歯の病気

■ エプリス(えぷりす)

【原因】

歯垢や歯石の蓄積により、口腔内の衛生状態が悪化することが原因と考えられています。歯垢と歯肉の蓄積によって慢性的な歯肉炎になり、それが刺激となって結果エプリスが引き起こされます。またホルモンなどの内分泌異常が影響する場合があります。

【症状】

歯根膜から発生する歯肉腫のことをエプリス(エプーリス)と呼びます。良性腫瘍に分類され、エプリスの中でさらに線維性エプリス、骨性エプリス、棘細胞性エプリスの3種類が存在しています。表面から膨れ上がるような形状が特徴で、痛みはなく小さな状態であれば支障はありませんが、大きくなると摂食に障害が起き、口臭やよだれ、出血などの症状も見られます。良性腫瘍に分類されていますが、棘細胞性エプリスは局所浸潤性があり、骨を溶かして破壊し再発の可能性もあります。

【治療・対策】

外科手術による切除が一般的です。エプリスの種類によってその方法は異なり、線維性や骨性の場合は麻酔のうえレーザーや電気メスで切除します。棘細胞性は局所浸潤性があるため、再発を防ぐために顎の骨や歯を含めて広範囲の切除をする場合があります。切除以外に方法として、放射線治療があります。日頃から歯磨きを行い、口腔内を清潔に保つことが予防策になります。歯磨きは猫用の歯ブラシや綿棒、歯磨き剤を使って行います。猫が歯磨きを嫌がる場合には、獣医師にし、市販のデンタルケア用フードを活用してみましょう。


■ 口蓋裂(こうしんれつ)

【原因】

先天的な場合と、後天的な場合があります。先天的な場合の原因は解明されていませんが、遺伝的なものや環境の影響が考えられ、特に妊娠中の母体の栄養状態や感染症、薬剤の投与との関係が推察されています。先天的な場合は生まれてきた直後にミルクが上手く飲めないことで致命傷となる場合があるため、注意が必要になります。後天的な場合は、事故で頭部に衝撃を受けることで生じるケースが最も多く、また感電や歯周病の悪化が原因となるケースも見られます。

【症状】

口腔と鼻腔を隔てている口蓋が、何らかの原因で亀裂や穴ができ、繋がってしまっている状態です。食べ物を上手く飲み込むことができず、栄養失調や脱水症状、悪化すれば衰弱した状態になります。また食べ物や水が鼻や気管、肺に入ることで慢性鼻炎や気管支炎、誤嚥性の肺炎を引き起こす場合もあります。咳やヨダレといった症状も表れます。

【治療・対策】

外科手術によって口蓋裂部分を塞ぐのが一般的です。裂傷部分の左右から口蓋粘膜を剥がして寄せて縫合します。裂傷部分を塞ぐまでは、栄養や水分を十分に摂って誤嚥性肺炎を防ぐために経胃カテーテルなどを用いた補助が必要です。裂傷が小さく十分に栄養や水分が摂れる状態であれば、手術をせず経過を見る場合もありますが、鼻炎などの症状は改善が難しいのが現状です。猫が事故やケガによって発症しないように、室内で飼育するなど、飼育環境を整えることが予防策です。


■ 口腔内悪性黒色腫(こうくうないあくせいこくしょくしゅ)

【原因】

メラニンをつくる細胞のがん化によるものですが、その原因は解明されていません。人間の口腔がんは口腔内の衛生状態や煙草、アルコールが関係すると考えられているため、猫においても口腔内の衛生状態との関連性が推察されています。

【症状】

メラノーマとも呼ばれる口腔がんの一種です。名前の通り口腔内の粘膜や舌に、黒色の斑点状の悪性腫瘍が表れ、糜爛や潰瘍の形状で表れる場合もあります。他に口臭やよだれ、嚥下障害や食欲不振も見られ、進行すれば出血が見られ、細胞壊死を引き起こす場合があります。リンパ節への転移が多く、高齢の猫で発症が多いのも特徴です。皮膚のメラノーマに比べて口腔内のメラノーマのほうが悪性である確率が高くなっています。

