泌尿器の病気

■ ネフローゼ症候群(ねふろーぜしょうこうぐん)

【原因】

ネフローゼ症候群は腎臓疾患の総称で、何かの疾患が起因して発症します。糸球体腎炎や急性腎炎などの腎臓病や、糸球体の機能不全を起こすすべての疾患が原因になります。また、糖尿病やアミロイドーシスという代謝異常による腎障害、白血病や腎細胞主のような腫瘍疾患があります。他にも、アレルギーなどの免疫疾患やウィルス感染など、原因になる病気はさまざまです。

【症状】

「血液のがん」に分類される、全身性のがんです。致死率は極めて高く、不治の病といわれますが、寛解する可能性もあります。症状は発生部位により異なります。下あごやわきの下などのリンパ節が腫れるほか、元気がなくなり、下痢や嘔吐、食欲不振などの消化器症状、できものや紅斑、脱毛など、様々な皮膚病変が見られることもあります。咳などの呼吸器症状が出ることも。脾臓が腫れて裂け、大出血を起こす事もあります。

【治療・対策】

メインの治療は抗がん剤による薬物治療です。加えてステロイド剤を用いることもあります。抗がん剤には多くの種類があり、一種類もしくは、複数の抗がん剤を併用することもあります。治療がうまくいけば、寛解する可能性がありますが再発も多いので、できるだけ寛解する時期を延ばすことを目的とします。抗がん剤に耐えうるだけの体力、免疫力をつけるために良い食餌やストレスフリーの質のよい生活を与えることが大切です。


■ 間質性腎炎(かんしつせいじんえん)

【原因】

原因がはっきりとしない病気ですが、ジステンバーやアデノウィルス感染症、レプトスピラ症といった感染症や中毒も原因にあげられます。また化学物資などの薬物が体内に入ったことによる中毒や、免疫疾患、腎臓に影響を与える他の臓器の疾患などが考えられます。

【症状】

腎臓にある間質に炎症が起きて、慢性的に機能が低下する病気です。腎不全として扱われ、慢性腎不全と同じような症状が現れます。お水をたくさん飲むことから排尿量が増えるため、脱水症状もみられます。食欲がなくなって痩せてしまったり、目に見えて元気がなくなったりします。また、朝方に嘔吐するという症状もあり、悪化すると排尿困難などの症状も現れます。ただ、腎臓は異常があってもすぐには症状が現れないため、気づいた時には症状が進行してしまっており、慢性化している場合が多いです。

【治療・対策】

腎臓は機能が低下すると回復するのが難しいため、症状を悪化させないための対症療法を行います。食事療法や輸液の点滴によって、体液の量を増やして排尿量を増やし、体内の老廃物や有毒物質を体外に排出します。腎臓に影響を与えている疾患があれば、同時にその治療も行います。慢性化がさらに進んで腎不全に陥らないよう、少しでも早く発見し、治療を行うことが大切です。日ごろの様子や尿の状態を観察し、異常がみられたら早めに受診します。また、一度でも腎臓の病気をしたことがある場合は、定期診断を心がけます。


■ 急性腎炎(きゅうせいじんえん)

【原因】

イヌ伝染性肝炎、子宮蓄膿症、条虫、毒性物質、細菌やウィルス感染などによる免疫反応で、糸球体に異常をきたすことが大きな原因です。通常は症状が軽く、病変もすぐに消えてしまうことのほうが多いのですが、重症な場合、ワンちゃんの臓器に異常が起きて尿毒症などを引き起こすことがあります。遺伝的な要因が発症にかかわることもあり、糸球体腎炎を起こしやすい犬種があげられているので注意が必要です。

【症状】

急性糸球体腎炎とも呼ばれ、腎臓内の糸球体に炎症が起き、血液をろ過する働きが正常にできなくなって血中に老廃物が残留される病気です。尿量減少・尿の色が濃くなる・むくみ・食欲低下・脱水・食欲不振・ぐったりして元気がない・嘔吐・口臭(アンモニア臭)・高窒素血症・尿毒症血尿のほか、痙攣等の神経症状などが起こします。進行すると尿量が増えるので、尿量の変化は大きなサインにもなります。急性腎炎を繰り返すと慢性化することがあります。

