感染症の病気

■ イヌアデノウイルス(いぬあでのういるす)

【原因】

感染した犬の分泌物・排泄物にウイルスが存在し、分泌物・排泄物が体内に入ることにより感染します。飛沫によっても感染します。回復した後でも数ヶ月は排泄物にウイルスが存在します。回復後の半年以上は尿中にウイルスを排泄すると言われています。無症状で感染に気が付かず、数日の潜伏期間の間に辺りにウイルスを撒き散らしてしまっている場合もあります。効かない消毒薬も多く、注意しなければいけません。

【症状】

2つのタイプがあり、肝炎を起こす1型感染(CAV-1)と、風邪の症状がみられる2型感染(CAV-2)があります。1型は、高熱、食欲低下や嘔吐下痢、むくみなどの症状が数日間続いた後、治癒します。回復期には、目の角膜に青白い濁り(ブルーアイ)が見られることもあります。軽症や無症の場合もありますが、他のウイルスや細菌との複合感染により重篤な症状を示すこともあります。特に子犬の場合の致死率は非常に高くなっています。

【治療・対策】

ワクチンをしていない、免疫がついていないなどのワンちゃん(特に子犬)に症状が見られる場合には、早急に、検査・治療をします。治療は対症療法しかありません。他のワンちゃんへの感染を防ぐため、病気のワンちゃんを隔離します。また、病気のワンちゃんや排泄物を触った後は必ずよく手を洗い、生活環境は徹底的に消毒します。完全にウイルスをなくすことは不可能で、外で用を足した場合は土を総入れ替えする必要があるほどです。


■ ケンネルコフ(けんねるこふ)

【原因】

ケンネルコフはマイコプラズマや犬パラインフルエンザ、犬アデノウィルスⅡ型などのウィルス、気管支敗血症菌といった細菌などが単体、もしくは混合して感染することが原因で発症します。感染経路は飛沫感染や接触感染です。多頭飼育の場合などは、1頭が感染すると一気に感染が進みます。子犬が重症化した場合は原因がジステンバーウィルスの場合もあるので注意が必要です。

【症状】

伝染性気管気管支炎と呼ばれ、初期では短く乾いた咳や発熱といった症状が急に現れます。発作性の咳なので、運動の後や興奮時、気温や湿度に変化があった時には、症状がひどくなる傾向にあります。単独ウィルス感染の時は1週間~10日程で回復しますが、いくつかのウィルスや細菌の混合感染の場合、抵抗力のない子犬や老犬の場合は食欲が落ちて元気がなくなり、高熱や膿を含んだ鼻汁を出して急激に症状が悪化し、肺炎を起こして死亡することもあります。気管虚脱などの呼吸器疾患があると症状が悪化します。

【治療・対策】

マイコプラズマやウィルス感染の場合、抗生物質での治療が可能です。咳がひどい場合は気管支拡張剤と混合して、ネブライザーで喉に噴霧して気管の炎症を緩和します。1週間程度は安静にさせて十分な栄養を与え、肺炎に移行しないように注意を払います。また、原因となるいくつかのウィルスの予防としては、ワクチン接種が有効なので、1年に1度の接種を心がけます。愛犬の住環境を清潔に保ち、感染を疑われる犬との接触を避けるようにします。


■ コロナウィルス感染症(ころなういるすかんせんしょう)

【原因】

コロナウィルスは、感染したワンちゃんの糞や尿の臭いを嗅いだ拍子に鼻や口が触れてしまったり、地面に接触した足を舐めた場合などに感染する経口感染がほとんどです。他にも、ウィルスの付着した人間の手から、触れた食器などを経由して伝播することがあります。

【症状】

コロナウィルスの病原性は弱く、成犬が感染しても症状が出ない場合がほとんどで、不顕性感染といいます。免疫力の弱い子犬が感染した場合には、食欲や元気がなくなり、下痢や嘔吐を引き起こします。下痢はオレンジ色をした悪臭の強い軟便の他、水様性の場合もあり症状はそれぞれですが、まれに血や粘液が混じる場合もあります。下痢が長引く場合と脱水症状を起こすこともあります。子犬が他の腸炎やパルボウィルスに感染すると重篤な状態になります。