【治療・対策】

腫瘍が小さい場合であれば、外科手術で切除します。また腫瘍が顎の骨まで達している場合には、顎の骨ごと切除手術がおこなわれます。進行して切除が難しい場所にある場合には、抗がん剤治療が行われます。しかし顎の骨や他の臓器に達して進行している場合には余命は長くないと言われています。再発の可能性も高いため、切除できた場合も経過観察が必要です。日頃から口腔内の様子をよく観察しておき、早期発見と治療を行うことが大切です。


■ 口内炎(こうくうえん)

【原因】

原因は解明されていません。歯垢や歯石の付着による細菌の増殖が影響していると考えられています。また腎臓病や糖尿病といった疾患や猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)や猫白血病ウイルス感染症、カリシウイルス感染症などの感染症の場合に多く発症していることから、免疫力の低下が影響するとも考えられています。他にも長期の抗生物質治療によるものや栄養不足、代謝異常の可能性も推察されています。

【症状】

口腔内の粘膜に炎症を起こした状態です。口臭やよだれの症状が表れ、進行すると血の混ざったよだれが見られ、痛みによる食欲不振や口腔内が赤く爛れ、脱水症状や衰弱に陥る可能性があります。また猫にとって大切なグルーミングがしづらくなって毛並が悪くなったり、呼吸がしづらくなって低酸素症に陥ったりする場合もあります。初期症状では気づきにくいっため、食餌の食べ方や毛繕いの仕方などの様子をよく見ておく必要があります。

【治療・対策】

推察される原因によって治療方法が異なります。基礎疾患や感染症の影響が考えられる場合は、疾患部分の治療と抗生物質の投与などが行われます。歯垢や歯石の付着による細菌の影響が考えられる場合は、歯周病の治療と同じく歯垢や歯石や炎症組織の除去、進行している場合は抜歯を行います。日頃から歯磨きを行い、口腔内を清潔に保つことが予防策になります。歯磨きは猫用の歯ブラシや綿棒、歯磨き剤を使って行います。猫が歯磨きを嫌がる場合には、獣医師に相談し、市販のデンタルケア用フードを活用してみましょう。ワクチン接種も感染症への予防策になります。


■ 歯周病(ししゅうびょう))

【原因】

口腔内の衛生状態と外傷、基礎疾患や感染症による免疫力の低下が原因と考えられます。衛生状態は粘着性の高いウエットフードなどの食餌ばかりを与え、歯磨きを怠ることで悪化します。外傷は肉や魚の骨や誤って異物を口にすることで外傷ができ、そこに細菌が感染して炎症を起こします。基礎疾患の影響では、主に腎臓病や糖尿病、猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)や猫白血病ウイルス感染症によって免疫力が低下して、炎症が悪化している場合があります。

【症状】

食餌による残りかすと唾液、細菌が混じり歯垢が形成されて歯に付着して歯肉炎を引き起こします。そのままにしておくと歯垢は歯石となり、歯周ポケットに入り込むことで歯肉の後退、歯根膜や歯槽骨を破壊する歯周炎になります。口臭や歯の抜け、よだれや食欲の低下といった症状が表れ、歯と接する頬の粘膜に潰瘍ができる場合もあります。さらに歯垢や歯石の細菌が破壊した組織の血管から全身に広がり、敗血症と言われる感染症によって肝臓や腎臓、心臓などの臓器にも影響を与える可能性があります。

【治療・対策】

軽度であれば口腔内の洗浄をして、抗生物質や抗炎症剤を投与します。重度の場合は全身麻酔のうえ、歯垢や歯石、炎症組織の除去や、抜歯を行う場合があります。再発を防止するために、食餌の改善や歯磨きの指導が行われます。また基礎疾患や感染症の影響がある場合は、症状に合わせて治療を行います。日頃から歯磨きを行い、口腔内を清潔に保つことが予防策になります。歯磨きは猫用の歯ブラシや綿棒、歯磨き剤を使って行います。猫が歯磨きを嫌がる場合には、獣医師に相談し、市販のデンタルケア用フードなどを活用してみましょう。


■ 虫歯(むしば)

【原因】

口腔内の衛生状態と食餌が原因と考えられます。日頃歯磨きを怠ると、歯に歯垢がたまり細菌が繁殖し、細菌の酸が中和されにくくなることが環境し虫歯に繋がります。また、歯に付着しやすい食餌や粘着性の高い食餌ばかりを与えると、衛生状態の悪化に繋がります。特に人間が食べている砂糖の入ったような食べ物を猫に与えると、虫歯の原因になります。

