腫瘍の病気

■ 悪性リンパ腫(あくせいりんぱしゅ)

【原因】

悪性リンパ腫が発症する原因は解明されていません。ストレスや免疫力の低下が大きな原因の一つではないかと考えられます。原因がはっきりしないため予防は非常に困難です。そのため早期発見と早期治療がとても重要です。あごやわきの下、足のつけ根などのリンパ節が腫れていないか、全身の皮膚に腫れやしこりがないか、息があがっていないか、チアノーゼはおきていないかなど日ごろからワンちゃんの状態に気を配りましょう。

【症状】

「血液のがん」に分類される、全身性のがんです。致死率は極めて高く、不治の病といわれますが、寛解する可能性もあります。症状は発生部位により異なります。下あごやわきの下などのリンパ節が腫れるほか、元気がなくなり、下痢や嘔吐、食欲不振などの消化器症状、できものや紅斑、脱毛など、様々な皮膚病変が見られることもあります。咳などの呼吸器症状が出ることも。脾臓が腫れて裂け、大出血を起こす事もあります。

【治療・対策】

メインの治療は抗がん剤による薬物治療です。加えてステロイド剤を用いることもあります。抗がん剤には多くの種類があり、一種類もしくは、複数の抗がん剤を併用することもあります。治療がうまくいけば、寛解する可能性がありますが再発も多いので、できるだけ寛解する時期を延ばすことを目的とします。抗がん剤に耐えうるだけの体力、免疫力をつけるために良い食餌やストレスフリーの質のよい生活を与えることが大切です。


■ 悪性黒色腫(あくせいこしょくしゅ)

【原因】

白血病の原因ははっきりとはわかっていませんが、血液や骨髄中の白血球数が異常な速度で増加する悪性癌です。白血病には骨髄性白血病、リンパ性白血病、肥満細胞性白血病、多発性骨髄腫などいくつかの種類があります。白血病になりやすい犬種もあることから、遺伝的要素があるとも考えられています。他には定期的な放射線の照射やいくつもの化学物質を摂取し、ウィルス感染なども原因になりうるものです。慢性リンパ球性白血病は発症に築くのに数ヶ月から数年かかる場合もあり、約50%のワンちゃんは症状が出ないといわれています。

【症状】

血液の癌で代表的なものは白血病があります。白血病はいくつかの種類があり、急性白血病や症状の出にくい慢性リンパ球性白血病があります。急性白血病では出血やあざが目立つようになり、免疫力の低下で傷はなかなか治癒しません。食欲不振や体重減少、歯肉などの色が薄くなります。ウィルスへの抵抗力もなくなり、発熱や肺炎を起こしやすくなります。慢性的な貧血や嘔吐などもみられます。

【治療・対策】

癌化した血液細胞の増殖を抑えるために化学療法で治療しますが、積極的に治療をしても残念ながら約3割のワンちゃんしか治癒しません。免疫力が低下して機能不全を起こしているために二次疾患を併発する場合も多くあり、抗生物質などの治療は二次疾患の治療のために投与します。重度の貧血を改善するために輸血が必要になりますが、ワンちゃんの輸血用血液は人と違ってストックが少なく、輸血自体が困難な場合もあります。


■ 血液のがん(けつえきのがん)

【原因】

白血病の原因ははっきりとはわかっていませんが、血液や骨髄中の白血球数が異常な速度で増加する悪性癌です。白血病には骨髄性白血病、リンパ性白血病、肥満細胞性白血病、多発性骨髄腫などいくつかの種類があります。白血病になりやすい犬種もあることから、遺伝的要素があるとも考えられています。他には定期的な放射線の照射やいくつもの化学物質を摂取し、ウィルス感染なども原因になりうるものです。慢性リンパ球性白血病は発症に築くのに数ヶ月から数年かかる場合もあり、約50%のワンちゃんは症状が出ないといわれています。

【症状】

血液の癌で代表的なものは白血病があります。白血病はいくつかの種類があり、急性白血病や症状の出にくい慢性リンパ球性白血病があります。急性白血病では出血やあざが目立つようになり、免疫力の低下で傷はなかなか治癒しません。食欲不振や体重減少、歯肉などの色が薄くなります。ウィルスへの抵抗力もなくなり、発熱や肺炎を起こしやすくなります。慢性的な貧血や嘔吐などもみられます。