【治療・対策】

コロナウィルス感染症に有効な治療薬はありません。治療としては、脱水症状を予防するための輸液の投与を行い、食事制限などを行って様子をみます。パルボウィルスや他の細菌感染がみられる場合、抗生物質や制吐剤などを投与する対症療法を行います。また、二次感染を防ぐために抗生物質を投与します。コロナウィルスはワクチン接種で予防ができます。子犬の場合、適切な時期に適切な回数の接種を行い、以降は年に1度の接種を心がけます。


■ ジステンパー(じすてんぱー)

【原因】

ジステンバーウィルスは冬期で寒くて乾燥した時期に感染力が強まります。感染した犬の排泄物からウィルスや咳やくしゃみで飛散し、そのウィルスを吸い込んだことで感染します。また、接触感染することもありますので、近くで遊んで接触した鼻水や唾液、尿や便などの排泄物からも感染します。1歳未満でワクチン未接種の子犬や、ワクチン接種を適切にしていないワンちゃんに発症が多くみられます。高齢で抵抗力が落ちているワンちゃんの場合も発症率は高くなります。

【症状】

ジステンバーウィルスに感染すると、食欲が落ち、元気がなくなります。高い熱と目やに、くしゃみや鼻水、下痢や嘔吐と咳などの呼吸器症状が現れます。ケンネルコフに似た症状ですが、運動失調や震え、けいれん、麻痺などの神経症状も現れます。子犬に感染することが多く、特に冬場は感染率が高くて死亡率も高い感染症の1つです。

【治療・対策】

早期であれば、免疫血清などの大量投与が有効でジステンバーはワクチン接種で防げる感染症です。抗生物質の投与を行い、二次感染を防ぐためにサルファ剤、副腎皮質ホルモン、ビタミン剤を併用します。症状の緩和に対しては、整腸剤や抗てんかん剤などの対症療法を行います。治療中は安静を心がけ、体温の低下を防いで体力を回復させます。また、ジステンバーはワクチン接種で防げる感染症です。致死率が高いことから、子犬の場合、ワクチン接種が終わるまでは他のワンちゃんとの接触を避け、地面に触れさせることのないよう注意します。


■ バベシア症(ばべしあしょう)

【原因】

マダニによって媒介されるバベシアという原虫によって引き起こされる溶血性の病気です。ワンちゃんに寄生するバベシアは2種類です。バベシアに感染しているマダニに吸血された際に、マダニの唾液と共に侵入したバベシアがワンちゃんの赤血球内に寄生し、分裂・増殖を繰り返しながら赤血球を破壊します。輸血、汚染された医療道具、胎盤を通じた母子感染、闘犬及び激しい喧嘩によっても感染するといわれています。

【症状】

高熱や溶血性貧血、血尿、歯茎・舌などが白くなる、食欲減退、嘔吐が見られ、劇症になると低体温、ショック、昏睡などに陥ります。、肝臓や腎臓の機能障害を起こし、幼犬または老犬では、死に至る場合も少なくありません。ワンちゃんの免疫力とバベシアが拮抗する場合や免疫力が勝っている時には無症状で、バベシアが優位になると発熱、元気消失、食欲不振、体調不良、咳、便秘、下痢のような症状を繰り返したりすることもあります。

【治療・対策】

抗生剤などでバベシアの増殖を抑えて症状を緩和させ、ワンちゃんの体力を回復させます。しかしバベシア原虫を体内から完全に駆除することは大変難しく、多くの場合は無症候性キャリアーとなります。この状態は数ヶ月から数年続き、体力や免疫力の低下をきっかけに再発する危険性があります。マダニの多い山や公園、草むらや河川敷などに行く前にはマダニ駆除薬を投与するなどの予防をする必要があります。


■ パルボウイルス感染症(ぱいぼういるすかんせんしょう)

【原因】

パルボウイルス感染症は、感染したワンちゃんの便や嘔吐物などの臭いを嗅いで鼻が触れたり、舐めたりした場合の経口感染です。また、ウィルスの付着した食器や感染したワンちゃんに触れた後、手や服を消毒せずに他のワンちゃんに触った時に感染することもあり、非常に感染力の強いウィルスです。他にも、パルボウイルスは自然界や乾燥した環境でも半年から1年は生き続けるといわれています。汚染された地域や消毒が不十分な飼育環境では、他のワンちゃんにも感染が及びます。

