皮膚の病気

■ アレルギー性皮膚炎(あれるぎーせいひふえん)

【原因】

アレルギーの原因には「食物」「花粉や草木」「ハウスダストマイトの糞や死骸」「カビ」などがあります。食物アレルギーと犬アトピー性皮膚炎を区別するためにどのアレルゲンに過剰に反応しているかを知ることは非常に大切です。アレルギー検査には皮内反応検査、アレルゲン特異的IgE検査(血液検査)、リンパ球反応検査(血液検査)、アレルギー強度検査(血液検査)があります。症状や治療反応、また検査費用などを相談して、どの検査を行うか決めていきます。

【症状】

犬がアレルギー性皮膚炎になると、皮膚に炎症が起こり、かゆみを感じるようになります。次のようなしぐさや症状が頻繁にみられた場合は動物病院へ行くようにしましょう。かゆみを感じている犬のしぐさに特徴があり、・体を舐める、かむ・肢で体や頭をひっかく・体を振る・家具や床に体や頭をこすりつけるなど アレルギー性皮膚炎では発疹や脱毛など皮膚状態の明確な変化より、かゆみが先行してみられることも多いです。また、環境アレルゲンに反応する犬アトピー性皮膚炎ではなりやすい犬種があります。 犬アトピー性皮膚炎の好発犬種は、・ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア・柴犬・フレンチブル・ブルドッグ・シーズー・ヨークシャー・テリア・ゴールデン・レトリーバー・ラブラドール・レトリーバー・ボストン・テリア・ミニチュア・シュナウザー・ダルメシアンなど。

【治療・対策】

検査 検査内容
■ 皮内反応検査 皮膚層の中に少量のアレルゲンを注射し、一定時間内に赤みや膨らみの程度によりそのアレルゲンに対するアレルギー反応を判定します。
■ アレルゲン特異的IgE検査 環境中や食物中にある40種類のアレルゲンに対する血清中のIgE抗体の濃度、または量を測定し、アレルゲンを特定します。
■ リンパ球反応試験 食物アレルギーのみに対応する検査で、リンパ球が過剰反応している食物中のアレルゲンを特定します。
■ アレルギー強度試験 皮膚炎を起こすリンパ球を血中から検出します。アレルギーの有無や抗炎症剤(ステロイドなど)の使用を判断する指標になります。

これらアレルギー検査の血液検査は外部検査機関に依頼して行います。採血から約1~2週間程度で結果を知ることができます。また、皮内反応検査は動物病院が抗原を持っていなければ実施できないので、すべての動物病院で行う検査ではありません。アレルギー性皮膚炎は体質的なことが大きく関係するので、まだ発症していない犬に対する明確な予防方法はありませんが、どの犬も同じく予防等をしっかり行い、皮膚に異常が出れば受診することが大切です。

<いつもの生活で気を付けること>
・ノミ・ダニを含め、できる予防はしっかり定期的に行う・皮膚や耳の状態を含め、全身をこまめにチェックする・動物の仕草や行動を観察する・皮膚を清潔に保つ・生活環境を清潔に保つ・良質のドッグフードを与える・おやつを与えすぎない(おやつをあげた後の皮膚状態に注意)・過度のストレスを避ける など。皮膚を考慮したフードは動物病院でも販売しており、サンプルをもらえる場合もあります。

また、単一のタンパク源を長期間食べているとそれに対し食物アレルギーになることもあるので、異なるタンパク源のフードをローテーションで与えるという方法もあります。これについても、予防時などに獣医師に相談してみてください。アレルギー性皮膚炎は季節性、皮膚症状の発生時期、部位、経過、食物(おやつなど)や散歩ルートに関連しているかの詳細が診断や治療の上で大変重要になります。日ごろの観察と把握を心がけましょう。


■ ツメダニ症(つめだにしょう)

【原因】

イヌツメダニという体長0.3~0.5mmのダニが寄生することで発症します。イヌツメダニは肉眼では確認できませんが頭に大きな爪を持っているのが特徴で、畳やカーペットに生息するツメダニとは別のダニです。イヌツメダニは感染しているワンちゃんと接触することで伝染するので、体を痒がっているワンちゃんとの接触を避けます。ワンちゃんと一緒に寝ることや、抱くことが多い場合は人にも感染し、赤い発疹や強い痒みで気づきます。その時は愛犬のツメダニ症を疑います。