【治療・対策】

点滴や食餌療法により、尿量を増やし老廃物を体外に排出させます。高窒素血症の改善を目的に血液の透析・ホルモン剤やカルシウム剤を使用することもあります。別の疾病によって急性糸球体腎炎が引き起こされている場合は、それらの基礎疾患への治療も施します。動物病院での尿検査のほか、尿の回数や色の異常など日常的に尿のチェックをする習慣をつけることで、腎臓機能低、腎不全になる前の早期発見が可能になります。


■ 急性腎不全(きゅうせいじんふぜん)

【原因】

犬の急性腎不全の主な原因は腎毒性のある中毒性物質によるものと、腎臓での血流の著しい低下によるものです。排尿ができなくなることで起こることもあります。心臓から全身へ送られる血液の約20%は腎臓へと送られるといわれています。よって血液中の中毒性物質が腎臓に集まりやすく、さらに腎臓でのろ過や再吸収の過程で高濃度な中毒性物質にさらされることとなります。腎性の急性腎不全の原因のひとつである、中毒を引き起こすような腎毒性のある物質は、・レーズン、ぶどう、・ユリ(花粉を舐めたり茎や葉、根をかんだりするだけでも腎障害を起こす場合があります)・不凍液、エチレングリコール・イブプロフェンやアセトアミノフェンなどの鎮痛剤・アミノ配糖体(抗生剤の一種)・農薬、除草剤、重金属・鉛(鉛の入ったペンキなど)です。中毒で腎障害が現れる量はそれぞれの犬により異なるため、これらの物質を誤食した可能性がある場合は動物病院に連絡し、残存物がある場合はそれを持参し、診察を受けてください。

【症状】

急性腎不全の症状は、嘔吐を頻繁に繰り返したり、食欲や元気がなくなったりするような他の疾患でもみられるものも多いです。初期には一時的に尿量と飲水量の増加がみられることもありますが、症状が進むと尿量が少なくなる、あるいは全く出なくなります。

<急性腎不全の主な症状> ・食欲不振・元気がなくなる・嘔吐・下痢・脱水、など。 急性腎不全が進行すれば最終的に尿毒症とよばれる状態になります。尿毒症とは、本来腎臓により尿中に出され、体外に排出されるはずの老廃物が血中に残っている状態です。老廃物は脳などにも毒性があり、神経症状が現れることもあります。

<尿毒症の症状> ・口内炎(舌の潰瘍など)・口からアンモニアの臭いがする・けいれん・意識低下、など。

【治療・対策】

急性腎不全への予防方法としては、腎毒性のある食物・植物や化学物質、人の薬(イブプロフェン等)などを誤って摂取しないようにすることです。例えば、中毒性物質のひとつであるぶどうは、果汁100%のぶどうジュースを飼い主様の外出中に犬が舐めてしまい、激烈な急性腎不全が起き、尿毒症による神経症状が現れ短時間で亡くなった例もあります。それらのものを犬の生活範囲内に置かない、または冷蔵庫など扉があり犬が開けられない場所にしっかりしまう、散歩中の誤食を避けるなど十分対策しましょう。他には、急性腎不全の原因のひとつであるレプトスピラ症はワクチン接種で予防できます。急性腎不全は早期に適切な治療を始めることが非常に重要で、その後の結果を左右します。 食欲がない、嘔吐をするなどおかしい様子が見られたら、動物病院で早めに診察を受けましょう。腎毒性のあるものを誤って摂取した可能性があるときは、症状が出ていなくても必ず受診するようにしてください。他には、特に麻酔をかけた処置や手術を行った後は食欲や嘔吐の有無などをよく観察し、異常があれば動物病院にすぐ連絡しましょう。

<急性腎不全の主な治療> ・輸液療法・電解質補正・利尿剤・制吐剤・制酸剤(胃酸を抑える薬)・消化管運動促進剤 ・透析治療、など。急性腎不全は短時間で命を落とすこともある状態です。いつもと違う様子がみられる場合、また中毒になるものを誤食してしまった場合は、動物病院を受診しましょう。


■ 糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)

【原因】

腎臓内の糸球体が炎症をおこしてろ過機能が低下する病気です。大半のワンちゃんが7歳齢以上で発症しています。糸球体腎炎の発症には、免疫が関与しているとされていますが、明確ではありません。フィラリア症、ライム病、子宮蓄膿症、犬伝染性肝炎、リンパ球性白血病、リンパ腫、免疫介在性溶血性貧血(IMHA)、膵炎、クッシング症候群といった病気が関連しているとされます。発症がよく見られる犬種は注意が必要です。

