ホルモンの病気

■ アジソン病(あじそんびょう)(副腎皮質副腎皮質機能低下症)

【原因】

副腎皮質機能低下症は、副腎皮質機能亢進症とは逆に副腎皮質ホルモンの分泌量が低下することで起こる病気です。原因には副腎自体が異常を起こす原発性と、他に原因がある二次的異常に分かれます。原発性の場合は自己免疫疾患、感染症、出血、悪性腫瘍などで副腎自体が破壊され、クッシング症候群の治療に用いる薬剤も原因になります。二次的異常では、下垂体や視床下部の腫瘍、炎症などが原因でホルモンの分泌が低下することで副腎が萎縮することがあげられます。

【症状】

アジソン病ともいわれ、急性と慢性に分かれます。急性の場合はストレスを感じた時に発症し、急に元気がなくなり、ふらつきが出て突然倒れてショック状態に陥り、急性の場合は命に関わります。また、慢性の場合は食欲が落ちて元気がなく、嘔吐や腹痛を伴う下痢と脱水症状を起こし、体重も減っていきます。血糖値が下がって急に倒れることもあります。良くなったり悪くなったりを繰り返す経過が特徴で、激しい症状が現れた時には副腎皮質の90%以上が破壊されており、ストレスがかからなくても症状がみられるようになります。

【治療・対策】

急性の場合、元気がない様子でぐったりしている時はすでに重篤な状態なので、ショック状態の改善など緊急治療を行います。回復後は副腎皮質ホルモンの補充療法など、慢性症状の治療と同様の生涯治療を行います。自ら副腎皮質ホルモンを作れるようになれば、投薬が不要になります。気づいた時には重篤な状態になっている場合もあり、生涯にわたって治療を続ける必要が出てしまいます。症状に気づいてあげることと、早めの治療が何よりも大切です。


■ アジソン病(あじそんびょう)

【原因】

猫の外耳炎の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。

副腎皮質からのホルモンが十分に分泌されないことが原因で、「副腎皮質機能低下症」とも呼ばれます。副腎皮質自体が破壊されたりして起こる場合と、副腎皮質に指令を与える視床下部や下垂体に異常があって起こる場合があります。この他、長期間または大量の合成副腎皮質ホルモン(ステロイド剤)治療を突然やめた場合(医原性)の副作用として起こることもあります。また逆に副腎皮質の働きを弱める治療薬の投与でも発症することがあります。

【症状】

急性と慢性に分かれます。慢性では、食欲不振、元気がなくなる、嘔吐下痢、体重減少、といった症状がみられ、良くなったり悪くなったりを繰り返します。また、水をたくさん飲む、尿の量が増える、運動をいやがるといった症状が出ることもあります。急性のものは主に慢性のワンちゃんが大きなストレスを受けた時に起こり、突然のふらつき、微熱、呼吸困難、意識障害などからショック状態に陥り、迅速に治療をしなければ、命に関わることがあります。

【治療・対策】

急性からの回復後や慢性の場合は、不足している副腎皮質ホルモンの補充療法を生涯にわたって行います。医原性の場合は自分で副腎皮質ホルモンを十分に合成・分泌できるようになれば治療が終了することもあります。早期発見・早期治療が何よりも大切で、症状がみられた際には、すぐに動物病院へ連れ行きましょう。ストレスは急性の危険性を高めてしまうため、なるべくストレスのかからない生活を整備してあげる事が重要です。


■ クッシング症候群(クッシングしょうこうぐん)(副腎皮質機能亢進症)

【原因】

クッシング病ともいわれる副腎皮質機能亢進症は、脳下垂体の過形成や腫瘍、副腎皮質にできた腫瘍などが原因で、副腎が過剰なコルチゾール(副腎皮質ホルモン)を分泌することが原因で発症します。二次的なものではアトピー性皮膚炎の治療などでステロイド剤(副腎皮質ホルモン)を長期間投与していた時に、急にその使用を中止したことによる副作用で 発症することもあり、医療性クッシング症候群といわれます。

【症状】

クッシング症候群ともいわれ、お水をたくさん飲んで排尿量が増え、食欲が増してたくさん食べているのに体重が落ちるといった症状が見られます。体全体の毛が薄くなり、左右対称に抜け毛が見られるのも特徴です。運動を嫌がるようになり、皮膚が薄く黒ずんだように見えることもあります。症状が進行すると無気力で寝ている時間が増え、免疫力の低下から皮膚炎や膀胱炎などの感染症を起こしやすくなります。中高齢のワンちゃんに多くみられ、糖尿病を併発することもあり、治療が遅れると命に関わります。

【治療・対策】

医療性の場合は副腎皮質ホルモンの投与を徐々に休薬するようにします。自然発生の病気では副腎は下垂体からのホルモンの影響で大きくなることや、腫瘍化していることもあるので、その場合は、症状にあった薬物療法や外科的手術を行いますが、下垂体の手術は現時点では行われていません。予防方法もなく、悪性の場合は他への転移も早いので早期発見・早期治療が大切です。副腎皮質ホルモンの投薬をしている場合は勝手に止めたりせず、獣医師の指示とおりに投薬します。