【症状】

ツメダニ症はケイレテイラ皮膚炎とも呼ばれ、主に背中など寄生した部分に大量のフケが目立つようになり、強くはありませんが痒みもあります。ワンちゃんが痒がる時に被毛をかき分けて皮膚を見るとたくさんのフケが出ていることで発見できます。子犬の場合は症状が重くなる傾向にあり、疥癬に似た症状がでる場合もあります。抵抗力のある成犬の場合は寄生しても発症しないこともあり、発症しても軽度な場合が多くあります。ワンちゃんとの接触で人にも感染し赤い発疹と強い痒みが出るダニ刺咬性皮膚炎を発症します。

【治療・対策】

ダニの駆除はスポット薬や内服薬の殺ダニ剤を投与し、殺ダニ効果のある薬用シャンプーを使って駆除します。家庭でシャンプーをする場合は、頭から背中の上半身を念入りに洗ってフケを落とします。卵には効果がないので、根気よくシャンプーを続けます。人も感染する寄生虫なので、日ごろからワンちゃんの衛生面には気を配ります。放置しておくとツメダニの生息域が全身に広がって、不快な皮膚の状態や痒みでストレスを溜めてしまいます。症状に気づいた時は早めに病院を受診します。


■ ノミアレルギー性皮膚炎(のみあれるぎーせいひふえん)

【原因】

ノミアレルギー性皮膚炎の原因はノミの唾液です。唾液にはさまざまな物質が含まれており、それがアレルゲンとなり免疫が刺激され、アレルギー反応が誘発されます。ノミが再度寄生し吸血する際に唾液が体内に入ると、ノミの唾液に対し免疫反応も早く、かつ大きくなり、ノミに刺されるたびにかゆみの程度がひどくなっていきます。また、かゆみがひどいと、かきむしって皮膚に傷ができることで細菌が傷口から入るため細菌に感染する可能性があります。皮膚に侵入した細菌は毒素を出すので炎症が起こりさらにかゆみがひどくなります。かゆみが増すことでさらに掻いてしまい、傷が広がるという悪循環を繰り返し症状が悪化します。

【症状】

ノミアレルギー性皮膚炎の症状は大きく分けて次のような症状があります。以下のような症状やしぐさがあればノミやノミの糞がないか、ノミ取りクシや毛をかき分けるなどして確認してください。ノミ取りクシを使う場合、皮膚を傷つけないように優しく使用。ノミアレルギー性皮膚炎の主な症状は、・背中や腰回りの広い範囲の脱毛・激しいかゆみ・尾を追いかけるようにぐるぐる回りながら下半身をかむ・粟(あわ)粒大の発疹が背中や腰回りに多数できる・発疹(ほっしん)のある部位が傷だらけになる、ただれる・かゆみからくる食欲不振。ノミの糞の見つけ方は、体に黒ペンで点描したような大きさの黒い粒がないかを確認します。そのとき、毛をかき分けたり、毛の流れと逆に毛を撫でつけたりして、毛の根元を見ると見つけやすいです。ノミの糞が体上に多くあると、その動物がいたところに黒い粒がたくさん落ちていることもあります。黒い粒を水で湿らせたティッシュで取り潰し、粒の周りが赤茶色ににじんできたらノミの糞です。

【治療・対策】

ノミアレルギー性皮膚炎は激しいかゆみを伴います。このかゆみは寄生するノミの数には関係なく、たった1匹のノミ寄生でも激しく反応します。ノミが寄生していると繰り返しノミに刺されアレルゲンが体内に入り、アレルギー反応からかゆみがひどくなっていきます。そのためノミアレルギー性皮膚炎になった際は動物病院を受診し、ノミを駆除する薬や抗炎症薬、抗生剤を投与する必要があります。
治療費の一例は、(ノミアレルギー性皮膚炎になった小型犬の治療費例)治療期間:1~2週間通院回数:1回 、合計治療費用:6,270円、一通院当たりの治療費例:6,270円(診察料、内用薬、外用薬、ノミダニ駆除薬1回分)
※あくまでも例を記載したものになります。実際の診療内容・治療費等は、症状や動物病院によって異なります。細菌感染が起こっていれば、皮膚の治療が長引く場合もあり、症状が落ち着いた後は決められた用法で定期的にノミの駆除薬を投与し、ノミ感染を防ぎましょう。また、アトピー素因を持つ犬はノミアレルギー皮膚炎にかかりやすいので、ノミの寄生がみられなくても、予防をしっかり行うことが大切です。