【治療・対策】

癌化した血液細胞の増殖を抑えるために化学療法で治療しますが、積極的に治療をしても残念ながら約3割のワンちゃんしか治癒しません。免疫力が低下して機能不全を起こしているために二次疾患を併発する場合も多くあり、抗生物質などの治療は二次疾患の治療のために投与します。重度の貧血を改善するために輸血が必要になりますが、ワンちゃんの輸血用血液は人と違ってストックが少なく、輸血自体が困難な場合もあります。


■ 口腔腫瘍(こうきゅうしゅよう)

【原因】

口腔腫瘍のはっきりとした原因はわかっていません。口腔腫瘍の診察はまず口腔内の観察が基本になります。腫瘍の種類により治療が異なってくる場合もあるため、外科的切除など行う前に生検(組織を一部採取して行う病理組織検査)が行われることが多いです。これらの検査は麻酔下で行われることもあります。リンパ節の腫脹がみられたら、リンパ節を針で刺して腫瘍細胞が転移していないか、どのような細胞がみられるかを顕微鏡で見る検査〔穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん):FNAまたはFNBとも呼ばれる〕を行うこともあります。病態の把握や診断、治療計画のために、頭部または胸部のX線検査(全身麻酔、鎮静下で行う場合あり)やCT検査、MRI検査(全身麻酔)などの画像検査が必要に応じて選択されます。

<口腔腫瘍の主な検査> ・X線検査(頭部、胸部)・リンパ節の穿刺吸引細胞診(FNAまたはFNB)・生検(病理組織検査)・CT検査/ MRI検査、など。

【症状】

口腔腫瘍は口の中に腫瘍(できもの)ができるので、肉眼で確認できることがほとんどです。ただ、口周りを触られるのを嫌がる犬が多く、口を開けたまま待ってもくれないので、口唇や舌で隠れるなどして発見が遅れることがあります。口腔腫瘍の肉眼的な発見以外の症状でも口腔腫瘍の発生を疑うことができ、口腔チェックのきっかけになります。口腔腫瘍があるときの主な症状には、次のようなものが挙げられます。

<口腔腫瘍の主な症状> ・よだれが多くなる・よだれに血が混じる・食べるのが遅くなる、食べにくそうにする・口臭・開口時の痛み(口を開けにくそうにするなど)・体重減少・鼻出血・顔面変形・眼球突出、など。

<主な悪性腫瘍> ・メラノーマは、骨を侵し、肺やリンパ節に高い確率で転移します。再発や転移が死因になることが多いです。・扁平上皮癌は、骨を侵し、転移を起こしますが、犬の口腔扁平上皮癌では比較的転移性は低いといわれています。しかし、舌の付け根と扁桃に発生した腫瘍においては肺やリンパ節への転移が高い確率で起こることが報告されています。・線維肉腫は、転移も起こしますが、腫瘍細胞が歯肉や骨を深部まで侵す働きが強く、それを抑えることが治療のポイントとなります。

【治療・対策】

腫瘍の発生の予防は難しく、早期発見が重要です。 唇や舌をめくって奥歯や口の上側まで肉眼で確認するのが一番ですが、犬が嫌がり口周りを触れないこともあります。そのような場合は、あくびをしたときに口の中を見られる範囲で見る、おもちゃやおやつを使って気をそらしながら唇をめくるなどの工夫で口の中を確認できるかもしれません。人では口腔内の衛生悪化による慢性炎症が口腔腫瘍の発生に影響を与える可能性も疑われており、歯磨きなどができる犬は口腔内のケアと並行して異変がないか定期的にチェックをすることをおすすめします。 治療はどの種類の腫瘍か、どの程度まで腫瘍が進行しているか、転移はあるかなどにより治療法が選択され、また経過によっても変化します。悪性の口腔腫瘍の治療の基本となる外科切除ではしばしば下顎骨や上顎骨を切除する必要も出てきます。特に上顎骨の大幅な切除では犬の容姿が飼い主様の予想以上に変化する可能性もあります。ただ、外科切除を行わなかった場合、腫瘍が巨大になり感染や潰瘍を起こし、飲食すら困難になる例もあります。化学療法は転移の可能性が高い悪性腫瘍で行われます。単独または外科切除や化学療法と組み合わせて行われる放射線治療は、放射線照射装置がある動物病院において全身麻酔下で一定期間おきに数回実施されるため、照射を行える動物病院も限られ、費用も高額になる傾向があります。加えて、どのような治療が必要になるかは、経過によっても変化するため、犬の状態や検査結果などを踏まえ、獣医師とよく相談しながら治療を進めていきましょう。