【症状】

初期は、たんぱく尿だけで見かけは無症状のこともあります。元気の低下、食欲不振や体重減少、むくみや腹水などが見られることもあります。重度では合併症の高血圧症を原因とする眼底出血や網膜剥離などを引き起こし失明する場合もあります。血栓塞栓症が生じることもあります。経過により急性または慢性の腎不全にともなう症状も現れます。腎不全の症状としては、乏尿や多尿、吐き気や嘔吐、食欲不振、脱水などがあげられます。

【治療・対策】

症状や原因となる病気の有無によって治療法は異なります。発症の原因と考えられる病気がある場合は、その病気の治療を行うと同時に、腎不全を起こしている場合や、高血圧や血栓塞栓症などの症状があれば、その治療も並行します。明確な予防方法はありませんが、発症の原因になると考えられる基礎疾患を予防し、適切に食餌・管理・運動管理を行って、ワンちゃんがストレスなく健康的に過ごせるよう環境を整えてあげましょう。


■  腎炎(じんえん)

【原因】

急性腎炎は急性糸球体腎炎とも呼ばれます。腎臓内の糸球体の基底膜が炎症を起こし、血液をろ過する働きが低下することが原因です。原因は、犬伝染性肝炎などのウィルス感染や細菌感染などがあり、子宮蓄膿症や糸状虫症など他の病気が原因になることもあります。慢性腎炎の原因ははっきりとしていませんが、急性腎炎を繰り返すうちに慢性化し、最初から症状が慢性的に進む場合もあります。

【症状】

ワンちゃんの腎炎は、急性腎不全と症状が似ています。急性腎炎の場合は尿の色が濃くなり、排尿量が減少します。また、血尿がみられる場合もあります。元気や食欲が減り、嘔吐や口からアンモニア臭がするといった症状がみられます。進行すると排尿量が異常に増加し、四肢のむくみなどが起こります。慢性腎炎の場合は目立った症状が出ませんが、症状はゆっくり進行していて、気づかずにいると腎臓機能が低下して腎不全になることがあります。タンパク尿になり、その影響でネフローゼ症候群を起こすことがあります。

【治療・対策】

腎炎を根本的に治療する薬はないため、腎炎の進行を抑える治療を行います。一般的には輸液による治療を行い、排尿量を増やして血液中にある有害な窒素化合物を体外に排出させます。また、血液透析なども行われます。また、食事療法も有効です。慢性腎炎の場合は、ホルモン剤やカルシウム剤の投与も行われます。他にも、感染症を防ぐためにワクチン接種は定期的に行う必要があります。


■ 腎盂腎炎(じんうじんえん)

【原因】

発症原因は細菌感染です。最初は尿管や膀胱などの尿路に感染します。また、そのウィルスが腎組織から尿と一緒に送られて腎盂に広がり、免疫反応によって炎症を起こします。膀胱炎にかかっている場合も、膀胱内の細菌が尿路を通じて移動し、腎盂で炎症を起こします。

【症状】

腎盂腎炎は腎臓の腎盂に炎症が起こり、腎臓が機能不全を起こした状態です。急性と慢性の場合があります。腎盂腎炎の場合、排尿量が異常に多くなります。水分をたくさん飲み、尿の回数が増えて、臭いのきつい濁った尿が出ます。また、急性の場合は発熱やぐったりと元気がなくなり、嘔吐や血尿など膀胱炎と同じような症状が出ます。慢性の場合は排尿以外の症状は少なく、軽度の症状が長く続いて、病気に気づいた時にはすでに慢性腎不全になっていることが多くあります。

【治療・対策】

治療は、まず腎盂の炎症を抑えることから始めます。腎盂の炎症の原因を特定し、細菌を抑える投薬治療を行います。抗生物質の投与を継続的に行って、膀胱炎を併発している場合は膀胱炎の治療を行います。他にも別の疾患があれば早めに治療を行い、軽減していきます。予防としては、排尿の異常や体調の変化を毎日観察し、早期発見で悪化させないことが大切です。また、細菌感染させないために生活環境を整え、体力のつく良質な食事を与えて体力をつけさせることも心がけます。


■ 水腎症(すいじんしょう)