■ 脂漏症(しろうしょう)

【原因】

遺伝性疾患の原発性脂漏症と、何らかの原因があって二次的に発症する続発性脂漏症があります。原発性脂漏症は、常染色体の劣性遺伝による遺伝性疾患です。続発性脂漏症の原因には、アレルギーやホルモン異常、加齢による免疫力の低下の他、寄生虫やマラセチアの感染などがあげられます。フードで脂肪分を多量摂取している場合に発症することもあります。

【症状】

ワンちゃんの脂漏症には皮脂が増えることで皮膚や被毛がべたつき、体臭がきつくなる湿性と、皮膚が異常に乾燥してフケが増える乾性があります。全身のどこにでも発症します。脂漏症だけでなく他の皮膚炎を併発していることも多くあり、細菌性感染症を併発すると脱毛や発疹がみられることもあります。強い痒みがあることも特徴で、悪化すると膿皮症を発症する場合もあります。また外耳炎も脂漏症の症状のひとつです。

【治療・対策】

脂漏症の治療は原因を特定して、症状に適した治療を行います。皮膚を正常な状態に戻すよう新陳代謝を促進し、皮脂やフケを減らすために症状にあった薬用シャンプーでの薬浴を行います。シャンプー後はしっかりと乾かして、皮膚を清潔な状態に保ちます。食事管理も必要です。フード脂肪分は多くても少なくても皮膚に影響が出るため栄養バランスを考え、免疫力が高まるような良質のフードを選ぶ必要があります。慢性化すると治療に時間がかかることもあるので、早期発見と治療が必要です。


■ 耳ヒゼンダニ(みみひせんだに)

【原因】

耳ヒゼンダニの感染経路は、耳ヒゼンダニの主な感染経路・親から子への感染・耳ヒゼンダニが感染している犬との接触・耳ヒゼンダニの成虫や卵が付着したブラシやベッド、敷物などからの感染・犬が多く集まるイベントや施設こまめに耳の臭いや耳垢の量や色をチェックするようにしましょう。耳の中の皮膚は想像以上に繊細です。耳の中まで綿棒などで掃除すると、犬が動いたときに耳の奥まで突いてしまう危険性や、健康な耳の中の皮膚を傷つけて逆に炎症や感染を引き起こしてしまう可能性があります。 通常の耳のケアは、湿らせたガーゼなどで耳の表面の耳垢を優しく拭い取る程度に留めましょう。

【症状】

耳ヒゼンダニに感染する、・頭を頻繁に振る・耳を頻繁にかく・黒い耳垢が大量に出る・耳が臭い・耳をかゆがりこする・耳のあたりを触るのを嫌がるようになる耳ヒゼンダニが寄生すると黒い耳垢が大量に出てきます。耳掃除を何回も行っても耳の穴いっぱいに多量の耳垢が出るのが特徴的です。また、耳を触ると、耳を手にこすりつける、空中をかくように足を動かすような仕草が見られます。耳ヒゼンダニの感染が長期化すると耳の中の皮膚が腫れ、炎症がひどくなり細菌やマラセチアとよばれる酵母(カビの一種)の増殖を引き起こしてしまうこともあります。