■ 骨の腫瘍(ほねのしゅよう)

【原因】

腫瘍には良性と悪性があり、良性の代表的な腫瘍に骨種があります。骨を形成する成分の異常増殖が原因で、骨の塊ができてしまう病気です。前足手首や肩にできやすく、大きくなると腫れあがったように見えます。悪性腫瘍で代表的なのは骨肉種です。転移が速く激しい痛みを伴います。四肢に発症することが多く、頭やアゴ、背骨、肋骨が発症しやすい部位です。骨肉種の原因はまだ解明されていませんが、高齢の大型犬種に発生しやすいといわれています。悪性腫瘍では他に軟骨肉腫などがあります。

【症状】

骨にできる腫瘍は四肢や頭、アゴの骨にできやすく、腫瘍があると怪我をしていないのに足を引きずることや、歩きづらそうな症状が出るので発見できます。また、良性の骨種でも腫瘍の部分が膨れ上がり、足が腫れた状態に見えることや、腫瘍の部位によっては歩行困難になる場合もあります。悪性腫瘍の場合は痛みも伴うので、散歩に行きたがらなくなり、足を撫でたり触られたりすることを嫌がります。腫瘍が原因で骨が弱くなり骨折することもあります。

【治療・対策】

良性の肉腫の場合は進行も遅く、転移の心配もないので骨の状態を確認し、腫瘍が大きくなっている場合や歩行が困難になっている場合は外科手術で切除します。悪性腫瘍は病理組織検査で発見され、転移が速いため、骨肉種と診断された場合は足を切断する大きな外科手術になります。病気が発見された時はすでに転移している場合も多いです。その場合は切断せずに抗がん剤治療や放射線治療を行いますが、完治が非常に難しい病気です。軟骨肉腫も同様の治療が行われます。


■  上皮腫(じょうひしゅ)

【原因】

若い雄犬に多いとされていて、原因ははっきりとは特定されていません。免疫力の低下、ストレスや衛生面が関係しているともいわれています。食品や薬品の成分、様々な住環境など、ワンちゃんをとりまく全てに関連がないとは言い切れませんが、はっきりとした原因がわからない以上は、早期発見・早期治療が何より重要となってきます。普段からワンちゃんの体や様子に気を配り、少しでも変わった事があればすぐに受診することが大切です。

【症状】

皮内角化上皮腫は皮膚の良性の腫瘍です。犬の皮膚のあらゆるところに発症します。虫に刺されたような、イボに似た外観をしています。はじめはそのまま気づかれずに放置されることも少なくありません。特に顕著な症状は現れませんが、皮膚表面は穴のあいている状態となっており、ほっておくと大きくなってくることもあります。数個から全身にできる場合もあります。

【治療・対策】

軽度の初期段階であれば、化膿止めのような薬を投薬治療することもあります。腫瘍の数が数個以内なら外科的手術でとってしまうことが多くなります。予防としては、定期的な検診を受けて早期発見・早期治療に努める事です。体の表面に現れるため見つけやすく、普段からワンちゃんの体をていねいに観察し、少しでもかわったところがあれば受診する事が大切になってきます。


■ 生殖器の腫瘍(せいしょくきのしゅよう)

【原因】

可移植性性器肉腫の発症率には地域性があり、繁殖管理が行われていない、放し飼い犬の多い地域での発症が多くなります。卵巣腫瘍の原因ははっきりしませんが、出産経験がない老犬に多いことから、卵巣ホルモンが要因とされています。また、乳腺腫瘍は出産経験と発症率の関係ははっきりとしていませんが、高齢のワンちゃんに発症が多いことから女性ホルモンが関わっている可能性があります。前立腺腫瘍もホルモンバランスが要因とされています。

【症状】

生殖器の腫瘍は性別で違いがありますが、可移植性性器肉腫は交尾の際の濃厚接触でどちらにも伝播します。症状は潰瘍性でカリフラワー様の腫瘤が形成され、生殖器だけでなく、臭いをかいだ鼻腔内や口腔に発症します。女の子の生殖器腫瘍で代表的なものに卵巣腫瘍があります。初期は無症状ですが発情期のような状態になり、進行するとお腹が張って、腹水も溜まります。乳腺腫瘍は乳房の皮下にできる腫瘍で、しこりができて次第に大きくなります。男の子の場合は前立腺腫瘍が代表的です。悪性腫瘍の可能性が高く、初期症状は前立腺肥大と似ていて、進行すると排尿困難などがみられます。

