皮膚の病気

■ クリプトコッカス症(くりぷとこっかすしょう)

【原因】

クリプトコッカスは自然界に広く存在し、特に鳩の糞便に含まれています。鳩が移動して様々な場所で糞便を排出することで汚染されており、それを吸い込むことによって空気感染が起こります。健康な猫であれば少量の吸引で発症することはありませんが、猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスに感染し、基礎疾患によって免疫力が低下することで、感染しやすくなります。また、比較的シャム猫に発症が多いことから、遺伝的要因が推察されています。

【症状】

クリプトコッカスという真菌(カビ)に感染・発症している状態です。くしゃみや粘液膿性の鼻水、発熱や食欲低下、鼻や目の周りを中心としたの肉芽腫、全身の潰瘍やシコリなどの症状が見られます。また、中枢神経に感染した場合には痙攣や麻痺、意識障害や運動障害などの症状も表れます。そのまま進行すれば、視神経炎や網膜剥離、ブドウ膜炎を引き起こす可能性があります。感染しても症状が表れず、潜伏して免疫力が低下した時に発症する日和見感染を引き起こす場合もあります。人にも感染する人獣共通感染症です。

【治療・対策】

抗真菌剤を投与し、他の症状に合わせた対症療法が行われます。治療が長期化したり再発したりする可能性もあり、特に中枢神経に感染した場合は一生涯治療が必要とも言われています。室内飼育にして飼育環境を清潔に保つこと、免疫力を低下させないためにワクチンの接種で感染症を防ぐこと、定期的なケアによる衛生管理や栄養管理を行うことが予防策になります。室内飼育の場合でも、ベランダや庭などに鳩の糞が見られたらこまめに掃除するようにしましょう。


■ スタッドテイル(すたっどている)

【原因】

尾腺からの異常に皮脂分泌することが原因ですが、そのメカニズムは解明されていません。去勢手術をしていない雄猫での発症率が高いとされており、男性ホルモンとの関連性が推察されています。またペルシャ猫やシャム猫で比較的多く発症することから、遺伝的要因についても推察されています。

【症状】

尻尾の付け根にある尾腺に炎症が起こっている状態です。皮脂の分泌が異常になるため、周辺の毛はベタベタして絡まりやフケが見られます。過剰な皮脂による臭いや黄ばみ・黒ずみ、ワックス状の分泌物、尻尾の付け根に膨らみが表れます。進行すると炎症を起こして腫れたり、細菌感染による化膿したりして、皮膚の表面に凹凸が見られるようになります。猫が気にして舐めたり噛んだりすることで毛は抜けていきます。二次感染として細菌性毛包炎などが引き起こされる可能性があります。

【治療・対策】

患部の毛を刈り取り、薬用シャンプーで洗浄して皮脂を取り除きます。細菌に感染している場合は、抗生物質が投与されることもあります。再発の可能性が高いため、継続的な尾腺部のケアが必要になります。また必須脂肪酸を含む食餌を与えることで症状が緩和されることもあります。去勢手術をしていない雄猫に多いことから、去勢手術が予防策となります。また日頃からシャンプーやブラッシングを行い、皮膚を清潔に保つことも必要です。


■ ノミアレルギー性皮膚炎(のみあれるぎーせいひふえん)     

【原因】

ノミが寄生して、吸血する際に血液が固まらないようにするための成分を含んだ唾液を注入し、この唾液を排除するために炎症反応が起こることでアレルギー反応を引き起こします。ノミが寄生する経路は様々で、猫が外出した際に寄生されたり、寄生されている他の動物と接触することで寄生されたり、また飼い主さんの外出時に衣服などに付着していて猫に寄生する場合もあります。気温の上がる夏場に多いものの、冬でも室内であれば繁殖できる環境にあります。また飼育環境が清潔でないと、ノミの繁殖が起こり寄生の危険性が高まります。

【症状】

ノミが寄生し、刺咬される際に注入される唾液によってアレルギー反応を起こしている状態です。背中からお尻にかけて赤い発疹や脱毛、かさぶたが見られ、痒がって掻きむしる動作をします。痒さの程度は寄生するノミの量や猫の体質によって異なり、数匹の感染でアレルギー反応を示す場合もあります。掻きむしり外傷ができることによる二次感染や、ノミが媒介する瓜実条虫の寄生、人への感染が起こる可能性があります。慢性化すれば皮膚が黒ずみ、表面がボコボコした状態になります。