【症状】

口の中で細菌が繁殖して、歯の表面に付着した歯垢の中で細菌が特殊な酸を生産します。その酸によって歯が溶けてしまった状態です。細菌の作り出す酸は、通常であれば唾液によって中和されるのですが、歯垢の中にあることで中和されず、歯を溶かし内部へと入り込んでいきます。歯に穴が空く、歯の変色、口臭などの症状が表れます。特に奥歯や噛み合わせのあたりに多いとされています。猫は炭水化物や甘いものをあまり食べず、咀嚼もしないことから口腔内で原因となる細菌がほとんど繁殖しません。そのため猫の虫歯は極めてまれです。

【治療・対策】

軽度であれば虫歯になった箇所を削り取り、詰め物を入れて修復します。虫歯が進行して重度になると、抜歯を行ったり内部の歯髄の摘出を行ったりする場合もあります。日頃から歯磨きを行い、口腔内を清潔に保つことが予防策になります。歯磨きは猫用の歯ブラシや綿棒、歯磨き剤を使って行います。猫が歯磨きを嫌がる場合には、獣医師に相談し、市販のデンタルケア用フードを活用してみましょう。


■ 歯根の吸収(しこんのきゅうしゅう)

【原因】

歯を溶かす破歯細胞の増殖し、乳歯だけでなく永久歯まで溶かしてしまうことが原因ですが、破歯細胞の増殖のメカニズムは解明されていません。歯垢や歯石の蓄積による影響や食餌中の栄養バランスによってカルシウムバランスが崩れることなどが推察されています。また、副甲状腺機能低下症も原因の一つなのではないか、というふうに考えられています。

【症状】

歯の歯根が溶けて歯槽骨に吸収される状態です。破歯細胞性吸収病巣と呼ばれ、純血種で約8割、雑種で約4割と発症率の高い疾患です。臼歯での発症が最も多く、溶けた歯根は赤く腫れた歯肉に隠れてしまうため、気づきにくい場合があります。進行性のため、老齢化に伴って溶ける本数が増えていき、歯周病を併発する可能性があります。歯根が溶ける過程で知覚過敏のようなチクチクする痛みを感じ、食べ方に異変が見られるなど、食欲不振を引き起こすことがあります。

【治療・対策】

軽度の場合は歯垢や歯石の除去を行い、日頃から歯磨きによって口腔内を清潔に保つようにします。中程度の場合は既に欠損している部分の修復が行われます。人の歯と同じように詰め物を入れる方法が行われますが、その後の症状の進行を防ぐことは困難です。さらに進行して神経過敏が見られる場合は麻酔をして抜歯を行います。歯根が完全に溶けて吸収されている場合、痛みがないので治療は行われません。


■ 不正咬合(ふせいこうごう)

【原因】

先天性の場合と、後天性の外傷による場合が考えられます。先天性の場合は、歯の欠歯や過剰歯、乳歯の遺残はよく見られ、全く歯がないケースもあります。後天性の場合は事故による打撲や骨折が原因で、治癒過程で顎の骨に歪みが出てしまう場合もあります。また歯周病が原因で歯槽骨の支持が減り、歯の動揺によって上下の歯牙が当たることもあります。

【症状】

歯並びが悪く、上顎と下顎のバランスが悪く咬み合っていない状態です。猫の場合、犬とは違いその種類によって顎の長さはあまり変わりません。比較的短い頭のペルシャ猫などでは、上顎の犬歯と外側の切歯との間に下顎の犬歯が収まり、下顎の骨の方が出ているアンダーショットという咬み合せをしています。様々な理由で咬み合せが悪いと、口腔の軟組織に歯が食い込み、炎症を引き起こす可能性があります。猫は顎間接がしっかり収まりやすい形状をしているので、治療が必要な不正咬合が見られることはまれです。

【治療・対策】

不正咬合が見られても、日常生活に支障をきたさない場合、治療は行いません。口腔の軟組織に歯が食い込むような場合には、抜歯が一般的です。外傷によって歯が折れて一部が残っている場合にも、痛みを伴ったり、炎症を引き起こしたりする可能性があるので抜歯します。ワイヤーやバンドなどを用いて矯正することもできます。歯周病が影響している場合には、その治療を行います。室内飼育にして事故を防ぐことが予防策です。


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