【原因】

腎臓には、尿を集めて尿管に流す腎杯と腎盂があり、溜まった尿は尿管から膀胱へと排出されますが、尿管が何らかの原因で閉塞し、尿が腎臓内に留まることで発症します。進行すると腎不全を起こすこともあります。腎臓の配置がおかしい先天性と、さまざまな原因が起因する後天性があり、後天性では膀胱から尿管に尿が逆流する膀胱尿逆流があります。尿管が閉塞する原因としては尿管狭窄や、尿管が片方に2本ある重複尿管、尿管結石や腫瘍、外傷、術後の狭窄などがあげられます。

【症状】

水腎症は腎臓の内部にある腎盂が、何らかの原因で尿が流れ出なくなったことでお腹が膨らんでしまう状態になります。感染症を起こしていなければ無症状のこともありますが、尿路感染症による発熱を繰り返したり、タンパク尿を排出したりすることもあります。また、お腹を触ると膨らんだ腎杯や、腎盂が固まりとなっていて触れることができます。腹痛から食欲が低下し、高血圧や血尿などの症状が現れることもあります。

【治療・対策】

検査は尿検査を行います。尿路感染症を起こしていると膿尿や白血球尿がみられ、感染症を起こしていなくても血尿やタンパク尿が出るので尿路の異常がわかります。腎臓、尿管、膀胱の超音波検査や、CTやMRIを行うこともあります。軽い水腎症は自然治癒することもありますが、進行して腎臓を圧迫し、尿路感染症を起こす可能性のある場合は抗生物質を投与します。尿路狭窄などがある時は、外科的手術で狭窄部分を切除して再建手術を行います。再建手術が原因で狭窄を起こすこともあるので、十分な相談も必要です。


■  尿毒症(にょうどくそ)

【原因】

尿毒症は、腎不全が進行して腎臓の機能が低下することで、毒素が体内に蓄積されて起こります。腎不全の進行によって、尿として体外に排出される老廃物が血中に蓄積することで血液の組成が変わってしまい、老廃物に窒素を含む場合は高窒素血症、悪化すると尿毒症になります。放置すると、尿毒素が体内に蓄積されてしまい、脳神経を含むすべての臓器に障害をきたします。また、尿が外に出せない状態が長く続くと、血液の老廃物濃度が高まったり、心不全で血圧が低下した場合も腎臓に回る血液量が減ったりします。そうすると老廃物の除去が間に合わなくなり、血中に老廃物が残ることもあります。

【症状】

尿毒症は、腎臓機能が低下して尿素を含む老廃物の排出がうまくいかなくなり、血中老廃物濃度が高まってしまう状態です。尿毒症を発症するとぐったりして元気がなく、運動も嫌がります。食欲も低下し、嘔吐や下痢、脱水症状を起こします。四肢のむくみや、歯茎が蒼白になるほどの貧血症状も現れます。まれに口臭からアンモニア臭がすることがあり、症状が進行するとけいれんや昏睡といった神経症状が現れ、重篤な状態になります。

【治療・対策】

尿毒症の治療は、症状を軽減するための対症療法が施されます。血液量を増やすための輸液や輸血、心臓機能を正常化する薬の投与が行われます。腎臓や心臓などに基礎疾患があれば、同時にその治療を行います。腎臓が機能不全を起こしている場合は、人工透析を施す場合もあります。予防としては、尿毒症になる前に、腎不全や心臓に疾患などを早期発見することが必要です。日ごろの様子や尿の状態をよく観察しておきます。


■  尿路結石症(にょうろけっしょう)

【原因】

尿道結石は、膀胱で作られた結石が尿と一緒に流れてきて尿管に詰まったことが原因です。ストルバイト結石・シュウ酸カルシウム結石・尿酸塩結石・シスチン結石・シリカ結石などがありますが、ワンちゃんの場合はストルバイト結石がよくみられます。結晶化する原因ははっきりしませんが、ホルモン異常や細菌感染、水分摂取量の減少、排尿の我慢などがあり、食事ではリン酸・マグネシウム・カルシウムなどのミネラルの過剰摂取があげられます。結石ができやすい犬種もあるので、繰り返す場合は遺伝性要因も疑われます。