【治療・対策】

治療は切除できる部位であれば外科的手術で切除します。高齢で手術が難しい場合や転移がある場合は、抗がん剤治療や化学療法で治療します。放射線治療やホルモン治療を行う場合もありますが、年齢や症状をよく相談して治療方法を考える必要があります。


■ 線維肉腫(せんいにくしゅ)

【原因】

線維肉腫は主に線維芽細胞ががん化することで起こりますが、その原因は明らかにはなっていません。 がんの中では転移率は低いといわれていますが、肺への転移を起こすことがあるので、必要であれば患部と胸部のX線検査が行われます。また、発生部位の近くで大きくなったり硬くなったりしているリンパ節があれば、針でついて転移がないか細胞を簡易的に調べます。がんがどこまで深く広がり、他の組織などにどのような影響を与えているかを詳細に検査するためにCT検査やMRI検査が考慮されることもあります。治療や生検で得られた組織は病理組織検査に送られ、腫瘍の種類や悪性度の指標などが調べられます。元気・食欲がないときや検査・治療で麻酔をかける際、全身の状態の把握に血液検査や超音波検査なども行われます。

<線維肉腫の主な検査> ・X線検査・リンパ節を針でついて細胞をみる・CT検査・MRI検査・病理組織検査、など。

【症状】

線維肉腫は、体にできた腫瘍(できもの)が発見されることで分かります。線維肉腫は主に皮膚や皮下にできますが、骨での発生も報告されています。体の部位としては、口腔、四肢で多くみられますが、乳腺や体幹、爪下、まぶたでの発生もみられます。初期では特に症状はみられませんが、例えば口腔内に線維肉腫ができた場合、腫瘍が大きくなれば食べにくさが出てきたり、よだれが多くなったりするなどの症状が現れるかもしれません。状態が進むとがんが体に悪影響を及ぼし、食欲が低下したり元気がなくなったりしてきます。また、腫瘍に壊死(細胞が死ぬ)や潰瘍が起こると、二次的に細菌が感染することもあります。

【治療・対策】

細胞のがん化にはさまざまな要因が関わりあうと考えられていますが、線維肉腫の原因は明らかになっておらず、事前に予防することは困難です。そのため、早期発見や早期治療が重要になります。がんの悪性度にもよりますが、線維肉腫が小さい段階で発見されると、完全切除もしやすく、放射線などの治療にも反応しやすいといわれています。口の中や体、足などにできものができていないかを日ごろからチェックすることが早期発見につながります。

<口腔内の線維肉腫> 犬の口腔の悪性腫瘍の中でも線維肉腫はよくみられるといわれており、全体では老齢犬で起きやすく、犬種や性別は関係ないといわれていますが、口腔の線維肉腫では起こりやすい年齢や犬種がみられます。比較的若齢(7~9歳)で、ゴールデン・レトリーバーやラブラドール・レトリーバーなどの大型犬種、そして雄で起こりやすい傾向にあるという報告もあります。病理組織検査では腫瘍の塊からまとまった量の細胞の形や配列、状態を見て、腫瘍の悪性度の指標をみることができます。しかし、口腔の線維肉腫では実際には悪性であっても病理組織検査では良性または低悪性度のような所見がみられることもあり、急速に大きくなったり再発したりするときには積極的な治療が行われます。口腔の線維肉腫は巨大になると飲食が難しくなるので、完全切除が難しい場合は腫瘍を小さくする目的での外科切除などが行われることもあります。

<四肢の線維肉腫> 線維肉腫は転移の確率もそれほど高くないので、転移がみられないときは発生したがんを切除し再発を防ぐということが重要です。よって四肢に線維肉腫が発生した場合、断脚を考慮することもあります。 線維肉腫などのがんは早期発見で治療やその後の経過もよいものになる可能性があります。日ごろから全身のチェックをこまめに行い、できものなど気になるものが見つかった場合は動物病院を受診しましょう。


■  腺ガン(せんがん)

【原因】

原因ははっきりとは特定されていません。免疫力の低下、ストレスや衛生面が関係しているともいわれています。食品や薬品の成分、様々な住環境など、ワンちゃんをとりまく全てに関連がないとは言い切れませんが、はっきりとした原因がわからない以上は、早期発見・早期治療が何より重要となってきます。普段からワンちゃんの体や様子に気を配り、少しでも変わった事があればすぐに受診することが大切です。

