循環器の病気

■ 三尖弁閉鎖不全症(さんせんべんへいさふぜんしょう)

【原因】

大型犬のオスに多いといわれており、遺伝的要素も影響すると考えられます。三尖弁閉鎖不全症は三尖弁自体に異常をきたして単独で発症することは少なく、ほとんどの場合心臓の奇形やフィラリア症、僧帽弁など他の心臓病に誘発される形で関連して起きることで知られています。左心房に血液が貯留すると気管を圧迫し、それが原因で咳をしたり、肺に水がたまったりするなどの肺症状が見られます。

【症状】

三尖弁は右心房と右心室の血液を一定方向に流し、逆流しないようにする働きを持ちますが、三尖弁が働かなくなると血液の逆流が起こってしまい、肺へうまく血液が送れなくなります。このことが原因で、むくみ・体重の減少・食欲不振・乾燥した咳が出る・散歩に行きたがらなくなる、などの症状が見られます。肺に水が溜まり、健康診断で、心臓の異常音が見つかることがあります。

【治療・対策】

激しい運動を控え、安静にしていなくてはなりません。高カロリー・高塩分・高脂性の食餌を避けるような食餌療法をとります。食欲が減退する場合がほとんどですが、食べ過ぎもよくありません。適正量を食べられる様に食餌管理が必要となります。内科療法としては心臓の負担を減らす薬、むくみを取る薬などを組み合わせて行うことになります。また、血管拡張薬、利尿剤、強心剤などが処方される場合もあります。


■ 心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)

【原因】

心室中隔欠損症は先天性の遺伝疾患で、胎児期に右心室と左心室の間にある心室中隔と呼ばれる組織が十分に発達せず、心室中隔に欠損孔と呼ばれる穴が開いたままになっている状態です。もし、欠損孔が開いていること以外に心臓疾患がなければ、大きな障害にならない場合もあります。重度になると心臓に様々な障害が出ます。左心室から右心室に血液が流れ込むことで肺に負担がかかり、肺水腫を併発することもあります。

【症状】

心室中隔欠損症を患っていても、軽症なら無症状で気がつかない場合もあります。ただ、生後6ヶ月より前から症状が出始め、走ったり運動をしたりした後に軽い呼吸困難が起こるようであれば注意が必要です。進行していくと、元気がなくなり運動をした後すぐに咳が出て疲れやすくなり、呼吸困難があるとチアノーゼを起こしやすくなります。重度になると食欲がなくなり痩せてきて、発育障害を起こすこともあります。

【治療・対策】

症状が軽い場合ははっきりした障害などの症状がなければ、塩分の少ない食事を与えて心臓への負担を下げる食餌療法や運動制限をして安静に過ごさせるよう飼育環境を整えて看護をする場合もあります。症状があれば年齢や症状によって治療をします。強心剤や利尿薬を使った内科的治療を行いますが、症状が重く進行している場合は外科的手術で欠損孔を塞ぐ手術をします。ごくまれに自然に欠損孔が閉鎖することもあるようですが、自然治癒は望めない病気なので、早期発見で症状を悪化させないように治療を行う必要があります。


■ 心不全(しんふぜん)

【原因】

心臓は、肺から酸素を集めて血液と一緒に体全体に送り出す働きをしています。心不全は特定の病気ではなく、心臓が正常に血液を体内に送り出すことができない状態になり、いろいろな症状を引き起こす総称です。心臓の症状によって原因も異なります。多い症状としてはフィラリア症、慢性心不全(僧帽弁閉鎖不全症)といわれる心臓弁の異常、心臓周辺の血管や筋肉の異常などがあげられます。まれに事故や、心臓以外の血管異常や他の病気での貧血などが原因になることもあります。

【症状】

心不全はワンちゃんの心臓や他の臓器に異常があり、血液を送り出す働きに異常が生じる病気です。最初はあまり症状が出ませんが、聴診では心臓に雑音が生じます。だんだんと咳が出たり、運動や散歩を嫌がったりする他、疲れやすくなります。また、症状が進行するとチアノーゼや散歩中に失神したりすることがあります。一日中咳が出て、食欲がなくなることで体重が減ります。呼吸困難がみられるような場合は、かなり進行した状態になっています。

【治療・対策】

心不全は、原因や心臓病の種類によって症状も違うので治療方法は異なります。心電図やX線、血液検査、超音波診断など様々な検査が必要となる場合もあります。内科的治療では強心剤や利尿剤、血管を広げる薬などを投与し、進行を抑えて病状を安定させます。運動制限や興奮させないよう安静を心がけ、静かに過ごせるように生活環境を整えます。食事療法も有効で、塩分を抑えた処方食を与えることもあります。心不全の治療は長期にわたる場合もあります。早期発見で早く治療ができれば心臓の負担を軽くすることが可能です。


■ 心房中隔欠損症(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)

【原因】

中隔に開いている卵円孔は、生まれる前の胎児期なら大抵空いていて、通常は生まれる前に閉じて壁を形成しますが、閉じずに空いたままになっているのが欠損症です。雌犬に多く発生する傾向もあります。また、フィラリア症を併発した場合は成虫になったフィラリア虫が卵円孔を通って左心房と右心房を自由に移動するようになり、心臓に悪い影響を与えることがあります。発症するワンちゃんは少ない疾患ですが好発犬種があることから遺伝性疾患の要因があるといわれています。

【症状】

心臓の左心房と右心房の間にある中隔という壁に卵円孔という穴が開いている病気です。心房中隔欠損症を患っていても、卵円孔が小さければ無症状の場合もあります。卵円孔が大きく、心臓に他の疾患を併発している場合には、右心室に大きな負担がかかって様々な症状が出ます。初期の頃は軽い咳を起こして疲れやすくなり、元気がなくなり運動や散歩を嫌がります。重症化してくると皮膚や舌などが青紫に変色するチアノーゼを起こし、失神して意識を失うなどの症状が起こります。