【治療・対策】

まずノミ駆除が行われます。駆除剤はスポットやスプレー、パウダーや首輪、シャンプーなど様々な様式のものがあります。合わせて皮膚炎の治療には、抗アレルギー剤や合成副腎皮質ホルモン剤などの投与が行われます。猫に寄生したノミの卵が体から落ちるため、飼育環境におけるノミの駆除も必要になります。特にノミが集まりやすいカーペットやソファー、寝具などに駆除剤を散布します。アレルギー性皮膚炎は完治させるのに時間がかかるため、日頃から飼育環境を清潔に保つことや、定期的なノミの駆除を行うことが予防策になります。


■ ノミ刺咬性皮膚炎(のみしこうせいひふえん)

【原因】

主にネコノミの寄生が原因ですが、まれにイヌノミが寄生することもあります。ノミが寄生する経路は様々で、猫が外出した際に寄生されたり、寄生されている他の動物と接触することで寄生されたり、また飼い主さんの外出時に衣服などに付着していて、猫に寄生する場合もあります。気温の上がる夏場に多いものの、冬でも室内であれば繁殖できる環境にあります。また飼育環境が清潔でないと、ノミの繁殖が起こり寄生の危険性が高まります。

【症状】

ノミが寄生し、刺咬されることによって皮膚炎を起こしている状態です。刺咬される際に刺激を感じ、刺咬された箇所が炎症を起こします。寄生するノミの数によって程度は異なりますが、痒がったり、掻きむしったり、する動作、発疹や脱毛などの症状が表れます。重度の場合は、貧血症状が表れ、掻きむしり外傷ができることによる二次感染や、ノミが媒介する瓜実条虫の寄生、人への感染が起こる可能性があります。

【治療・対策】

ノミ駆除剤が行われます。駆除剤は、スポットやスプレー、パウダーや首輪、シャンプーなど、様々な様式のものがあります。また、痒み止めや軟膏を塗布し、二次感染が見られる場合には抗菌剤が塗布される場合もあります。猫に寄生したノミの卵が体から落ちるため、飼育環境におけるノミの駆除も必要になります。特にノミが集まりやすいカーペットやソファー、寝具などに駆除剤を散布します。日頃から飼育環境を清潔に保つことや、定期的なノミの駆除を行うことが予防策になります。


■ ヘルペスウイルス性皮膚炎(へるぺすういるすせいひふえん)

【原因】

毛様体で生産された房水が隅角へと流れる過程で異常を示し、眼球の内部に溜まることで眼球の内圧が高まり、視神経が圧迫されることが原因です。房水が眼球の内部にたまってしまう要因の一つとしては、ブドウ膜炎や眼球内腫瘍、猫伝染性腹膜炎や猫白血病ウイルス感染症、腎不全などの疾患が影響していたり、隅角が狭まったり詰まったりして異常を起こしていることが考えられます。特に猫の場合は隅角のつまりよりも前者のような他の疾患の影響による場合が多く見られます。

【症状】

猫ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症で、その症状から猫風邪とも言われます。ウイルスは感染後に鼻腔粘膜で増殖し、結膜や咽頭、気管や気管支に広がります。粘膜では糜爛や潰瘍が表れ、結膜炎や鼻炎を引き起こし、鼻には皮膚炎が見られる場合があります。主にくしゃみや鼻水、咳や目やに、発熱や結膜の充血、口腔や皮膚の潰瘍などの症状が表れます。二次感染として細菌性肺炎を引き起こす場合があります。特に子猫では重症化して死に至る危険性もあります。

【治療・対策】

ウイルス自体に対する効果的な治療方法は確立されていないため、発症した場合は対症療法を行います。インターフェロンを用いてウイルスを弱めて免疫力を高めるための治療が行われる場合もあります。猫ヘルペスウイルスは、ワクチンによって防ぐことができます。まれにワクチンを接種した場合にも感染するケースもありますが、抗体を作っておくことで重症化を防ぐことができます。飼い主さんからの感染を防ぐための衛生管理や、多頭飼育で感染した猫が使用した食器やトイレを塩素系漂白剤で消毒するなども予防策になります。


