筋肉の病気

■ 筋硬直症・ミオトミー(きんこうちょくしょう・みおとみー)

【原因】

筋肉の収縮の仕組みは、細胞膜内外の電位差が変化することによって調節され、膜電位をプラスに変化させる脱分極が起こり、それがある値を超えることで活動電位が起こることで、筋肉が収縮します。正常な時は、その後、筋肉は弛緩しますが、過度の脱分極が続くことで筋肉の収縮も続くことが原因と考えられます。先天性の場合と後天性の場合に分かれますが、先天性での発症はまれです。後天性では、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の影響と、薬物中毒などが考えられます。薬物は除草剤などを口にすることで発症するケースが見られます。

【症状】

筋肉が収縮した後に、自然に筋肉を弛緩することができなくなるため、筋肉が収縮を続けて硬直した状態です。筋肉が硬直することによって不自然な動きをします。最も多い症状が、四肢を伸ばす筋肉が硬直することで、竹馬歩行と言われる歩幅が狭くなり竹馬に乗っているような特徴的な歩き方をします。筋硬直部分を触ると硬く、弾力性がなく押すとへこむのも特徴です。

【治療・対策】

血液検査や筋電図で診断されます。先天性の場合は、抗不整脈薬などの投与を行います。後天性の場合は、中毒であれば解毒剤や輸液の投与、胃の洗浄などが行われます。副腎皮質機能亢進症による影響の場合は、手術での腫瘍の切除や投薬といった基礎疾患に合わせた治療を行います。獣医師と相談しながら基礎疾患への適切な治療を行うことと、中毒などを防ぐために安全な飼育環境を整えることが予防策です。

■ 重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)

【原因】

体を動かすには、神経から骨格筋へ神経伝達物質のアセチルコリンにより、刺激が伝わります。筋肉側でアセチルコリンを受け取るアセチルコリンレセプターの数が少ないと、十分に刺激が伝わらず重症筋無力症になると考えられています。先天性と後天性がありますが、先天性はアセチルコリンレセプターの欠損や形成不全が考えられます。後天性は、アセチルコリンレセプターに対する抗体がつくられたことで破壊されたと考えられます。この抗体は、骨肉腫や胸腺腫などと伴って起こると考えられています。

【症状】

筋力が低下することにより、運動をするとすぐに疲れるようになります。休憩をすれば回復するものの、また運動をするとすぐに疲れてしまいます。歩く時は、歩幅が減少し、次第に歩くのも困難になります。また食べた直後に吐き出す吐出やよだれを流す、嚥下困難や眼瞼下垂、虚脱状態などの症状が表れ、巨大食道症を引き起こす場合もあります。全身に症状が表れる場合もあれば、巨大食道症のように局所にだけ症状が表れる場合もあります。

【治療・対策】

血液検査によるアセチルコリンレセプターの抗体検出や、テンシロン試験による症状の変化などで診断されます。抗コリエンステラーゼ薬を投与します。症状に応じて免疫抑制剤を投与する場合もあります。また巨大食道症を引き起こしている場合には、誤嚥性肺炎などを引き起こさないように、食餌の与え方に注意が必要です。食餌の入った容器を高い位置に置き、立ち上がった状態で食餌を与えることで吐出や誤嚥肺炎は緩和し予防ができます。

■ 腫瘍随伴性筋炎(しゅようずいはんせいきんえん)

【原因】

自己免疫性疾患によります。これは、腫瘍に対する抗体が正常な筋組織に存在する抗原に反応することが原因と考えられています。免疫性疾患は、解明が難しく、誘引抗原については解明されていません。猫での発症はまれです。

【症状】

腫瘍の発生に伴って表れる筋炎です。初期段階では、筋肉の張りや痛みがあり、慢性化すると萎縮するようになります。歩き方にも異変があり、肢はこわばり、歩き方が突っ張ったような特徴を示します。進行すると段々と歩行ができなくなり、食道や咽頭の筋肉にも影響し、巨大食道症を引き起こす場合もあります。その結果、食べた直後に吐き出す吐出や嚥下困難、よだれを流すなどの症状が表れ、吐出による誤嚥性肺炎などを引き起こす場合もあります。発熱が見られるいおうになり、眼球筋や心筋に影響が表れることもあります。また、重症筋無力症や咀嚼筋炎を併発している可能性もあります。

【治療・対策】

血液検査や咀嚼筋の生検などで診断されます。免疫抑制剤やステロイドの投与が一般的で、治療は長期にわたることが多いとされています。投薬量を減らすことで再発する場合もあるため、回復後も経過観察が必要です。進行に伴って食餌を上手く食べることができなくなるため、流動食を与えたり、直接胃にチューブを入れて流し込んだりする場合もあります。慢性化すると咀嚼筋が線維化してしまうと回復は困難なため、早期に発見・治療に努める必要があります。

■ 筋ジストロフィー(きんじすとろふぃー)

【原因】

猫の筋ジストロフィーは、<ジストロフィン>と呼ばれるたんぱく質の不足などによって筋力が低下していく疾患のことを指します。先天性の遺伝子疾患です。性染色体のX染色体に異常があり、劣勢遺伝によるもので、ほとんどが、雄に発症します。