【症状】

腺組織から発生したガンの一種で、あらゆる部位に発生しますが、肛門のまわりや耳、鼻などによく見られ、腺性臓器(胃腸,子宮,胆嚢,肺,乳腺,甲状腺等々)にも発症します。場所によって症状は異なりますが、目に見えるところに腫瘍ができる場合では早期発見も可能です。進行が早く、急激に腫瘍が大きくなるのが特徴です。しこりの表面が平らでなめらかであり、大きくて表面が崩れている場合には疑いがあります。

【治療・対策】

治療は外科的治療となり、腫瘍の摘出手術になります。摘出が難しい部位に関しては、開腹手術をして部分切除をし、放射線治療や化学療法を併用する場合もあります。完治が難しいケースでは、抗がん剤治療による体への負担を考えて、対処療法を選択することもあり、どのようにガンと向き合うかも最終的には飼い主の判断になります。転移しやすい性質を持ちますが、転移が見られる場合の完治はさらに難しくなります。


■  腺腫(せんしゅ)

【原因】

油脂を分泌する皮脂腺の出口がなんらかの理由でつまって、腫瘍化してしまうことでしこりになったり中で化膿を起こしたりして発症します。乳腺にできる乳腺腫瘍や肛門の周囲にできる肛門周囲腺腫は、女性ホルモンはまた男性ホルモンの影響を受け、ホルモンのバランスが崩れる事で発症するともいわれています。腫瘍自体は問題ない事が多いですが、不快感からこすりつけて傷つき出血や炎症をおこしてしまいます。

【症状】

外科的治療が可能なものが多く、ほとんどが良性です。肛門のまわり、まぶた、耳の内部、指の間などに、しこりが発生します。発生部所により症状も異なりますが、中で化膿を起こしている時もあります。大きくなったり傷ついたりすることにより、二次的な炎症・感染を誘発することがあります。良性の腺腫のように見える腫瘍が、悪性の腺ガンであったケースもあり、この場合肺等の臓器に広がる可能性もあるので注意が必要です。

【治療・対策】

あまりにたくさんの腫瘍の発症がみられる場合は、外科的な手術で広範囲にわたり腫瘍を除去する必要があります。再発の可能性は低いですが、新たな場所で発生する多発性の高い腫瘍です。そのために広範囲にわたり切開手術が必要となります。腫瘍は、小さい段階で取り除くのが最善の治療法になります。同様の部位にできる悪性の腫瘍があり、素人目には区別がつかないため、詳細に診断を受ける必要があります。


■  軟骨肉腫(なんこつにくしゅ)

【原因】

正確な原因は知られていませんが、以前の骨折、骨の外傷、または慢性の骨感染症が影響を及ぼしている可能性が指摘されています。また、遺伝子変異、金属インプラントなどの異物、化学物質なども、発症の原因になるとされます。免疫力の低下、ストレスや衛生面が関係しているかもしれません。早期発見・早期治療が何より重要となってきます。歩き方の変化や関節の腫れなどが見られたら注意が必要です。

【症状】

軟骨成分から発生する悪性ガンで、骨に激しい痛みを伴う腫れが出てきます。けがをしていないにも関わらず強い痛みで歩くのを嫌がったり、かばうような歩き方をしたりと歩行困難が見られます。食欲不振、体重減少、不眠、性格の変化、無気力など、痛みにより二次的な症状が見られます。腫瘍を原因とした病的骨折を起こすこともあり、この骨折は完治しません。肺などに転移し、体中に激しい痛みをともなうこともあります。

【治療・対策】

まずはレントゲンで骨の状況を確認、病理組織検査で軟骨肉腫であるかどうかの判断をします。治療は、命を救うためには外科手術による足の切断手術を行う事がほとんどです。軟骨肉腫のできた部位によって切断が困難な場合は、抗がん剤治療行います。軟骨肉腫は、骨肉腫のように急死リスクは少ないながらも、完治は難しく、ほっておくと痛みが壮絶となり鎮痛剤も効かなくなるため、安楽死の選択をしなければならない場合もあります。


■  乳腺腫瘍(にゅうせんしゅ)

【原因】

8〜10歳以上の高齢の雌のワンちゃんに発生することが多い疾患です。原因は詳しくは分かっていませんが、発生にはエストロゲンなどの女性ホルモンの影響が大きいとされており、ホルモンのバランスが崩れる事で発症するともいわれています。遺伝の影響や肥満との因果関係も指摘される事があります。一般的に、避妊手術の有無や手術時期が発症率と深く関係するといわれています。