【治療・対策】

先天的な遺伝子疾患なので予防は難しい病気です。咳をしたり、子犬なのに元気がなかったり、気になる様子があれば早めに受診して早期発見、早期治療が大切です。フィラリア症を併発すると重篤な状態になるので、フィラリア予防はしっかりと行います。治療としては軽症であまり症状がなければ、運動を制限したり経過をみたり、内科的治療で様子をみます。症状が進行している場合は、外科的手術で穴を塞ぐ治療を行う場合もあります。


■ 僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんべんまくしょう)

【原因】

心臓で血液の逆流を防ぐ役割をする弁を、僧帽弁といいます。僧帽弁閉鎖不全症は、この2つの弁が何らかの原因で肥厚し、正常に機能しなくなって完全に閉じなくなってしまう病気です。僧帽弁が閉じないことで血液の流れに異常が生じて、大動脈に流れるはずの血液が押し戻されて逆流が起こります。この状態が長く続くと肺はうっ血し、肺水種を併発することもあります。

【症状】

僧帽弁閉鎖不全症は心臓弁の異常で、初期では目立った症状がなく、興奮する、散歩の時に軽く咳をするといった程度です。だんだんと呼吸が乱れやすくなり、疲れやすい症状が現れてきます。進行すると散歩に行きたがらず、咳は頻繁になってきて、呼吸の乱れもみられるようになります。また、食欲もなくなり体重も落ちてきます。この頃には心臓の左心室・左心室が拡大していると病態で、さらに重症化すると腹水や呼吸困難がみられ、チアノーゼが出ることや、発作で失神することもあります。

【治療・対策】

診察は聴診器で心音をチェックして、僧帽弁閉鎖不全症特有の心臓の雑音を聞きます。X線検査や心電図、血液検査を行います。超音波検査では、心臓の動きなどや拍動もチェックします。病状や症状によって治療方法は異なりますが、利尿剤や強心剤の内科的治療を行います。心臓への負荷を軽減して、食事は塩分の少ない療法食に変更し、運動を制限して心臓に負担のかからない生活を心がけます。重症の場合は、人工弁を取り付ける外科的手術を行う場合もあります。ただ現在は、早期発見で心臓の異常を見つけ、内科的治療を施すのが一般的です。


■  動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)

【原因】

呼吸の必要がない胎児期に使われている胸部大動脈と肺動脈をつなぐ動脈管(ボタロー管)は、正常なら生まれてまもなく自然に閉じますが、閉じずに開いたまま残ってしまう状態になっているのが動脈管開存症です。動脈管が閉じていないことが原因で大動脈から肺動脈に余計な血液が流れ、左心房と肺血管に負担がかかります。先天性の遺伝性疾患による奇形であることが原因です。

【症状】

動脈管開存症は動脈管が閉じていなかったとしても、軽症の場合5~6歳になるまでは無症状で経過してしまうことも多くあります。ただ、5歳を過ぎた頃から症状が出始め、咳をしたり、食欲不振だったり、呼吸困難などを伴います。運動を嫌がり、貧血のような症状が出て、心不全の症状が出る場合もあります。生後1~2ヶ月の子犬の頃から重症化した場合は生後すぐから症状が出始め、重篤な呼吸困難や食欲不振で最悪な場合は死に至る場合もあります。

【治療・対策】

生まれてから数年の間は症状が出ないことも多いため、動脈管開存症かどうかは健康診断で気づくことがあります。聴診器から聞こえる心雑音で病気を疑います。X線検査や超音波検査で詳細な検査を行い、症状によって治療法法を考えます。軽症の場合は運動量や散歩の時間を調整するなど安静を心がけ、強心剤や利尿薬、血管拡張薬を使う内科的治療を行います。また、高血圧にならないよう塩分を控え、運動不足から肥満にならないように食事にも気をつけます。症状が重い場合は外科的手術で動脈管の開存部を修復します。


■ 肺動脈狭窄症(はいどうみゃくきょうさくしょう)

【原因】

肺動脈狭窄症の原因ははっきりとしませんが、遺伝的な要因と考えられています。先天的に心臓の右心室から出ている肺動脈の根元部分と動脈弁が狭くなる狭窄を起こしていて、血流が流れにくくなり、右心室への負荷が高くなり心肥大を起こします。心臓の収縮力が弱まり肺動脈の血流量が減るため、肺の血圧も低下して呼吸困難が起きます。

【症状】

狭窄があっても軽症の場合ははっきりした症状をみせず、他のワンちゃんに比べて元気がないように見えるといった運動不耐性がみられる程度で生涯心臓の奇形に気がつかない場合もあり、発見が遅れがちです。重症の場合は生後まもなくから症状が出て、腹水が溜まることや、四肢先のむくみ、食事量に関係なくお腹が出るなどの症状が出ます。また、興奮したり運動した後に呼吸困難で失神したり、ふらつきや呼吸困難の症状が現れます。心不全で死亡する場合もあります。。

【治療・対策】

生まれてから数年の間は症状が出ないことも多いため、動脈管開存症かどうかは健康診断で気づくことがあります。聴診器から聞こえる心雑音で病気を疑います。X線検査や超音波検査で詳細な検査を行い、症状によって治療法法を考えます。軽症の場合は運動量や散歩の時間を調整するなど安静を心がけ、強心剤や利尿薬、血管拡張薬を使う内科的治療を行います。また、高血圧にならないよう塩分を控え、運動不足から肥満にならないように食事にも気をつけます。症状が重い場合は外科的手術で動脈管の開存部を修復します。


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