【治療・対策】

耳ヒゼンダニの予防方法は、耳の蒸れを避け、耳ヒゼンダニに感染している犬との接触をできるだけ避けることです。耳の穴の入り口に奥が見えなくなるほど毛が生えるトイ・プードルやシー・ズー、ミニチュア・シュナウザーなどはトリミングや動物病院で耳の毛を抜き、衛生的な耳を保つことも大切です。自宅でも定期的に耳のチェックを行うと早期発見につながります。耳ヒゼンダニに感染した場合、駆虫薬を投与して殺虫します。駆虫薬には「セラメクチン、イベルメクチン、モキシデクチン、イミダクロプリド」があります。セラメクチンやイベルメクチン、モキシデクチンを投与する際には、投与前に、十分なフィラリア予防が行われているかを確認し、フィラリア症にかかっている可能性がある場合は検査を行います。なぜなら、これらの薬はフィラリア予防にも用いられ、万が一、フィラリア症にかかっている場合は体内のフィラリアが死んでしまい、ショック症状を起こすことがあるからです。現在ではセラメクチンを首の後ろ側の地肌に滴下するタイプの駆虫薬を使用することがほとんどです。完全に卵が消え、成虫がいなくなると黒い耳垢は出なくなり、かゆみも徐々に治まります。完全に駆虫するまで最低2~3回の滴下を行います。
セラメクチン以外では、イミダクロプリドとモキシデクチンの混合滴下剤も使われることがあります。耳ヒゼンダニ寄生がみられ、激しくかゆがる場合は、細菌やマラセチア(カビの一種)性外耳炎も併発していることが多いので、駆虫と同時に外耳炎の治療を行います。一般的に診察時に外耳道洗浄も行われ、耳ヒゼンダニの温床になる耳垢を除去し、点耳薬の浸透を高めます。その後、1日1~2回点耳薬を耳に入れます。また、イベルメクチンの注射も行われることがあります。ただし、コリー系の犬種(シェルティ、コリー、ボーダーコリーなど)にはイベルメクチンを投与しない方が良いので、セラメクチンが安全です。イベルメクチン投与後は体調変化などに気を付け、嘔吐やよだれが大量に出て垂れる、元気消失、食欲不振などの気になる様子があれば、動物病院にすぐ連絡しましょう。一般的な治療である滴下型セラメクチンを使用した治療費例です。治療期間:4週間、通院回数:3回、合計治療費用:11,556円一通院当たりの治療費例:2,500~5,500円(診察料、両耳洗浄、点耳薬、耳ヒゼンダニ駆虫薬)※実際の診療内容・治療費等は、症状や動物病院によって異なります。 耳ヒゼンダニにかかると、犬は耳を痒がり特徴的な耳垢が出ます。放っておくと外耳炎がひどくなり治療も長引きます。何かおかしい様子があれば動物病院に連れて行き、早めに治療しましょう。


■ 内分泌性皮膚炎(ないぶんぴせいひふえん)

【原因】

内分泌性皮膚炎(ホルモン性皮膚炎)は、体内で分泌されている様々なホルモンの分泌量が正常でなくなり、何らかの異常が生じて皮膚に炎症が起きることがあります。皮膚に影響をもたらすホルモンは甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、成長ホルモン、性ホルモンなどがあげられます。ホルモン異常が起こる原因としては、ストレスや先天性異常、腫瘍などが考えられますが、はっきりと特定できません。

【症状】

内分泌性皮膚炎はホルモン量の異常分泌が原因で、ホルモン異常の代表的な皮膚炎では甲状腺機能低下症があり、鼻や尾、胴体に左右対称の脱毛が現れます。痒みはなく、皮膚が厚みを増す肥厚もみられます。性ホルモンの分泌に異常が生じると、生殖器や肛門周辺に脱毛が集中します。副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)では左右対称性の脱毛が徐々に広がり、脱毛部位の皮膚は血管が透けてみえるほど薄くなることもあります。

【治療・対策】

治療は皮膚の状態や部位、さらに皮膚以外の症状などを確認し、血液検査で分泌異常を起こしているホルモンを特定します。また腫瘍など別の要因でホルモン異常が引き起こされていないか検査をします。治療は足りないホルモンを補ったり、過剰分泌があったりしたの場合は、抑制する内服薬を投与します。ただし副作用も強いため十分な診断と適した治療を判断します。皮膚炎の改善にも時間がかかることがあるので、根気よく治療を行います。


■ 膿皮症(のうひしょう)