【症状】

パルボウイルス感染症に感染すると食欲がなくなり、元気もなくなります。発熱と激しい下痢や嘔吐を引き起こし、悪臭を伴った粘液便には血が混じる場合もあります。重い脱水症状を起こし、ショック状態となって重篤な状態に陥ります。感染症による急死の場合は、心筋炎や敗血症によるものも多くあり、嘔吐が始まってから30分程度で死亡する場合もあります。妊娠しているメスのワンちゃんの場合、流産や死産を引き起こすこともあります。

【治療・対策】

パルボウイルス感染症を発症した場合、治療に有効な薬剤はありません。脱水やショック状態を和らげる対症療法を行います。抗生物質や輸液の投与、二次感染を防ぐための抗生物質の投与などがあげられます。未感染犬が同居している場合は、感染犬を完全に隔離して消毒を徹底します。感染を防ぐ予防はワクチン接種が有効です。子犬は感染率も致死率も高いので、ワクチン接種が終わるまでは他のワンちゃんとの接触を避け、衛生的な環境で飼育します。また、子犬を触る前には必ず消毒をするように心がけます。


■ ブルセラ症(ぶるせらしょう)

【原因】

ブルセラ症はブルセラ・カニスと呼ばれる菌が原因で感染が起こります。感染経路は、すでに感染しているワンちゃんの尿や子宮分泌物、流産時の胎児や分泌物による感染、汚染された媒介物からも感染することがあります。また、感染犬との交配で広がります。ブルセラ症は人獣共通感染症で、人に感染すると風邪のような症状が出てます。また、女性の場合は不妊や流産を起こすことがあります。

【症状】

ブルセラ症は、ワンちゃんが集まるところでの感染が多く、感染するとオス、メスともに繁殖障害を起こします。ブルセラ菌は感染したワンちゃんの体内に2年程度留まり、ワンちゃんはその間に免疫を獲得します。ただ、一度でもブルセラ症にかかったメスのワンちゃんは不妊や流産を繰り返す他、流産や数週間による膣内からの緑褐色の分泌物、不妊などを発症します。オスのワンちゃんが感染すると、睾丸が一時的に腫れる精巣炎や、陰囊の皮膚炎、無精子症による不妊などを発症します。

【治療・対策】

ブルセラ菌の感染を予防するワクチンは現在ないため、ブリーダーやペットホテルなどのワンちゃんがたくさん集まる場合は飼育環境を清潔に保ち、健康状態に気を配ります。テトラサイクリンなどの抗生物質を投与しますが、必ずしも完治は期待できず、投与後に再発することもあります。繁殖犬に流産があれば、流産したワンちゃんはすぐに獣医師を受診します。また、他のワンちゃんが流産胎児や出産に伴う分泌物に触れないようにして、飼い主自身も直接触れることのないように慎重に取り扱います。


■ レプトスピラ症(れぷとすぴらしょう)

【原因】

レストスピラ菌の一番の感染源はネズミで、ネズミには症状は現れません。感染したネズミは尿と一緒にこの菌を排出しているため、菌を含んだ水を飲んだりすることでワンちゃんに感染します。レストスピラは3つの型がありレプトスピラ・カニコーラ型や黄疸型(レプトスピラ・へクテロヘモラジー型)、症状の出ない不顕性型があります。レストスピラは人獣共通感染症の1つで、ワンちゃんや人だけでなく、ほとんどの哺乳類に感染しますが、人から人へは移りません。

【症状】

レストスピラ症は、細菌に感染することで肝障害や急性腎不全などを起こし、重篤になれば命に関わります。この菌は感染してもすぐには症状が現れない不顕性型が多く、症状が出ないまま自然治癒します。ただ、その場合は気づかないうちに尿と一緒に菌を排泄して、他の動物へと感染を広げてしまいます。出血型の場合は40℃以上の高熱や食欲不振と嘔吐、結膜の充血や血便などの症状が出ます。黄疸型は黄疸や嘔吐、下痢、口の粘膜の出血などがみられ、出血型よりも症状が重くなり、数日で死に至る場合もあります。

【治療・対策】

レストスピラ症は尿検査や顕微鏡検査で簡単に菌を見つけることができます。治療法としては、病原菌を抑えるために内科的治療で抗生物質の投与が有効です。肝不全や急性腎不全の症状が見られる場合は、その対症療法としてブドウ糖やビタミンB、強肝剤、利尿剤などの投与を行います。また、レストスピラ症を予防するにはワクチン接種が有効です。人にも感染する恐ろしい病気ですから、定期的なワクチン接種を確実に実施して予防します。