■ マラセチア症(まらせちあしょう)

【原因】

マラセチアは、常在菌で、健康な猫の皮膚や粘膜に生息しています。アレルギー反応を起こしたり、皮膚の抵抗力が低下したり、皮膚の衛生状態が悪化したりすると異常増殖をいて、炎症や痒みを引き起こします。耳では湿気がたまったり、衛生状態が悪化したり、外耳炎を引き起こしたりするため、湿気がたまりやすい折れ耳の猫種は、特に注意が必要です。また、脂漏症の疾患がある場合は発症しやすいと言われています。

【症状】

マラセチアという真菌の一種に感染を起こしている状態です。皮膚炎や外耳炎を引き起こします。皮脂を栄養源としているため、皮脂のたまりやすい耳や口、内股や腹、わきの下や肛門などに発症しやすいため、ベタベタしてフケが見られ、皮膚が赤くなり、痒みを伴います。外耳炎を発症した場合には、外耳道に黒褐色で臭いのある分泌物や腫れが見られます。進行すれば内耳炎や、掻きむしることで二次感染を引き起こす可能性があります。

【治療・対策】

増殖を抑えるための抗真菌剤の投与と薬効成分の配合されたシャンプーによる洗浄が一般的です。内服薬を使用したり、耳には抗菌剤点耳薬が使用されたりすることもあります。完治は難しく再発する場合も多いため、継続的な治療が必要になります。週に1~2回を目安に、脱脂作用のあるシャンプーで洗浄することで効果があるとされています日頃から皮膚や耳のケアをして清潔に保つことが予防策になります。定期的にシャンプーや耳掃除を行うことを習慣づけましょう。


■ 細菌性皮膚炎(さいきんせいひふえん)

【原因】

ブドウ球菌の一種の異常増殖が原因ですが、ブドウ球菌は常在菌で、健康な猫の皮膚や粘膜にも生息しています。ストレスや加齢、基礎疾患によって皮膚の抵抗力が低下したり、皮膚の衛生状態が悪化したりすると異常増殖をいて、炎症や痒みを引き起こします。また慢性的な皮膚炎やホルモンの疾患、免疫異常などの他の疾患の二次感染によって引き起こされる場合もあります。

【症状】

代表的なものに膿皮症があり、皮膚上や毛穴で細菌が異常繁殖をして化膿している状態です。膿皮症は発生する皮膚の箇所によって角質層に起こる表面性、毛包と続く表皮に起こる表在性、毛包と真皮と皮下組織に起こる深在性の3つに分類され、その症状も異なります。毛の少ない顔周りやわき、内股や肢に発症しやすいと言われています。赤い発疹やフケ、ただれや排膿、痒みや脱毛などが主な症状です。痒みの程度は様々で、発症範囲も局所的なものから全身的なものまで見られます。掻きむしったり舐めたりと刺激を与えることで、さらに深部に広がり腫れや膿が生じる場合もあります。

【治療・対策】

発症箇所を消毒し、抗生物質を投与します。状況に合わせて消炎剤を用いる場合もあります。深在性になると長期間の投薬治療が必要になります。また基礎疾患が影響している場合はその治療を合わせて行います。日頃から皮膚を清潔な状態に保つことと、ストレスの少ない飼育環境を整える必要があります。適度なシャンプーやブラッシング、皮膚にしわのよりやすい猫種はタオルで拭くことなどが予防策になります。


■ 食物アレルギー(しょくぶつせいあれるぎー)

【原因】

食べ物に含まれる特定の成分によって、アレルギー反応を起こすことが原因です。猫の食物アレルギーの多くは、同じ食餌を2年以上摂りつづけることで引き起こされるとされています。どの成分に反応するかは個体によって様々ですが、主にタンパク質が引き金となり、猫の場合牛肉や魚、乳製品が多いとされています。