【原因】

膿皮症は主に皮膚に常在しているブドウ球菌が異常に増殖することが原因です。皮膚には常に細菌や真菌(カビ)が付着しますが、皮膚の抵抗力(バリア機能)があればその細菌が原因となり炎症を起こすことはほぼありません。皮膚には、バリア機能があります。① 被毛:光や熱の刺激から表皮を保護し皮膚環境を一定に保つ② 表皮:表皮表面の脂質膜や細胞間の皮脂による水分の保持。細菌などの侵入防御③ 表皮の常在菌:他の細菌の侵入防御や増殖抑制④ 免疫防御機構:表皮から侵入した細菌などからの防御。膿皮症の発症にはこのような皮膚のバリア機能を低下させる要因が関与しています。要因が皮膚のバリア機能を下げてしまい、膿皮症を引き起こしやすくなります。 皮膚バリア機能を低下させる要因は、・抵抗力の弱い「若齢犬」「高齢犬」・高温多湿の環境(密な被毛下の皮膚など)・アレルギー性皮膚炎(アトピー、ノミアレルギー、食物アレルギーなど)・外部寄生虫(ノミ、ヒゼンダニ、毛包虫など)・すり傷など物理的障害(しわの部分など)・内分泌疾患(甲状腺機能低下症、クッシング症候群など)・自己免疫性疾患・その他の全身性疾患(糖尿病や腫瘍など)・ステロイド剤の長期投与。

【症状】

膿皮症の症状の代表的なものは、・赤い発疹(丘疹)・膿を持った発疹(膿疱)・かゆみ・脱毛 ・発赤を中心に環状に皮膚がめくれる(表皮小環)・色素沈着が起こり、皮膚が薄く黒ずむ。膿皮症はかゆみを伴うので皮膚を引っかいて傷がたくさん入り、発赤(ほっせき)、湿疹、脱毛を起こしてしまいます。膿疱が拡大し破裂すると、発赤を囲んで環状に薄く皮がめくれた状態である表皮小環(ひょうひしょうかん)ができ、表皮小環の段階を過ぎると表皮小環のめくれた皮膚が剥がれ落ちたあと、黒い粒が集まったような色素沈着ができます。この色素沈着は多くは数ヵ月間残りますが、少しずつ薄くなります。

【治療・対策】

膿皮症は細菌感染なので、原因になるブドウ球菌に感受性の高い抗生剤を最低でも2~3週間投与します。症状が良くなっても細菌が潜んでいる場合があるため、3週間は継続することが多いです。 治療を継続しても良化しない場合は、原因菌を特定し、どの抗生剤が最も効果があるかを確認するために「細菌培養検査・薬剤感受性検査」を行い、その結果により薬剤を選択します。 治療費の一例(小型犬の場合)治療期間:2か月、通院回数:8回、合計治療費用:19,118円、一通院当たりの治療費例:3,000~6,000円(診察料、院内薬剤感受性検査、内用薬、消毒薬、サプリメント)※実際の診療内容・治療費等は、症状や動物病院によって異なります。 ほかに、抗菌作用のある薬用シャンプー、または消毒薬の薬浴(肢先など部分的な場合)を使用することも膿皮症の治療では重要です。薬用シャンプーは、薬用成分を体に留めるために泡を5~10分ほど置きます。薬用シャンプーを処方された際に、使用方法を動物病院で詳しく聞くと効果的に使用できます。また、被毛も紫外線や刺激などから皮膚を守る機能の一部なので、皮膚を露出させない程度に毛を残すようにしましょう。


■ 皮膚糸状菌症(ひふせんじょうきんしょう)

【原因】

犬の皮膚糸状菌症の原因になる糸状菌はいくつかありますが、そのうちの約70%はMicrosporum canis(ミクロスポラム・カニス)とよばれる真菌です。皮膚糸状菌に感染している犬との接触や環境中のほこり、また汚染した用具や器具により感染すると考えられています。健康な犬は、皮膚糸状菌症にかかることはあまりありませんが、抵抗力が弱い子犬や成犬でも免疫力の低下している犬はかかりやすい傾向にあります。皮膚糸状菌症にかかりやすい犬は、・子犬・老犬・免疫抑制剤や抗がん剤などを投与している犬・内分泌疾患や腫瘍など大きな内科疾患を持つ犬などです。皮膚糸状菌症と診断するのに、特徴的な外観が判断の補助になります。しかし、一般的な皮膚症状しか示さないことも多く、診断には検査を必要とします。皮膚糸状菌を検査には、抜毛検査、ウッド灯検査、培養検査、パンチ生検(まれ)があります。