■ クッシング症候群(くっしんぐしょうこうぐん)

【原因】

8〜12歳に最も頻繁に発症します。全体の8〜9割は、脳下垂体に腫瘍ができることを原因とし、残りは、副腎そのものに腫瘍ができることでコルチゾールが過剰生成されて発症するものや、3か月以上の大量のステロイド投与が原因となるものがあります。そのほか脳や副腎以外の部位からコルチゾールが分泌されてしまったり、インスリンの代わりにコルチゾールを放出してしまったりする症状が原因となることがあります。

【症状】

副腎皮質ホルモン(コルチゾール)の過剰分泌がひきがねとなって、高血糖や脂肪・たんぱく質の過剰分解、免疫抑制などを引き起こします。多飲多尿、多食、やせる、おなかがふくれる、皮膚が黒ずむ(色素沈着)、毛つやが悪くなる、呼吸があらい、胴体の左右対称の脱毛、筋肉萎縮、甲状腺機能低下症の併発、糖尿病の併発などが見られます。免疫が低下するため、皮膚炎、膀胱炎といった様々な感染症にかかりやすくなります。

【治療・対策】

原因が脳下垂体にあるか副腎にあるかで治療方法が異なります。脳下垂体の腫瘍が小さいときは内服薬で副腎から分泌されるコルチゾールを抑えます。腫瘍が大きい場合は放射線治療や外科手術による摘出が選択されることもありますが、外科手術には困難な場合もあります。原因が副腎の腫瘍にあるときは外科手術により副腎摘出をします。予防法はなく、早期に発見し早期に治療を開始して病気をコントロールすることが鍵となります。


■ 甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)

【原因】

甲状腺機能低下症は、甲状腺自己抗体が自分の甲状腺組織を攻撃し、炎症を起こして機能が低下してしまう自己免疫疾患と、原因不明の突発性甲状腺萎縮が原因になります。クッシング症候群など、他の病気が甲状腺ホルモンの働きを阻害して発症することもあります。中高齢のワンちゃんに発症することが多く、症状がさまざまで診断が難しいため、血液検査でも見逃されやすいことがあります。

【症状】

体の代謝を活発にする役割の、甲状腺ホルモンの分泌量が減少する病気です。発症すると元気がなくなって疲れやすくなり、寒がることもあります。体重が増えて肥満傾向になります。毛艶が悪くなる、毛が左右対称に抜けて薄くなる、皮膚が黒ずむ色素沈着、乾燥してフケが多くなる、皮膚が厚くなる肥厚といったさまざまな症状がみられます。ぼんやりして顔つきが悲しげに見えることもあります。他には心拍数が遅くなって血圧が低下し、発情が止まることもあります。重篤な状態になると、昏睡や意識障害を起こすこともあります。

【治療・対策】

病気が確認できたら、甲状腺ホルモン製剤をコントロールしながら投与することで、通常の生活を送ることができますが、生涯にわたって治療を続ける必要があります。また、投与量を間違えた場合、逆に甲状腺機能亢進症の症状である体温・心拍・脈拍・血圧が過剰に上がってしまうので注意します。他にも、クッシング症候群など別の病気が原因となる場合、それら基礎疾患の治療も行います。予防は難しいため、日ごろの様子をよく観察し、異常が見られたらすぐに病院を受診するようにします。


■ 甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)

【原因】

甲状腺ホルモン生産や分泌が過剰になり、血液中の甲状腺ホルモン濃度が高くなる甲状腺疾患です。ワンちゃんが甲状腺機能亢進症を発症するのはとてもまれで、多くは甲状腺機能低下症を発症します。甲状腺にできた腫瘍や傷などの外的要因が原因で分泌が過剰になることや、甲状腺機能低下症の治療のために投与した甲状腺ホルモン剤が過剰だった場合に起きることもあります。癌が出きた場合は転移が早く、予後もよくありません。

【症状】

甲状腺の働きが異常に活発になって、甲状腺ホルモンが多量に分泌される病気です。発症すると食欲が旺盛になり、食べる量も増えているのに体重は減少します。水を多量に飲むと同時に排尿量も増える多飲多尿になり、下痢を起こすこともあります、落ち着きがなくなり、とても活発に行動します。微熱や頻脈がみられ、高齢のワンちゃんの場合、カルシウム不足から骨粗鬆症の原因になり、進行すると心臓に負担がかかって心不全や過呼吸症候群を起こすこともあります。