■ 狂犬病(きょうけんびょう)

【原因】

狂犬病は致死率100%といわれる人畜共通感染症です。狂犬病ウィルスに感染した動物に咬まれることで、傷口からウィルスが体内に侵入し感染します。ウィルスは末梢神経や脳や脊髄などの中枢神経に広がり、神経障害を起こします。日本国内では1950年に狂犬病予防接種が義務化され、1956年以降の国内でワンちゃん、人間ともに発生はありませんが、平成18年に海外での咬傷事故が原因で帰国後に発症し、2名の方が亡くなる事例が発生しています。

【症状】

狂犬病ウィルスに感染したワンちゃんの症状は、3つの期間で経過します。前駆期では、発熱や食欲不振など風邪に似た症状や咬傷を痒がる他、暗い場所に隠れたり、友好的な犬が臆病になったりと性格が変わったように見えます。狂躁期では過剰に興奮する、攻撃的になる、水を極端に怖がるなどの傾向があります。顔つきも凶暴な様相になり、この時期に咬傷事故が起こります。2~4日続いた後は麻痺期に入り、運動失調、けいれん、嚥下困難となり、数日間の昏睡の後、死に至ります。

【治療・対策】

狂犬病はワンちゃんにも人間にも致命的な病気で、発症すれば有効な治療法はありません。万が一、狂犬病を疑われる動物に咬まれた場合は速やかに病院に搬送し、狂犬病ワクチンを接種してから発症するかどうか経過観察下に置かれます。また、狂犬病ウィルスに感染する動物は、ワンちゃんだけではありません。日本は世界でも数少ない狂犬病清浄国ですが、海外では珍しい病気ではありません。輸入動物も増えてきていることから、再度国内で発症する可能性もあります。予防は年w回の狂犬病予防接種で、法律でも義務付けられているため必ず接種を行います。


■ 犬ヘルペス感染症(いぬへるぺすかんせんちょう)

【原因】

犬ヘルペスウィルスの潜伏期間は1週間とされています。感染経路ははっきりと判明していませんが、出産時に産道に付着したウィルスで感染するものや、母犬の分泌物からの経口感染などがあると考えられています。また、母犬の体内での感染としては胎盤を経由して感染するという可能性もあります。

【症状】

発症するのは生後3週間以内の子犬が多く、肝臓、肺、腎臓などが壊死してしまうため致死率が非常に高いウィルスです。発症から死亡するまで概ね4日~7日といわれています。症状としては吐き気や嘔吐やよだれがみられ、母乳を飲まなくなります。持続的に鳴き続ける場合や、黄緑から緑色をした下痢便になる場合があります。腹痛を伴ってお腹を触られることを嫌がります。息苦しそうに呼吸をしている場合、肺炎を起こしていることもあります。同腹犬たち、すべてが発症して死亡することもあります。

【治療・対策】

予防法は確立されておらず、ワクチンなどもまだありません。輸血や抗生物質の投与を試みることもありますが、治療は不可能なのが現実です。子犬が犬ヘルペス感染症を発症した場合、同腹の兄弟犬がいる時は、犬ヘルペスウィルスが増殖する35~37℃より高い温度に設定した保育器で飼育し、温度は38℃前後で保ちながらの人工飼育で命を救える可能性もあります。母犬のいる犬舎やゲージは塩素系消毒し、今後、母犬は出産させない工夫も必要です。


■ 犬伝染性肝炎(いぬでんせんせいかいえん)

【原因】

犬伝染性肝炎は犬アデノウィルスⅠ型に感染することで発症します。ウィルスは感染したワンちゃんの涙、鼻水などの分泌物や尿や便などの排泄物のすべてに含まれ、これらを直接的に舐めたり、汚染された食器や衣類などを間接的に舐めたりすることで感染する経口感染です。伝染性がとても強く、病気から回復したワンちゃんでも数ヶ月にわたって尿中にウィルスを含むことがあるので、注意が必要です。