【症状】

犬の皮膚糸状菌の特徴的な症状は、皮膚の赤みやフケ、かさぶたを伴う円形脱毛です。これが、頭部、顔面、または体幹に1か所~数か所(体全体)に発生します。しかし、初期では脱毛がみられないこともあり、その場合は皮膚の赤み、フケ、かさぶたがごく狭い範囲にみられることが多いです。また、皮膚糸状菌症のほかに細菌感染も起こると炎症が強くなり、患部が腫れ、皮膚から液が出てきます。ほとんどの皮膚糸状菌症は皮膚表面での増殖にとどまりますが、まれに炎症が深部に及び、急激な化膿や赤い隆起(肉芽腫)の形成が引き起こされます。皮膚糸状菌症の主な症状は、・皮膚の赤み ・フケ・かさぶた・水疱・円形脱毛・発疹などです。皮膚糸状菌症が発症しやすい部位は、頭部、顔面、前肢です。次いで首、背中、尾、後肢や腹部と続きます。特に症状が現れやすい部位は、・頭部(耳など)・顔面(眼の周辺部、鼻や口周囲)・前肢(前腕部、肢先)

【治療・対策】

検査内容は、◎抜毛検査:皮膚症状の外周から毛やフケを採取し、顕微鏡で糸状菌がみられないか確認します。◎ウッド灯:特殊な波長の光を出すウッド灯を使い、真菌(Micrsporum canis)感染があるかを調べます。真菌感染がある場合は、その部分が蛍光されて見えます。ただ、分かりづらい場合も多く、検出率はあまり高くありません。◎培養検査(2~3週間):皮膚症状の出ている部分の毛を抜いて、真菌が増殖しやすい培地に毛を置き、培地の変色をもとに病原菌(真菌)の有無を判定します。 ◎パンチ生検(まれ):局所麻酔を行い、6㎜円ほどの皮膚片を取り、病理検査を外部機関に依頼します。これらは、真菌を検出するときに行う検査ですが、真菌のほかに、細菌などの感染が同時に起こっていないか確認するため、ほかの皮膚検査も行います。皮膚糸状菌症の治療は、投薬治療(内用、外用)と抗真菌薬の入った薬用シャンプーを使った薬浴があります。細菌感染を併発している場合には、抗生剤も使用します。皮膚糸状菌症の治療は、・抗真菌薬(内服)・外用薬(抗真菌薬を含む軟膏など)・薬浴です。主に、イトラコナゾールなどの内服の抗真菌薬を処方され外用薬と薬浴を組み合わせますが、症状が軽度であれば薬浴や外用薬のみで対処することもあります。内用薬の場合、症状が治まってもすぐに投薬を中止することはせず、獣医師の指示に従いましょう。 治療費の一例は、(小型犬の場合)治療期間:2か月、通院回数:6回、合計治療費用:14,693円、一通院当たりの治療費例:2,200~4,500円(診察料、皮膚検査、真菌培養検査、内用薬、薬用シャンプー)※実際の診療内容・治療費等は、症状や動物病院によって異なります。治療には数週間から数カ月かかります。根気よく治療を行いましょう。 また、家族(人)に皮膚症状が現れた場合も、病院ですぐ受診するようにしてください。


■ 毛包虫症(もうほうちゅうしょう)

【原因】

毛包虫は、子犬が生まれた後に毛包虫を持っている犬と接触することで感染するといわれており、中でも母犬からの感染が最も多いとされています。そのため、1歳未満の若齢犬での感染が多くみられます。毛包虫症は、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア(ウェスティー)などのテリア、若年性の場合は中~大型純血種によく発症します。日本ではシーズーやフレンチブルドッグ、ブルドッグなどの短頭犬種に好発します。高齢での毛包虫症の発症は、他に大きな病気が隠れていることが多いです。毛包虫はもともと毛包に常在する寄生虫なので体調に問題がなければ増殖することはありません。症状が現れるのは、免疫力が低下したときです。1.幼犬の場合(~18ヶ月)皮膚バリアが未熟なため、毛包虫が急激に増えることがあります。・急速な発育・予防接種、環境に対するストレス・内部寄生虫感染 ・食事の量が足りないなどの栄養不足2.成犬の場合、例えば、アレルギー性皮膚炎によりステロイドを長期投与している場合はかかりやすく、再発もしやすいです。・薬剤の使用:ステロイド、免疫抑制剤、抗がん剤など・ストレス:発情、分娩、手術後などです。3.老犬の場合、他の病気や加齢が原因となって免疫力が低下し、発症する場合があります。・内科疾患:腫瘍、肝疾患、クッシング症候群、糖尿病、甲状腺機能低下症など、・加齢に伴う皮膚や全身の抵抗力の低下などです。