【症状】

胸部・腹部の広範囲に存在している乳腺に発生する腫瘍です。良性の腫瘍は小さく境界がわかりやすくさわると硬く感じます。良性でも徐々に大きくなるものもあり、化膿し、皮膚が破れるものもあります。悪性の多くは成長も速く、形もいびつで触ってみると下組織にくいこんでおり、再発や転移が見られることもあります。乳頭・腋の下や腿の付け根の腫れ、胸部・腹部を触られるのを嫌がる、食欲減退と体重減少(悪性)などの症状がみられます。

【治療・対策】

少しでも悪性の疑いがある場合には、周辺の健康な乳腺を含めて片側全てまたは部分的な乳腺の摘出が必要になります。乳腺腫瘍は抗がん剤が効きにくい上に、一般的に乳腺腫瘍は約半数が悪性と言われており、早期の切除が根治につながるとされます。再発や転移の可能性が高い場合は抗がん剤で治療を行います。一歳以下で避妊手術を行うと、発生率がぐんと下がるので予防としての効果も期待されます。


■  皮膚の腫瘍(ひふのしゅよう)

【原因】

はっきりとした原因は究明されていませんが、遺伝や環境要因が原因のひとつといわれています。ボクサー・ブルドッグ・パグなどの短頭犬種は、この病気を発症しやすいようです。平均的には、8歳以上である高齢犬の発症率が高くなっています。慢性的な炎症もひとつの起因となっているようです。

【症状】

脂肪細胞が増殖してできる腫瘍で、ワンちゃんの場合は皮膚にできることが多く、皮膚癌の中では代表的なものです。ワンちゃんの皮膚にできる肥満細胞種は基本的には悪性で、体中のどこの部位にも発症します。イボ状であったり、脂肪の塊のようだったり、皮膚炎のように赤くなるなど、様々な形状をしているために悪性度を判断することが難しく、皮下にできたものは良性腫瘍の脂肪種と似ているため、診断が遅れることもあります。高齢犬に発症しやすく、特徴は転移が速いことです。全身に広がると消化管で出血し、血便・血の混じった嘔吐・食欲不振などがみられます。ないという深刻な状態になり、 尿道から結石を除去するための緊急手術が必要です。

【治療・対策】

基本的には外科的に切除して、ステロイドの投与などを行います。切除した部位の境界があいまいな場合や悪性度によっては、放射線治療や化学療法、免疫療法を行います。とても再発しやすい腫瘍なので、毎日のお手入れの中で全身の触診チェックをすることや、定期的な血液検査などをかかさないようにします。とくに腫れが大きくなったり、数が増えていたりする場合は注意が必要です。


■  鼻腔内腫瘍(びくうないしゅよう)

【原因】

犬が鼻腔内腫瘍になる原因は分かっていません。鼻腔内腫瘍の主な検査は以下のようなものが挙げられます。

<鼻腔内腫瘍の主な検査> ・X線検査・CT検査/ MRI検査・血液検査(体の状態の把握)・鼻腔内視鏡検査・外鼻孔(鼻の穴)からの生検、など。 鼻腔内腫瘍はX線検査やCT検査などの画像検査では診断できないので、鼻腔内視鏡や麻酔下での鼻の穴からの生検が行われます。内視鏡では採取できる組織が小さく、診断がつかない場合は再度検査が必要になることもあります。

【症状】

鼻腔内腫瘍で最もよくみられる症状は、腫瘍の部分から出血して起こる鼻出血、鼻汁の増加、感染による膿のような鼻汁などです。鼻腔内で腫瘍がかたまり状に大きくなると、空気の通り道を邪魔したり塞いだりすることで、くしゃみやいびき、呼吸困難を引き起こすことがあります。また、腫瘍は鼻の骨などを壊しながら押し上げるように広がることもあり、鼻が盛り上がり膨らんだように見える、眼が飛び出たようになるなど、顔面が変形する例もみられます。鼻腔は脳にかなり近い場所にあるので、病状がさらに進行すると、けいれんや麻痺、行動の変化など神経症状が現れることもあります。鼻腔内腫瘍の症状は鼻炎などの他の病気の症状でもよくみられ、腫瘍が発見されたときにはすでにかなり進行している場合も多いです。

<鼻腔内腫瘍の主な症状> ・鼻出血・鼻汁(血混じりや膿のようなもの)・くしゃみ・いびき・鼻を中心とした顔面の変形・呼吸困難、など。

【治療・対策】

鼻腔内腫瘍の予防方法は特にありません。症状は慢性的な鼻腔内の炎症(鼻炎)など他の鼻腔内疾患と重なるものがあり、診断が難しい場合も多いです。症状が続くようなら早めに動物病院を受診し、治療をしっかりと行い、必要であれば検査も進めていきましょう。