【症状】

犬伝染性肝炎は、犬アデノウィルスⅠ型といわれるウィルス感染によって発症します。肝臓に炎症が起こり、症状の程度は軽いものから重いものまでさまざまです。軽い場合は発熱や鼻水程度ですが、重症だと高熱や下痢嘔吐、鼻水や腹痛がみられますが、1週間程度で回復していきます。回復時には、角膜が浮腫を起こしてブルーアイになることがあります。子犬が重度になると肝臓の機能不全や肝性脳症、さらに低血糖からくる無気力や虚脱、けいれん発作、昏睡などの神経症状が見られ、突然死する場合もあります。

【治療・対策】

犬伝染性肝炎の有効な治療薬はありません。ウィルスに感染して肝臓がダメージを受けた場合は細胞が再生されるまでの間、点滴や輸血、処方食で食事療法を行います。肺炎や腎盂腎炎への二次感染を防ぐため抗生物質の投与も行います。予防方法はワクチン接種で、子犬の場合は適切な時期に適切な回数の接種を行い、以降は年に1度の接種を心がけます。ウィルスは犬伝染性肝炎が完治した犬の体内にも一定期間存在し、尿と一緒に排出されますから、散歩中に他の犬の臭いを頻繁に嗅いだり、落ちているものを口にしたりしないようにしつけておきます。


■ 細菌性腸炎(さいきんせいちょうえん)

【原因】

細菌性腸炎は不衛生な場所で飼育され、細菌に汚染された食べ物や水を口にして感染します。口から入った病原菌は腸の中で増殖して、毒素を出し、腸の粘膜の内部に侵入してさまざまな症状を起こします。代表的な細菌にはサルモネラ菌、カンピロバクター菌、大腸菌、ブドウ球菌などがあげられます。カビも原因の1つです。輸送の疲れや生活環境のストレス、健康状態が良くない場合、老齢や子犬など抵抗力や免疫力がない時に菌が体内に入ると発症しやすくなります。

【症状】

細菌性腸炎は細菌が原因で、発症した腸炎を広く指します。腸炎の症状は病原菌の種類によって違いがありますが、概ね共通した症状に下痢や嘔吐、食欲不振、腹痛、脱水症状があります。また、発熱を伴う場合もあります。健康的なワンちゃんでもサルモネラ菌などを保菌している場合があり、抵抗力や体力が落ちたり、ストレスが溜まったりすると発症しやすくなります。

【治療・対策】

下痢はいろいろな疾患の症状として出ることがあるので、細菌性腸炎かどうかを調べます。また、治療は原因になっている菌の種類を特定して治療をするので、原因菌を調べるために便を採取して検査をします。内科的治療で抗生物質を投与して経過観察をします。一定期間で病状が好転すれば、細菌性腸炎と断定できます。他にも、脱水症状がある場合は輸液の点滴や腸粘膜を保護する保護剤を投与します。日ごろから免疫力や体力をつけ、生活環境を清潔にして、繰り返し感染しないように心がけます。


■ 破傷風(はしょうふう)

【原因】

ワンちゃんだけでなく、人にも感染する人獣共通感染症です。破傷風菌は土壌の中にも存在し、破傷風菌が存在する場所で遊んだり、ケガをしたりした時は要注意です。破傷風菌が産出するのは神経毒で猛毒性です。また、破傷風に感染したワンちゃんに咬まれることでも発症します。もし咬まれた場合はすぐに消毒し、病院で抗生物質などを投与します。海外旅行先などでも、ワンちゃんに咬まれたらすぐに治療が必要です。

【症状】

破傷風は、破傷風菌に感染することで発症する病気です。菌が傷口などから体内に入ってしまうと菌が毒素を産出し、頭の側面にある筋肉のけいれんから症状が始まります。口が開けられなくなり、まぶたが引きつることが原因で、破傷風で特徴的な「笑ったような顔」をすることもあります。進行すると首の筋肉や全身筋肉の強直とけいれんを起こし、四肢の関節が曲げられずに歩行困難になります。呼吸困難などがみられると、発症して5日以内に死に至ります。回復する場合も2週間は全身症状がみられます。

【治療・対策】

破傷風に感染したら、傷口と全身にペニシリンを投与し、抗毒素性血清を投与します。神経麻痺などの症状を軽減することを目的として、鎮静剤なども用いられます。呼吸困難などがあれば、酸素吸入も行われます。人の場合は、予防接種をしておくことで感染を防止することができます。発症に気づいた場合、すぐに適切な処置を受ければ命に関わることはありません。


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