【症状】

毛包虫症になると、犬に脱毛などの異常が見られたときは動物病院を受診しましょう。毛包虫症の主な症状は、・目の周りや口の周りの脱毛・足先(特に前肢)の脱毛・色素沈着を伴う脱毛・かゆみや炎症があまりない・発赤や発疹はないことが多いです。毛包虫症が悪化するとあらわれる症状は、・部分的な脱毛ではなく全身に広がる・毛包内で多数の毛包虫が繁殖するため、寄生部位が腫れる・充血、出血が起こる・細菌感染によって皮膚がただれる・かゆみが強くなる※通常毛包虫の感染のみであればかゆみはほぼありませんが、細菌感染やほかの寄生虫の感染が起こるとかゆみが強くなります。

【治療・対策】

毛包虫は皮膚に常在する寄生虫ですが、抵抗力が下がったときに毛包虫症が発症します。抵抗力を下げないように、次の点に気を付けることが大切です。・良質なドッグフードを選ぶ・おやつや人間の食事がメインにならないように気を付ける・快適な湿度温度管理を行う・予防接種やノミダニ、フィラリアなどしっかり予防する・定期的にシャンプーを行い、皮膚を清潔に保つ・体調が悪いときには様子を見ず早めに動物病院を受診すること。このように、健康管理をしっかり行うことで毛包虫症は予防できる可能性が高くなります。毛包虫症を発症したタイミングによって治療法は異なります。1.幼犬の場合は、抵抗力がつくと自然に治る場合があり、局所的な毛包虫症であればシャンプーなどの外用療法を中心に治療を行いながら経過観察をすることもあります。ただし毛包虫症が全身に広がる場合や、細菌感染を伴う場合は積極的に投薬を行い治療しなければなりません。(投薬内容については≪2.成犬の場合≫で解説します。)2.成犬の場合は、殺ダニ効果のあるイベルメクチンやミルベマイシンなどを投与します。イベルメクチンやミルベマイシンは、フィラリア症にかかっている犬は投与後ショック症状を起こすこともあるので投与できません。よって、フィラリア症の可能性がある犬は血液検査で確認してから投薬します。イベルメクチンは投与後に元気喪失や食欲不振、嘔吐やふらつきなどがみられる場合があります。最初は少量から投与し、徐々に薬の濃度を上げていきます。投与量をよく守り、イベルメクチン投与後にはいつもと違う様子はないかしっかり観察しましょう。また、コリー、シェルティ、ボーダーコリー、コリーのミックスなどの犬種にはイベルメクチンは投与しない方が良いといわれています。コリー系の犬種では薬の代謝に必要な遺伝子に欠如や異常がある可能性が高く、薬の中毒を起こしやすいためです。他の治療としては、細菌感染を伴う場合は抗菌薬を使用します。なお、アレルギー性皮膚炎や免疫を低下させるような疾患があると、治りきらない、再発しやすい場合があります。3.老犬の場合は、成犬の場合と治療法はほぼ変わりませんが、内科疾患などの大きな病気が抵抗力を下げる原因になることが多いので、他の病気の検査(血液検査など)も必要であれば行います。毛包虫症を発症、悪化させやすい病気が見つかれば、同時に治療を行います。この場合は再発しやすく、治療も長期化する可能性があります。毛包虫症は現在では治療法も治療薬もさまざまです。治療をしっかり行い、検査で毛包虫(ニキビダニ)がいないか確認しましょう。


■ 疥癬症(かいせんしょう)

【原因】

疥癬症になる原因の多くは、すでに感染している動物との接触によるものと考えられます。また、症状が進行していくとフケやかさぶたが多量に出ますが、体を振ったり、かいたりしたときにそれらが飛び散り、そこから寄生することもあります。ヒゼンダニは犬の体から離れるとしばらくして死にますが、この時間内に新たな動物に寄生することも考えられるので、ドッグランなど複数の犬が同じ場所にいる場合は要注意です。環境中のヒゼンダニは他の宿主を探すので、こまめに掃除をして感染を防ぎましょう。ヒゼンダニが感染してから症状が出るまでの潜伏期間は2~3週間です。この間は感染していても症状がない期間なので、気づかないうちにほかの動物にも感染している可能性があります。寝床や敷物、ブラシなどについている可能性があるので、消毒や処分をし、感染を広げないようにしましょう。