<鼻腔内腫瘍の主な治療> ・外科的切除・放射線療法・化学療法(抗がん剤)、など。 鼻腔内腫瘍は、顔面変形など腫瘍を強く疑うような症状は末期にならないと現れないことが多く、診断したときには症状がかなり進行していることも多いです。 鼻汁が慢性的に続くなどの症状があれば動物病院を受診し、治療への反応や経過をみながら検査と治療をしっかり行っていきましょう。


■  腹腔の腫瘍(ふくくうのしゅよう)

【原因】

腹部にできる腫瘍の原因は様々あります。また、はっきりと原因が判明していないものも多くあります。ストレスやウィルスなどの細菌感染、食事や衛生状態などによって発症した疾患が原因になる場合もあります。悪性腫瘍の場合は転移も速く、症状に気づいてからでは治療が間に合わない場合も多くあるので、8歳頃からは血液検査などを含んだ定期健診が必要です。

【症状】

体の腹部には様々な内臓があり、どの臓器にも腫瘍ができます。腫瘍のできた部位によって症状は違いますが、元気がなく、あきらかにいつもと違う様子があります。胃腸や消化器系の臓器に腫瘍がある場合は、食欲がなく体重が減る、下痢が続く、嘔吐や吐き気があるといった症状が現れ、排便排尿がしづらい時は泌尿器系の臓器に腫瘍があり、お腹が張って膨らんでいる時は子宮や肝臓など、様々な症状が現れます。腫瘍は良性の場合もありますが、何からの症状があったり、悪性だったりする場合は症状が長く続き悪化していきます。

【治療・対策】

体の腹部には様々な内臓があり、どの部位に腫瘍があるのかを特定するため、X線検査、血液検査、超音波検査などを行い、腫瘍がある場合は外科的手術で切除し、抗がん剤治療なども併用します。外科手術ですべての腫瘍を完全に切除することは難しいとされますが、延命治療としては有効で、痛みを緩和するための内科的治療も取り入れていきます。


■  平滑筋腫・平滑筋肉腫(へいかつきんにくしゅ・へいかつきんにくしゅ)

【原因】

平滑筋腫・平滑筋肉腫の明確な原因はわかっていません。ただ、子宮と膣の平滑筋腫に関しては未避妊雌でよく発生することが知られており、ホルモンの影響が考えられています。また、ジャーマンシェパードでは、複数箇所に多発する子宮の平滑筋腫、両側の腎臓に発生する癌、皮膚にかたまり状のできものができるという症状を特徴とする症候群が発生することがあり、遺伝的な関連が認められています。 平滑筋腫・平滑筋肉腫の検査は以下のようなものが挙げられます。

【症状】

平滑筋の腫瘍は主に胃腸や子宮・膣に発生します。胃腸では平滑筋腫・平滑筋肉腫の発生がみられ、子宮・膣では平滑筋腫(良性)が発生することが多いです。その他に、平滑筋肉腫は食道、まれに鼻腔内や前立腺で発生することも報告されています。毛を立たせる立毛筋も平滑筋であることから、まれに皮膚でも腫瘍の発生が認められます。胃腸での発生は雄が圧倒的に多く、子宮や膣での平滑筋腫は避妊を行っていない雌でよく発生します。症状に関しては、それぞれの部位で異なり、消化管で発生すれば嘔吐や食欲不振、子宮や膣ならば血の混じった膣分泌物などが挙げられます。 悪性の平滑筋肉腫では、進行とともに元気がない、食欲がない、体重が減るなどの症状や、転移した部位での症状が現れます。平滑筋腫・平滑筋肉腫は症状があまり現れないこともあり、気付かれないまま進行することも多くみられます。

<平滑筋腫・平滑筋肉腫の主な検査>
・触診  ※体を触って異常な構造や痛みなどないかを調べる
・血液検査・X線検査・超音波検査・病理組織検査(外科的切除の後)、など。
平滑筋腫・平滑筋肉腫のはっきりとした予防方法はありません。未避妊の雌犬で膣や子宮の平滑筋腫がよく発生することから、避妊手術を行うことで膣や子宮での平滑筋腫の発生を抑えられる可能性があります。


■  扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)