【症状】

尿道にできる結石と、膀胱結石などを総称して尿路結石症といいます。尿路に結石ができると尿の出が悪くなり、1回の排尿量が減り、最悪の場合はまったく出なくなることもあります。ようやく出ても、ピンクや赤色をした血尿になっていることもあります。排尿しようと長時間踏ん張って、何度も排尿ポーズをとるのに尿が出ていない時は、膀胱炎や尿路結石症を疑います。放置しておくと急性腎不全や、尿毒症を起こすこともあります。

【治療・対策】

結石がある場合は、種類や大きさを特定して治療します。抗生物質の投与と結石が小さい時はカテーテルで洗い流し、排尿量を増やして体外に出してしまうという方法もあります。大きな結石はゴルフボール状になることもあるので、外科的手術で取り除きます。食事療法では、尿を酸性にして結石を溶かす方法もありますが、処方食以外は与えてはいけないなど徹底した管理が必要で、生涯的に与える必要もあります。予防はトイレを清潔に保ち、新鮮なお水をいつでも飲めるようにしておきます。


■  慢性腎不全(まんせいじんふぜん)

【原因】

慢性腎不全の原因は、リンの過剰摂取とカルシウム不足の食事を与え続けたことで腎結石が形成されることがあげられます。また、腎盂腎炎や糸球体腎炎などの腎臓疾患が原因で、血液をろ過して尿を作るネフロンという器官が破壊され、腎臓が効率的にリンを排出できない状態になり長期的な腎不全を起こす場合もあります。他には、糖尿病や腫瘍、先天性遺伝疾患、自己免疫疾患などの疾患が原因で腎臓機能を失い、慢性腎不全を発症します。

【症状】

慢性腎不全は、腎臓が約70~75%の細胞を失い機能がすでに低下した病態のことをいいます。ただ、慢性になるまで腎臓は正常なので、長い間発見されない進行性疾患です。初期の慢性腎不全の場合は、無症状で目立った症状はありませんが、水を飲む量が増え、尿も大量の淡い尿をします。症状が進むと嘔吐や食欲不振、貧血や疲労感などの症状が現れ、体重も減っていきます。悪化すると、老廃物や毒素を排出できなくなって、尿毒症を起こして、けいれんや昏睡などの神経症状がみられるようになります。

【治療・対策】

慢性腎不全の場合、すでに腎機能を失っているので、機能を回復させることはできません。治療としては輸液の点滴治療や造血ホルモン剤などの薬物療法で腎機能の低下を抑えて、症状を悪化させないようにします。また、食事療法も行い、腎結晶と結石の形成の可能性を減らすためにカルシウムを補足した低リン食を与えます。低タンパク質の食事を薦める場合もあります。予防としては、初期症状のない慢性腎不全を悪化させないためにも、中高齢のワンちゃんは定期診断で早期発見を心がけます


■  膀胱炎(ぼうこうえん)

【原因】

犬の膀胱炎は細菌感染が原因であることが多いです。細菌の繁殖により膀胱内のpHが上昇し、膀胱結石の原因となる砂状の結晶が尿中に出ることもあります。また、結晶尿が原因で膀胱炎になっている場合もあり、細菌繁殖がなくなっても結晶がみられるようなら結晶尿に対する治療(療法食など)が必要になります。

<単純な膀胱炎の原因> ・細菌感染・結晶尿、など。 治療しても短期間で再発する、または治療に反応しにくい膀胱炎の犬では、体が細菌に感染しやすくなっている、ポリープや腫瘍があるなど他の大きな病気が隠れている可能性があります。再発性や難治性膀胱炎ではさまざまな抗生剤に耐性のある細菌が出現することもあり、さらに治療が困難になることがあります。

<再発性または難治性膀胱炎の原因> ・糖尿病、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)・免疫抑制剤の長期服用・前立腺炎・膀胱結石・腎盂腎炎・腫瘍、など。 膀胱炎で行われる主な検査は以下のようなものがあります。

<再発性または難治性膀胱炎の原因> ・尿検査・超音波検査・X線検査・尿の細菌培養・感受性検査 ※尿中の細菌の種類と有効な抗生剤を特定する検査、など。 膀胱炎の原因に他の疾患が疑われるときは必要な検査(血液検査や精密な画像診断など)が行われます。これらの検査の中で、尿検査は必ずといっていいほど行われる、膀胱炎において重要な検査です。この尿検査のための採尿にはいくつか方法があります。