【症状】

疥癬症の主な症状は重度のかゆみと皮膚の炎症です。以下のような症状が現れます。疥癬症の主な症状は、・激しい皮膚のかゆみ・炎症やかさぶたを伴うかき傷や噛み傷・脱毛・フケや多量の黄色がかったかさぶた・顔面(特に耳)、腹部、胸部、肢の内側で起こりやすいです。慢性・重症化した場合は、・リンパ節が腫れる・体重が減る・発熱。疥癬症による行動の変化は、・常に体をかいたり、舐めたりしている・フケなどがある部分を触るとかこうとする・食欲不振、元気消失。保護犬(子犬も)や引き取ったばかりの子犬がずっと体をかゆがってかいていて、病院を受診すると疥癬症だったというケースも多いです。以上のような症状が見られた場合は疥癬症も疑いましょう。

【治療・対策】

ヒゼンダニの感染を防ぐことが一番の予防方法です。犬の生活環境の掃除とシャンプーを定期的に行いましょう。疥癬との区別をしやすくするためにも、日ごろから定期的にノミ・ダニの駆除をきちんと行うことも大切です。また、抵抗力が下がると感染したときに急激に悪化し全身へと広がるので、皮膚を含め体調を観察しましょう。慢性化、重症化すると元気や食欲の低下など全身にも影響を及ぼします。かゆみに気付いた際は動物病院を受診し、「いつから」「どこから始まって」「どのような症状の変化があるか」を伝えましょう。家族(人)にかゆみや発疹などの皮膚症状が出ているかも診断の補助になることがあります。犬が疥癬症になってしまったら、疥癬症になってしまったら、ヒゼンダニを駆虫させるために「セラメクチン、イベルメクチン、ドラメクチン」などの殺ダニ剤を用います。 これらの薬を投与するときにはフィラリア症にかかっていないかを血液検査で確認したうえで投与するようにします。万が一フィラリア症にかかっている場合は体内のフィラリアが死んでしまい、ショック症状を起こすことがあるからです。症状が軽い場合はセラメクチンの滴下型を定期的に数回投与することが多いです。セラメクチンの治療効果が薄い場合や症状の程度により、イベルメクチン、ドラメクチンを使用します。ただ、どの薬をどのように使うかは動物病院や獣医師によって異なります。また、コリー系の犬種(シェルティ、コリー、ボーダーコリーなど)にはイベルメクチンを投与しない方が良いとされています。飲み薬の場合は少量から処方されるので、投与量をよく守ることが重要です。投与後は体調変化などに気を付け、元気消失、食欲不振、嘔吐やよだれが大量に垂れるなどの気になる様子があれば、動物病院にすぐ連絡しましょう。また、滴下型セラメクチンを使用した治療例は、治療期間:7週間、通院回数:5回、合計治療費用:13,716円、一通院当たりの治療費例:1,000~6,600円(診察料、検査、内用薬、疥癬駆虫薬)※あくまでも例を記載したものになります。実際の診療内容・治療費等は、症状や動物病院によって異なります。 かきむしってできた傷から細菌に感染している場合は、抗生剤を使用し、ヒゼンダニを検出する検査は、皮膚の表面を引っかいたりセロテープを使ったりしてフケやかさぶた、皮膚片を採集し、ヒゼンダニがいないか顕微鏡で見ます。しかし、ヒゼンダニの感染があっても検査では検出されないことも多く、その場合は日を替えて数回にわたり検査を行います。疥癬症の疑いが強い場合は治療を先に始めることもあります。また、シャンプーでフケを取り除き皮膚を清潔に保つことも治療の一助になります。フケは無理にはがしてしまうと出血するので、角質溶解剤などが含まれるシャンプーを用い優しく洗うようにしましょう。 しかし、疥癬症により体が弱っている場合はシャンプーが負担になることもあるので、獣医師に相談してください。また、同居している動物(哺乳類)がいる場合も治療が必要か獣医師に聞いてみましょう。


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