生殖器の病気

■ 糸球体腎炎(しきゅうたいじんえん)

【原因】

原因は解明されていません。免疫が関係していると推察され、猫伝染性腹膜炎や猫白血病ウイルス感染症、リンパ腫や全身性エリテマトーデス、骨髄増殖性疾患との関連が知られています。また遺伝子との関連も推察されています。

【症状】

血液中の老廃物を濾しとる役割を担う糸球体が、炎症を起こしている状態です。炎症を起こすことで、糸球体でろ過した原尿量の減少や、タンパク質が原尿に漏れ出すようになります。症状は急性腎不全・慢性腎不全と同じ症状が表れます。主な症状は、食欲不振、嘔吐、腎機能の低下による貧血、高血圧による眼底出血や網膜剥離などです。進行すれば神経障害を引き起こす場合があります。またタンパク尿が見られ、重度の場合は血管内での凝固を防ぐための成分が尿中に排出され、血栓症を引き起こす場合もあります。

【治療・対策】

尿検査によってタンパク尿が見られるかどうかで診断されます。その段階で下部尿路疾患と区別できないため、腎組織検査で確定診断がされます。腎不全に対する治療が中心です。他に基礎疾患の影響が見られる場合は、その治療を行います。免疫抑制剤が有効と考えられていますが、まだその効果は実証されていません。感染症を防ぐために、ワクチンの接種や室内飼育にして他の猫との接触を避けることが予防策です。

■ 子宮蓄膿症・嚢胞性子宮内膜過形成(しきゅうちくのうしょう・のうほうせいしきゅうないまくかけいせい)

【原因】

発情期に不妊交尾や偽妊娠を起こすことによって、女性ホルモンのエストロゲンと黄体ホルモンのプロゲステロンが分泌されることで、嚢胞性子宮内膜過形成が起こると考えられています。子宮と外を繋ぐ膣内では常に細菌が存在していて、子宮内への細菌感染が起こります。発情期に子宮へ細菌が侵入しやすくなるため、発情後での発症が多くなります。感染を起こす細菌は大腸菌が最も多く、ブドウ球菌や緑膿菌、連鎖球菌なども感染します。

【症状】

嚢胞性子宮内膜過形成は、ホルモンなどの影響で子宮内膜の増殖が起こり、肥厚が進んだ状態です。症状が表れないケースもあります。その多くが内膜症から子宮蓄膿症へと病状が進行していきます。子宮蓄膿症は、子宮内膜過形成の状態にある時に細菌が感染することで発生します。また、開放性と閉塞性に分けられ、開放性では外陰部に血液と膿などの分泌物が見られます。食欲不振や元気消失、発熱や外陰部の腫大、多飲多尿などの症状が表れます。閉塞性では、分泌物は見られないもののその症状は開放性よりも深刻です。食欲不振や元気消失、発熱や外陰部の腫大、多飲多尿に加え、嘔吐や下知、腹部周辺の張りなどの症状が表れ、ショック状態を引き起こす場合もあります。

【治療・対策】

嚢胞性子宮内膜過形成の場合は子宮細胞の生検、子宮蓄膿症の場合はX線検査や超音波検査、血液検査などで診断されます。外科手術での卵巣子宮摘出が一般的です。内科的療法では膣洗浄や抗菌剤、プロスタグランジンの投与などを行います。避妊手術を施すことが、発症のリスクを下げることに繋がります。避妊手術は卵巣腫瘍や乳腺腫瘍などの生殖器疾患全体への予防策となります。生殖器の疾患は異変に気づきにくく転移後に気づくケースが多いため、早期発見できるようにしましょう

■ 乳腺腫瘍(にゅせんしゅよう)

【原因】

原因は解明されていません。しかし避妊手術を施す時期が、1回目の発情前、1回目発情後、2回目発情後の猫の発症率を比較すると、発情を迎えることに発症率が上がっていくことから、性ホルモン依存性の疾患と考えられています。またホルモン剤(プロゲステロン製剤)を投与することも原因となります。極めてまれですが、雄猫にも発症します。また10歳以降の高齢猫に発症しやすいとされています。

【症状】

・乳頭付近のしこり ・乳頭から分泌液が出る ・腫瘍が自壊する ・お腹を触ろうとすると嫌がる ・脇の下や大腿の付け根の腫れ(転移) ・食欲の低下 ・体重が減るような症状があります。乳腺腫瘍は、良性の場合乳腺腫と線維線腫、悪性の場合炎症性乳がんがあります。猫の乳腺腫瘍の多くは乳腺がん(悪性腫瘍)です。発症すると乳房に硬いしこりのような腫瘤ができます。乳頭が赤く腫れたり、乳頭口から分泌液が出たりする場合もあります。猫の乳腺は左右4対の計8個あり、特に腹部から尾側の2対に発症しやすいとされています。進行すると腫瘍は肥大化し、表面が潰瘍化して出血する場合もあります。病態は乳腺過形成と類似します。肺などへ転移する確率が高いため、早期の治療が必要です。

【治療・対策】

腫瘍の組織検査で診断され、X線検査で転移の有無が確認されます。外科手術での摘出が一般的です。その中で状態に応じて、全摘出か部分切除、卵巣と子宮の摘出をするかどうかを決めていきます。猫の乳腺腫瘍の大半は悪性で転移の確立が高いため、切除後に放射線治療や化学療法を行う場合もあります。また炎症性乳がんの場合、摘出でも完治は難しく治療法が確立されていません。転移や再発の可能性があるため、経過観察が必要になります。早期の避妊手術を施すことが、発症のリスクを下げることに繋がります。避妊手術は卵巣腫瘍や子宮蓄膿症、乳腺過形成などの生殖器疾患全体への予防策となります。乳腺腫瘍は転移の危険性があるため、日頃から猫の様子をよく観察しておき、早期に発見できるようにしましょう。