【症状】

食べ物に含まれる成分によってアレルギー反応を起こしている状態です。下痢や嘔吐、発熱や皮膚の炎症や痒みなどの症状が表れます。皮膚に表れる症状では、特に耳や目の周り、首のあたりが多いとされています。皮膚に赤い発疹ができ、痒がって掻きむしる動作などが見られます。原因となる食べ物を与えないようにすると、症状が軽化するのが特徴です。季節に関係なく起こるため、年中痒がっている様子があれば注意が必要です。

【治療・対策】

アレルギー反応を起こす食べ物を与えないように、食餌を改善していきます。アレルギー成分の特定は、アレルギー反応を起こした猫の血液や皮膚サンプルを採取して検査する方法もありますが、特定が困難なのが現状です。市販の制限食や低アレルゲン食を与えて様子を見たり、食餌内容を少しずつ変えて様子を見たりする方法で、アレルギー成分を特定できたり症状が改善できたりする場合があります。痒みを軽減する効果のある必須脂肪酸を多く含み、アレルゲンと認識されにくい消化性の高い食餌を与えることで改善できるも可能性があります。アレルギーは、早い時点での改善が必要です。疑いのある食材は、食餌から除くようにしましょう。


■ 皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)

【原因】

人も含めて感染動物との接触が主な原因です。多頭飼育の場合、ブラシの共有やマットなどを通じて感染する場合もあります。ストレスや免疫力の低下によって感染しやすくなるため、子猫や老齢猫、猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスに感染している場合、また基礎疾患による免疫力の低下も感染の一因となります。また栄養状態が良くない場合にも感染が見られます。

【症状】

白癬とも呼ばれ、皮膚糸状菌という真菌(カビ)の一種が感染・発症している状態です。円形の脱毛が見られ、その周辺の毛をつまむと簡単に抜け、脱毛範囲はだんだんと広がってきます。脱毛とフケやカサブタなどの症状が、特に顔周りや肢体で見られます。痒みの程度は様々ですが、痒がって掻きむしったり、こすりつけたりする動作が見られる場合もあります。人獣共通感染症で、人では代表的なものに水虫があり、頭部から爪まで様々な箇所で症状が見られます。

【治療・対策】

患部への抗真菌薬の入った軟膏やローションの塗布やシャンプーでの洗浄、投薬などが行われます。感染範囲の拡大を防ぐために、患部の周辺部の毛を刈り取り塗布する場合もあります。合わせて感染動物から放出される胞子を取り除くために、ブラシや寝具の消毒殺菌、冷暖房器具や空気清浄機などのフィルター交換などが必要になります。室内飼育にして他の動物との接触を避けたり、ストレスの少ない清潔な飼育環境の整備をし、定期的なケアによる皮膚の衛生管理や栄養管理が予防策になります。


■ 扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)

【原因】

体を構成する組織のうち、扁平上皮とよばれる扁平上皮にがん化する原因として、日光に当たり紫外線にさらされることによる細胞のがん化が考えられます。特に白猫などの色素の薄い猫が影響を受けやすい傾向にあります。また各部位での炎症や猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)などで免疫力が低下することによる発症、老齢の猫に発症が多く見られます。口腔内の扁平上皮がんの発症には大気汚染物質が関連すると考えられています。

【症状】

扁平上皮ががん化した状態で、皮膚以外でも口腔や気管などの扁平上皮がある部位に生じる可能性があります。特に猫は顔面組織に多く見られ、口腔や眼、鼻腔や耳などに発症が見られます。炎症や爛れ、しこりや潰瘍といった症状が表れ、次第に膿が出たり悪臭がしたりする場合があります。進行すれば周辺組織に浸潤し、機能障害を引き起こす場合もあります。皮膚にできた場合には、皮膚炎のように荒れた状態から糜爛(びらん)、潰瘍へと変化するケースが多く見られます。

【治療・対策】

外科手術による切除が一般的ですが、周辺組織へのがんの浸潤も考えられるため、できるだけ広範囲での切除が行われます。がんが進行していたり、猫の体力に問題があったりする場合には、抗がん剤治療や放射線治療や行われます。紫外線の強い時期や時間帯に日光に当たりすぎないようにしたり、たばこ等空気を汚染する原因物質を取り除いたりすることが予防措置になります。感染症を防ぐために他の猫との接触を避け、ワクチンを接種することも効果的です。


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