【原因】

扁平上皮癌のはっきりとした原因はわかっていません。扁平上皮癌では、太陽光線にさらされることが癌の発生と関係していると考えられています。他にはウイルス性のパピローマ(乳頭腫)が扁平上皮癌に移行する可能性も議論されています。扁平上皮癌の検査には、ガラス板を潰瘍やびらん(ただれ)にスタンプし、顕微鏡で細胞を観察する細胞診などがあります。部位や状況によりX線検査やCT検査なども行われます。また、必要であれば外科的切除で採取された組織で病理組織検査を行います。

【症状】

扁平上皮癌の外観は赤く円状に硬くなったものから、潰瘍やびらん(ただれ)を伴うもの、カリフラワー状に増殖しているものなどさまざまです。癌の表面に傷が付いていると細菌感染も起こるので、犬が気にして舐め、できものやその周辺の粘膜がただれる、または膿が出ている状態になります。一般的に扁平上皮癌では、特定の部位に発生したものを除き転移は遅いといわれています。以下は各部位の扁平上皮癌の特徴です。

<腹部やそ径部などの皮膚> 色素の薄い皮膚に発生することが多く、腹部やそ径部、包皮などでもみられます。皮膚の扁平上皮癌になりやすい犬種は下のようなものが挙げられます。 ・ダルメシアン・ビーグル・ウィペット・ホワイト・イングリッシュ・ブル・テリア、など。

<口腔> 口腔腫瘍で扁平上皮癌は比較的よくみられ、多くは歯肉に発生します。骨を侵し広がっていく力も強いです。本来、扁平上皮癌では転移はあまり早くありませんが、舌の根元と扁桃に発生したものは高い転移率がみられます。

<鼻平面> 鼻平面とは正面から犬の顔を見たときに外鼻孔などがある鼻の面です。主な症状は、鼻平面の潰瘍化、出血、くしゃみなどです。鼻平面の下の組織や骨を侵し広がっていきます。 <爪下(指)> 扁平上皮癌は四肢(足)でもみられますが、その中でも指や爪下によく発生します。犬種や性別によるかかりやすさは認められていませんが、悪性の爪下腫瘍で被毛の黒い犬種(特に大型犬)が多く含まれていたという報告があります。指、爪下の扁平上皮癌も骨を侵す動きが活発で、そのほとんどで第三指(人でいう中指で、犬の長い4本の指の内側から2番目)の骨がとけていることが観察されます。 以下のような犬種は、爪下の扁平上皮癌が発生しやすいといわれています。 ・被毛の黒い大型犬種 ・ラブラドール・レトリバー ・スタンダードプードル ・フラット・コーテッド・レトリバー ・ロットワイラー・被毛の黒いダックスフント、。など

【治療・対策】

扁平上皮癌を確実に予防する方法はありません。扁平上皮癌は早期発見が大切になるので、体にしこりやなかなか治らない潰瘍やびらん(ただれ)がないかを定期的にチェックしましょう。もし異常があれば早めに動物病院に連れて行ってください。


■ 肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)

【原因】

肛門の周りには肛門周囲腺と呼ばれる皮脂等の分泌腺があり、その分泌腺が腫瘍化してしまったものが肛門周囲腺腫です。良性、悪性とありますが、場合によっては良性が悪性に変化するケースもあります。多くは歳をとった去勢手術をしていないオスのワンちゃんに見られ、老化によるホルモンのバランスが不安定となることが原因とされます。若い頃に去勢をしてしまったワンちゃんやメスのワンちゃんにはほとんど発生しません。

【症状】

通常は肛門付近の毛の生えていない部分に小さなしこりができます。まれに毛の生えている場所や尻尾の部分などにもできることがあります。また、数ヶ所同時に発生する事もあります。治療を先延ばしにすると、腫瘍は徐々に大きくなり、腫瘍の表面が破れて出血し、潰瘍のようになってしまいます。細菌感染をおこして化膿してしまうこともあります。排便しにくくなったり、便に血が混ざったりして気づくこともあります。

【治療・対策】

外科切除が主流となります。細胞が少しでも残ってしまうとそこから再発してしまうため、腫瘍の周囲・深さ共に大きく切り取ります。排便のためには肛門の皮膚に余裕を残しておく必要があり、また皮膚の下はすぐに肛門括約筋があるため、切除できる範囲にも限りがあります。できるだけ小さなうちに手術を行う事が大切です。通常ホルモンの出所である精巣を切除して再発リスクを低下します。若いときに去勢をすることが予防となります。


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