【治療・対策】

甲状腺の異常かどうか調べるためには、血液検査からX線検査、超音波検査、甲状腺ホルモンの検査などさまざまな検査を行います。治療として甲状腺ホルモン製剤を投与している場合は、投与量を調整します。甲状腺に腫瘍がある場合、手術で切除する場合もありますが、動脈や食道、器官などへの転移や部位によって摘出が困難な場合は放射線などの治療を行います。良性の腫瘍の場合は、どちらか一方の甲状腺のみを摘出することが多くあります。


■ 上皮小体機能低下症(じょうひしょうたいきのうていかしょう)

【原因】

上皮小体機能低下症の原因は3種類に分類されます。先天性の場合は生まれつき上皮小体の機能が弱い場合をいいます。外傷性の場合は頭部や頸部に腫瘍があって、上皮小体に影響が出ることをいいます。また医原性の場合は、別の病気で甲状腺を切除した際に、上皮小体を損傷してしまったことが原因になります。この他に腫瘍や外傷、炎症などで副甲状腺が変性し、ホルモンの分泌が少なくなることが原因にあげられます。

【症状】

副甲状腺ホルモンの作用が弱くなってしまうことで発症します。元気がなくなり、けいれんや発作、後ろ足の麻痺などの症状が出ます。全身の筋肉が収縮やけいれんを繰り返す全身性テタニーという症状も現れ、呼吸が速くなって全身がけいれんしたような症状になります。特徴は、てんかんの発作のような激しいけいれんではないことです。震えや、持続的な硬直がみられることもあります。発熱や白内障が出る場合もあります。

【治療・対策】

何らかの原因で上皮小体機能低下症を起こしている場合は、基礎疾患の治療をします。同時に血液中のカルシウム濃度を適正値にするため、内科的治療としてカルシウム補充とビタミンDの投与を行います。重症化して発作や麻痺がある場合は、それを抑えるために静脈内にグルコン酸カルシウムを投与します。経過が落ち着いたら食事療法で処方食などからカルシウム摂取を行いますが、生涯にわたってカルシウムの補充とビタミンDの投与が必要になる場合もあります。


■ 糖尿病(とうにょうびょう)

【原因】

すい臓から分泌されているインスリンというホルモンの働きが悪くなり、血液中の糖分が慢性的に多くなる病気です。血液中にある糖(グルコース)を細胞に取り入れる働きがうまくいかなくなり、血液中に糖分が残ってしまうことが原因です。肥満、感染、免疫介在性膵炎が原因といわれている、インスリンがすい臓から分泌されなくなるインスリン依存性糖尿病と、分泌されているものの働きが弱いインスリン非依存性糖尿病があります。6歳以上の発症例が多くみられます。

【症状】

ワンちゃんの糖尿病も人と同じでインスリン不足で血液中のブドウ糖が多くなってしまう病気です。水を大量に飲み、排尿の回数も多くなります。食欲が増すのにいくら食べても太らず、逆に痩せていく症状もみられます。病気が進行すると血液の中のケトン体という有害物質が増加し、糖尿病性ケトアシドーシスという状態になります。嘔吐や食欲低下の他、進行すると昏睡状態になることもあり、命に関わります。

【治療・対策】

糖尿病の治療として、生涯にわたってインスリンを投与し続ける必要があります。インスリン注射の効果を高めるために、肥満の改善や避妊手術、感染症などの他の基礎疾患の治療を施していきます。食事療法や適度な運動も心がけて、肥満にならないように体重管理を徹底します。尿病性ケトアシドーシスを発症している場合は入院治療となります。


■ 尿崩症(にょうほうしょう)

【原因】

尿崩症の原因は、脳内の視床下部と脳下垂体で作られる抗利尿ホルモンが正常に働かなくなり、尿がとめどなく出てしまう病気です。通常は、このホルモンが腎臓に作用することで尿の量を調整しますが、何らかの脳の外傷や腫瘍、炎症によって抗利尿ホルモンの分泌に影響が出て発症します。また、腎臓に問題があり、腎臓での水分の再吸収が十分にできなくなることによって薄い尿が大量に排泄されます。

【症状】

尿崩症を発症すると、尿の量が急激に増え、多量に排出する分の水分を補うために大量に水を飲むようになります。与えても限りなく水を飲むような状態になり、目安としては体重1kgに対し100ml以上飲むことが多飲の1つの目安です。また、排尿量は体重1kgに対し50ml以上を1度に排尿することを多尿の目安とされています。また、慢性化すると体重が落ちたり、水分が不足したりするとけいれんや意識障害が出ることがあります。

【治療・対策】

治療方法としては、腫瘍や炎症などの基礎疾患があれば、それらの治療を行います。同時に抗利尿ホルモン製剤を定期的に投与し、尿の排泄量を正常にします。また、腎臓に問題がある場合は、利尿剤の投与や低ナトリウム食を与える食事療法を行います。発症後にお水を自由に飲ませていると胃が拡張して嘔吐などの症状が出ることがあります。その場合は排尿量をチェックして、脱水症状を起こさないように排尿した量と同程度のお水を与えるように注意を払います。


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