも治療の為必要となります。

膿を絞り出し、洗浄液で患部を洗浄します。
2~3時間ほどで膿が溜まってしまうこともあり、頻繁に洗浄する必要がある場合もあります。


洗浄には洗浄液と細い管のついたシリンジを用います。

部位や症状の度合い、うさぎさんによっては自宅でのケアが難しいことがあります。
病院とよく相談し、治療を行いましょう。

 

4.私たちにできること

膿瘍は発症すると一生涯付き合わなければいけない病気となる可能性が高いです。
発症する前に、しっかりと予防することが大切となります。

*牧草を食べる
不正咬合を防ぐことで膿瘍になる可能性が大きく下がります。
あまり牧草を食べないといううさぎさんは、産地・柔らかさ・種類によって食べる場合もあります。
その子が気に入る牧草を探してみましょう。

*免疫力向上を心がける
若いうさぎさんでも膿瘍を発症することがあります。
寒暖差気圧の変動換毛期等、免疫力が下がるちょっとしたタイミングで発症する場合があります。
サプリメントを用い健康維持を続けるのも一つの手です。

人間用サプリメントは動物には栄養過多であったり、負担となる成分が入っている場合もあります。
必ず動物用のサプリメントを使いましょう。

*爪切りを怠らない
爪が伸びているとうさぎさん自身で毛づくろいをした際、身体が傷つく恐れがあります。
爪が折れてしまうこともあり、そのような傷から細菌感染に陥る可能性もあります。

爪の伸びるスピードは個体差がありますが、1~2か月ごとを目安に爪切りを行うようにしましょう。

*見た目に変化がないか毎日チェックする
日頃からうさぎさんの様子をチェックし、変わったことはないか確認しましょう。

おかしい歩き方をしていないか、お尻は汚れていないか、目やにはついていないか、よだれは垂れていないか、耳を気にする素振りはしていないか。
少しでも気になるようなことがあれば病院へ行くことをおすすめします。

*生活環境を見直す
うさぎさんにとってケガの恐れに繋がるものは置いていないか、異物を食べてしまう可能性はないか、ケージ内は綺麗な状態を保っているか等、うさぎさんが生活する環境をもう一度見直してみましょう。

どの年齢のうさぎさんでも発症する可能性のある膿瘍ですが、特に子うさぎさん、シニアうさぎさんは免疫力が弱いです。
重症化する可能性も高い為、日頃からチェックを怠らず、病気を防ぐ身体づくりを目指しましょう。
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