【症状】

骨格筋が進行性になることで、筋力が低下していきます。全身に筋肉の萎縮が見られ、運動してもすぐに疲れる、歩行異常、舌の筋肉が肥大したように見えるなどの症状が表れます。進行すると嚥下困難や誤嚥性肺炎、心不全などを引き起こす可能性があります。多くの場合で、生後6週間ほどで症状が表れます。・筋肉の振動・筋肉の萎縮・筋肉が硬くなっている・四肢周辺の筋肉の肥大化・舌の肥大化・歩様の乱れ・元気がなくなる・食欲不振・よだれを垂らす・成長の遅れなのが主な症状です。

【治療・対策】

血液検査や筋生検、筋電図や臨床症状から診断されます。治療法は確立されていません。細胞移植や遺伝子治療が実験的に行われていますが、まだ実用には至っていません。

■ 感染性筋炎(かんせんしょうきんえん)

【原因】

原虫感染によって起こる、トキソプラズマ症やネオスポラ症が主な原因です。原虫は感染動物の便や捕食によって感染します。また猫免疫不全ウイルスやレプトスピラ細菌やカビなどが原因になる場合もあります。

【症状】

原虫やウイルス、細菌や真菌の感染によって生じる筋炎で、多発性筋炎の一種です。初期段階では、筋肉の張りや痛みがあり、慢性化すると萎縮するようになります。歩き方にも異変があり、肢は突っ張るような歩き方になります。進行すると段々と歩行ができなくなり、食道や咽頭の筋肉にも影響して、巨大食道症を引き起こす場合もあります。その結果、食べた直後に吐き出す吐出や嚥下困難、よだれを流すなどの症状が表れます。また発熱や、眼球筋や心筋に影響が表れる場合もあります。

【治療・対策】

血清検査や抗体値の測定、筋組織生検によって診断されます。原因を特定して、それに合わせた抗生物質を投与します。感染動物との接触を防ぐために室内飼育にしてワクチンを接種し、清潔な飼育環境を保つことが予防策です。

■ 咀嚼筋筋炎(そしゃくきんえん)

【原因】

自己免疫性疾患との関係があると推察されます。咀嚼筋の持つ特徴的な筋線維型に対する抗体を持つことで発症すると考えられています。この疾患は、犬によく見られ、現在、猫での発症は報告されていません。

【症状】

顎を動かす側頭筋と咬筋の咀嚼筋に炎症が起こり、急性期には痛みと腫れを伴うため、開口や閉口を嫌がり、困難になります。食餌を食べにくそうにする様子や多量のよだれが見られます。慢性化すれば咀嚼筋が萎縮し、頭の筋肉がへこんで骨がはっきりと分かるようになります。眼の後ろの筋肉の萎縮により、眼が落ち込むようになることもあります。さらに進行が進むと開口不能になり、数センチ程度しか開口できないため、食餌が食べられなくなります。発熱や嚥下困難、体重減少や発声困難などの症状も表れます。

【治療・対策】

血液検査や咀嚼筋の生検などで診断されます。免疫抑制剤やステロイドの投与が一般的で、治療は長期にわたることが多いとされています。投薬量を減らすことで再発する場合もあるため、回復後も経過観察が必要です。進行に伴って食餌を上手く食べることができなくなるため、流動食を与えたり、直接胃にチューブを入れて流し込んだりする場合もあります。慢性化すると咀嚼筋が線維化してしまうと回復は困難なため、早期に発見・治療に努める必要があります。

■ 多発性筋炎(たはつせいきんえん)

【原因】

感染性と非感染性に分けられます。感染性は、主にトキソプラズマ症やネオスポラ症によるもので、原虫によって生じます。まれにウイルス・細菌・真菌が原因となる場合もあります。非感染性は、自己免疫性疾患が原因です。全身性エリテマトーデスのように、自分自身の体に反応する抗体を生産してしまうことで、全身に影響を与えます。

【症状】

全身の筋肉が炎症を起こし、筋肉の萎縮や筋力の低下などの症状が見られます。初期段階では、筋肉の張りや痛みがあり、慢性化すると萎縮するようになります。歩き方にも異変があり、肢はこわばり、竹馬で歩いているような特徴的な歩き方になります。進行すると段々と歩行ができなくなり、食道や咽頭の筋肉にも影響して、巨大食道症を引き起こす場合もあります。その結果、食べた直後に吐き出す吐出や嚥下困難、よだれを流すなどの症状が表れます。また発熱や眼球筋や心筋に影響が表れる場合もあります。

【治療・対策】

感染性の場合は、原因に合わせて抗生物質などを投与します。非感染性の場合は、免疫抑制剤などを投与します。また状態に応じて、巨大食道症を引き起こしている場合には、誤嚥性肺炎などを引き起こさないように、食餌の与え方に注意が必要です。食餌の入った容器を高い位置に置き、立ち上がった状態で食餌を与えることで吐出や誤嚥肺炎の予防ができます。感染症を防ぐために室内飼育にして、ワクチンの接種を行うことが予防策です。


腫瘍の病気 皮膚の病気感染症の病気 眼の病気 呼吸器系の病気 骨・ 関節の病気 耳の病気 消化器系の病気 脳・ 神経の病気 排尿器の病気生殖器の病気 循環器系の病気血液の病気 ホルモンの病気 筋肉の病気歯の病気 その他の病気

03-5428-8779