■ 乳腺過形成(にゅうせんかけいせい)

【原因】

発情期に黄体ホルモンのプロゲステロンが過剰分泌されることで、乳腺間質の線維過形成が起こると考えられています。また治療等でホルモン剤(プロゲステロン製剤)を過剰投与した場合にも発症します。主に若年の避妊手術を施していない雌猫で見られます。

【症状】

上皮組織と間葉組織の両方で乳腺組織の増殖が起こっている場合です。黄体ホルモンのプロゲステロンと関連があるため、避妊手術を施していない雌猫の発情後に多く見られます。乳房が肥大して、硬くなりますが、それ以外は無症状です。まれに乳頭口から乳汁や透明な分泌液が排出される場合もあります。肥大した乳房に刺激などを与えると、炎症を起こす可能性があります。乳腺過形成は良性ですが、その病態が乳腺腫瘍と似ているため検査での鑑別が必要です。

【治療・対策】

触診や細胞生検で診断されます。病態が類似する乳腺腫瘍や乳房炎などとの鑑別が必要です。乳腺を触診すると、下方(尾側)になるほど脂肪の量が増えるため、肥大しているように感じます。外科手術で卵巣子宮摘出が行われます。乳腺過形成自体は、1、2ヶ月程度で自然に退縮していきます。刺激を与えると炎症を起こす場合があるので注意が必要です。数か月経ってしこりが残るようであれば、乳腺腫瘍が疑われます。避妊手術を施すことが、発症のリスクを下げることに繋がります。避妊手術は卵巣腫瘍や乳腺腫瘍、子宮蓄膿症などの生殖器疾患全体への予防策となります。

■ 子宮腫瘍(しきゅうしゅよう)

【原因】

猫の支給腫瘍の発生率は、高くありませんが、遺伝子の変異が原因とされていますが、そのメカニズムについては解明されていません。

【症状】

子宮の腫瘍は、平滑筋腫、平滑筋肉腫、線維腫、線維肉腫、脂肪腫などがあります。猫では子宮腺がん(悪性腫瘍)が多く見られます。初期段階では無症状の場合が多く、進行すると腫瘍の肥大や発情周期の異変、多飲多尿や嘔吐、便秘や下痢などの症状が表れます。膣分泌物に血液や膿が混じる場合もあります。腹部全体が腫れ上がるようになることもあり、子宮蓄膿症を引き起こす可能性もあります。他の臓器やリンパ節へ転移することもあるため、早期の治療が必要です。お腹の張り、お腹のしこり、陰部のからの出血、食欲低下など、元気がなくなり、寝ている時間が多くなります。

【治療・対策】

X線検査や超音波検査検査、触診などにより腫瘤を確認することで診断されますが、早期の発見が難しい場合もあります。外科手術での卵巣と子宮の摘出が一般的です。転移が確認できる場合は、その部分も切除していきます。猫に多い子宮腺がんの場合、他に転移を起こしている可能性が高いため、摘出後も経過観察が必要です。避妊手術を施すことが、発症のリスクを下げることに繋がります。避妊手術は卵巣腫瘍や乳腺腫瘍、子宮蓄膿症などの生殖器疾患全体への予防策となります。生殖器の疾患は異変に気づきにくく転移後に気づくケースが多いため、日頃から猫の様子をよく観察しておき、早期に発見できるようにしましょう。

■ 卵巣腫瘍(らんそうしゅよう)

【原因】

遺伝子の変異が原因とされていますが、そのメカニズムについては、いまだ解明されていません。何らかのホルモンバランスの異常と推察されています。胚細胞腫では始原生殖細胞から発生すると考えられています。猫での症例は少なく、避妊手術を施していない猫での発生がほとんどですが、極めてまれなケースで避妊手術を施した猫の残存卵巣からの腫瘍の発生が報告されています。

【症状】

卵巣に発生する腫瘍には、性器索間質細胞腫瘍、上皮細胞腫瘍、胚細胞腫などがあり、猫では性器索間質腫瘍の中の顆粒膜細胞腫が多く見られます。これは卵巣のホルモン分泌細胞から発生するためホルモンが過剰となり、発情の長期化や発情周期の乱れ、外陰部の腫大、脱毛などの症状が表れます。顆粒膜細胞腫は進行するにつれて腫大化し、下腹部の辺りにまで腫れが見られることもあります。リンパ節や肝臓、肺などへ転移する危険性があるため、早期の治療が必要です。上皮細胞腫瘍では、無症状な場合も多く、腫大化するまで気づかないこともあります。上皮細胞腫瘍の中の乳頭状腺がんでは、腹水の貯留や多臓器への転移が見られます。胚細胞腫では、卵巣のどちらか一方に発生するケースが多く、腹部リンパ節に転移する可能性が高いとされています。胚細胞腫の中の奇形がんでは、腹部全体に広がるほどの腫大化とホルモン失調による影響が表れます。

【治療・対策】

X線検査や超音波検査、触診などで診断され、CT検査で転移の有無を確認します。外科手術を行い、卵巣を摘出します。リンパ節や肝臓、肺などへ転移するケースが多いため、抗がん剤治療も考慮されますが、明確な効果は分かっていません。避妊手術を施すことが、発症のリスクを下げることに繋がります。また避妊手術は卵巣腫瘍だけでなく、乳腺腫瘍、子宮内膜炎や子宮蓄膿症への予防策となります。生殖器の疾患は異変に気づきにくく転移後に気づくケースが多いため、日頃から猫の様子をよく観察しておき、早期に発見できるようにしましょう。


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