【症状】

膀胱炎になると、頻尿、または排尿姿勢をとるが尿は少ししか出ないなどの症状が現れます。膀胱は伸縮性に富んでおり、通常は一定量の尿の貯留が可能ですが、膀胱炎になると膀胱壁が厚くなり膀胱が硬くなるなどが原因で尿貯留が難しくなります。さらに尿に血が混じったり、いつもよりも尿から生臭いにおいがしたりすることもあります。膀胱炎の主な症状は、
<膀胱炎の症状> ・頻尿・排尿痛・排尿姿勢になるが尿がほとんど出ない・血尿・尿が臭い・我慢できずにトイレ以外の場所で排尿する、など。

【治療・対策】

<採尿方法>
① 排尿  犬が排尿したときに、最初の方の尿を避けたものを採取します。 これは犬に一番負担がかからない方法ですが、尿道を通るので膀胱以外の細菌も混入する可能性があります。
② カテーテル  細い管を尿道から膀胱に入れ採尿する方法です。 主に雄に行われ、尿道が通りにくくなっていたり閉塞していたりしないかも確認することもできます。
③ 膀胱穿刺(ぼうこうせんし)  超音波検査下で膀胱を映しながらお腹の上から注射を刺し、膀胱から直接尿を採取します。  

尿道の細菌が混入することを防ぐことができ、超音波検査で膀胱など泌尿器を観察できます。また、カテーテルによる採尿と同様、尿がたまっていれば排尿による採取ができない動物からでも尿を採ることができます。 どの方法も尿がある程度たまった状態で採尿されます。動物が排尿したときに採尿できないという飼い主様でも、尿がたまっていれば他にも採尿する方法があるので、そのような場合は動物病院に相談してみましょう。また、採尿された尿はできるだけ排尿後時間が経過していない方がよく、適切な検査ができるのが室温保存の尿では30分以内といわれています。尿を提出するまでに30分以上かかるときは冷蔵庫で保管しましょう。いつ頃、どのような状況で採尿したか(床の上の尿を採ったか、排尿中に採ったかなど)を尿の提出時に伝えると獣医師が検査結果を正しく判断するうえで参考になります。 犬は、十分量の尿を排尿することで膀胱を洗い流し、膀胱への細菌の定着を防ぐことを助けています。排尿を長時間我慢することなく行える、さらに飲水を自由に十分できる環境を作ることが膀胱炎への予防方法として挙げられます。急性の膀胱炎では症状がわかりやすいですが、慢性の膀胱炎では明確な症状が出ない場合があります。ワクチン接種や定期的な健康診断の際に尿検査を行うことで気付きにくい膀胱炎を発見することができることもあります。また、排尿などに異常がみられたらすぐに動物病院を受診しましょう。

<膀胱炎の予防方法> ・排尿を長時間我慢しない・十分な飲水を自由にできる・定期的な健康診断(尿検査を含む) ・早期発見・早期治療、など。


■  膀胱結石(ぼうこうけっせき)

【原因】

原因として一つは、高たんぱく質、高カルシウム高マグネシウムの食餌が主な原因として挙げられ、尿がアルカリ性や酸性になると結石を生じやすくなります。また、膀胱炎にかかった後に発症することも多く、炎症で脱落した膀胱内の細胞などが核となって石を形成するものもあります。尿道が短くて細菌が侵入しやすいメス犬の方がかかりやすい傾向にあります。遺伝や老化も発症に影響するとされます。

【症状】

膀胱の尿中鉱物沈澱物が多く集まると、結晶して石になります。作られた石は尿路のあらゆるところに流されます。頻尿、排尿時痛、尿路の炎症、血尿、発熱、尿の臭いが強い、不適切な場所での排尿などの症状があらわれます。結石がとても大きい時、尿道が閉塞してしまうことがあります。体内の毒素や廃棄物を排泄できないという深刻な状態になり、 尿道から結石を除去するための緊急手術が必要です。

【治療・対策】

結石の種類や位置などに合わせた治療を行います。結石が尿路にある場合、尿障害などの合併症が起きるので手術で取り除きます。結石が膀胱内にあれば、結石溶解薬剤を含む特別食を与えて除去します。シュウ酸カルシウム結石は溶解できないので手術除去をします。その後再発防止のサプリメントやハーブを服用することもあります。プリン体の少ないバランスのとれた食餌が治療・予防に効果的です。


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